太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第27話「公家か武家か」。師直は「公家は公家、武家は武家」と一貫しておりますね。直義は身内の気安さもあって物言いが率直ではありますが、師直はじっと尊氏自身が気付くのを待つ。表現、進言の仕方は異なれど二人が見ている世界は似ている。

太平記(大河ドラマ)あらすじ第27「公家か武家か」

後醍醐帝が目指す公家一統の世とは天皇と公家による新たな新政であり、必然的に倒幕の恩賞も公家に厚く、武家にはそれなり・・・となっていた。




また、恩賞で新たに国司となった公家の中には北条時代よりも「過酷な年貢」を領民に強いる事もあり、新政は開始早々対立と不満の声が現れていた。




奥州では不満を持った武士が北条の残党と結び反乱が起こっていた。




朝廷はこれに北畠親房、顕家父子に義良親王を奉じさせて討伐に当たらせる。




奥州と鎌倉は近い。




これには諸国の武門の不満が高まっていた。



大河姫

歴史は繰り返すね。ご維新も、細川も、民主も・・・

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太平記あらすじ第27話上巻「同床異夢」

「兄上!人が好いにも程があるますぞ!」



直義が尊氏の元に怒鳴り込んできた。




北畠親房・顕家父子を奥州へと派遣することに意義を唱えなかった事に怒りを爆発させる。本来、戦は武門の役目。それを北畠に任せたというのはいずれ奥州平定後は義良親王を将軍、そして顕家を執権とすることも見据えているのだまくし立てる。



大河姫

奥州の軍事を公家がか。なるほど・・・。北畠は遠ざけられたとも言えないかもね。

尊氏は、顕家が「陸奥国司」であり、けっして不思議な事ではないと応じるが、そのような詭弁に直義は納得しない。



「奥州と鎌倉近こうございます!」



直義は続ける。




武家であれば公家である北畠の奥州赴任を面白く思わない者も多い。顕家が奥州平定に躓いたら躓いたで鎌倉は危険にさらされる。




直義は帝は敢えて、足利の力を削ごうとしているとまで言ってのける。



「直義!そは口が過ぎようぞ!」

「帝は武士の束ねは足利に任せると申された」



そう言う尊氏もやや歯切れは悪い。




顕家には勿論「武士」が付いて東国へ下っているのだ。



「のう、直義、今は武家よ公家よと張り合う時ではない」

「武家の力を結集し都を立て直さなければならぬ」



都には住む家もない者、その日食べる物にも事欠く者も大勢いるのだ。それらは全てこの戦で家や職を失っているのだ。




尊氏は武家を集めて都の再建を話し合う場を設うけようと考えていた。今日は第一回の話し合いがある。



六波羅奉行所


尊氏の元に都にいる有力な武門が勢揃いする。




笠置、隠岐以来の楠木正成、名和長年、そして鎌倉攻めの勲一等新田義貞、脇屋義介兄弟、佐々木道誉。




大河姫

おお。。
壮観だな。
左上から新田、足利、佐々木。
左下から名和、楠木、北条。北条!?




そして、北条方から降って許された大仏高直、二階堂道蘊も顔を出していた。



「この集まりは北畠殿に対抗するという事ですかな?」



大河姫

新田、楠木、名和、そして北条方だった大仏殿と・・・爺!!(涙)

直義だけではない。




武門であれば此度の奥州征伐に北畠顕家を抜擢したことに思うところはある。



「我らは公家の下に付くために戦ったのではない」



皆その想いはある。




尊氏はやや戸惑いながらも、



「此度はあくまで都の再建の話し合い」



と、話すが・・・。




名和長年が早速義貞に皮肉を言う。



「大塔宮殿に取り入っている新田殿が武門を語るとはw」



「何!?」



大河姫

名和長年・・・大物感があんましないな。めっちゃ大物なんだけどw

二人が険悪な雰囲気になると道誉が面白くもない感じで制する。



「それを言うなら名和殿も三位の局様に取り入ってござろう?」



大河姫

この辺りのフォローは判官殿の得意技w

名和長年は「伯耆王」と称される恩賞を得ている。



「儂は隠岐以来の・・・船上山では・・・云々・・・」



長年は隠岐脱出以来の武勲を語り出したが、今度は楠木正成がこれをうまく制する。



「まま!此度は都の再建のお話でございましょう?」

「それがしに考えがござる!」



尊氏はようやく本題に入れるとほっとする。




正成は何やら小分けにされた包みを取り出すと一同に披露する。



「これは混ざりけ無しの砂金にござる!」



大河姫

え?楠木殿金持ち?

正成は諸国の商人の中には都に店を出したい者も多く、都に店が出せるのであればこれらに砂金を納めてもよいというものもあると話す。




それらの商人から銭を集め都復興の資金源としようと言うのだ。二階堂道蘊も良い考えではないかと応じる。




尊氏もまたそれは妙案と頷くが、名和長年が異を唱える。



「既に都には決まった商人がおる」



都の商いを独占できる代わりに多額の銭を納めている商人が既にいる。そして、それらの商人は公家衆とも昵懇なのだ。




議論は紛糾する。



大河姫

師直は見てるね。見ている。ジッと見ている。革命家みたいな目をしている。

売り言葉に買い言葉で血気盛んな脇屋義助が元北条方の二人に皮肉を言う。



「北条の残党も交じっておるわ」



高直は黙っていない。



「如何にも我らは北条の残党」

「じゃが、残党の力を借りねば都の再建一つ出来ぬではないか?」

「じゃから公家に下にみられるのじゃ」



「何を!?」



「やるか!!」



大河姫

あーあ。ダメだこりゃー

結局。




この日の会合は建設的な議論は何もないまま解散となる。




広間には尊氏と師直だけが残っている。



「六波羅を倒し、鎌倉を倒した時はこうでは無かった」



尊氏は独り言のように呟く。




師直は散らばった菓子を拾い一つ二つ食べながら応える。



「やはり、公家は公家、武家は武家で暮らした方が良いと存じます」

「この都では公家は武家を下人としてか扱いませぬ」

「源頼朝公が都を離れ鎌倉に武家の国お創りになられたのは故亡き事ではないかと」



師直はいつもと同じ。能面のような表情で淡々と話す。



「このままでは折角倒した北条が息を吹き返すやもしれませぬ」



既に奥州の武家は北条の残党と結託している様子もある。



「鎌倉が危のうござる」



師直の言葉に尊氏はドキリとする。



「帝は何故!何故北畠殿を奥州に・・・」



尊氏は苦悩を初めて吐露する。



「帝は雲の上のお方にございます」



大河姫

あら、ホンネは師直に言うのね。直義のお立場・・・

師直の言葉に尊氏は苦しそうである。




鎌倉には千寿王がいる。



大河姫

ああ、思い出しているね。千寿王と登子ちゃんを。

もし、千寿王を都へ呼び寄せれば足利は東国を捨てたと思われる。しかし、尊氏が東国へと下る事は出来ない。



「師直!そちか直義が軍を率いて儂の代わりに鎌倉へ征くのはどうじゃ?」

「直義とも話そう・・・」



早速師直を伴い直義邸へと向かうことにする。




その道すがら、尊氏の目に入るのは家を失った人々、食べ物を求める子供、乞食・・・。



大河姫

都も鎌倉と同じだね。共感力の高い尊氏にはツラいね。

尊氏は胸を痛めるのであった。




そして、その様子を石が遠目から眺めていた。




石は行方不明の不知哉丸を探している最中であった。

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太平記あらすじ第27話中巻「父と子」

「石殿!」

「お?柳斎さん・・・いや、足利の忍、一色右馬介だったな」

「ははは、石殿は楠木党に入られたとか?ご活躍は聞き及んでおります」

「楠木党は辞めた。今は浪人の身じゃ」

「何故・・・楠木党をお辞めに?」



石はその問いかけにはしっかり答えなかった。右馬介は三河に匿ったはずの藤夜叉と不知哉丸が消えており、行方を捜していると話す。石は藤夜叉の居場所は知っているが、不知哉丸は行方不明で自分も探しているのだと答える。



「一足遅かったな・・・儂も不知哉丸を探しておる」

「な・・・」



右馬介は不知哉丸に何かあってはと自身も捜索に加わるのであった。




その頃、不知哉丸は直義の屋敷にいた。




ようやく熱も下がりはじめていた。直義と清子は昨晩から付きっきりで看病している。直義は不知哉丸の母親と会った事があるのも関わらず、うかつにも名前を聞いていなかった事を悔やんでいた。




そこに尊氏が来訪したという知らせが来る。



「兄上が?いったい如何したのじゃろう?」



直義が広間へと向かうと丁度、不知哉丸が目を覚ます。



「おっかあは・・・?」



「母は探しにやったのだか、あいにく市が休みでなぁ」

「其方の母親の名はなんと申すのじゃ?」



「藤夜叉」



「・・・藤夜叉?」



大河姫

藤夜叉に反応したけど・・・清子は知っているんだけ?

清子はかつてどこかで聞いた名前であったように思う。また、その名前も「魚売りの女子」には似つかわしくない名である。



「藤夜叉とは魚売りには珍しい名じゃの」

「前は猿楽舞をしてた!」

「・・・猿楽舞か・・・其方たちは都の前は何処に住んでおったのじゃ?」

「三河!三河の一色村!」

「・・・一色村!」

「儂、帰る!」

「あ、これ!」



不知哉丸は床から起きるとすたこらと部屋から出て行く。




丁度その時、尊氏が直義と廊下で話し込んでいた。



「兄上!如何致しました・・・?言われれば出向いたものを・・・」

「うん、今朝の話をな・・・直義殿ともう一度」

「あ?これ童!」



不知哉丸と尊氏がばったりと会ってしまう。



「兄上、この童は此間お話をしておりました・・・」



大河姫

ああ!父子対面。

尊氏は不知哉丸であることに気付く。まだ熱が下がり切っていなかったのであろう。廊下で倒れそうになったところを尊氏に抱えられて床の間へと戻される。




直義はなにがなんだか分からない。




事情を察した清子が説明する。



「亡き大殿に尊氏には伊賀に子があると聞いたことがある」

「あれは私の孫、其方の甥じゃ」



不知哉丸は尊氏に寝かしつけられる。



「其方、大将になりたいそううじゃな」

「うん」

「足利の大将が命じる・・・病が癒えるまで動いてはならぬ(笑)」



不知哉丸が直義に連れられて屋敷に出入りしていたのは度々みられていた。藤夜叉と石も直義邸を訪ねて来ていた。




二人は不知哉丸は熱を出して寝込んでいるので暫し待つように言われている。




気付けば、既に日もどっぷりと暮れていた。




石と藤夜叉が待つ庭にはいつの間にかかがり火が炊かれていた。

太平記あらすじ第27話下巻「怒り」

「それがしの目が行き届かず申し訳ございませぬ」



右馬介は尊氏に不知哉丸の件を詫びる。そこに、その不知哉丸の母親である藤夜叉と石が早く不知哉丸を渡せと屋敷に来ていると知らされる。



「儂が行こう」



庭に待たされていた藤夜叉と石。




石は足利の家人に悪態を付いていた。




急な発熱で保護をしたまでは分るが、親にも知らせず今も渡さないというのはどういう了見かと。そこに尊氏が現れる。




後ろには右馬介もいる。



「左兵衛督であらせられる!」



家人は控えるように命じるが、藤夜叉はすぐに跪くが石はその気配がない。



「おい!左兵衛督様であらせられるぞ!」



尊氏はそのままで構わないと家人を制する。




石は不遜な態度である。



「左兵衛督とは都の民を守もの」

「それがどうじゃ?公家と武家が入り乱れて争い!」

「盗賊、火付け、乞食、皆放置!!左兵衛督が笑わせる!」

「武家の棟梁と言ったの」



尊氏は石の放言を黙って聞いている。石は尊氏の後ろに柳斎こと右馬介もいる事に気付く。



「柳斎さん、何故儂が楠木党を辞めたか教えてやる」

「楠木の殿様はこの戦は良い国を作るための戦と言った」

「じゃから儂も北条を倒すため命を懸けて戦った」

「が、戦が終わったら足利と仲良く公家の番犬に成り下がった!」

「これを見てくれ!」



石は日野俊基の書付を懐から出すと尊氏の前にたたきつける。



「日野俊基様は戦が終わったらこの領地を儂にくれると申しておった」

「じゃが、そこはどこぞの公家の領地になっておった!」

「お主が武家の棟梁なら帝に申し上げてくれ」



「これが!これが日野様の申された良い世の中なのですかと!」


そこに、今度こそ元気になった不知哉丸が現れ藤夜叉と抱き合う。



「おっかあ!」

「不知哉丸!!!さあ、帰ろう・・・」

「うん!」



石は不知哉丸を背負い屋敷を後にしようとするが、藤夜叉は尊氏に語る。



「我が子不知哉丸は名も無き魚売りの子」

「名も無く生き、名も無く消える者」

「どうか、御戯れに情けなどかけませぬよう」



大河姫

釘さしたな・・・。

そして。



「私は、御殿がお治めになれば、この都は美しい都になると思っております」

「戦のない良き世をお創りになるとそう思っております」

「石は・・・土地を取られやけになっているのです・・・お許しください」



大河姫

ああ、強烈。結局、女が男を動かし、男が天下を動かす。

by山本長官

最後に言い添えると三人は帰って行った。




尊氏は三人を見送ると、先程石が言っている事が事実であれば、石に別の領地を用意するように右馬介に命じる。




そして。



「直義・・・済まぬな・・・」

「可愛がるなら魚売りの子以外にしてくれ」

「勝手な兄の願いじゃ」



「は、はは(涙)」



直義は尊氏の心中を察する。



「直義、今朝の話じゃが・・・」



「?」



「北畠殿の奥州派兵の件じゃ」

「やはり、その方の申す通りやもしれぬ」

「儂の代わりに軍を率いて東国へ下ってくれぬか?」



もし、奥州に火の手が上がれば、鎌倉は危険にさらされる。



「なんと!しかし、帝が許されますまい・・・?」



直義としては異存はないが尊氏の変化に驚く。



「帝の許しは儂が必ず取る」



この秋、10月。




北畠父子は奥州へと出発した。



大河姫

あれ?旗指物が武田菱・・・?

尊氏はその後すぐに参内する。




鎌倉派兵の許しを得る決意を固めていた。




以上、太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第27話「公家か武家か」

太平記(大河ドラマ)感想第27話「公家か武家か」

太平記(大河ドラマ)感想第27話「公家か武家か」。直義と師直の「性質の違い」が対照的で面白かったですね。ただ、考えている事は直義も師直も・・・いや、武士であるのであれば皆感じているのかもしれません。




その武士も一枚岩ではありませんが・・・。呉越同舟感が漂う武家の集まり。いや、それは公家も同じか。

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太平記感想第27話「直義と師直」

直義と師直。



高氏へのアタリ方は違いますが考えている事は同じ。いや、尊氏も、もっと言えば諸国の武門であれば実は同じ事を考えているのでしょうね。




ただ、直義は「ストロングスタイル」なので尊氏はついブレーキを踏んでしまう。




直義は身内の気安さとその性格から尊氏が見たくないものを眼前に思いっきり見せる傾向がある。




一方で、師直はジッと機会を伺っている。




師直は昔から「目」が怖いw




この場がいったいどこに向かっているのかをジッと覗っている。




そして、いつ自身が言葉を投げれば最も効果的なのかを考えているんですよね。



「公家は公家、武家は武家で暮らした方が良いと存じます」



この言葉はかつて日野俊基に入れあげていた尊氏に発した言葉と同じですが、荒れに荒れまくった会議の後すぐではなく、尊氏自身が思い悩み、



「六波羅を倒し、鎌倉を倒した時はこうでは無かった」



と言っと苦悩を吐露してから放つ。




なので、めっちゃ効果的。




師直には「目指す政体」が具体的に見えているのでしょうね。そこに向かって淡々と駒を進めている感じが恐ろしい。




しかし、もっと恐ろしいのは・・・。




尊氏の天賦の才「共感力」が武家が持つ最大の武器であることを師直は感じているように思います。




師直こそ足利尊氏のプロデューサーという立ち位置にいるのかもしれない。




直義にはそこまでは気付いていないかな・・・?

太平記感想第27話「共感力は諸刃の剣」

尊氏は高い「共感力」を持っています。




これは諸刃の剣でもあるんですよね。




それは、尊氏だからこそ日野俊基や後醍醐帝に「信用された」というプラスの面もあれば、「人の好さを公家に利用される」という面だけではないのです。




言葉の通り「諸刃の剣」で尊氏を深く傷つける・・・。




かつて、北条の都鎌倉が多くの乞食に溢れていることに心を痛めておりましたが、この都もかつての鎌倉、いやそれ以上に酷い有様です。




尊氏はそういう庶民の苦しみを全身で感じてしまうのですよね。




庶民の気持ちにも共感するからこそ今しなければならないことは都の再建であると誰よりも理解出来る一方で、それが成されれるまでは罪の意識に苛まれ続ける。




尊氏にとっては茨の路が続きそうです。

太平記感想第27話「石と藤夜叉の演説」

石の演説は尊氏に響いておりました。




と、いうか尊氏がまさに感じていて課題感を持っていたところをズバズバと指摘していたのですよね。




分かっている事を指摘される方が耳が痛い。




尊氏自身も帝のやり方に「疑問」がないワケではないのですが、帝の「お立場」も分からぬではない。




つまりは世のなか「綺麗に」はいかない部分もある程度はある。




公家も武家も力を併せて新しい国を創らなければならない。




尊氏は帝に心酔しているし、また帝も尊氏を信頼してくれているはず。




しかし、もうこれ以上待つことは出来ない。




尊氏を最後に突き動かしたのは、石と藤夜叉の特に、藤夜叉の演説であったように思います。



「私は、御殿がお治めになれば、この都は美しい都になると思っております」


「戦のない良き世をお創りになるとそう思っております」


美しい都




日野俊基




尊氏が倒幕に身を投じたきっかけ。




尊氏、動きます。




以上、太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第27話「公家か武家か」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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→太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第28話「開戦前夜」