西郷どんのあらすじ第38話です。勝と西郷の尽力で江戸総攻めは中止となたが「戦う機会」を奪われた侍の怒りを止める事は出来なかった。また、江戸の民は「官軍」の存在を快く思っていない。ついに彰義隊は決起。続々と上野に集結。上野戦争が始まる。西郷どんのあらすじ第38話

西郷どんのあらすじ第38話上巻~上野戦争開始~

大村益次郎は桂小五郎の秘蔵っ子である。その軍略は他の追随を許さぬ「天才性」を持っている。しかし、天才にありがちな事ではあるが「変わり者」でもある。西郷への歯に衣着せぬ言い分は当の本人である西郷はいざ知らず、西郷を崇める薩摩藩士からはの評判は悪い。

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侍の意地に価値はあるか

軍議は荒れに荒れた。
大村益次郎は上野に集結する彰義隊との戦いにおいて最も「難所」と言われる「黒門口」を薩摩へと任せる。これには有村俊斎などが反発する。



「官軍の精兵は所詮薩摩と長州しかいない」

「しかし、その長州も薩摩には及ばない」



大村益次郎にとっては議論の余地などはないのだ。西郷は大村の案を受け入れる。



「分かりもした」



慶応四年(1868年)5月15日。
雨の降りしきる中上野戦争の戦端が開かれる。




当初の予想通り薩軍と彰義隊との戦闘は激しいものになるが・・・。



「そろそろですな・・・」

「あれは?!」



上野が燃えていた。
江戸城からその様子を見ていた有栖川宮は驚く。



「武士の誇りも大砲一発で粉々です」



大河姫

ただの大砲ではない。佐賀藩のアームストロング砲。最終的に「薩長土肥」という事で「肥(佐賀)」は御維新に滑り込んだが、熱心な薩長の勧誘にも「倒幕」に消極的で中立。つまり、薩長はまだ薄氷を履むが如しだった訳です。




上野戦争はたった半日で決着が付く。

薩摩へ

上野戦争は新政府の勝利に終わる。しかし、奥州には会津をはじめとする大藩が残る。勝がかつて慶喜に語った、



「錦の御旗を掲げて調子に乗った連中」



は奥羽諸藩を愚弄し各地で不要な不信感を招きついに戦いは避けられなくなる。
調子に乗った連中には



「勝者の嗜み」



などは期待できない。しかし、これは新政府にとっても厳しい戦いとなる。



「カネも兵も武器弾薬も何もかも足りない」



何もかも足りないから「ゴロツキ」が重責を担い混乱に拍車をかけているのだが起ってしまった事は致し方ない。



「カネも兵も武器弾薬も持っている」



のは薩摩しかない。



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西郷は信吾と小兵衛を伴い薩摩へ帰国。




国父久光と茂久に派兵を願う。



「薩摩兵児の忠義と力を天下へ示す好機にございもす」

「相分かった!茂久!薩摩が天下の政を担う日が来るぞ!」



久光は終始御機嫌であり、西郷の申出を了承する。




大河ドラマ西郷どんのあらすじ第38話はまだまだ続きます。吉二郎は「弟」ではない。「兄」である。

西郷どんのあらすじ第38話中巻~兄の覚悟~

久しぶりに家に戻る西郷。その日はささやか宴が開かれる。小兵衛は子供達に戦のはなしを聞かせているが、最も真剣に聞いているのは吉二郎である。

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家を守る

「信吾さぁの名誉の負傷は癒えたでございますか?」



熊吉の問いかけに渋い表情の信吾。



「こげな傷は名誉でんなんでもなか・・・」



大河姫

まあ、そうだ。戦場で余所見しとったからだもん。




信吾は戦は惨い殺し合いに過ぎないと語る。吉二郎はそれではまるで兄吉之助が、



「悪い事」



をしているようではないかと窘める。
しかし、当の吉之助も、



「いや、信吾の言う通りじゃ・・・」



西郷は徳川家に「忠義」を尽くし死んでいった者たち、そして「これから死んでいくであろう者達」を思いやる。




その様子を吉二郎はやや複雑な表情で見つめていた。




糸は夫吉之助が不在中の西郷家の様子を話す。




既に、



「西郷吉之助」



の名望は日ノ本で知らぬ者はない。そのため、その西郷を頼って様々な「親類縁者」が訪ねて来る事もあるという。
中には・・・



「あんた誰?」



と、いう者もないではないが・・・。吉二郎はいつも一人一人に丁寧に対応をしてくれている。全て、西郷吉之助の名前に傷をつけてはならないという配慮である。さらに、島の愛加那との間に産まれた菊次郎の事も心配し、書物を贈るなど気遣いをしてくれている。



「吉二郎はおいの兄じゃ・・・」



西郷はそう言って吉二郎に感謝する。




また、吉二郎も糸もいつかは菊次郎をこの薩摩に向かえるべきと考えていると伝える。



「ありがとうな・・・いと・・・」



吉二郎と糸が家を守っているから安心して外で戦える。西郷は二人の存在に感謝する。

願い

薩摩兵児達は国父久光の許しを得て続々と出陣していく。



「チェスト行け!!」



西郷が兵児を送り出した後に家に戻ると妹の琴が来ていると言う。西郷は妹の琴には幼い頃から何故か頭が上がらない。



「兄さぁ!!そこに座ってたもんせ」



琴は「清貧」を貫くのは大層立派ではあるが、その所為でどれだけ家族が我慢を強いられているかと話す。



「特に、一番我慢しているのは吉二郎兄さぁじゃ!」



勿論西郷も吉二郎には多大な感謝をしているのではあるが、
事に言わせれば、



「カタチにすべき」



と言う事である。
そもそも、西郷は吉二郎を「兄」と言うのでれば、その言葉に従うべきである。西郷は妹の言い分を最もだと感じる。



「吉二郎・・・すまんかった・・・!何か望みを言ってくりやえ!」

「・・・おいも戦に出たか!」



その答えは西郷や吉二郎の妻園にとっても意外なものだった。吉二郎の妻である園は動揺を隠せない。




西郷は先日信吾が話をしていたように戦は惨いものであること、さらに、薩摩の二才なら幼い頃から郷中で日々鍛錬をしてきた、



「槍刀」



は、役に立たないとも伝える。
西郷は徳川に忠義を尽くした彰義隊が、アームストロング砲で粉砕されるのを見て来た。



「それでも・・・!戦に行きたい!」



妻の園も夫の願いを聞き届けて欲しいと頭を下げる。西郷は吉二郎の想いに応える。真新しい軍装で信吾と小兵衛と三人で北陸戦線へ出陣する吉二郎。



「兄さぁ!立派なもんじゃ!」



吉二郎は弟二人と北陸戦線へと旅立つ。




大河ドラマ西郷どんのあらすじ第38話いよいよ最後の段。後に山本五十六を輩出する長岡藩。長岡藩を率いるのは家老河井継之助である。

西郷どんのあらすじ第38話下巻~吉二郎~

上野戦争では佐賀藩の「アームストロング砲」が上野彰義隊の忠義を易々と吹き飛ばした。しかし、もし「旧幕府軍」がそれらの武器を持っていたら結果は反対だったかもしれない。

河井継之助

「長岡で苦戦しちょりもす・・・」



薩摩鶴丸城の西郷の元に悪い知らせがもたらされる。長岡藩家老河井継之助は開明的であり、近隣諸藩にも名が知れ渡る傑物でもある上に長岡藩兵の装備は近代化されている。




特に。



「ガトリング砲の威力は凄まじかものがあるようです」



ガトリング砲は南北戦争で初めて利用された近代兵器ではあるが、実際にその威力を発揮したのは皮肉な事にこの北越戦争である。




日本に三門のガトリング砲が輸入されいたが、そのうち二門が長岡藩にある。



「長岡で苦戦している場合ではなか・・・」



官軍は「勢い」に乗っているだけであり、決してその内実は充実した戦力がある訳でない。




大村益次郎が言っていた通り、精兵は薩長、精々土肥まででその数は決して多くはない。




西郷は自ら陣頭指揮を執るため春日丸で越後へと向かう。




戦況は想像以上に悪かった。




河井継之助は自らガトリング砲を操り官軍をなぎ倒していた。



「兄さぁ・・・!吉二郎兄さぁが・・・」



松ヶ崎本陣に信吾が駆け込んでくる。吉二郎が撃たれた。野戦病院と化している寺には大量の戦傷者が送られており満足な治療も難しかった。




信吾は最期になるかもしれんと兄吉之助に話すが・・・。



「おいは此処を離れる訳にはいかん」



まだ戦は終わっていない。そして、勝てるか否かもまだ分からないのだ。




結果的に。




ついに長岡城は落城する。




近代兵器で武装しているとは言え長岡藩の兵力は官軍には及ばない。多大なる犠牲を払いながらの薄氷の勝利であった。




西郷はようやく吉二郎を見舞う。



「吉二郎・・・おいじゃ・・・」

「兄さぁ・・・最期に侍らしい働きが出来もした・・・」



吉二郎はそのまま息を引き取る。信吾と小兵衛は悲嘆に暮れるが吉之助はただ茫然と「兄」の亡骸を見つめていた。

慰霊

会津藩、庄内藩など奥州諸藩も降伏し東北での戦は終息する。西郷と大久保は江戸城改め東京城にて久しぶりに会っていた。



「吉之助さぁほんのこておやっとさぁじゃした」

「一蔵どんも・・・天子様を東京へ御移しするとは・・・」



大久保は公家衆から天子様を引き離す必要性を感じていたのだ。電光石火で東京へと移したのだ。




そう考えると江戸が灰燼に帰していないのは幸いだった。



「本日は一蔵どんに頼みがあってな」

「なんでも言ってくりやえ!」

「おいは薩摩へ帰る」

「は?何を??吉之助さぁ!何を!?」



大久保は一部の藩士(アホの俊斎)などが言っていた大村益次郎との確執など理由を問う。西郷はそういったものは噂であり、大村益次郎は卓越した軍略家であると話す。



「多くの者を死なせてしまった責任を取りたい」



大久保は西郷の言い分を勝手過ぎると非難する。まだ「新政府」の屋台骨はまったくできてはいない。それを投げ捨てて薩摩へと帰る。しかし、西郷は言いだしたら聞かない。



「もう勝手にすればよか!!」



西郷は薩摩へと戻る。



「吉二郎は立派な最期であった・・・」



西郷は吉二郎の妻園に吉二郎の死を伝える。園は号泣し家族も皆嗚咽を漏らす。西郷は涙も枯れ果てたかのよう号泣する園や家族を前に虚ろな瞳で眺めている。自分の無力に茫然としているかのようである。



「旦那様・・・これを」



糸は頃合いを見て瓶を夫に渡す。そこには銭が溢れんばかりであった。



西郷家は貧乏なはずである。



「吉二郎さぁが貯めたのでございもす」



吉二郎は質素倹約に励み貯蓄をしていたのだ。さらに、出納帳には吉二郎の几帳面な字で収支が記載されていた。西郷に代わり一家を守り、そして安心して働けるように貯蓄に励む。



「また、おいだけが知りもはんじゃした・・・」

「吉二郎はやっぱり兄じゃ・・・」



西郷の瞳からはとめどなく涙が流れていた。




以上、大河ドラマ西郷どんのあらすじ第38話でございます。

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