西郷どんのあらすじ第39話です。明治37年(1904年)10月。京都市役所は新たな市長の到着を心待ちにしていた。新市長は義足の脚で市庁舎へと入って来る。前市長は直立不動でその義足の男に頭を下げた。その男の名前は西後菊次郎。あの西郷隆盛の「次男」である。大河ドラマ西郷どんのあらすじ第39話

西郷どんのあらすじ第39話上巻~菊次郎~

「また西郷先生の御子息と働けるとは光栄です!」



助役の川村柳次郎は新しい市長が西郷と決まり一日千秋の想いで着任を待っていた。菊次郎は台湾総督府宜蘭市丁長時代の善政は良く知られていた。



「流石は大西郷の長男」



しかし、当の菊次郎はよくある事とは言え戸惑う。




菊次郎自身は父「隆盛」の名前を殊更に出して仕事をした事はない。また、度々この「西郷贔屓」の者には勘違いをされるが菊次郎は長男ではない。



「私は長男ではありませんよ」

「名前も菊太郎ではなく菊「次」郎です」



川村柳次郎は返す言葉がない。




そんな川村の気持ちを知ってか知らずか・・・。西郷菊次郎は初めて、いや、正確には父隆盛と鹿児島で再会をした時のことを思い出していた。

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二人の妻

明治2年(1869年)。




西郷吉之助は「隆盛」と名前を変えて鹿児島にあった。新政府はもとより、藩政からも距離を置きひたすら猟と農民の手助けをする日々である。




その頃、糸と熊吉は大島にあった。




二人は夫隆盛と「島妻」の愛加那との間の子供「菊次郎」を迎えて来ていたのだ。



「寅太郎も「兄」に会えるのを楽しみにしています」



寅太郎とは糸との間に産まれた「長男」である。長男ではあるが、まだ3歳で菊次郎よりも5歳ほど幼い。




愛加那は複雑な表情を一瞬浮かべるがすぐに思い直す。いずれは薩摩へと渡り学問に励む。



「菊次郎」



と名付けたのものそのためであった。



「奥様、どうかこの子を一人前の男にしぃくりしょり!」



糸は愛してやまない我が子と離れる愛加那の心情を思うと切ない気持ちになるが、愛加那は夫隆盛が言っていた通り、力強い女性であった。




糸は夫隆盛が、



「愛加那がいなければ自分は島で死んでいただろうと」



と、話している事を伝え、礼を言うが愛加那はそれには及ばないと言う。



「好いた男を助けるのは当たり前」



愛加那は夫隆盛が言っていた通りの女性だと改めて感じる糸であった。

薩摩へ

菊次郎はまだ九つであった。熊吉と糸にはなんとか慣れたものの、西郷家の大所帯には少々面食らう。




西郷家はかつて板垣与三次から借りた借金も返済し武村へと居を移していた。しかし、大所帯が生活するには中々狭い。相変わらず西郷家は賑やかであった。



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信吾や小兵衛叔父も菊次郎の薩摩入りを喜んでくれるが流石に初日である。あまり愛想よく接する事は出来なかった。



「ほら!寅太郎!兄さぁだよ!」



糸は息子の寅太郎に紹介する。寅太郎はまだ三つであるが、逆に「幼い」というのが良かったのかもしれない。




後々も菊次郎は寅太郎のことを良く面倒を見るのだった。



「菊次郎!よう来たな!!」



菊次郎は昔話で聞く海坊主でも現れたのかと思う。父、隆盛である。




勿論、菊次郎には隆盛の記憶は殆どない。




その日は菊次郎のためにささやかな宴が開かれる。糸は「長男」の席、つまりは上座へと座るように進めるが菊次郎は下座から動かない。



「菊次郎は次男」



母愛加那から厳しく言われてきたのだ。




翌日から菊次郎は薩摩の者たちと同じように「郷中」で武芸・学問に精を出していく。




大河ドラマ西郷どんのあらすじ第39話はまだまだ続きます。新政府は揺れていた。

西郷どんのあらすじ第39話中巻~揺れる新政府~

「吉之助さぁ!」

「なんだ、俊斎・・・またか?」

「ああ、国父様じゃ・・・!」



久光は「参政」となっていた西郷を呼び出す。新政府は「版籍奉還」により領地領民は帝のものとなっていた。久光をはじめとする藩主は非世襲の「知藩事」となりあまり実態に変化があった訳ではないとも言えるが・・・。

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不満

「西郷!この事態をおまえが収めろ!!」



今の新政府にいる大久保や木戸は元はといえば「藩士」に過ぎない。大久保に至っては久光が引き上げなければ直答さえ許されない身分である。



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その下級藩士や岩倉のような「下級公家」が我が物顔で政府を切り盛りするのが気に食わない。勿論、そういった「私怨」のようなものだけではない。




新政府のやり方に不満を持つ士族・農民は数多い。




幕末は天命・天保と並んで一揆が多発したが、明治となってからも米の値段は下がらず一揆は広がり続けていた。



「こいがお前たちの望んだ維新か?」



久光の言葉は西郷の胸に突き刺さる。




東京の新政府では早急な中央集権化・近代化推し進める中心には大久保の姿があった。新政府はやはり薩摩と長州が中心となって動いていた。




その中心は薩摩の大久保、そして長州の木戸である。



「今は反発を受けてでも改革を進める時です」

「・・・大久保君、君は性急すぎる。手痛いしっぺ返しにあうぞ?」



木戸の言葉は現実のものとなる。




松代では農民7万人による「松代牛札騒動」知多地方では反政府士族と結びついたと噂される騒乱、そして九州でも「日田一揆」では1万人が集まったと言われている。

諌死

明治3年(1570年)盛夏。



「先生!このままでは侍の時代は終わる!」

「おいと一緒に江戸へいってたもんせ!」



西郷は戊申の役で亡くなった者の慰霊と猟の日々であったが、昨今の一揆の頻発や士族への扱いに不満持つ者も多い。西郷の元に半次郎の従兄弟の別府伸介そして横山安武といった若い者が訪ねて来る。二人とも西郷が将来が楽しみな二才である。



「侍の時代は終わるかもしれない」



西郷は斉彬の言葉を改めて思い出す。しかし、誇り高き薩摩隼人には真意は伝わらない。



「先生は政府の犬になってしまったでごわすな!もうよかです!」



後に横山安武は独り上京し、集議院の門前で建白書を携えて諌死する。



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西郷は才能ある若者の死を止める事が出来なかったことを悔いる。




そんな父隆盛を見て菊次郎は気が付いた事があった。




父隆盛は押しかけて来る二才の勢いに対して景気の良い事は一切言わなかった。そんな父を「弱気」と訝しんだ事もあった。




しかし、違うのだ。




西郷が動けばその動きは瞬く間伝播し収拾つかない、西郷自身にも止められない奔流となる。西郷はその身を挺して若者たちの命を救うおうと孤独な戦いをしていたのだ。




大河ドラマ西郷どんのあらすじ第39話も最後の段。西郷と菊次郎の決意!

西郷どんのあらすじ第39話下巻~決意~

暫くの後、兵制視察へ欧州へと渡航していた従道が帰国する。従道は鹿児島へとお土産を持って戻って来たのだ。西郷家は久しぶりの従道の帰国を喜ぶが、従道はある決意を胸に秘めていた。

菊次郎の想い

叔父従道は「珍妙」な格好をしていた。どうやらこれが外国、とくに列強では普通なようだ。




ただ、それ以上に叔父従道から聞く海外の様子に菊次郎の胸は躍る。



「仏国には鉄道が走っておってな!鉄の塊がポー!っと煙を吐いて進っとじゃ!」



いつもは物静かな事が多い菊次郎だが、叔父従道の話には目を輝かせて聞き入っていた。




子供達が寝静まると従道は兄隆盛に酒を進める。



「・・・おいはもうやらん」



従道は居を正すと率直に尋ねる。



「おいと一緒に東京へ来てたもはんか?」

「・・・一蔵どんに頼まれたんか?」



新政府への民衆の怒りは爆発寸前である。それを鎮めるには維新第一の功臣西郷隆盛の力が必要であると。従道は大久保が西郷の上京を望んでいるのは確かであり、頼まれた事も認める。しかし、もし大久保がそのように従道に頼まなくても自分は隆盛に同じ事を言ったと言う。




また、この不穏な空気の中、維新第一の功臣はである西郷が鹿児島に籠っているのは、西郷隆盛もまた新政府には批判的なのだという風評もあった。



「西郷隆盛を担ぎ第二の維新を」



と、考える輩も多い。
西郷は戊申の戦で多くの者を殺した自分にはその資格はないと固辞するが、従道はその死んだ者の為にも、



「本当の意味での新しい世の中」



を作るべきだと説得する。兄吉二郎を始め死んでいった者達はみな「良い世の中が来る」と信じて死んでいったのではなかったのか?




従道の熱っぽい説得が功を奏し、西郷は東京行きを決意する。糸は大反対だ。



「菊次郎を愛加那から預かったばかりなのに・・・!」



しかし、当の菊次郎が母、糸を説得する。



「父を東京へ行かせてやって欲しい」



菊次郎は父隆盛に民の為に働いて欲しい、そして、いずれは自分も父隆盛のように民の為働きたいと語るのであった。




以上、大河ドラマ西郷どんのあらすじ第39話でございます。

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