翔ぶが如くのあらすじと感想第9話「大老・井伊直弼」です。盟友阿部正弘を失った斉彬は吉之助を再び江戸へ送ります。江戸ではハリスの要求に幕閣は右往左往するばかり。一方、将軍継嗣を巡り一橋派・南紀派は幕閣・大奥・公家と手段を選ばない工作を互いに続けるが・・・?翔ぶが如くのあらすじと感想第9話

翔ぶが如くのあらすじ第9話「大老・井伊直弼」

老中阿部正弘が亡くなった。斉彬は吉之助を再び江戸へと送り込み、将軍継嗣問題においては一橋慶喜を、そして異国との条約問題に関しての情勢を探るように命じる。時に安政4年11月。大獄の嵐はもう目前に迫っていた。

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翔ぶが如くのあらすじ第9話上巻「表の暗闘」

幕府はハリスからの通商条約締結要求への対応に苦慮していた。幕閣の主だった者と四賢公(一橋派)が集まるが、攘夷派で知られる水戸斉彬の突飛な行動にも戸惑いがあった。



「水戸の御老公においては通商条約等跳ね付けろと」

「しかし・・・」



老中堀田正睦が水戸徳川斉昭の言い分を松平春嶽や伊達宗城に伝える。斉昭が言うには「国内で通商」は出来ないが外でやればよいと言うのだ。巨大な船舶を建造し沖合で交易を行う。



「そんな事が出来るのでしょうか?」



あまりに途方もない斉昭の言い分に戸惑う伊達宗城だが、斉昭はいたって本気で御公儀に対して100万両の貸し付けを願い出ているという。



「まったく・・・我らが一橋公を推しているというのに」



春嶽はまるで糸が切れた凧のように辺りをかき回す斉昭に渋い表情である。一方、南紀派の井伊直弼もまた、動き始めていた。



「ははは!では老中堀田正睦も困っていたわ」

「殿!これは良い機会です・・・!水戸に謀反の噂を流せます!」



井伊直弼の側近でありまた学問の師でもある長野主膳は、水戸斉昭の行動を問題視する事で謀反の噂を広めさらに「一橋派」も一気にかたずけしまおうと提案する。



「いよいよ殿が大老になる日も近いですな!」

「いや、儂はただ幕府の安泰のために役に立てれば良い」



→長野主膳!井伊直弼との関係と京都人脈


井伊直弼と長野主膳にとっては斉彬等「四賢公」など外様大名が幕政に意見する事に危機感を抱いていた。長野主膳はさらに懇意の公家への対策の為に京都へと向かう。




そして、薩摩藩を立った吉之助もまた、熊本で正助と別れ京都へ入っていた。吉之助は京で薩摩藩定宿となっている鍵屋に入る。



「あら!西郷さん!」

「ああ、またお世話になりもす!」



鍵屋の女将であるお房が快く迎えてくれる。
しかし。



「さっきからこちらを見ている怪しい男がいる・・・」



お房は周囲を警戒するが吉之助は自分は人様に後ろ指を指される事などしておらんと笑う。翌日、吉之助は清水寺成就院の月照の元を訪ねる。そこで、南紀派もまた朝廷工作を行っている事を月照から知らされる。



「西郷様は長野主膳という国学者をご存知でしょうか?」


井伊直弼の懐刀と目される国学者の長野主膳という男が将軍継嗣については紀州慶福と触れ回っていると伝える。
南紀派もまた調停工作を行っていた。




清水寺成就院を後にすると吉之助は門前にいた武士に声をかけられる。



「もし?薩摩のお方ですか?」

「いや、おいは寺に仕える者でございもすが?」



男はそれは失礼したと言うが、月照に会おうとしている事を知ると月照は不在であると伝え、しばし一緒に歩く事になる。
その時。



「あれ!長野さんではないですか!」


京の顔見知りの芸妓であろうか?長野は渋い表情だが・・・。



「では、おいはこれで‥‥!」



吉之助は月照から聞いていた井伊家の家臣長野主膳が既に自分が京に入り、月照の元を訪ねている事が把握されている事に警戒心を強めるのであった。

翔ぶが如くのあらすじ第9話中巻「奥の暗闘」

吉之助は周囲を警戒しながら京都を立ちます。途中まではお房と共に歩く事で偽装もしもしましたが、どうやら尾行はないようだった。江戸へ入るととある出会い茶屋に入る。




待つこと暫し。
いや、だいぶ。




籠に乗った身分の高そうな女性が顔を隠しつつ吉之助の部屋へと通されます。部屋と案内した女中を戻すと。



「幾島様!お待ち申し上げておりました!!」

「西郷さん!待っていたのは此方の方です!」

「・・・篤姫様に何か・・・!?」



幾島は最近の大奥の様子について話す。篤姫が輿入れする前に起った大地震の影響がある頃に大層立派な輿入れをした当初は、薩摩様!薩摩様!と大奥でも薩摩の評判は高かったのですが、南紀派の巻き返しが行われていると言います。



「今は紀州様!紀州様でございます」



幾島は大奥の拙僧の無さを嘆くが、南紀派は一橋派には出来ない思わぬ方法で大奥の上臈達を見方に付けているという。



「慶福様を大奥へ遊びに来させている」



大奥というには子を持たない女たちの集まりである。幼い慶福が尋ねれば我も我もと「母親」「姉」の真似事をする。すっかり、大奥は慶福に夢中になっていると言う。




吉之助と幾島は時間差で出会い茶屋を後にする。そこで旧知の新門辰五郎と再会する。辰五郎は娘のお芳を連れていた。




新門辰五郎は薩摩から篤姫が将軍家に輿入れしたのは一橋慶喜を将軍継嗣にするためだと専らの噂だが塩梅はどうかと尋ねる。




お芳によれば辰五郎と慶喜は特別な関係であり、気になって仕方がないのだと言う。吉之助は江戸では町民もまた公儀の情勢に詳しい事に驚くのであった。




吉之助は旧知の越前藩士橋本左内と再び京都へと赴く。そして月照に「将軍継嗣」に関して勅許を得ようとする。おりしも、老中堀田正睦は御上から「条約の勅許」を得ようとしていたが、時の孝明天皇は「異人は赤鬼」と吹き込まれ勅許を得られる見込みはなかった。




元々は「将軍継嗣」と「条約勅許」は一対と考えていた吉之助達であるが今回は「将軍継嗣」問題のみの勅許とする事にする。




その、篤姫は大奥で孤独な戦いを強いられていた。家定は篤姫を大層気にいっているが、大奥は今紀州派が優勢となっている。ただ、家定本人はまだ紀州とも一橋とも言ってはいない。両派からの圧力で元々心身共に弱い家定は益々弱々しい様子となる。




篤姫は意を決して家定の母でもある本寿院に次期将軍継嗣について話をしようとする。本寿院は乳母の歌橋出身の紀州に靡いている。いや、慶喜の父である斉昭は大奥での評判も悪いのだ。そして、篤姫には内密で井伊直弼の大老就任には内諾を与えていた。



「今宵は申し上げたい儀があります」

「おお!丁度良い!御台には良い知らせがある」

「それはいったい?」

「高名な修験道によれば御台は懐妊して男子を産むそうじゃ!」



篤姫は絶句する。
本寿院は「紀州」「一橋」の争いも篤姫が男子を産めば解決であると言います。勿論、本寿院は家定にその能力がない事知りながら、篤姫の言葉を封じたのである。篤姫は本寿院の言葉に涙するのであった。

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翔ぶが如くのあらすじ第9話下巻「大老井伊直弼」

吉之助と橋本左内の京での活動もあり将軍継嗣問題については、



「英傑・人望・年長」



とする御上の意向を得ていたが、長野主膳は関白を動かし「年長」の意向を消していた。そして、大奥の支援も受けた井伊直弼は安政5年(1858年)4月は大老に就任する。老中堀田正睦には寝耳に水の出来事であった。直弼は慣例を排しすぐに幕閣を召集すると今後の方針を示す。皆が注目するのは当然将軍継嗣問題である。



「将軍は必ずしも英明である必要はない」



堀田正睦などが朝廷の意向は(年長が削られたとは言え)英明な人物をとの事であると意見するが、直弼は言下に否定する。




直弼は過去の徳川家の将軍についても必ずしも「英明な人物」ばかりにではなかったが、譜代大名がこれをしっかりと支える事で250年の太平の世であったと言いう。大切なのは「徳川家の血筋をお守りする事」であると。



「一橋様も徳川家の血筋でありますが・・・?」

「じゃが、血の濃さでは紀州様!」



直弼の断固たる姿勢に幕閣は沈黙する。そして、当の一橋慶喜は動かない。



吉之助は情勢が如何にも不利な事に焦燥感を強める。同志の橋本左内に苛立ちを露わにするが、動かない幕閣に文句と言っていても事は一向に好転はしないと逆に窘められる。



「おいは一度薩摩へ戻ります」



吉之助は橋本左内の言葉に覚悟を決める。そして、橋本左内から斉彬宛の書状を託されて無断で薩摩へと帰国する。



「お許しを得ずの帰国申し訳ございもはん!」

「成程、井伊大老の元では自体は好転せぬか」



斉彬は吉之助の報告と橋本左内の書状から情勢が厳しい事を理解する。



「では、如何すればよいと考える」

「事此処に至っては武を持って幕政改革を迫るしかないかと!」



薩摩藩兵を率いて上洛を進言する吉之助の言葉に斉彬は頷くのであった。

翔ぶが如くの感想第9話「大老・井伊直弼」

翔ぶが如くの感想第9話です。井伊直弼が大老に就任します。改めて見直してみると井伊直弼と同じ位存在感があるのが「長野主膳」ですね。斉彬には吉之助、松平春嶽には橋本左内、そして井伊直弼には長野主膳。ただ、長野主膳は「家臣」というよりは「同志」のような。そして、「大奥対策」ですが女心を手玉に取る南紀派のやり方が中々興味深い・・・!

翔ぶが如くの感想9話「長野主膳の存在感」

長野主膳は元々は井伊直弼の学問の師であったと言われます。翔ぶが如くでの井伊直弼は私心なく(まあ、実際も私心はなかったと思います)幕府の安泰を願っています。ただ、一橋派の「朝廷工作」の結果などを受けて諦めかける場面なんかがあるんですね。




ここで長野主膳は井伊直弼を??咤激励しています。この雰囲気は主人と家臣と言うよりは、「プロデューサー」と「アーティスト」のような雰囲気ですね。実際、長野主膳は野心家であったと言われます。長野主膳の切れ者、「敏腕プロデューサー」感が良いですね。

翔ぶが如くの感想9話「大久保の妻満寿」

前回から大久保の妻役で賀来千香子さんが登場。この時30歳。賀来千香子好きだったんですよね。検事若浦葉子とか好きだった・・・。そして、将来は検察官になろうと考えた想い出。




正助は吉之助に惚れ込んでいるので、吉之助から手紙が来ると満寿に吉之助の話を聞かせます。



「旦那様は吉之助様から手紙が来ると機嫌が良いですね!」



と、言われて若干照れる正助。新婚夫婦のやり取りが微笑ましい・・・。




余談ですが、前述の検事若浦葉子で事務官をしていたのがいかりや長介さん。大河ドラマだと鬼庭左月が印象的でよく覚えていますが、当時はまだそれほどTV出演はなかったと思います。踊る大捜査線はまだ先ですからね。

翔ぶが如くの感想9話「大奥の女を手玉に」

一橋派と南紀派の争いは幕閣から大奥、そして朝廷へとその戦線を広げています。大奥への工作が中々興味深い。




慶福は紀州藩主は家定にとっては従妹にあたり、また、紀州家を4歳で継いでからはずっと江戸住まいなんですね。



「大奥とは子供がいない女子の園」



幼い慶福の存在そのものが大奥の女たちのある意味では「慰み者」という事ですね。誰もが「母」や「姉」の真似事をするというのは無理からぬ事ですな。ならば、こちらは調所の改革のおかげ潤沢な資金と慶喜自身を武器に・・・。いや、慶喜が当時の基準で「色男か否か」は分かりませんが、女癖の悪い「斉昭」の評判が最悪なので、もし慶喜が「色男」でも中々難しいか・・・。



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以上、翔ぶが如くのあらすじと感想第9話「大老・井伊直弼」でございます。

今宵は此処までに致します。

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