武田信玄のあらすじ第26話「氏康と景虎」。「人はウサギ小屋だと言うけれど」自分の家、いや城を持ちたいという想いは切実である。ましてや戦乱の世であれば如何なる攻撃にも耐えうる城への想いは格別であったろう。相模の北条氏康の居城小田原城は南に相模湾、北に八幡山持つ天然の要害であり、また、城下町を囲む総構えは後の大坂城、江戸城を凌いでいた。

一方ここに戦国武将でありながら全く違う発想を持った人物がいた。彼は領内に城築かず、御所風の優雅な館に住んだ。この人物がどういう想いで城を持たなかったのか。それは彼が残したという次の言葉に集約されている。

人は城
人は石垣
人は堀
情けは味方
仇は敵なり