武田信玄(大河ドラマ)の感想第26話「氏康と景虎」。景虎の関東遠征が描かれますが、話の中心は戦よりも「親子」でしょうか。あの韮崎の別れから二十年です。今宵、二十年振りに父子が再会します。父信虎が語る晴信像と武田家の将来が的確過ぎて逆に辛くなります。あと、最近はご無沙汰していた三条殿のヒステリーが爆発。ただ、これは晴信が悪い・・・。それでは武田信玄第26話感想はじめます。

武田信玄感想26話「父子再会」

冒頭で申し上げた通り二十年。二十年振りに父子が再会します。勿論「子」は晴信ではありませんが。

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信虎と信繁

「お懐かしゅうございます!(涙)」



信虎も信繁も号泣の再会です。信繁は度々兄の晴信に父信虎を甲斐へ戻す事を提案していますからね。また、信虎も何故か信繁・信廉には優しい。



「そちに我が想い分かるはずもない!!」



と、信繫を怒鳴ってしまいますが、辛そうな表情をする息子を見て父親の顔を見せています。実際、信虎追放を仕掛けたのは晴信ではありますが、まだ幼かった信廉とは異なり信繁二十年前既に初陣も済ました一人前の武将でした。




信虎が「親不孝」を責めれば責める程、心優しい信繁は晴信と信虎の板挟みとなり辛いだろう。



「子の親不孝は親の不徳」



信繁の心中を思いやっているようにも思えます。この気遣いを何故晴信には見せられなかったか。

信虎の晴信評

26話で一番の見どころと言えばやはり信虎の晴信評でしょうね。流石は似た者同士の親子。晴信の性格をよく見抜いています。皮肉にも、最もお互いを知っているのは
「信虎と晴信」の二人なんですよね。



「二番目を嫌う男じゃ!」



信虎は晴信の、つまりは甲斐の行く末は二つに一つと言います。




上洛して天下を獲るか、上洛を果たし
天下を獲った「誰か」と争い滅ぼされるか。




両極端ではありますが、信虎の予言は結局(晴信は亡くなっていますが)そのまま武田家の歴史でもありますね。勿論、武田家の行く末を信虎なりに案じているわけですから、滅びの道ではなく
「天下への道」を息子達に託す。義元を失い弱体化した駿河を平らげて都への道を確保するように言いますが信繁はそれを必死に制止します。



「父上の仰せの事よく分かりませぬ(汗)!」



この時信繁は晴信が常々言っていた、



(信繁・信廉は)
父上の真の姿を知らぬ



という言葉の重みを思い知ったのではないかと。もし、信虎を甲斐へ戻せば当然「好々爺」など出来るはずもない。そして、面白いのは信繁は「晴信の真の姿」も知らないんですね。



「駿河と甲斐は固い絆で結ばれている」



義元が上洛すれば天下を手にすると思われていた時に、信繁は勿論、家臣一同内心は忸怩たる想いがありました。しかし、晴信は?



「今川殿が天下を獲るとは目出度き事」



と、歯の浮くような!?言葉で皆を欺いていますからね。まさか、山本勘助をつかい義元をハメているとは夢にも想わない。




信繁を媒介として、信虎と晴信がある意味では、お互いをよく理解している事が描かれているのが面白いですね。

竜宝戻る

信繁が父信虎と二十年振りの再会をしている頃、もう一つの親子再開が。比叡山に修業へと行っていた次郎改め竜宝が戻って来ます。




立派に成長した竜宝の様子に晴信も三条殿も嬉しそうです。




目の不自由な竜宝に手を貸すように言う三条殿を制して、



「この躑躅ヶ崎の事は隅々まで存じております!」



と、嬉しそうに応える様子が涙を誘います。




そこへ義信がやって来て、竜宝を自室へ連れて行ってしまうのですが、改めて、竜宝が盲目にならなかったらと考えてしまいますね。義信の不幸は起きなかった・・・?




勿論、同腹の兄弟でも信長と信行のように相争わないとは限りませんが。

武田信玄感想26話「偽りの館」

三条殿の妹は本願寺顕如に嫁いでおり、その縁を利用して、晴信は景虎を牽制しようとします。勿論「二番目」を嫌う、「誰かの下で甘い汁を吸う」事など出来ない晴信の意識は既に「都」を向いていますが・・・?

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天下は獲らない

これはもう、三条殿は怒って当然かと思います。晴信はこの時景虎が天下を獲る事を警戒していますが、三条殿の突っ込みは正しい。



「都に興味のないお前様が何故都を天下を気にする!?」



大井夫人も言っていますが、晴信は「景虎失踪」の頃から都へ興味を示しています。そして、流石は三条の方。三条殿もまた、晴信が天下を意識している事に気がついていますね。




しかし。



「(天下を獲ると)偽り申してどうするのじゃ?」



晴信はその意思をハッキリとは見せません。これはですね。



「西へ行ってはなりませぬ」



母、大井夫人の言葉に気兼ねをして「天下」という言葉を発せられないのではないかと思います。何かこの「天下」「上洛」という言葉を発してしまうと、母との約束を違えてしまうと思っているのではないかと。




八重は晴信には「田舎人特有の都への畏れ」があると評していましたが、私は
母との約束を明確に違えてしまう事への畏れが「天下・上洛・都」といった言葉を、晴信の中で禁忌にしてしまっているように思います。




三条殿には悲しい事ですけどね。

武田信玄感想26話「進撃の景虎」

親子の再会と怒る三条殿の裏では世に有名な長尾景虎の関東遠征が。攻められるのは大得意!?の北条氏康と対決。

寄せ集めの辛さ

多少資料によって増減はあるのですが、概ね、越後を出発した景虎の軍勢は七~八千。その後関東諸将がその元に続々と集結し十万を超えたとも言われます。




しかし。




この関東諸将は今迄氏康や晴信には散々圧迫された方々。晴信が碓氷峠から南下して挟み撃ちにされるかもといった情報だけで浮足立ってしまいます。



「この長尾景虎を信じて下され!」



景虎の説得も空しく、晴信の様子をしばし伺ってからの進撃となり、その頃には丁度小田原城の工事が終わり難攻不落のこの城は落とせなかった。




関東諸将に関しては完全に「モブ(その他大勢)」扱いで、名前は出ませんでしたが、宇都宮氏、佐竹氏、小山氏、里見氏、小田氏等が加わったと言われます。




里見義弘や佐竹義昭はどちらかと言えば「有力な」武将なので、臆病風に吹かれたりするタイプではないと思います。常陸の佐竹義昭は過去、上杉憲政から関東管領就任を打診されていますし、里見義弘は一時期は北条に優勢であった事もあります。




ただ、いくら数が集まっても一緒に戦った事のない軍勢の寄せ集めでは、指揮命令には中々苦労をしたのではないかと思います。




そう考えると小田原城包囲と鶴ケ丘八幡宮での関東管領就任は、デモンストレーション位の認識で丁度良かったのかな?




さて、長尾景虎は関東管領就任に合わせて上杉政虎と名を改めます。そして、次はいよいよ。



「川中島」



以上、武田信玄(大河ドラマ)の感想第26話「氏康と景虎」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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→武田信玄(大河ドラマ)の感想第27話「川中島血戦(一)」