太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第48話「果てしなき戦い」。尊氏が直義を殺せなかったように、直義もまた尊氏を追い詰める事が出来ないのですよね。その隙に尊氏は再び人間磁石を発揮、やはり器が違う。そして、花夜叉様が久々に登場。尊氏の孤独を癒せるのはもはや花夜叉様くらいかも。太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第48話

太平記(大河ドラマ)あらすじ第48話「果てしなき戦い」

観応元年(1350)年末、尊氏と直義の対立はついに兄弟の武力衝突へと発展。




翌年1月、摂津打出浜で二人は雌雄を決すが、尊氏方は大敗を喫する。




尊氏は高師直師泰兄弟の出家を条件に和議を結ぶが、二人は都へ帰る途中上杉等の襲撃を受け敢無く討ち取られる。




尊氏は両翼を奪われむなしく都へ帰京するのであった。

→無料視聴可能な大河!2022年1月22日更新

→太平記(大河ドラマ)キャスト表

太平記あらすじ第48話上巻「薪割り将軍」

観応2年(1350年)2月28日。








直義は凱旋将軍よろしく、都へ帰還する。




僅かな警護の兵と誰の出迎えも無く帰京した尊氏とは雲泥の差である。



錦小路直義亭


3月2日。




直義は錦小路の館に尊氏を招き、戦後処理の会議を行おうとしていた。




尊氏派の諸将は一掃されており、広間は直義派で功のあった石塔頼房、細川顕氏などで固められている。




皆、勝利の余韻に浸っており、尊氏の様子を揶揄するなど盛り上がっている。




上座の一番奥、尊氏の席はまだ空いている。




直義は一人、苛立ち気に屋敷内を歩き回っていた。



「大御所はいったい何をしておるのじゃ!?」



既に、約束の刻限は過ぎている。



「まあまあ、大御所も戦に敗れればただの御方(苦笑)」

「ご舎弟殿に呼びつけれられ面喰っておるのでしょう」



「儂は大御所をどうこうするつもりは無いのじゃ」



「聞けば、将軍のお帰りを誰も出迎えず寂しいものだったとか・・・」

「朝廷からも誰も(笑)今までとは打って変わって掌返しじゃ」



皆、口々に尊氏を嘲る。



「ま、我らは負けぬで良かったの?」



大河姫

直義は少し複雑だよね。配下の者がはしゃいでいるのはなんかちょっと「違う」と感じているけど上手く言葉に出来ないという。

石塔頼房の最後の言葉に皆大いに笑うが直義だけは少々複雑な表情をしている。




そこに。



「大御所お着きにございます」



尊氏到着の知らせが届くと一同流石に静かになる。




尊氏が広間の一番奥へ着座する。



「苦しからず!皆面を上げよ!」



尊氏の様子は「敗軍の将」といった雰囲気を微塵も感じさせるものではなかった。



「将軍におかれましては御変りもなく」



「其方もの」

「処で、この場に儂の命に背き師直を殺すように唆した者がおる」

「頼房!其方追って沙汰を致すまで下がれ!」



頼房は戸惑い気味に直義の背中に助けを求めるように視線を送る。



「兄上!この場におるのは此度の乱に功のあった者!」

「許す許さぬはこの直義にお任せ下さい!」



「直義、其方何か思い違いをしてはおらぬか?」



尊氏は古来より恩賞の沙汰は「征夷大将軍」が行うことになっていると言う。そして、此度の戦で戦った相手は誰であるかと直義に問う。



「・・・(戦の相手は)高師直にございます」

「其方、師直に勝って将軍になろうとしたのか?」

「将軍になろうなどとは!!」

「では、儂が征夷大将軍であることを認めるのか?」

「そう言う事になりまする」

「皆もそうか?」



大河姫

流石、百戦錬磨会議のプロ。通った修羅場の数が違う。流石に上手い。

一同は無言で頭を下げる。



「では、話を元に戻す」

「此度の戦の賞罰は儂が沙汰する」



そして、石塔頼房を睨むと。



「頼房!儂は其方を許さぬ!疾く下がれ!!」



大河姫

頼房気まずい、あと、誰もフォローしないw

頼房は居並ぶ「直義派」の諸将に目で助けを求めるが皆下を向き黙っている。頼房は尊氏に頭を下げ、広間から出て行った。



「さて、話を元に戻す」

「第一の功は最後まで儂に付き従った四十二人の武将をあげたい」



「将軍!それは余りと言えば余りの仰せ!!」



「其方が義詮を補佐し政に復帰するのは認める」

「それを認めた上での話じゃ」



これには直義も沈黙する。



「最後に此処には来ておらぬが・・・」

「高師直を斬った上杉能憲は許さぬ」

「死罪に処すが如何に?」

「直義!其方の意見も聞こう」



大河姫

上杉能憲は死罪wwww

結局。




この日の評定は終始尊氏の独壇場となった。



「馬鹿な!佐々木道誉、仁木頼章の所領を安堵!?」

「上杉殿死罪!」



怒りに震えているのはこの日の評定には不参加であった桃井直常である。



「そ、それがしは死罪にございますか!?」



天国から地獄。




泣きそうな能憲に直義が答える。



「皆で御諫めし、死一等を減じ流罪となった」

「何処で一月ほど旅をしてくれば良い」



直常は呆れ果ている。



「我らは勝ったのですぞ?!」

「この取り決めはまるで逆さまじゃ!」



顕氏が気まずそうに言い訳をはじめる。



「いや、全てが逆さというワケでは・・・殿が政務をするのは」



「当たり前じゃ!」

「兵部大輔(顕氏)、斎藤利泰!殿のお傍で何をしていた!?」

「儂がおらねばこの様よ!」

「お前たら直ちに大御所の元へ向かいこれは白紙に戻すと申し上げてまいられ!」



尊氏亭


細川顕氏、斎藤利泰の両名が尊氏亭を訪れる。



「大御所に急ぎの御用であれば庭へ回るようにと」



侍女からそう促され二人は庭先へ向かう。




そこでは尊氏が一人薪き割りをしていた。



「おお!よう来たの!手伝ってくれぬか?(笑)」



大河姫

薪割り将軍。これを意識しないでやっているから尊氏は恐ろしい。

尊氏は戦で男衆が出払っている間に薪を切らしてしまい、それならばと自分が買って出たのだが少々疲れてしまったと笑う。



「将軍が撒き割りとは恐れがましくございます!」



大河姫

顕氏は元々は尊氏大好きだもんね。

二人は手分けして薪を割る。



「おお!中々の腕前でございますな!」

「はは!なんのこれしき!」



尊氏は二人の様子を愉快そうに眺めている。




夕刻には薪は全て割り終わっていた。顕氏も利泰もへばっている。



「今、井戸で汲んできた水じゃ。美味いぞ」



尊氏は二人に水を振舞う。




まだ、二人は薪を割っただけである。



「其方たち、桃井刑部に怒鳴られて参ったであろう?」

「あ、いや・・・」



二人は気まずそうに下を向く。




尊氏は苦笑しながら続ける。



「直義はその桃井を叱りつけることが出来ぬ」

「また、戦に負けた儂を義詮と共に追放する胆力もない」

「はてさて、困ったもよのう?」

「桃井も真に自分が正しいと思うなら儂を斬って捨てれば良いのじゃ」

「何故それが出来ぬ?」



二人は返す言葉がない。



「薪割り大儀であった、飯でも食べて行くが良い」



大河姫

ああ、古くは長崎殿、そして先帝や親房と相争っていた尊氏と直義とでは器が・・・。

顕氏は尊氏の背中を目を潤ませみつめていた。

スポンサードリンク



太平記あらすじ第48話中巻「同床異夢」

丹波・義詮亭


数日後、細川顕氏と斎藤利泰が丹波の山奥へと向かった。




戦を避け、丹波に滞在中の登子と義詮を都へ迎え入れる使者に我先にと買って出たのだ。



「父上と叔父上は本当に仲直りしたのか?」



「我らが戦ったのは高師直にございます」

「若殿のお立場は一分の揺るぎもございませぬ!」

「万が一それに異を唱える者があればこの顕氏が許しませぬ!」



登子は満足気に頷く。



「顕氏殿!ようもうされた!これからは其方が頼りぞ」

「義詮をよろしゅう頼みます」



戦に勝ったはずの直義陣営から尊氏の陣営に鞍替えする者が出始めた。




桃井直常は細川顕氏が義詮に取り入っている様子、さらに「直義派」の有力者と考えられていた斎藤利泰も、将軍と親しいという情報を直義に伝える。



「顕氏が・・・利泰もか?」

「殿の弱腰がかかる寝返り者を次々と」



その後、師直一派に対する追求が各地で行われた。








直義の追求は凄惨を極める厳しいものであった。




さらに。




直義の追求は「将軍への寝返り者」にも行われる。




直義腹心の奉行と言われた斎藤利泰が3月末、暗殺されたのである。




尊氏亭


尊氏は屋敷で登子に灸を据えてもらっている。




二人の前には義詮が座り政の不満、いや、直義への不満をぶちまけている。



「義詮は無念にございます!!」



大河姫

尊氏がまた雰囲気変わったな。器がまた大きくなった気がする。

政は事実上、義詮を「補佐」する直義に握られている。義詮は師直の一族の弾圧など「後ろ向き」の政策には反対である。




しかし、斎藤利泰の暗殺を師直の一族の仕業と決めつけ、未だに師直の縁者を殺し続けていた。



「父上と決めた若狭の一条殿の件も一方的に沙汰止みにされました!」



義詮は政を一向に仕切ることが出来ない。




尊氏は黙って目を瞑り登子のお灸を受けている。




登子が灸を続けながら義詮の気持ちを代弁する。




表向きは「直義の子」とされる直冬は鎮西探題となり、行く行くは義詮の後釜に据えようとしているという噂もあるのだ。



「義詮は未だ非力でございますが、このままでは不憫」



「熱!登子のお灸はこの頃熱くてかなわぬ(苦笑)」

「近々、勧修寺経顕の招きで直義達と猿楽舞を観る」

「其方も参れ、そこで直義に直接尋ねてみようぞ」



西方寺


勧修寺経顕の招きで尊氏方と直義方の主だった諸将が招かれ猿楽舞を鑑賞した。尊氏方からは義詮、そして佐々木道誉、直義方からは桃井直常や細川顕氏といった面々が顔を揃えた。




世間に幕府内の争いが終わったことを印象付けるためである。



「此度は目出度い限りじゃ」

「将軍と恵源殿がこうして揃って猿楽舞を観る」

「幕府が安泰なら朝廷も安泰」



勧修寺経顕は満足気な様子であるが、義詮はわざと乱暴に箸を置き不満をそうな表情を見せる。




隣の佐々木道誉がそれを見て楽しそうに皮肉を言う。



「はっはっはっは!真に目出度い限りにございますな!」

「幕府奉行斎藤利泰殿が闇討ちされても幕府はびくともせぬ!」

「聞けば桃井殿は利泰殿の代わりはいくらでもおると評定衆に話したとか?」



名指しされた桃井直常は反論する。



「誰がそのような事を?」

「利泰殿は長年恵源殿に仕えた比類なき奉行」



「ではなぜ殺したのじゃ?」



道誉の言葉に座が一気に白ける。



「いったいどこでそのような話が?」



「はて?この判官の空耳でござったかな?」



「聞き捨てならぬぞ判官!」


直常は激昂するが尊氏が道誉を嗜める。



「判官殿、今宵は権大納言殿の招き、空耳の話は御控えあれ」



これに義詮が加わって直常、そして直義を詰る。



「判官殿は一つの例え話として申されたのじゃ!」



義詮たまった不満を直義、そして直常にぶつける。



「叔父上は身内で固め義詮に政をさせぬ!」



しかし、口ではまだまだ直常が上手のようである。



「はて?我らは皆足利一門、お身内にございます」

「義詮殿が道理を尽くして話せば皆従いまする」



義詮では直常、直義が相手では分が悪いが、ここで義詮は思い切った発言をする。



「では叔父上は何故吉野の北畠と和議を結ばぬ?」



「若殿、勧修寺の御前ですぞ御控えめされ」



「ホレみよ!叔父上は朝廷の方の前では良い顔しか出来ぬのじゃ(嘲笑)」



大河姫

義詮の口先は直冬以上だと思ふ。

尊氏が乱暴に橋を膳に置く。



「義詮控えよ」

「義詮は我慢がなりませぬ!」

「では帰れ」

「・・・(泣きそう)」

「帰れ!」



義詮は半べそで席を立つ。続けて道誉も席を立った。




桃井直常は勝ち誇ったかのように大声をあげる。



「そうじゃ!皆帰れば良い!」



「刑部(桃井直常)、誰に向かってその口をきく?」

「利泰を殺したその手を洗ってきたのか?まだ血で汚れておるぞ?」

「手を洗わぬ者も帰れ!」



尊氏の言葉に、直常は不満そうに席を立つ。




座には尊氏と直義、そして顕氏と勧修寺経顕が残る。




尊氏は直常がいなくなると直義に桃井直常の危険性を説く。



「あれは己の栄達しか考えておらぬ」

「あのような者を側においては政に差し障る」



しかし、直義は桃井を信頼しているといい捨て席を立ってしまう。




気まずそうに顕氏、そして失望した様子で今宵の宴を催した勧修寺経顕も出て行った。




座には尊氏と、そして気付は猿楽師が二人控えていた。



「おお!舞を観てもしやと思っていたが・・・!」



大河姫

え?花夜叉様!

尊氏はこの日初めて心からの笑顔を見せる。




花夜叉一座である。



「これは私の息子でございます」



男は清次といって花夜叉と服部元成との間に産まれた子であった。



「身体は大きくても舞はまだまだにございます」

「厳しい母上じゃの」

「面を付けずとも鬼に見えまする」

「これ!」

「また、舞を観て欲しいと存じます」

「うむ、精進なされよ」



大河姫

面を付けずとも鬼wわろたw

清次は先に戻り、尊氏は花夜叉と昔話に花を咲かせる。

太平記あらすじ第48話下巻「尊氏と花夜叉」




やはり、尊氏と花夜叉の二人であれば、と話題は今は亡き楠木正成のことになる。




尊氏にとっては盟友であり最強の敵でもあった。そして花夜叉にとっては実の兄である。



「お主(花夜叉)が武家の家を出て舞の道に入ったのが少しわかる」



大河姫

やはり、楠木正成の思い出話になるよね。

伊賀で尊氏の機転で北条の追求を逃れた後、正成は花夜叉一座の「車引き」として旅をしていた。その時に花夜叉にそう語っていたのだ。



「世の流れにも、戦に勝った負けたも無縁」

「花夜叉殿を羨ましく思っておられた」



尊氏は正成の気持ちが良く分かる気がする。



「親子兄弟が仲良く暮らし、親が子に何かを伝えるてゆく」

「それが美しい世」



尊氏は未だに辿り着くことが出来ないと嘆く。



「それがしも花夜叉殿が羨ましい」



しかし、花夜叉は自分たち旅の猿楽一座も世の流れとは無縁ではないと話す。



「先帝の頃を思えば今は夢のようです」



大河姫

こういう話をもっと尊氏は聞いた方がよいね。サイレントマジョリティーは尊氏を推している!

幕府が開かれて十余年。




確かに各地で戦は絶えないが都周辺では大きな戦は減っている。



「清次の舞を大成させるのは御殿にございます」



大河姫

やっぱり。正成が生きていてくれたら。

尊氏は花夜叉の言葉に少し報われたような気がする。




そこに家人が急ぎ屋敷へ戻るようにと知らせに来る。




九州で戦が始まったのだ。




直冬は鎮西探題に復帰すると九州で尊氏派と目された一色範氏他、諸将を次々と討ち果たしていく。



大河姫

尊氏が不人気なんじゃないの、尊氏が人気過ぎるの。

直義派は九州から尊氏派を一層する勢いである。




さらに、都でも不穏な動きがある。




直義の右腕と目される桃井直常が襲われたのである。




犯人は義詮の手の者であり、しかも討ち損じてしまう。



大河姫

てか、いつも言ってるじゃん。闇討ちなど下、討ち損じるなど下の下。

義詮亭


早朝。




尊氏が血相を変えて義詮の館を訪れる。



「父上・・・このように朝早くから何事でございます」



「愚か者!何故動いた!桃井に戦の口実を与えるとは!」

「何故軽はずみなことをする!」

「桃井一人を闇討ちしたところでどうなる!

「そんな姑息なことで天下が動かせると思うか!?」



直常は襲われたことを幸いに兵を募り戦支度を既に始めていた。このままでは都が戦場となってしまう。




義詮は泣きそになりながら言い訳をする。



「戦をせずとも刑部は討てると思ったのです!」



「愚か者めが!其方が失脚すれば足利家は後の支えを失う!

「儂が倒れても其方が倒れてはならぬのじゃ!」

「戦をやるなら儂がやる!刑部を討つなら儂が討つ!!」



「直冬殿には負けとうございませぬ・・・(涙涙)」



尊氏は天を仰ぐ。



「のう、義詮、其方は幕府の将軍にならねばならぬ」

「戦の一つや二つ家臣に任せろ。直冬とは背負っているものが違うのだ

「其方は武家の束ねの器、その束ねが軽々しく動いてどうする?」

「のう義詮?」



「申し訳ありませぬ(号泣)」



大河姫

尊氏大変だね。。。怒鳴ったり宥めたり慰めたり褒めたり。馬鹿な子程可愛いというもの分かる気がする。

そこに道誉が血相を変えて飛び込んでくる。



「大御所!一大事じゃ!信濃で戦が始まった」

「小笠原殿が諏訪と合戦を始めた!」



将軍の党派に属する諸将が信濃で戦をはじめたのだ。




以上、太平記のあらすじ第48話「果てしなき戦い」でございます。

太平記(大河ドラマ)感想第48話「果てしなき戦い」

太平記(大河ドラマ)感想第48話「果てしなき戦い」。尊氏が直義を最後まで追い込めなかったように、直義もまた尊氏を最後まで追い込めない。結局、二人は似た者同士ということかな。そして、そんな主を師直や桃井直常は歯がゆい。




尊氏の甘さが招いた敗北、そして今度は直義の甘さが新たな寝返り者を産む。まさに「歴史は役者を代えて繰り返す」です。しかも、この短期間に。

スポンサードリンク



太平記感想第48話「会議のプロ」

何事も「最初」が肝心。




直義方はあまりに覚悟も戦略も無さ過ぎた。




尊氏が現れるまでは「敗者尊氏」があまりに惨めになっても困ると余裕もありましたが、当人が姿を現すと場の雰囲気は一変。




尊氏の迫力に皆圧倒されてしまう。




思えば、北条時代も建武新政時代も尊氏は「敵ばかり」の評定で単身奮戦していたのです。




そう考えれば一敗地に塗れたとは言え「征夷大将軍」のまま挑む今回の評定、しかも、仕切りは誰よりも長い付き合いの直義。




尊氏からすれば「楽勝」の評定であったでしょう。




とは言っても「勝利を確信」していたワケではないと思います。




もし、直義が「覚悟を決めて」征夷大将軍に就任する、尊氏を弑逆するつもりであれば、それもまた運命を受け入れる腹積もりであったと思います。




そして、その覚悟を冒頭にぶん投げる。



「其方、師直に勝って将軍になろうとしたのか?」


「将軍になろうなどとは!!」


「では、儂が征夷大将軍であることを認めるのか?」


「そう言う事になりまする」


「皆もそうか?」


これで、この「評定という戦場」の勝者は確定しました。




あとは尊氏の独壇場。




石塔頼房や上杉能憲の二人を罰することまで認めさせる。




その様子を見ている細川顕氏や斎藤利泰は何を思うか?




直義について行ってホントに大丈夫?




親分の仕事は子分が成果を出したらを評価して引き上げてやり、子分が失敗したらそのケツを拭いてやり、再起の機会を与えること。




それが出来ない親分に存在価値は無い。




師直を最後まで守ろうとした、亡くなった後も殺害を許さぬ尊氏との器の違い。




ダメを押すのが尊氏伝家の宝刀共感力。



「其方たち、桃井刑部に怒鳴られて参ったであろう?」


直義にどやさせるならまだ分かる。




しかし、なんで桃井直常にどやされなければならない?




桃井如きの風下に立つのか?




桃井直常は「会議の才能」はありそうですが・・・仲間を増やす才能はからっきしダメなようです。

太平記感想第48話「花夜叉と語る」

尊氏は戦、政治、政局、人間的魅力、そして世の中を俯瞰する力、あらゆる分野で卓越した才を持っております。




ただ、性格は支配者に向いているワケではないのですよね。



「天下を治めるは肩がこります」
「この足利尊氏、こうしているだけで肩がこります」
「今は、何かと強いこと申しますが、性に合いませぬ」



後に、征夷大将軍にまで登り、天下を治めることになりますが、それは全て民が安心して暮らすことが出来る「美しい国」を創る、天下静謐を為すため。




自分の我欲からではないのです。




尊氏と同じように圧倒的な才覚と天下静謐への想いを持ちながら、その才覚を「戦場」に限定した御仁がおりました。








親房は尊氏を




「共に天下を語る相手」
(注:敵として)



と評しましたが尊氏からすれば親房では少々役不足なのではないかな。




やはり、尊氏にとって共に天下を語る相手はただ一人、




楠木正成



その人なのだと思います。




その妹である花夜叉の言葉は尊氏に大きな気付きを与えたように見えましたね。



「先帝の頃を思えば今は夢のようです」
「清次の舞を大成させるのは御殿にございます」


尊氏がしてきたことは決して無駄ではないのです。




この辺りはとっても普遍的。




今も昔も権力者の元に届く多くの声は「敵対勢力からの批判」と「身内の追従」でマジョリティーの声は中々届かない。




そして、本当のファン(支持者)からの見返りを求めない応援や承認ほど力を与えるものはないのです。




もし、応援している「何者か」があるのであれば、是非声をかけてあげて欲しいと思います。




応援出来ると時に応援しないと後悔が残るのです。




いつまでも



いると思うな



推しと親

太平記感想第48話「馬鹿な子ほど」

先走ってまんまと桃井直常の挑発に乗った義詮クン。




尊氏は義詮の愚かな行動を激詰めしますが義詮の言い訳、、、にもなってない言い分が可愛い。



「直冬殿には負けとうございませぬ・・・(涙涙)」


義詮は気にしていたんですね。




ただ、この様子を見るとこの尊氏義詮の親子関係は非常に良好ですな。




普通、恥ずかしくてそんな事言えないw。それだけ尊氏パパを尊敬し甘えているという事です。




尊氏も流石。




こりゃ、激詰めしちゃうと再起不能になりかねないと思ったのでしょうね。




噛んで含んで承認して優しく優しく諭す・・・。




・・・馬鹿な子ほど可愛いのかも。




で、ちょっとこの様子を見て思い出した事が・・・。



「儂が失言しても其方が失言してはならぬのじゃ!」

「失言するなら儂がする!!記者会見も儂がやる!」

「其方は日本の束ねの器ぞ・・・?」



良い年して親父に心配かけるなと思ったんですけど、、、、意外といくつになっても、



「しょうがねぇなぁ・・・」



と、寧ろ親孝行なのかも。




以上、太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第48話「果てしなき戦い」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

→無料視聴可能な大河!2022年1月22日更新

→太平記(大河ドラマ)最終回のあらすじと感想「尊氏の死」

→太平記(大河ドラマ)キャスト表