鎌倉殿の13人あらすじと感想第36話「武士の鏡」。重忠はただ、己の誇りを守りたかっただけ。義時との一騎打ちの場面は圧巻だった。そう。己の誇りを守りたかっただけだから止めは刺さなかったのだよね。そして、鎌倉権力闘争は新たな段階へ。歴史は役者を代えて繰り返す?鎌倉殿の13人第36話

鎌倉殿の13人あらすじ第36話「武士の鏡」

頼朝死後の熾烈な権力争い。
それを制した北条が
全てを手にしたかに見えた。
しかし、
その力に屈しない男がいる。

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鎌倉殿の13人あらすじ第36話上巻「開戦前夜」

時政の館


「鎌倉殿から畠山追討の命が下った」


時政は鎌倉の主だった御家人、三浦義村、義胤兄弟、和田義盛を呼び出す。婿の稲毛重成も一緒である。


「畠山はお前らの爺様の仇」

「やっと仇が討てるな」


三浦義村はあっさりとその命に従うが、かつては畠山憎しの急先鋒であった義盛は戸惑う。


「これまでずっと一緒だと情も移る」

「あいつは優男で頭も切れる」

「畠山は俺と同じ匂いがする」


しかし、義村はそれを遮り、具体的な作戦計画に話を進める。まずはまだ鎌倉にいる息子の重保を捕えて人質にするというのだ。義村以外は「畠山討伐」に積極的に賛成というワケではないようだ。



義村の弟義胤は、


「義時殿に伝えなくて良いのか?」


と問うが、


「ここで執権殿に反対すればこっちが危ない」

「報せても板ばさみになるだけ」


と、そっけない。


義時の館


義時は五郎から畠山討伐の件を知らされ衝撃を受ける。そこに、間が悪く太郎がのえの件で話があるとやってくるが、それどころではないと追い返される。



帰り際、義時後妻ののえをすれ違うと。


「う・・・」


腹を抱えて若干餌付いていた。



その頃、武蔵では。


「ご無事を・・・」


畠山重忠の妻ちえ(時政の三女)が夫を見送っている。



ここ数日のただならぬ気配を妻のちえも当然感じている。不安気なちえの頬をそっと撫で一言、


「行ってまいる」


と告げ、重忠は出発する。


鎌倉御所


実朝は「畠山討伐」の命令を自身がしてしまった事を義時と五郎から知らされ衝撃を受けていた。


「下文を取り下げることは」


今回の畠山討伐は実朝の本意ではない。半ば、時政の騙し討ちのようなものだ。



しかし、義時は首を横に振る。



鎌倉殿の下文が安易に取り消されるようでは、その威信に関わるのだ。


「重忠には幼い頃から可愛がってもらった」

「殺してはならぬ」


義時も勿論、そのつもりである。既に、重忠をなんとか救い出そうと思案を巡らせていた。

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鎌倉殿の13人あらすじ第36話中巻「開戦」

時政の館


時政、義時、五郎、それに和田三浦といった御家人達が集まり対畠山対策が行われていたが、鎌倉方はいきなり躓いていた。


「やらなければやられていた」


重忠の息子重保を捕え人質にするという策は上手くいかなかった。重保を上手くおびき出す事には成功したが、大人しく捕まれば命までは取らないという追手の義盛達の言葉には一切耳を貸さず討たれたのだ。



重保は坂東武者らしい見事な最期を遂げる。



同席していたりくは畠山討伐を強硬に主張するが、これに五郎が意義を唱える。


「政範の死を畠山殿に押し付けるのはおかしい」

「私が憎いのですか?」


りくと五郎の応酬に皆下を向く。



そこに、畠山勢が動き出し鶴ヶ峰に陣を張ったとの報せを太郎が持ってくる。畠山勢はかなり数は少ないが、霧ヶ峰は高台で敵を迎えるには最適な場所である。これは戦う覚悟を決めたということである。


「ならば望み通り滅ぼせば!」


りくはそう主張するが、


「それ以上口を挟むな!!!」


時政が珍しく怒鳴りつけていた。


「腹を括った兵がどれほど強いかお前はしらんのだ」


義時が前に進み出る。


「私を大将にして頂きたい」


義時は畠山討伐の大将となる。



その理由を帰りの廊下で義村が代わりに皆に話す。


「コイツがなんの為に大将になったと思っている」


義時は自身が大将として出向き、なんとしても戦にしないようにすると決めていた。


「五郎、お前は鎌倉で父上を見張れ」


尼御所


義時は姉政子に出陣の挨拶をする。


「畠山殿は本当に謀反を企んでいたのですか?」

「父上が言っているだけです」


義時はやや疲れが見える。


「だったら!」

「執権殿が命じた以上従わないワケには参りません」


さらに。


「姉上、覚悟を決めて頂く事になるやもしれません」


政子には義時の言う言葉の意味が一瞬呑み込めない。


「!・・・何を、何をするつもりなの?!」

「今までと同じことをするだけです」


大河姫

義時の覚悟が決まった。

義時本陣


畠山勢は小勢だが丘の上の本陣を置いていた。鎌倉方の動きはまる見えである。



ここで、義村の実弟義胤が意見を言う。


「大軍勢で囲めば逃げ場がない!」

「お前は黙っていろ!」


兄義村が空気を読まない義胤の言葉を厳しく遮る。畠山は既に「逃げる」気などないのだ。


「まずは、戦にならぬように畠山を説得する」


その役割りに和田義盛が名乗りを上げる。


「あるな。この手の男の言葉は意外と響く」


義村もそれに賛成する。


「説得して難しかったら腕相撲で勝負する!」


義盛は力強く宣言するが、この義盛の腹案には皆戸惑いの表情だ。


尼御所


尼御所では戦には出なかった足立遠元が政子を訪ねていた。



武蔵は畠山と足立遠元の所領でもある。



遠元は政子に、


「執権殿(時政)が恐ろしいと嘆く」


政子は畠山はともかく、足立は大丈夫だと請け合うが、それはそれで遠元も淋しいようだ。


「所領に帰ってゆっくりしたら?」

「私も同じことを考えていました」

「淋しくさせてしまいますが」

「淋しくなんかないわ(微笑)」

「それはそれで・・・(困り顔)」


政子の冗談である。二人は笑い合う。



足立遠元はひっそりと表舞台を去る。



鶴ヶ峰



畠山の本陣を和田義盛が訪れていた。


「如何ですか和田殿」


重忠は水袋を差し出す。黙って飲む義盛。


「水か」

「酒が良かったですか?戦の前なので」

「水で良い(笑)!」


飲み終えると水袋を返す。



義盛は重忠が意地になっていると考えていた。畠山勢は百騎あまり。優に千を超える討伐軍相手では結果は見えている。


「息子も殺され私も小四郎殿の言葉を信じてこのざまだ」


自嘲気味にそう言うと立上り丘の下彼方の討伐軍へ向かって叫ぶ。


「戦など誰がしたいと思うか!」





「ここで退けば畠山は北条に屈した臆病者と誹られる」

「戦う事で畠山の名を残す事にした」


義盛は何かを言いかけるが・・・


「腕相撲はせぬ」

「あとは戦場で決着をつけよう」


重忠の覚悟を見た義盛は寧ろ嬉しそうである。


「天晴!!」


「手加減無しで」


「武士なら当然よ!」


二人は笑顔で別れる。






説得は難しい。



義時は覚悟を決める。


「これより、謀反人畠山次郎重忠討取る」

「俺に作戦がある!」


鎌倉方は和田義盛の案を容れ、和田を除く全軍で突入し、脇から和田勢が奇襲をかける算段とすることになる。


「父上は怖くないのですか?」


出陣間際、泰然とした父義時の姿に太郎が尋ねる。


「敵は畠山重忠だぞ、怖くないワケないだろ」

「あ、小便ちびった」


「すぐに着替えて」


「冗談だ!」


ほどなく戦が始まる。


「和田殿はなんとかの一つ覚えで必ず横を突いてくる」


畠山重忠は和田の奇襲を読んでいた。



あっさりと、奇襲をかわし、真っすぐ太郎の軍へ向かう。



気付いた義時も単身重忠の元へ向かい、一騎打ちとなる。



最後。



重忠は義時に止めを刺させる位置にいたが、刺さなかった。



義時は仰向けに倒れながら涙を流す。

鎌倉殿の13人あらすじ第36話下巻「後始末」

鎌倉御所


重忠は愛甲三郎季隆に討取られた。


「ご苦労であった」


暫く後に義時は重忠の首を携え時政の元へ来る。


「次郎は逃げなかった」

「逃げる謂れが無かったから」

「武蔵に戻り戦支度をする事もなかった」

「戦う理由が無かったから」


義時の咎めるような言葉に時政は表情を歪める。


「もういい!!」


「次郎がしたのは、ただ、己の誇りを守る事のみ」


首を持って時政の前に進む。


「検めて頂きたい、貴方の目で」

「執権を続けていくなら貴方は見るべきだ!」

「父上!!」


畠山は滅んだが、時政のやり方に御家人衆には不満が渦巻き始めていた。義時は大江広元、そして八田知家と相談する。



知家は「執権殿は無理が過ぎた」と喝破する。



義時は広元に今後どうすれば良いか尋ねる。


「畠山殿を憎む気持ちを他の者へ」

「誰かに罪を押し付けるというのですか」

「稲毛重成に」


御家人の間に噂が広まる。


「畠山討伐を執権に唆したのは稲毛重成」


畠山に同情的だった御家人達は稲毛重成を糾弾するようになる。



義時は時政に稲毛重成を捕える事を勧める。時政はうろたえ当初は抵抗するが、


「我々は構いませんが・・・矢面に立つのは執権殿」


義時に言いくるめられ、稲毛重成を捕える事を認める。また、その始末は三浦義村に命じる。


「儂に隠れてコソコソ動いた落とし前」


稲毛重成は「執権殿を呼んでくれ」と叫び続けたが、時政は姿を現わさないまま重成は義村に処断される。



これには義時にいつも付き従う五郎も不満を覚えていた。


「いったい何故重成を?」

「それが狙いだ」


これで、益々時政から御家人の気持ちは離れる。そこまでしなければ物事は動かない。



義時の動きはこれに留まらない。


尼御所


「恩賞の沙汰を尼御所に」


義時と大江広元の二人は恩賞の沙汰を政子に頼むというのだ。政子は政に関わっては返って混乱すると辞退するが、


「鎌倉の政は既に混乱の極み」


と、義時は言い放ち、政子もこれも受け容れる。話が終わり二人が帰ろうすると、義時を呼び止める。


「重成殿が亡くなったと聞きました」

「何故止めなかったのですか?」


「私がそうなるようにお勧めしたのです」

「父上に政から退いて頂く始めの一歩」


「恐ろしい人になりましたね」


「全て頼朝様から教えて頂きました」


「執権には貴方が?」

「そうなれば、私が父を追い出したと思われます」



政子は察する。


「私がやるしかなさそうですね」


義時はさらに、御家人への恩賞の沙汰も執権時政ではない、政子に主導させる。



時政は畠山討伐の件、稲毛重成を見捨て、さらには恩賞の沙汰も行わなかった事で益々御家人からの支持を失う。



全て、義時の描いた筋書である。


「やりおったな・・・」

「執権殿には暫く大人しくして頂きます」


以上、鎌倉殿の13人あらすじ第36話「武士の鏡」でございます。

鎌倉殿の13人感想第36話「武士の鏡」

鎌倉殿の13人感想第36話「武士の鏡」。武士の鏡、畠山重忠逝く。命を惜しむな名を惜しめ。



武士の鏡に相応しい最期でございました・・・(涙)

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鎌倉殿の13人の感想第36話「逃げるが勝ち」

しかし、まずは今週唯一の癒しポイント。





もはや空気と化していた鎌倉殿の13人の一角、足立遠元。


「私は執権殿が恐ろしい!」


政子にその不安をぶつける場面。



政子は直観的にこの
毒にも薬にもならない男、足立遠元の存在は時政の目には入っていないであろうと分かっていた。


「貴方は大丈夫(笑)」

「いや、それはそれで・・・」


遠元自身も時政の目に留まってないことは分かっていたと思う。ただ、
この先を考えると不安でしょうがなかったのでしょう。そして、その気持ちを誰かに分かって欲しかった。


「所領に返ってゆっくりしたら?」

「私もそう思っておりました」

「淋しくさせてしまいますが・・・」

「淋しくなんかないわ(微笑)」

「それはそれで・・・(困り顔)」



政子の優しい笑顔がとても印象的。義時と喋っている時は眉間に皺か目をカッと見開いていたから。



鎌倉に残っているのはある意味化け物ばかり。勿論、それは政子自身も含めて。


→軍師官兵衛33話「傷だらけの魂」


政子にとって足立遠元との対話は殺伐とした鎌倉にあって数少ない普通の感覚を持つ御家人との会話で愛おしい時間であった事でしょう。

鎌倉殿の13人の感想第36話「命を惜しむな名を惜しめ」

私、攻殻機動隊が大好きで、特に神山健治監督のSACシリーズは100回位見ております。


未成熟な人間の特徴は、理想のために高貴な死を選ぼうとする点にある。これに反して成熟した人間の特徴は、理想のために卑小な生を選ぼうとする点にある



ドイツの精神分析学者ウィルヘルム シュテーケルの言葉であります。



私も生きてこそといつも思っておりました。



しかし、今回天晴な畠山殿のお姿を拝見して宗旨替え致します。



命を惜しむな
名を惜しめ



やっぱりね、人が生きる上で最も大事なのは
誇りである。
決めた。今決めた。



この戦い、重忠は負けたのか?


否!断じて否!


この戦に畠山重忠は勝利している。


「戦う事で畠山の名を残す事にした」


800年の時を超えて、重忠の雄姿を皆覚えているのだから。これはもう、畠山重忠の勝利に他ならないのです。



卑小な生などクソ喰らえ。



今日から私も戦う事に致します。
エレンも戦えって言ってたし!!

鎌倉殿の13人の感想第36話「畠山重忠と和田義盛」

この二人は因縁深い。



重忠は源平合戦時に和田、三浦の爺様こと三浦義明を討取っているし、和田義盛とは直接戦ってもいる。



重忠が頼朝に付いて以降もその恨みを忘れていなかった。



しかし、長い時を得て
二人は同じ坂東武者であることを理解したんです。



こんな事もあったしね。





「あいつは優男で頭も切れる」

「畠山は俺と同じ匂いがする」


和田義盛は優男ではない頭は・・・



けど、そんな事は些末な事なのです。



優男や頭のキレは重忠の構成要素の一つですが、それは些末なこと。



畠山重忠と和田義盛。



二人ともその本質は不器用なまでに坂東武者であります。この二人はとても良く似ている。良く似ているから・・・同じような運命を辿ってしまうのでしょうね。

鎌倉殿の13人の感想第36話「頼朝の後継者」

以前にも書きましたが、頼朝の薫陶を最も近くで受けてきたのは義時と政子の二人。



そして、大江広元。



頼朝思考が出来るのはこの三人だけなんですね。



三人の共通認識は鎌倉体制を如何に守るか。



その為には例え血を分けた親子、頼朝の子でさえも容赦なく利用し捨てる。



ただ、これまで残酷な決断を散々してきてはいたものの、北条一門は一応一蓮托生的な感じでやってきたと思います。



しかし、この日を持ってそれも終わりを告げます。


「父上に政から退いて頂く始めの一歩」


義時は


「今の自分があるのは父上のおかげ」


笑っていましたが、目が笑っていない。かつて、一幡(頼家の子、政子の孫)は助けてあげて欲しいと政子が頼んだ時の反応と良く似ている気がしました。



義時は状況によっては時政を殺すつもりでいると思う。



そして政子はかつて頼朝とそうであったように、頼朝の真の覚悟を見誤る事もしばしば。頼朝時代からの政子の良い所でもありまた、弱点でもある甘さ。



頼朝から政子と大江広元を引継ぎ存分に振るう時に頼朝の真の後継者は義時になるのです。多分。



以上、鎌倉殿の13人あらすじと感想第36話「武士の鏡」でございます。
大河姫

今宵は此処までに致します。

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