鎌倉殿の13人あらすじと感想第33話「修善寺」。善児、逝く。修善寺はかつて蒲殿、そしてトウの両親が殺された因縁の場所でしたね。その因縁の場所で頼家もまた最期を迎えました。血で血を洗う鎌倉の影の主は義時。しかし、義時にその役割りは向いてはいない。鎌倉殿の13人第33話

鎌倉殿の13人あらすじ第33話「修善寺」

源実朝が
三代鎌倉殿となった。
あまりに歪な代替わり。
源氏の棟梁を巡る
駆け引きが、
再び始まろうとしている。


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鎌倉殿の13人あらすじ第33話上巻「鎌倉殿二人」

鎌倉御所


建仁3年(1203年)10月9日



源実朝が第三代鎌倉殿となる。



一方、「前鎌倉殿」頼家は顕在ではあるものの、鎌倉を追放され伊豆修善寺に事実上幽閉されていた。





実朝はまだ幼い。



自然、鎌倉の中心は「執権別当」となった北条時政であることは衆目の一致するところであった。



御家人筆頭に躍り出た北条時政、義時父子。そして、頼朝の時代から鎌倉を支えてきた京出身の大江広元、二階堂行政、三善康信といった宿老が政の中心となる。



この日、早速この宿老達の間に微妙な空気が流れる。


「武蔵国の事だが・・・」


武蔵は元々比企が治めていた。比企が滅んだ今新たな支配者が必要なのは分かるのだが、時政は「自分が武蔵守」となるのがよかろうと言い出したのだ。



義時以外の宿老達は皆義時の表情を伺う。



義時は。



何も言わず父時政をジッと見つめていた。


義時の館


「お前ら評判悪いぞ」

「親父殿にも言っておけ」


義時の館では義時と五郎(時房)兄弟、そして三浦義村が酒を飲んでいた。義村は比企が滅んでからの北条のやり方に皆反発していると忠告していた。


「最近誰かとすれ違ったか?」


五郎はそう問われてハッとする。


「誰ともすれ違っていない!」

「そうだ、みんなお前らを避けている」


義村の見立てでは、時政が調子に乗っているのはその妻のりくの影響もあるのだろうとも付け加える。



義時は義村と五郎のやり取りを聞いていたが、勿論、分かっている。父時政は少々調子に乗り過ぎているとは感じていた。


時政の館





我が世の春を時政よりも堪能しているのはその妻りくであろう。


「りく、お前の言う通りにしたぞ!」

「武蔵守の件は皆、目を丸くしていたぞ(笑)」


「流石は執権別当!これで北条の世」

「ゆくゆくは政範が」


「おいおい!もう少し儂にもやらせてくれ(苦笑)」


武蔵守の件をねじ込んだのはりくの発案であったのだ。りくは着々と自身の野望の布石を打っていた。



娘婿の平賀朝雅を京へ送り込んだのも、いずれ実朝に都から嫁を迎える下見の為である。出来れば後鳥羽院と近い者が良いのだが・・・。


後鳥羽院
御所


京都守護として上洛した朝雅は早速鳥羽院に謁見していた。



院の御所は日の本全国から献上された名物で溢れかえっていた。


「これは素晴らしい!こちらの地味なのは・・・?」


数々の煌びやかな名物と比較すると明らかに地味な小さな家と山の模型が悪目立ちをしている。



院は苦笑する。


「それは鎌倉からじゃ」

「いや、なんと・・・(苦笑)」


朝雅もまたさして悪びれもせず笑うのであった。



勿論、本日の謁見の目的は院のご機嫌伺いではない。実朝にしかるべき家から嫁を迎える地ならしこそ真の目的である。



鳥羽院は「誰の」望みかと朝雅に問う。言うまでもなく、幼い実朝が自分でそのようなことを望むワケがない。



今度は朝雅もやや気まずそうである。


「舅の時政殿が・・・」


ただ、鳥羽院は源氏は「我が支柱」あると言うと、坊門信清の娘が良いであろうと請け合う。坊門信清は後鳥羽院に外叔父にあたる。



朝雅は大いに喜び御所を後にする。



朝雅と入れ違いに源仲章が現れる。


「実朝を鎌倉の者に任せてはおけぬ」


このまま一御家人に過ぎない北条に実朝を囲われてはならない。源仲章は実朝の養育係として鎌倉へ下ることになる。


修善寺


「要求が通るとは思っておらぬ」


頼家は先般、鎌倉へ様々な要求を出していた。



曰く、暇だから近習を寄越せ、安達景盛(妻を奪い損ねた)を寄越せと無理難題を求めたのだ。



鎌倉は要求を突っぱねると決めたが、その使者に三浦義村が選ばれ修善寺を訪れていた。


「儂を忘れぬように言ったまでだ」

「儂はこのまま終わるつもりはない」

「父頼朝は石橋山で敗れ一月で勢力を盛り返した」

「いずれ必ず鎌倉を火の海にして北条を討取る」


義村は聞き終えると、


「では、そのうように伝えます」

「これから猿楽三昧も飽きる事でしょう」

「おやりになればよろしいかと」


と応じ、役目は終わったとさっさと帰ろうとする。


「力を貸してくれぬか?」

「お断り致します」


鎌倉御所


義村は鎌倉へ戻ると時政他宿老達に頼家の様子を報告する。



頼家の気勢はともかくとして、現実的には人が集まらず兵を挙げるのは難しいだろうという結論に達する。



が。



「言い難いなら俺が言ってやろうか?」

「鎌倉殿は二人もいらない」


八田知家の言葉は誰もが頭に描いていたことである。


「今は、様子を見ましょう・・・(苦しい)」

「何かあればその時に・・・」


義時は絞り出すように「先送り」とするが、何かあれば頼家の命を奪うことも辞さないという認識を共有する。

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鎌倉殿の13人あらすじ第33話中巻「母と乳母」

尼御所


政子は三善康信を呼び出していた。



実朝には和歌を嗜んで欲しい、そしてその指南を三善康信に任せたいと伝える。


「鎌倉殿など早く誰かに譲ってしまえば良い」


政子は頼家の件を気に病んでいた。実朝は幼い頃から自然に親しみ和歌の才があるだろうと見込んでいた。



そこに実衣がやってくる。


「あら、丁度良かった、今三善殿に・・・」

「聞いておりました」

「そう、なら・・・」

「余計な事はしないで」


実衣は実朝を育てたのは自分だという自負があった。そして、自身の手で実朝を立派な鎌倉殿、武士の手本となるようにへ育て上げるというのだ。



政子は実衣の言葉に戸惑う。


鎌倉御所


後鳥羽院の意向を帯びた源仲章が鎌倉へ下向してくる。





挨拶早々、その見識を実朝、そして御家人に達に披露すると実朝の教育係となる。



実朝は政子の想いもあり、三善康信が和歌の手ほどきをしていたが、程なく、その役割りも実衣の指金で仲章が行うようになる。





修善寺


政子は頼家を見舞いに修善寺を訪れていた。



しかし、頼家は政子と会うつもりはないと面会を拒絶している。



政子は頼家の心中も理解している。





頼家の好物を届けに来ただけと、笑いしつこく食い下がることはしなかった。



政子の修善寺詣でには畠山重忠も帯同していた。重忠は頼家と会う事が出来ていた。


「なんとか尼御所にお会いになってはくれませんか」


重忠は政子の心中を想い頭を下げるが頼家にはその気はなかった。
さらに。


「次郎(重忠)の本領は武蔵であったな?」

「・・・それが何か?」

「時政が武蔵守を狙っている(笑)」

「どこからそれを?」

「それは言えぬ」





頼家はもし重忠が「頼家派」に付くのであれば教えてやっても良いと笑う。


鎌倉御所


重忠は鎌倉へ戻ると頼家の様子を報告する。



時政の武蔵守就任の打診は宿老達だけで決めて事である。それを頼家が知っているということは後鳥羽院と繋がっている可能性があるということだ。


「よもやと思いましたが・・・」

「義父上、武蔵守の件ですが・・・」


「次郎殿、その儀は・・・」


武蔵の件は義時も知ってはいたが、今はまずい。


「な、なーに、何も武蔵を独り占めするって事ではない(笑)」

「・・・そうでしたか、それでは・・・」


重忠は引き下がるが明らかに時政への不信感が見えている。



そこにさらに悪い報せを八田知家が持ってくる。


「猿楽舞を一人捕えた」


そう言ってその者から奪った扇を放り投げる。



その扇は北条追討の院宣を求める頼家からの文であったのだ。



時政が討取るかと発言するが、他の宿老達は皆義時を見つめる。


「頼家様を、討取る(断腸の想い)」


義時の館





「父上は間違っている!!」


太郎は激昂する。



太郎と五郎に事情を説明したが、太郎は全く納得がいかない。


「上皇様が院宣を出すとは限らない!」

「源氏でもない一御家人が武士の頂に立つことを上皇様は認めない」

「私は頼家様に死んで欲しくないのです!」

「私も同じ想いだ!」


議論は平行線となり、太郎は出て行く。


「止めなくて良かったのですか?」

「あれは必ず頼家様の元へ・・・」

「・・・まさか、逃げて欲しいのですか!?」





「あれは、かつての自分なのだ」

鎌倉殿の13人あらすじ第33話下巻「繰り返す」

暗殺と言えば善児である。



義時は五郎を伴い善児と弟子のトウが暮らすあばら家へ向かう。


「お師匠様は留守です」


善児は留守であった。



二人は暫く待つことにする。五郎は義時の複雑な心中、心ならずも頼家殺害を決心した、を察する。


「太郎は兄上にとって希望なのですね」

「私は、私は兄上にとってなんでしょう?」


「すまん、考えたコトなかった」


「私は太郎とは真逆でありたい」

「太郎には出来ないことは私が全て・・・」

「・・・聞いてないですね」


義時は心ここに非ずという感じでで小さな石を凝視していた。





「これは・・・そういう事か・・・!」

「これが何か?」

「これは兄上がいつも腰から下げていた」

「三郎兄上の?それが何故?」


五郎は言いかけて気付く。



三郎を討取ったのは善児なのだ。


「兄上、善児は私が・・・(討取ります)」


「待て!あれは必要な男だ」

「それに、今の儂が善児を責められようか」


表に出ると善児が戻っていた。


「善児、仕事だ」

「へい」


義時はやり切れない想いを抱え、珍しく和田義盛の元を訪ねていた。


「珍しいね!嬉しいけど!」

「今日は難しい事は考えずに飲みたかった」

「・・・難しい事は苦手、難しいからね!」


和田義盛の家には先客がいた。


「何年ぶりか?」

「15年にございます」

「お前、悪い顔になったな」


運慶である。





運慶は、義時の顔が悪くなったと言うが、


「希望はある」


とも語る。


「迷いこそが希望」

「いつか、お前の為に仏を掘ってやりたいな」


修善寺


「お逃げ下さい!」

「儂は逃げも隠れもせぬ」


太郎は修善寺の頼家の元にいた。



その身に危機が迫っていると報せに来たのだが、頼家は「覚悟」が決まっている様子である。





頼家は都から後鳥羽院もお気に入り猿楽師が舞を披露するので観てゆくがよいと言う。



夕刻。



猿楽舞が始まる。



太郎は猿楽師の一人が善児であることを見抜き取り押さえようとする。


「あんたは殺すなと言われている」


太郎は善児の相手にはならない。



頼家は奥の間へと脱出し刀を手に取ると抜刀し善児を迎え撃つ。頼家の刃が善児を捕え手傷を与えるが殆ど意に介さない。



しかし。







頼家の部屋にあった一幡の文字を見て善児は一瞬動揺する。



頼家の刃が今度は深々と善児を捕える。相打ちかと思いきやトウが頼家に止めを刺す。


「し、しくじった・・・」


善児の傷も深い。



トウはその善児に止めを刺す。


「この時を待っていた」

「父の仇・・・」

「母の、仇・・・!」

鎌倉殿の13人感想第33話「修善寺」

鎌倉殿の13人感想第33話「修善寺」。義時は断腸の想いで頼家を始末。



いっそ割り切る事が出来ればどれ程気持ちが楽になるか。運慶は迷いを「希望」と言いましたが、その代償は重いよね。



また、頼家殺害の過程でアサシン善児も命を落とす。一幡に情が移った「お師匠様」をトウはどのような気持ちで見ていたか。

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鎌倉殿の13人の感想第33話「実衣、闇落ち?」

実衣には迷いがなくなりましたね。



全成の言葉を思い出して欲しい。


「誰も恨んではいけないよ」


別に、実衣は誰かを恨んでいるワケではない。



ただ、もう、奪われる者でいるつもりはないという覚悟なんだと思う。弱ければ奪われるのであれば、自分が一番上の立場に立てば良い。そして、幸いにしてその機会が訪れたのだ。



誰かを恨んでいるワケではない。



もし、そうなら我が子殺害に一枚かんでいた源仲章に実朝の教育係を任せるワケがないではないか?



しかし、全成が言いたかったのはそう言う事ではないと思うのです。



憎しみに囚われずに自分自身の人生を生きて欲しい
という事を伝えたかったのだと思います。実衣よ。貴方はいったい何処へ向かって走っているのですか?



運慶は実衣を見知っていれば義時と同じく「悪い顔」になったと評した事でしょう。もっとも、実衣の為に仏を掘りたいとは言わなかったのではないかと思います。

鎌倉殿の13人の感想第33話「悪い顔」

15年ぶり。



そうか、15年も経っていたんですね。



一瞬で「15年」と答えられたのは「仏の眼差し」に八重を感じた記憶が鮮烈だったから。八重が亡くなって15年か。



運慶はすっかり雰囲気の変わった義時を「悪い顔」と評しました。義時にもその自覚は多分にあるでしょう。



しかし、まだ救いはあった。





ふと、かつて北条氏康が「喜んで塩を止める訳ではない」と息子氏政に語った塩止めを思い出しました。


※関連記事:→武田信玄35話「盟約崩壊」


先週までの義時には若干無理をしている感はあったものの、あまり迷いは無かったように見えたのです。別の言い方をすると覚悟が決まっている感じです。



もはや迷うのは偽善と自身に言い聞かせ、感情を封印したような感じ。



でも、迷いが救いなんですよ。迷うことは偽善ではない。



因みに、頼朝は迷わないと思う。迷わず殺し、その後思いっきり泣く。因みに、この涙は後悔ではないのが凄い。二つの相反する感情がいとも簡単に同居できる。悔しいけど頼朝のは尋常ではないのです。だからサイコパスなんだけど。



義時はその域にはいない。



出来れば殺したくないし、
殺さなくても良い理由をいつも探しているの。



それが希望



だから、いつも苦しい。



自分を正当化してしまえば「楽」になれるのだけど、それが出来ないからずっと苦しい人生を送るのだな。

鎌倉殿の13人の感想第33話「始まりの寺、終わりの寺」




善児は致命傷を負っているように見えましたが、介錯をしたのはトウ。



7年前(建久8年(1197年))に善児は範頼を暗殺しているのですが、それを目撃した夫婦も殺し、その娘であるトウだけが助けられた。



以来、トウは「父と母の仇」である善児からその暗殺術を徹底的に仕込まれる事に。今となっては善児自身もその腕前を大いに認めている様子が伺えました。


「この時を待っていた」


トウはダイ大のヒュンケルよろしく、いつか仇を討つために刃を研いでいたと言って善児を殺害しました。その言葉は「真の想い」であるとは思うのですが全てではないと思うのですよね。



既に、両親と過ごしたよりも長い期間善児と暮らしているのです。始めこそ全身全霊で「仇」と思って暮らしていたとは思いますが、その割合は年数を重ねるほど薄まっていったのではないかと思うのです。



「師匠と弟子の疑似家族」的は関係性が育っていったと言うか。



その関係が大きく変わったのはやはり一幡の存在ではなかったかと思います。



義時も善児が一幡に入れ込み情が移っている様子に驚いていたようですが、トウはそれ以上に
衝撃ではなかったかと。



7年も共に暮らした自分には一切見せた事のないを僅か数日暮らした一幡には見せる。


「許せない」


そう言えば、前回、一幡を手にかける事が出来ない善児に代わり、一幡を殺害したのはトウでしたがその様子は冷ややかでしたね。



そして、今回の修善寺。



善児がしくじったのはこれまた皮肉にも「一幡」の文字を見て動揺したからですが、流石にトウはそこまでは気付いていない・・・いや、いたかもしれませんね。



致命傷に近いような手傷を負った善児を見た時に色々と思い出したはず。



始まりの寺、修善寺



「帰ってきたんだ」
byアルミン



ならば、終わらせるのも修善寺が相応しい。


「父の仇」

「母の仇」


さて、その言葉も偽りではないと思いますが、善児への介錯、そして憐れみもあったように感じました。



以上、鎌倉殿の13人あらすじと感想第33話「修善寺」でございます。
大河姫

今宵は此処までに致します。

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