翔ぶが如くのあらすじと感想第43話「それぞれの薩摩」。佐賀の乱の苛烈な処分にも関わらず、士族の不満が収まる気配はなく西郷の存在感は益々高まる。大久保は不満を逸らす意味もあり台湾出兵を計画。そこへ村田新八が西郷・大久保の対立を心配し急遽帰国するが・・・?翔ぶが如くのあらすじと感想第43話

翔ぶが如くのあらすじ第43話「それぞれの薩摩」

明治7年(1874年)4月。内務省では大久保と木戸が激論を戦わしていた。



「佐賀の乱の後始末もついておらんのに台湾出兵とは!」

「君はいったい何を考えておる!?」



士族の不満を逸らすためにかねてから計画のあった「台湾出兵」だが、木戸は大反対である。また、佐賀の乱の苛烈な後始末に関しても批判的である。




木戸は「日本は議会制を目指す」と諸外国に宣言しているにも関わらず、あのような裁判は国の対面に関わる問題であると非難する。



「貴公の言い分は我らの理想ではあるが、昨今の情勢を鑑みるに現実的ではありません」



「国民の福祉を後回しにした軍事行動など認められん!」



木戸はそれでも大久保が台湾出兵を断行するならば参議を辞任すると脅しをかける。大久保は木戸が去った後、大久保の右腕の感がある伊藤に、



「誰かがやらねばならないのです」



と、静かに覚悟を語る。暫し後、西郷従道は3500の兵で台湾出兵を実行する事になる。

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翔ぶが如くのあらすじ第43話上巻「兆し」

「朝鮮出兵を止め、台湾出兵するとはどういうこっちゃ?」

「大久保利通は真に血迷っちょりもす」



西郷邸には桐野や篠原、別府など旧近衛兵達が集まり「台湾出兵」を実行した大久保を批判している。西郷は黙って猟銃の手入れをしながら聞いている。




桐野達に言わせると、自分達薩摩出身の近衛兵が去るや否や、山県有朋が将校たちを長州出身者で固め、一気に百姓兵を徴兵したことも気に食わない。



「大久保は長州閥の上に乗っているだけ」



批判は苛烈な処分となった「佐賀の乱」についても。




戊辰戦争の折、官軍は徳川慶喜をはじめとする旧幕府方の諸将を殺害してはいない。しかし、佐賀の乱においては首を刎ねさらし首にしている。



「大久保は冷血漢でごわす!」

「西郷先生の事も薩摩の事も考えておらん!」



西郷はそれでも構わないと一言、そして猟銃の照準を合わせている。




そこへ糸がやって来る。



「小兵衛どん!ちょっと!」



糸は小兵衛を廊下へ呼ぶと桐野達にお茶を出すように小兵衛に頼む。珍しい事もあると不思議そうな表情の小兵衛。いつも、糸はそのような事を小兵衛に頼んだりはしない。



「満寿さぁが来ておりもしてな」

「満寿さぁ・・・!」



小兵衛は全てを悟り気まずい表情で部屋へと戻って行く。



「こいで静かになりもんそ・・・あんまり気に病まんでくれもんそ・・・」



満寿は自分の夫が罵られているのを聞いて思い詰めた表情をしていた。




その夜。




糸は夫隆盛に桐野達が大久保をあのように罵る理由を問う。奥向きの者としては主人を悪く言われるのが最もつらい。



「まさかお前さんも大久保さぁの事もそげな風に思っておるんじゃなかろうかいな?」

「・・・一蔵どんはまっこて冷酷な裁きをした・・・」



西郷は一蔵は「冷酷な裁き」をしたが、そうしなければ図に乗った日本全国の不平分子が、あちこちで反乱の狼煙をあげたはずだ話す。



「・・・おいはまた暫く山に出るで後の事は頼む・・・」



西郷は喧騒を避けるように一層、山へ籠るようになる。




一方、大久保は内政に忙殺されている。伊藤博文は深夜まで大久保邸で打ち合わせをする事が増えていた。三池炭鉱の拡充や神戸の造船所建設など「富国強兵・殖産興業」に邁進している。



「鉄道敷設の件は思った以上に費用が掛かりますが・・・」

「分かりました、しかし伊藤君、やりましょう」

「はい!」

「ただし、将来は民間に経営させる事も視野に入れておいてください」



大久保は業種によっては民間資本を育てる事も必要であると話す。
そこへ。



「申し上げます!村田新八様帰国のご挨拶に参られました!」

「な!?新八どん!!!」

「大久保さぁ!お久しぶりでございもす!!」



大久保は早速酒肴を用意させると、村田新八の帰国を大いに喜ぶ。新八も嬉しそうだ。



「良い時に戻ってきてくれもした!新八どんがおれば心強かぁ!」



共に洋行帰りと言う事もあり盛り上がる。しかし、村田新八の帰国には理由があった。



「いったい吉之助さぁと何があったのでございますか?」



征韓論政変の事である。




同席していた伊藤はあれは西郷に問題があったと指摘するが、大久保はあくまで「議論の上」での相違であり含む処などはないと話す。




また、洋行の折には、廃藩置県の後の難しい時局を不平士族を宥め政府の舵取りをしてもらった西郷には借りがあるとも。



「吉之助さぁと大久保さぁの二人の指導の元だったから維新が成った」



二人の間を調停する人物を立てて、再び西郷と大久保で政府を率いるべき。新八はそう大久保を説得するが、



「暫くは誰にも無理じゃろう」

「暫く・・・とは?」

「こん国の次の指導者が出るまで。そしてそれはおはんじゃ」



村田は幕末の京都での働き、また帝の教育にも関わり信頼も厚く、また洋行で「世界の中の日本の立ち位置」も理解している。村田新八こそ、次の時代を担う人材だと話す。



「こげな時に帰国してくれたのは心強い!大いに力をかして欲しかぁ!」

「はい!」



しかし。




村田新八は置手紙を残し薩摩へと向かった。西郷にも直に話を聞いて二人の中をなんとか調停しようとしていたのだ。



「新八どん・・・!」



手紙を身ながら大久保は天を仰ぐ。



「今、薩摩に入国したらもはや東京に戻る事は出来もはん・・・!」




村田新八が東京へとやって来た頃、あの男も東京へ戻っていた。




矢崎八郎太である。




矢崎八郎太は海老原穆の経営する集思社へとやって来る。



「すると君は江藤先生の最期を見て来たわけだな?」

「はい」



矢崎八郎太は「恩人江藤」の恩に報いるためにもここ集思社で政府の腐敗を共に糾弾したいと熱い想いを語る。海老原は矢崎を大変気に入り、さっそく記事を書かせる。




しかし、その様子を訝しげに見つめるのは千絵である。
矢崎は千絵に呼び出される。



「今度は海老原様を内偵しているのですか!?」



矢崎は今回ここへやって来たのは偶々であると話す。そして、自分はもう過去のように、



「出世や栄達」



には興味がないという。




ただ、一心に江藤が目指していた国造りの役に立つために戦う覚悟だと告げる。




大河姫

八郎太よ。お前はまず五郎八さんに銭を返済しな!話はそれからだろ?

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翔ぶが如くのあらすじ第43話中巻「私学校」

薩摩へ戻った村田新八は早速西郷に帰国の挨拶をしていた。まずは、洋行で覚えた手風琴(てふーきん・現在のアコーディオン)を奏でて見せていた。西郷、そして同じく洋行帰りの菊次郎はその見事な腕前に聞き惚れる。



「はは!いやーよか音色じゃった!」

「これは手風琴と言います」



手風琴



西郷は村田新八の帰国をとても喜ぶがどこか寂しげでもある。



「じゃっとん・・・新八どんは東京で一蔵どんの力になって欲しかったぁ」



このような田舎ではせっかく学んだ学問も活かす事が出来ないと。



「その事でございもすが・・・」



村田新八は大久保に尋ねたのと同じく率直に西郷・大久保の関係を心配していると話す。



「吉之助さぁを不平士族の頭目に担ごうする者が、大久保さぁを目の仇にしておりもす」



このままで本当に良いのか?
これには西郷は返す言葉もない。自分の不徳に致す処だと頭を下げる。



「じゃっとん・・・新八どんは帰って来るのが早すぎたぁ」

「こげな時局に首突っ込むと身動きとれなくなりもすぞ」

「今からでん遅くはなか・・・東京へ戻りやんせ」



「分かりもした・・・!おいは吉之助さぁの側を離れん!」



「ないごてなぁ」



「おいは吉之助さぁに手風琴を教えねばなりもはん!」



西郷は少し嬉しそうに、そして哀しそうに新八を見つめていた。




明治7年6月。




鹿児島に「私学校」が設けられた。




「私学校」とは政府の「公立」に対しての「私立」という事である。




私学校は鹿児島県令の大山格之介の全面的な支援があった。



「維新から7年!この薩摩から士族を創る!」



桐野達元近衛兵は気合十分である。村田新八と小兵衛はやや不安そうな面持ちで一同を見つめていた。




私学校が設立された事は東京の大久保の耳にも入る。特に心配をしているのは大警視の川路利良である。



「あれは学校などではなく政治結社であり内部は軍隊そのものであります!」

「いや・・・あれは西郷前参議が暴発を防ぐ為に設立したものです」

「だからこそ危険とこの川路は具申を致しております!」



川路は西郷の下野と薩摩入りは「私事」であり、それを追って職場を放棄した近衛将校達は本来罰しなければならないにも関わず、如何なる処分も行わず、むしろ機嫌を取るかのような弱腰であると。




大久保は川路の申し分は最もであると頷くが、



「今はあまり私学校を刺激してはならない」



と、告げる。




ただ、川路の覚悟は大変頼もしいと思うとも伝える。



「儂はこれから台湾出兵の後始末に清国へ出向く」

「川路の覚悟を聞いて安心して渡航ができます」



大久保は見事に清国との交渉を平和裏にまとめる事に成功する。




そして、明治7年10月。




今度は大山弥助が帰国。




薩摩へと戻って来る。



「いやぁ!ほんのこて初めて行った時より西洋の発展は目覚ましかものございもした!」



西郷邸には西郷と小兵衛、そして新八が顔を揃えていた。



「小兵衛どん!おはんも洋行してきやんせ!」

「そうじゃ!吉之助さぁと小兵衛さぁで洋行へ行ったらよか!」

「弥助どん!それは良い考えじゃ!」



村田と大山は盛り上がる。



「英国では狩猟は紳士の嗜みで犬もそれは立派なもんでごわした!」

「ははは!弥助どんは洋行で学問だけではなくて遊びを学んできやったな!」

「これは・・・!あいたよぉ!」



雪篷の突込みに弥助は笑う。



「小兵衛、おはん行きたかった行ってきやせ・・・(笑)」



西郷は毎日山に入っているお陰で体調も良い。自分はもうこの薩摩を出るつもりはないと話す。




西郷は大山の気持ちを全て分かっているかのようであった。




村田新八と大山弥助。




二人はなんとか西郷を近衛兵から離そうとしていたのだ。




二人は帰り際に今後について語る。



「弥助どん・・・吉之助さぁに洋行進めたんは誰の発案でございますか?」

「どうしても政府には戻らんならせめて二才達とは引き離さんとと・・・」



大久保が授けた知恵であった。




また、大山自身もこのままでは危険だと考えていた。



「ならば、すぐ東京へ戻りやんせ、私学校の二才に囲まれたらもどれんぞ」

「いや、おいは説得出来ん時はそんつもりごわした」

「それはいかん!」

「村田さぁも同じでございもんそ!?」



村田も出来る事なら西郷を酔い潰して船に乗せて東京へ連れて行きたいと話す。しかし、もし西郷を失えば残された薩摩兵児は心の支えを失いなにをするか分からない。



「沖永良部に流されたいた時の寺田屋と同じ暴発、いや!今度は規模が違う・・・」



村田はそれが分かっている西郷は薩摩を離れられない。そして、自分も離れられない。



「大山さぁは東京で気張ってくれ!」

「村田さぁ・・・これが最後の別れになりもんそかい・・・」

「分からん・・・」

翔ぶが如くのあらすじ第43話下巻「薩摩」

明治7年11月、大久保は初の国際紛争を解決して帰国。また、台湾に出兵していた従道も12月には凱旋帰国となる。




大久保は自宅に従道夫妻、そして薩摩から戻った大山をを招いてささやかな慰労会を開いていた。



「信吾どん、ほんのこて此度はおやっとさぁでございもした!」

「もし、おまえさぁに何かあったら清さぁになんと詫びれば・・・(笑)」



「はい。そん時は一生大久保さぁをお恨み申し上げました(ニッコリ)」



「清!そげな事を・・・!」



「ご無事に戻られたからこそ申し上げたのでございます」

「おいは軍人じゃ、そげな事無事に戻っても言うたらいかん」



清は従道の言い分に不満気である。



「清さぁ!この場ではどんどん言ってよか!夫婦喧嘩も久しぶりじゃっと!」



二人は大山の発言に少々照れる。そして、清は意を決したように大久保に尋ねる。



「大久保さぁのこいさぁをお呼びにはらなんとでございもすか?」

「夫婦は一緒に暮らしてこそ、色々と助け合い分かり合えるものでございもす」



「清!」



従道は大久保の心中を考えて妻の清を嗜めようとするが、



「いや、それはおいもそろそろ潮時を思っておりもす」

「鹿児島の様子はどげんでございもした?」



大久保はつい先日まで鹿児島にいた大山に様子を訪ねる。
大山は鹿児島は、



「新政府憎し、大久保憎し」



で、固まっており、非常に厳しい雰囲気であったと率直に伝える。味方のいない中でただ一人家を守る満寿の気持ちを考えるといたたまれないと。



「じゃっとん、それを決めるのは大久保さぁじゃ」



「いや、信吾どん・・・おいは今度の事で覚悟が決まりもした」

「おいが骨を埋めるのは鹿児島ではなくこの東京なのだと覚悟を決めもした」



程なく、大久保は妻の満寿に東京へ来るように伝えるのであった。



「え!?では満寿さぁは東京へ・・・?」

「はい。主人が言うのなら東京でも異国でも行く覚悟は出来ておりもす」



満寿は東京へ行くことになった旨を糸に伝えにやって来ていた。糸は満寿と離れてしまうのは辛いが、やはり西郷邸に入り浸る二才どん達の勇ましい話を聞いていればさもありなんと思う。




満寿は自分の事はどうにでもなるが、自分が薩摩を離れてしまっては大久保家の墓を守る者がいなくなる。ただ、それだけが気掛かりと話す。



「心配せんでよろしゅうございもす・・・!」



糸は墓は自分が毎月お参りをするから心配するなと話す。そして、またいつか戻って来た時には墓参りをすれば良いと。



「糸さぁ・・・私は・・・(涙)」



糸は涙を流す満寿を勇気づける。




糸は隆盛が籠る山小屋へ着替えや荷物を持ってやって来た時に満寿の東京行きを伝える。二人は囲炉裏を囲んでいる。



「満寿さぁは見ていられない程思いつめておりもした・・・」

「おまんさぁがおらん時、満寿さぁと励ましあっておいもしたので私も気落ちがするようで・・・」



「一蔵どんはその気になりおったか・・・」



「はい・・・?」



「薩摩に引きずられておっては何も出来んでなぁ」

「二度と鹿児島には戻らん覚悟じゃろ」



「・・・!そいなら満寿さぁも戻られんのでございもんそか?」



「・・・」



最後は糸の問いかけには応えなかった。ただ、糸の真っ直ぐな視線を暫し受け止めると、手にした薪に視線を逸らし燃えさかる炎の中へとそっと投げ入れた。




囲炉裏の炎が切なげに揺れていた。




そして、満寿が東京へと旅立つ日。糸は餞別に薩摩の櫛を渡す。満寿は毎日糸に会っているようで嬉しいと礼を言うのであった。



「満寿さぁ・・・私達は英国との戦いのおり弾の下をかいくぐった戦友でございもす」

「男衆がなんと言おうと・・・」



「必ず!また会いもんそな・・・!」



「はは!先に言われてしもた!」



二人は笑顔で頷きあう。




そして。



「糸さぁ・・・!泣こかい飛ぼかい・・・!」



「泣くよかひっ飛べ!」



「私は泣く泣くなど出発しもはん!元気よく行ってきもす!」



これが、糸と満寿の別れとなる。




東京へやって来た満寿は夫利通に糸から聞いた西郷の話を伝える。



「吉之助さぁはもうおまえさぁは戻らんつもりと言うておられもした」



「・・・流石吉之助さぁじゃ・・・おいの気持ちは見通されちょる」



「そいどん・・・このままではなかとでごわんそ?いつかは戻れもんそ?鹿児島に?」



「満寿・・・」



大久保は力強く頷くのであった。



大河姫

それでも。満寿は気付いたような気がします。もう、夫は薩摩に戻るつもりがない、戻れない事に・・・。




以上、翔ぶが如くのあらすじ第43話「それぞれの薩摩」でございます。

翔ぶが如くの感想43話「それぞれの薩摩」

翔ぶが如くの感想第43話「それぞれの薩摩」。嵐の前の静けさ・・・かな。村田新八の薩摩入りは・・・すごい切ないですね。西郷はどんな気持ちだったかな。いや、この時はまだ西郷自身は「最期」までは予見していなかったかな。




そして、糸と満寿。



「泣こかい、翔ぼかい、泣くよかひっ飛べ!」



もまたこれが「今生の別れ」になるんですね。

翔ぶが如くの感想43話「嵐の前の静けさ」

村田新八が急遽帰国。東京で大久保と会った後に薩摩へ。




大久保は、



「村田新八こそ、次の時代を担う人材」



と、伝えるのですけど、これは村田新八が洋行へ行くときに西郷が語った言葉と同じです。



「あの席には政府の役人か御用商人の番頭かわからん輩も一緒じゃ」

「情けなかぁ」

「じゃっとんそげな輩ほど仕事が出来る」

「今は我慢じゃ・・・」

「そげな中で一蔵どんを助けて国政に携われるのはおはんじゃ」



維新志士を必ずしも高く評価していない勝海舟も村田新八については高く評価。西南戦争において亡くなった事を惜しんでいます。




村田新八は薩摩へと戻り、西郷と会った際に東京へ戻る事を勧めていますが、



「おいは吉之助さぁに手風琴を教えなければならない」



と、決意を言うと受け入れています。




ちょっと不思議な気もするんですよね。




西郷が厳しく、



「東京へ戻れ!」



と、告げれば村田新八は東京へ戻ったように感じます。
しかし、それをしなかった。




この時点ではやはり「西南戦争」までは見越していなかったかのかな?
そして、西郷と言えども、



「淋しさ」



は、あったのかなとも。




桐野や篠原といった元近衛兵は西郷を慕っていますが、
それは、



「崇め奉る」



感じが強いのだと思います。一方で村田新八、そして菊次郎も、



「心が許せる、安心出来る」



人間だったのではないかなと思うのです。
この時期既に西郷は



「自分が自分だけの身体ではない」



と感じていて、「西郷隆盛」を演じなければならない、そして、「素」に近い「西郷吉之助」を安心して出せる場所が欲しかったように思います。

翔ぶが如くの感想43話「糸と満寿~泣くよかひっ飛べ!」

泣こかい

飛ぼかい

泣こよか

ひっ飛べ



これは鹿児島に伝わる言葉で、川へ飛び込むか止めるか悩んで泣いている子供に、



「泣いてないでさっさと飛び込め!」



と、発破をかける時によく言う言葉です。翻って大人になっても「どうしよう・・・」と悩んでいる時に「さっさと実行、行動しろ!」と言う時に使います。




かつては、満寿と大久保の計らいもあり糸が西郷との縁談を決意した時にも二人で叫んでいました。




なんだか懐かしいですね。




この別れが二人にとっても「今生の別れ」となりますが、ここで別れていた事が幸いだったかな。




西南戦争で敵味方に別れる中薩摩に残れば二人の心中は察するに余りあります。




正直、西郷には大久保への罵詈雑言を極める桐野達を少々嗜めて欲しいと感じました。うーん・・・。西郷には若干含む処があるのか・・・。




いや、




やはり、「西郷隆盛」を演じなけばならなくなっていたのかな。

翔ぶが如くの感想43話「西郷と大久保の薩摩」

「一蔵どんは決心をした」



大久保は薩摩を「捨てる」覚悟を決めた。




西郷は大久保はそうすべきたと考えていたと思います。




そして、前回菊次郎にも、



「新しい日本人になって欲しい」



と話していました。




でも。




半々とまではいかないにしろ、西郷は心のどこかで、



「薩摩に殉じる」



者達を歓迎しているようも感じます。村田新八や菊次郎が薩摩へ戻って来た事を、



「心は歓迎し、頭は東京へ戻るべき」



というような感じでしょうか。




ただ、この「分裂」は辛いですね。




その「心」の部分はやはり久光に近いんですよね。




久光のような生き方が出来れば西郷はどれ程気持ちが楽であったか。




しかし、皮肉な事に最後の最後で、



「武士として最期」



を迎えるのは久光ではなくて西郷なんですよね。




西南戦争の時の久光は描かれるのかな・・・?




その辺りも期待したいと思います。




以上、翔ぶが如くのあらすじと感想第43話「それぞれの薩摩」でございます。
大河姫

今宵は此処までに致します。

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→翔ぶが如くのあらすじと感想第44話「士族暴発」