翔ぶが如くのあらすじと感想第35話「留守政府分裂」。明治維新期の明治4年(1871年)11月12日総勢46名からなる岩倉使節団は米国へ出発。使節団の目的は条約改正の本交渉の条件づくりのため列強の制度文物の調査し、その条件が整うまで、交渉を延期する旨を伝える事であった。使節団は最初の訪問国である米国で大歓迎を受けるが・・・。翔ぶが如くのあらすじと感想第35話

翔ぶが如くのあらすじ第35話「留守政府分裂」

岩倉使節団は最初の訪問国である米国で熱烈な歓迎を受ける。その様子が手紙で留守政府の元へも届けられる。使節団からの手紙によれば街道には市民が押しかけその数四万余り。留守政府を預かる1人土佐の板垣はその様子を新聞で見て素直に喜んでいた。

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翔ぶが如くのあらすじ第35話上巻「蹉跌」

明治5年(1872年)1月。平穏はお昼時である。



「西郷参議・・・!岩倉使節団は大歓迎のようですな!」

「ああ、その様子なら一蔵どんから早便で知らせがございもした」

「おお!流石!お二人の連絡は密でございもすな・・・!」

「写真も来ておりもした、こでございもす」



※左から木戸孝允、山口尚芳、岩倉具視、伊藤博文、大久保利通



洋行から外された大隈は薩長に思う処があるようだが、板垣は屈託がない。岩倉が靴を履いているのを見るとすっかり感心してしまう。



「では、さぞ足を痛めておるでしょうな・・・」

「靴だけは履きなれないと痛みが脳天に至る・・・」



大隈は「慣れない事をして」といった趣旨だろうか?嫌味を言うが勿論、その嫌味は遥か太平洋の彼方にいる岩倉には届かない。




昼時である。




西郷も弁当を広げるが無骨な「日の丸弁当」である。因みに、大隈は平成の御代でも「高級」と言えそうな贅沢な弁当だが、食が進まないのだろうか?かなり残しているがもう食べないようだ。




西郷はその弁当をじっと見ている。



「西郷参議、決裁を頂きたい書類が・・・」

「大隈さぁ、その弁当はもうたもらんのか?」

「・・・は??」

「満足に食べる事が出来ん者もおる事忘れたらいかん」



西郷の言葉に板垣は「我が意を得たり」といった感じで、



「その通り!」



と、相槌を打つ。
まさか弁当に突っ込みがあるとは。



大河姫

西郷どんと板垣どんの雰囲気がとっても良くて嬉しい・・・!




面喰った表情の大隈。



「は・・・決裁の・・・」

「ああ、判子はおはんに預ける」

「え・・・?」



西郷は色々と多忙な大隈がわざわざ自分の判をもらいに時間を使う必要はないと言うと参議の印鑑を大隈にポンと預ける。



「・・・では、西郷参議の印鑑、確かに預かります・・・」



益々あっけに取られる大隈だが印鑑は預かる事にする。



「なんだと!?西郷参議の印鑑!?」

「ああ!まあ驚いたわ・・・」



江藤新平は西郷の行動に呆れかえる。やはり、薩摩は愚鈍、長州は狡猾。しかし、印鑑があれば色々と便利かもしれないと二人は話す。




その頃、江藤新平から「長州の内偵」を命じられていた矢崎と同じく書生の河合は山城屋の別邸を見張っていた。別邸に囲っているのは元女郎で山城屋が身請けをしたらしいと河合が矢崎に教える。山城屋の妾は決して若くはないがどことなく品を感じる女だった。




山城屋の屋敷の中では山県有朋がやや不安気な表情で山城屋の話を聞いている。



「溶かした・・・?」

「はい、面目次第もございません」

「あれは・・・兵部省の・・・」

「なので、補填をお願い申し上げたい」



山県は自分の裁量で兵部省の公金の運用を山城屋に任せていた。勿論、これは不正ではあるが、山城屋は今迄は「勝って」来たのだ。結果的に公金は減っていないし、投資の利益は山城屋から長州の役人に流れていた。




かなりの額を溶かしている事を知らされた山県は迷う。




しかし。



「私も長州の皆様に返済の督促などはしたくはございませんので」



山城屋は事が露見すればただではすまないが、それは山県、そして山城屋から金を借りている長州の役人も同じである。山城屋と山県は一蓮托生。山城屋は暗にその事を仄めかしていた。



「わかった・・・」



「はい!ありがとうございます!」

「必ず利息をたんまり付けてお返しいたします」



山県と山城屋との癒着、そしてそれがあまり上手くは行っていない事は同じ兵部省の従道の耳にも入ってきた。留守政府を預かる兄の隆盛にその件を知らせに来ていた。



「山県有朋どんがちとやっかいな事に巻き込まれそうです」



従道の言葉に同席していた小兵衛は怒る。



「政府の役人の腐敗は度が過ぎておりもす」

「じゃっとん、進めなければならん問題もあって一々かまっちょれん事もある」

「いや!腐敗は断固糾弾すべし!」



従道の言葉に小兵衛は怒りを露にする。勿論、従道も気持ちは小兵衛と同じである。



「小兵衛の言う通りじゃ!」

「が、全て表沙汰になれば政府がもたんのも事実」



留守政府を預かる隆盛には頭が痛い問題である。



「ほんのこて・・・金の話は好かん・・・!」



三兄弟が話をしていると従道の妻清が、ポリス隊が至急の要件でやって来ていると知らせる。ポリスは大久保が至急の要件で帰国の途にある事を伝えに来たのだ。



「いったい何が・・・?」



洋行の日程ではまだ帰国には早すぎる。皆一様に不安気な表情を浮かべる。

翔ぶが如くのあらすじ第35話中巻「大久保の帰国」

「するとその、権限とはいったいどんなモノですか?」

「此度の全権委任状の中には条約改正の交渉権が明示されていなかったのです」

「・・・という事は・・・」



大久保は伊藤と共に帰国した。従道の問いかけに伊藤が必死に弁論をしていた。西郷邸で西郷隆盛、従道、そして小兵衛の三兄弟は二人の帰国に囁かな食事を用意してもてなしていた。



「よか・・・!まずはたもり(食べ)やんせ」

「日本食は久しぶりでございもんそ?」



西郷は二人の憔悴した様子から、何かあった事は察していた。しかし、過ぎてしまった事は仕方ない。



「・・・ようは準備が足らなかったという事でございもす・・・」



大久保が絞り出すように答える。そして、西郷が留守政府を引き受けてくれたにも関わずこのような仕儀になった事を醜態を謝罪する。ただ、現地の情勢から今が条約改正の好機と考えているとも話す。全権委任状を入手すれば問題は解決となる。



「吉之助さぁには新しい委任状発行を廟議に諮って頂きたかでごわす」



しかし、廟議での話し合いは紛糾する。



「大久保卿!それでは話が違いましょう!?」



江藤はそもそも今回の使節団に委任されたのは、



「予備交渉」



であり、正式交渉の権限までは委任をしていないと舌鋒鋭く指摘する。伊藤博文は、だからこそ帰国して正式な委任状を得に来ているのだと言うが・・・。



「岩倉右大臣も木戸参議もおらんのにそのような重大決定が出来るかね!?」



沈黙する伊藤だが、三条公が最もな意見を述べる。



「そやけどその二人が欲しいと言っている訳だから此処にいる者がウンと言え・・・」

「そのような問題ではございません!」



三条公は不思議そうな表情を浮かべるが・・・。



「・・・そ、そうか・・・(????)



江藤の剣幕に押し切られる。



「これは重大な過失であり、使節団は即刻帰国すべし!」



その時西郷が立ち上がる。



「戦というものは現場において作戦を変える事がままございもす!」

「臨機応変でございもす!」

「ここは思う存分やらせるが、返って良い結果になるとは思いもはんか?」



「しかし・・・」



「いや!!一蔵どんは粘りにおいては右に出る者はなかでごわす」

「三条公!」



西郷の迫力の前には江藤一人では叶わない。結局廟議決定は為される。




しかし、江藤は諦めない。廟議の後に西郷の執務室へと押しかける。



「このような体たらくでは先が思いやられます!」



「江藤どんの気持ちは良く分かりもす!」

「じゃっとん大久保の気持ちも分かってくれもはんか?」


「なんたる!そのように非論理的な言葉には返す言葉がありません」



「なんと!そうかぁ・・・ありがとうなぁ・・・!(笑)」



あっけに取られる江藤。これは江藤を詭弁で欺いているのではない。その心底嬉しそうな西郷の表情を見て、江藤は本当に返す言葉を失った。

翔ぶが如くのあらすじ第35話下巻「内偵」

江藤は気を取り直す。まずは長州の不正を暴くのだ。




山城屋を張っていた矢崎と河合は、山城屋が日本にいないことを掴む。矢崎が山城屋の屋敷の女にそれとなく話を聞いたのだ。江藤はいよいよ山城屋が動きだしたと判断する。山城屋は巴里にいる事が分かると外務省の副島に調査を依頼する。




一方、なんとか委任状の目途が立った大久保は従道から留守政府の状況の報告を受けていた。人口の調査(日本の人口は3311万825人であった)など、順調に仕事をしている事に満足する大久保。



「留守政府はよくやってくれている」

「じゃっとん、中にはカネの噂が絶えんでございもす」



従道は特に、江藤新平が不正に厳しく、例え仕事が出来る人間であっても、必ず仕留めると息巻いている事を話す。大久保も予想はしていたが・・・。



「江藤は確かに鋭いが、その鋭さに酔う処がある・・・」



大久保は江藤の急進的なやり方、そして薩長を目の仇にする性格を危惧していた。また、再出発前日に再び西郷を尋ね、また西郷に助けてもらったと礼を述べる。西郷は気にするなと優しく微笑み大久保を送りだすのであった。




しかし。




ワシントンに到着した大久保と伊藤に木戸と岩倉は驚くべき事実を伝える。



「交渉を打ち切った?!私と大久保卿は万里の波濤を超えて!」



岩倉はとてもではないが、現状では条約改正は無理と悟り、大久保と伊藤が戻る前に交渉を打ち切っていた。珍しく、しかも同じ長州の木戸に怒りを露わにする伊藤だが、大久保が宥める。



「大久保卿!私は悔しくてなりません!!(涙)」



「伊藤君、おそれは私も同じ気持ちだ・・・」

「何より、西郷参議になんとお詫びすればよいか・・・」

「じゃが、木戸岩倉両公の気持ちも分かってやらねばならん」



大久保は言葉の通じない異国でただ待っていた木戸岩倉の孤独や焦りを考えていた。そして、過ぎた事は仕方がなくこれからは本来の主務である、



「欧米の文物を学ぶ」



事に集中するという。必ず日本の将来のために役に立つ文物を徹底的に学ぶ。



「今回の失敗は徹頭徹尾鉄面皮で押し通す」



大久保は未来を見つめていた。



「そうでした・・・失敗の責任の取り方は前に進む以外にありませんでした」

「それが、政治家の第一歩です。これからもよろしく頼みます」

「はい!恐れ入ります・・・!」

「伊藤は本当に長州人かと言われているのを知っていますか?・・・」



大河姫

懐かしいですね。「その方は本当に薩摩に人間か?」大久保が岩倉と初めて会った「第18話公家調略策」。ここから二人の信頼関係が始まった。大久保と伊藤の今後の関係を示唆しているように感じます。




「・・・?それはどういう・・・?」

「女にはだらしないが、カネには必ずしも執着せず、仕事には労を厭わない」

「大久保卿・・・!(笑)」



政治家には色々な人がいるものです。




日本では司法卿となった江藤が外務卿の副島からの報告をもって、まず山城屋の召喚命令を出していた。




山城屋は、



「いったい何処の貴族か資産家か?」



と、言われる豪遊をしており巴里でも有名人だったのだ。



「山城屋の帰国を待って、陸軍大輔山県有朋を逮捕します」



江藤は参議の西郷と板垣にその旨を報告している最中だった。
板垣は江藤の発言に驚く。



「ままま待った!!」

「山県は陸軍中将であり近衛都督で政府要職にある!」

「いったい何の容疑での逮捕なのだ!?」



「公金流用と汚職でございます」

「恐れながら西郷筆頭参議におかれましては政府の者は身辺清く」

「不正は許してはならぬと常々仰せであります」



「そん通りにごわす」



「まま、待て!今山県は陸軍大輔として兵制改革の真っ最中」

「それを解任しては留守政府はバラバラに・・・」



「はて?板垣参議には日本国の米蔵を食い荒らす鼠を弁護なさる?」



「いや!確かに金に汚い人間は一番の屑だが・・・なんとかならんのか?」



「なんとかとは?」



「つまり・・・儂も西郷参議も時期を見てと・・・」



「ほんのこて、兵制改革だけは山県どん抜きでは出来もはんからな・・・」



西郷は苦しい胸の内を絞り出すように答える。



「法は法でございます」

「全ては不正を許さぬ姿勢から出でます」

「正は邪をこらしめねばなりません」

「両参議にはご承知おき頂ければ後はこの江藤がやります」



江藤はそれだ言うと部屋を出て行く。



「江藤どん!おはんはホントにやる気でごわすか?」



西郷は江藤を廊下で呼び止めると念を押す。



「西郷参議は反対でございますか?」

「いや、じゃが他にやり方はなかろうもんじゃろか?」

「不詳江藤は司法の長、司法の長が不正を見逃す事は出来ません」

翔ぶが如くの感想35話「留守政府分裂」

大河ドラマ翔ぶが如くの感想35話「留守政府分裂」です。大久保にしては珍しく(そうでもないか・・・!)「準備不足」が祟りました。せっかく「委任状」を持って戻っても交渉は打ち切っていた・・・!しかし、



「失敗の責任の取り方は前に進む以外になり」



そう。
後ろ向きの議論は時間の無駄なのだ。そして、やはり「苦楽を共にする」というのは信頼関係醸成に一番。大久保と伊藤は本当の意味で「仲間」になりましたね。



「君は本当に長州人か?」



これは岩倉と大久保が初めて会った時に岩倉が大久保に語った言葉です。この二人がこれを機に「仲間」になっていること示唆しているんでしょうね。




一方の西郷。久しぶりに仲間になりそうな人が・・・!

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翔ぶが如くの感想35話「西郷の真骨頂」

「薩摩は愚鈍で長州は狡猾」



江藤は長州人は「金に汚く」狡猾ではあるが、それだけ「叩けば誇り塗れ」と見抜いてます。
そして、それはその通り。




一方で、



「薩摩は愚鈍」



である。




これは江藤新平の「勘違い」ですね。何故、江藤も「優秀ではある」と認める大久保や岩倉が西郷を買っているのか?
ここ一番で、



「決断」



が出来る男なのですよ。



「いや!!一蔵どんは粘りにおいては右に出る者はなかでごわす」



こうして、結局ゴリ押しをしてしまいました・・・!




勿論これは結果的には「誤り」と言えたかもしれません。米国での交渉は打ち切られている訳ですからね。




ただ、決断し、その決断に「乗る」事が出来る事こそ西郷の真骨頂なんだと思います。それは「戦」という世界で臨機応変に戦ってきた西郷だからこそ。




「自分の勘と心中する覚悟があるか?」
by赤木シゲル




西郷は勝負師と言えると思います。ただ、江藤はまだその西郷の大きさを分かっていなさそうですが・・・!

翔ぶが如くの感想35話「山県と山城屋」

山城屋事件も佳境に。




まあ、よくあるパターンの汚職ですね。もはや、後には引けない山城屋は山県からさらなるカネの無心。




山城屋と山県は一蓮托生ですからね。しかし、山県には本当にガッカリさせられます。




小役人。




ただ、難しいのはいみじくも前回西郷が言っていたように、



「政府の役人か御用商人の番頭か分からん奴」



の、方が仕事が出来る事がある。




西郷は山県の「能力」は今政府に必要であると分かっているんですよね。それは弟の従道もまた同じ。西郷の性格からして「清濁併せ呑む」事は勿論出来るんですけど、そういう事を「世の中そんなもん」と気楽に流せない生真面目さがあります。




人は綺麗には生きられませんが、
綺麗に生きたいと思わなければならない。

by大河姫




西郷の受難の日々はまだまだ続きそうです・・・。

翔ぶが如くの感想35話「西郷と板垣」

後に「征韓論」に敗れ共に下野する二人。人間にはやはり「波長」ってあると思うんですよね。江藤、大隈は勿論、共に倒幕戦を戦った木戸や岩倉でさえも、西郷とは(一定の信頼関係はあっても)合わないんだと思います。




明治政府に出仕するようになってからも然り。




しかし。



「満足に食べる事が出来ん者もおる事忘れたらいかん」



という西郷の小言に、



「その通り!」



と、相槌を打つ板垣を見て、「ああ、この人は西郷とウマが合う」と思いました。




板垣もまた西郷と同じく「軍人肌」というのもあるんでしょうね。まあ、同じ軍人肌の山県は金に汚い、



「政府の役人か御用商人の番頭かわからん」



奴ですが。




今回西郷は「山城屋事件」に関して、難しい判断を迫られますが、この時、板垣も西郷と同じように悩んでくれていた事が個人的にとっても嬉しかった・・・!




ありがとう!板垣どん!




ただ、西郷の方ではまだ「仲間(かつての橋本左内のような)」という感じ迄は行っていないのかな・・・?征韓論を通してこの二人の関係には注目していきたいです。




以上、翔ぶが如くのあらすじと感想第35話「留守政府分裂」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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