翔ぶが如くのあらすじと感想第13話「正助の布石」です。吉之助が島へと流された後正助は久光に近づく事を決意。正助は久光もよくするという囲碁を学び、久光に渡す古書「古史伝」に「久光への忠誠」を誓う手紙を挟むが・・・。一方吉之助は島での生活に溶け込めずにいた。翔ぶが如くのあらすじと感想第13話

翔ぶが如くのあらすじ第13話「正助の布石」

正助はかつての斉彬のように藩を牽引する役割を久光に求める。しかし、現状は下級藩士に過ぎない正助は久光と話をする事は勿論、会う事も難しい。正助はまず久光の人となり趣味を調べてみる事にする。

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翔ぶが如くのあらすじ第13話上巻「囲碁」

「こら!ここ貸し倒れておるぞ!差押じゃ!」

「これは、有馬様への貸付でございもす」

「何?有馬様?ならそれはよかよ」



精忠組の出費を支えているのは商人上がりの藩士森山新蔵の力が大きい。森山は現在進行形で商売もしている。正助は各方面で手広く商売をしている森山なら久光の趣味などを聞いた事があるのではと訪ねる。



「三郎様は学問好きなだけで趣味はございもはん」

「和歌や茶の湯なども・・・?」

「本さえあれば御機嫌であとは碁位のものでございもそ」

「碁!!」



正助は久光の趣味を知る事が出来た事を喜ぶ。正助は囲碁が出来ない。しかし、次は自分に囲碁を教えてくれる「師」を探さねばならない。自宅へと戻ると父次右衛門に囲碁をやりたいので教えてくれないかと尋ねるが・・・。



「大久保の家は勝負事はやらん」

「じゃっとん誰か囲碁が出来て口が堅い方を知らんでしょうか」

「知らん!」



父利世は吉之助が島に流されているのに何故囲碁等学ぶのかと訝る。正助はそれは今は話せないと言う。囲碁の師匠を探さねばならない。また、辺りを付けなければと部屋へ戻る。



「あの・・・?」

「おお。満須如何した??」

「何故旦那様は囲碁を・・・?」



先程の次右衛門との話を聞いて妻の満須が何故突然囲碁をやりたいと言い出したのかを尋ねます。正助は亡き斉彬の後を継いで国の為になる事だと熱心に語ります。そして、誰が囲碁が出来る人間にアテがあるのかを尋ねます。



「吉祥院の住職様・・・」



満須は吉祥院の住職乗願が囲碁を良くして、しかも久光の囲碁の師でもあると言います。思わぬ発言に興奮する正助。満須は亡くなった祖父が乗願の元へ通っておりそこで教えてもらった話だと言います。



「なら早速弟子入りを・・・」

「それは無理でござもす」

「何故じゃ?」

「旦那様は石の置き方もご存知ない」

「確かに・・・」



碁石の置き方一つしらなければ流石に弟子入りなどもってのほか・・・。しかし、満須の祖父が囲碁を嗜んでいたのであればその相手がいるはず。その相手をしていた人物にまず基礎を教えてもらう事を思いつく。



「誰が御相手してたか知らんか?」

「言っても怒りませんか・・・?」

「くどいのぉ!おいが満須との約束違えた事あったか?」

「・・・私です・・・」

「なんじゃと!!」

「怒らない約束です・・・!」

「誰が怒るか!満須は三国一の嫁じゃ!!満須はおいの師じゃ!」

「それはできもはん・・・」

「何故??」

「この家には碁石も碁盤もありもはん・・・」

「確かに・・・」



正助は碁盤を取り敢えず準備し、碁石は普通の「石」で黒っぽいものと白っぽいものを集め、即席の碁石を準備すると満須を相手に修業を始める。



「旦那様!姿勢が悪いです」

「囲碁は最初が肝心です」



満須は中々の腕前であり、また正助も筋が良く10日程深夜迄みっちりと稽古を付けてもらう。満須は夫の新たな一面が見えて夜中までの囲碁の稽古も楽しそうである。

翔ぶが如くのあらすじ第13話中巻「島」

島に流された吉之助は島での生活に馴染めずにいた。一度死んだ身だと考えていたが、日々苛立ちが募るばかりである。




吉之助は海岸線を走る。




そして、叫ぶ。




島の住人はそんな吉之助を遠巻きに眺めるだけである。



「やまとんちゅうが倒れている!」

「え?」



島の子供達が愛加那に吉之助が海岸で倒れている事を教えてくれる。愛加那は母と共に砂浜で倒れている吉之助をおこす。吉之助は石に躓き足に怪我をしていた。愛加那は吉之助を家まで送り足の手当をする。




怪我も癒えた頃、吉之助は縄で縛られ足枷を嵌められている少年に出会う。少年は衰弱しており、吉之助の事を見る事も出来ない。



「いったいどんな悪さをしたんじゃ・・・?」



吉之助は縄を斬り、足枷をはずす。



「勝手な事をするな!!」



そこに薩摩からは派遣されている役人が吉之助の行動を咎める。



「こん子はいったい何をしたっとじゃ?」

「サトウキビを舐めたのだ」

「!?そんな事で!!!」



吉之助はただサトウキビを舐めた事でこれ程の処罰を受けている事に激怒する。吉之助が怒ったのはこの子供の年格好が弟たちに近かったこと、そして、郡方書役時代に、



「菜種油と百姓は絞れば絞るほど出るもの」



と、農民達の生活を顧みなかった上司の言葉を思いだしていたからである。吉之助と役人の争いに愛加那他島の住人が集まって来る。




愛加那は少年を手当しようとすると、役人が怒鳴る。



「勝手な事をするな!」



しかし、それ以上に大きな声で吉之助は怒鳴る。



「まだ分からんとか!!!!!」



吉之助は役人のしたこと島民たちには「藩主の命」と思われると言います。結果的にそれは島民たちの離反を招くと。役人は吉之助の迫力と島民たちの無言の圧力にようやく去っていく。



「おいにもこん子位の弟がおるでな・・・」



礼を言う愛加那にそう告げると吉之助は自宅へと戻る。夜、愛加那が羽織をもってやって来る。昼間のお礼だと言う。吉之助は礼をされるような事ではないと謝辞するが、愛加那はこれは自分が織ったものだと言うと、吉之助の身体に合うかを確かめるのであった。




程なく・・・。




吉之助は愛加那を二人目の妻を迎える。

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翔ぶが如くのあらすじ第13話下巻「布石」

正助はほどなくして吉祥院乗願の元に弟子入りをしていた。



「お?そうきますが・・・中々筋がよろしいですな」



乗願は正助の囲碁の筋を褒める。乗願が言うには「筋」は練習で身に付くものではなく天賦の才によるところが大きいという。そして、正助と同じような「良い筋」の打ち手が弟子に1人いると言うと・・・。



「これでは如何かな?」

「あ!いや・・・」

「ははは、少々厳しすぎましたかな?」



乗願は正助の筋の良さについ本気を出してしまったようだ。乗願が言う「弟子」とは久光の事であった。久光は兄斉彬から「後を頼む」と藩主茂久(久光の子)の後見人を任されてはいたが、実父の斉興帰国後は、あまり表へは出ることはなくあくまでも「斉興」を立てていた。



「本当に長幼の序を重んじる我慢強いお方です」



乗願は久光の人柄をひとしきり褒めると大久保もまたそれに応える。



「斉彬公亡き今、日本国のためにも久光公は大事なお方と存じます」



乗願は正助が亡き斉彬に忠誠を誓っていた「精忠組」である事もありやや驚く。



「大久保正助?精忠組は儂を仇と思っているものとばかり・・・」



乗願は久光との囲碁の稽古の中で正助について話す。西郷吉之助が斉興の情けで島へと流されてから、精忠組の中心は大久保正助であると告げる。また、正助は江戸で刊行された平田篤胤著作の古史伝を入手すると乗願に預ける。乗願は久光との稽古の際に古史伝を久光へ渡す。



「これは?古史伝ではないですか!」

「はい。大久保は国学にも造詣が深いようで是非にと・・・」

「・・・今日の稽古はこれでしまいにします!」



久光は古史伝を愛おしいそうに眺めると稽古を早々に終わらせて読みふける。正助あえて古史伝を全巻を渡さずに折を見て1巻づつ乗願に託すことで自身への印象を長続きさせるように工夫する。




そして。




数冊目の古史伝を渡す際に古史伝に書状を挟み込む。これは賭けであった。




久光は乗願から渡された新しい古史伝に書状が挟み込まれている事に気付く。



「右は御前の命令で死する者でございます。大久保正助」



久光はその書状を破り捨てる。



「出過ぎた真似をしおって!!!」



ある日、乗願の元を訪ねた正助は古史伝を返却される。



「何か久光様にされたのか?えらい剣幕でございましたぞ?」

「何も・・・?おいは御前に何かできる身分ではございもはん・・・」



正助は乗願にもし迷惑をかけてしまったのでれば謝ると言うが書状の事などは素知らぬふりを通す。久光に自分の名前が刻まれるか、それとも怒りを買うか・・・。




ただ、その後も正助に咎めが下る事はなかった。




一方江戸では井伊大老による粛清の嵐は未だ止むことはなかった。吉之助と共に調停工作に奔走した橋本左内は切腹でなく打首の沙汰が下る。



「公儀に逆らうとどうなるか良い見せしめ」



斉昭が国元押し込めとなった水戸藩は1000人近い脱藩浪士が出ると、薩摩と連携し井伊大老を討つべしと江戸へと攻め上る勢いであった。有村俊歳と大山格之助は今後の動きについて精忠組の意思統一を図るために急遽帰国する。



「突出すべし!!!」

「今こそ脱藩し、京へ向かい亡き殿の想いを果たす!」



精忠組の者はみな「突出(脱藩)」を主張する。大久保は皆の議論を腕組みをしながら黙って聞いている。



「では、精忠組としては脱藩でよろしゅうおますか?」

「脱藩したら、もう二度とこの薩摩の土を踏む事はありもはん」



精忠組の者は皆、突出に異議なしと言う。



「よし!決まりもした!精忠組は突出でございもす!」



正助は精忠組の意志を「突出」と決まった事には賛意を示す一方、それを茂久の側近でもあり懇意にしている谷村愛之助に伝える。



「御内密にお願いしたいのですが・・・精忠組は脱藩する事にしました」

「!?」



正助はいつも懇意にしてくれて色々と助けてくれた谷村愛之助だからこそ真実を伝えたと言う。しかし、谷村愛之助はその事実を「国父」久光に伝える。




その頃、久光、そして斉彬の父でもある前藩主斉興が亡くなり、名実ともに久光が藩主後見人となり、薩摩藩では「国父」と呼ばれていた。



「大久保正助!?」

「死を覚悟している者の言葉を裏切りお伝えするのは心苦しくはございますが・・・」

「儂がやる!」

「は・・・?」



久光は精忠組に脱藩を思い留まらせ、また、精忠組の覚悟、亡き斉彬のやろうとしていた事は薩摩藩を上げて実行すると言う。そして、藩主茂久の名で、



「精忠士面々へ」



という諭告書が下される。精忠組の多数派藩主茂久、久光からの言葉に感激し、藩に留まる事を決意するが、有村俊斎等一部の精忠組は水戸藩を裏切れないとそれでも脱藩を主張し、薩摩に留まる覚悟を決めた大山達と一触即発の雰囲気になる。




しかし、正助は有村俊斎に命懸けで説得をする。



「おいと有村どんで死にもんそ」



自分達二人が死ぬ事で水戸藩への裏切りの責任を取ろうと提案するが、有村は大久保まで殺す訳にはいかないと翻意する。



「分かってくれもんしたか」

「なら、一緒に突出を主張する面々を説得しもんそ!」

「これも命懸でございもすぞ!」



精忠組は藩内に留まる事で意思を統一。正助の布石、第一段階は成功裏に終わる。正助は桜島を眺めながら今後の展開を考えていた。



「春には吉之助さぁも戻って来る・・・!」



正助は吉之助の帰国の算段を思考していた。

翔ぶが如くの感想13話「正助の布石」

翔ぶが如くの感想第13話です。吉之助が島に流されてから正助は考えます。



「自分達には何が足りなかったのか?」



前回正助「権力」が足りなかった(無くなった)事が今回の事態を招いたと考え、今度は次期権力者である久光に近づく事を決意しました。そして今回はそれを着実に実行します。

翔ぶが如くの感想13話「憧れ」

上手い表現が見つからないのですけど、正助が目指したのは「斉彬-吉之助ライン」が斉彬の死で成立しなくなった今、斉彬の「代わり」となる後ろ盾です。




斉彬と吉之助は「一心同体」といった感じですが正助と久光は・・・。なんか・・・吉之助に憧れその真似をする正助と斉彬に憧れその想いを継ぎたい久光の思惑が一致した上での打算的な関係と言えるかもしれません。




ただ、最初が「打算」であったからと言って最後まで「打算的」とは限りませんが・・・。




それと、吉之助が居なくなってから大久保に成長が見られます。自らの考えて行動する。今迄はどちらかと言えば「受け身」であった大久保が憎っくきお由良の子である久光に自らの意思で近づく。




その行動一つ一つを恐らく書状にして吉之助に送っていると思います。この行動もまた大久保に良い影響を与えている気がします。



「吉之助ならどう考えるか?」



大久保は吉之助へ書状を書く事でかんがえをまとめ、そして吉之助の「影」と対話をしているでしょうね。

翔ぶが如くの感想13話「打算」

大久保は久光に近づくために囲碁を学び、久光の囲碁の師である乗願に近づき久光への尊敬の念をそれとなく伝え、古史伝を数回に分けて渡し、さらにその中に「恋文」をしのばせます。




勿論、大久保は久光の事を良く知っている訳ではありません。
これは打算です。




そして、精忠組が「突出脱藩」で組論が決まりかけると、それに心中では反対である(藩を上げてやりたい)ものの敢えてそれは口にせず、その事を「覚悟が決まった」という名目で藩主茂久と国父久光に近い谷村愛之助に告げてしまいます。勿論、これも久光に伝わるだろうことを見越しての事です。




大久保が書いた筋書の通りに事は進行。




藩主からの「諭告書」が下り精忠組は突出を止めます。しかし、江戸で水戸藩士たちと接してきた有村俊斎は強硬に突出を主張。



この時、正助は有村を別室へと誘い説得します。



「二人で死にもんそ」



この言葉は吉之助がよくやって来た事だと思うんですよね。



「そん時は腹を切ればよか」



吉之助は自分の命をそこらへんに転がっている芋のように易々と投げだします。それが「ガチ」である事を正助はじめ精忠組は皆知っているからこそ、吉之助の一言で全て収まる。今回、正助はその吉之助の真似をしたんだと思います。




ただ。




吉之助は「ガチ」で命を投げ出す覚悟ですが大久保は異なる気がしました。




内心、俊斎なら説得に応じるという確信があったみたいな。




深謀遠慮が働く大久保は吉之助の「皮」を被っているように思えました。




しかし、誤解してはならないのが、正助は「確信犯」だと思うんですよね。




「憧れてはいるが、自分は吉之助にはなれない」

「そして、精忠組の頭目は西郷吉之助を置いて他にいない」



大久保は脚本家です。しかし・・・。脚本家は役者が勝手な動きをすれば・・・?自分の限界を知っているのが大久保正助なのかもしれません。

翔ぶが如くの感想13話「囲碁夫婦」

大久保の妻満須を演じているのは賀来千香子さん。昔、綺麗なお姉さんでという感じで好きでしたね。まあ、いまも充分綺麗ですけど・・・!




今回、大久保が妻から囲碁の手ほどきを受ける場面があります。大久保夫婦は仲がよろしい。



「良い機会じゃっとん夫だどんな男かよくみてたもんせ」



満須は夫の新たな一面を知る事が出来てとても嬉しそうでした。




因みに、大久保も西郷も当時の感覚ではかなり「家庭的」であったようですけど・・・。ある意味では「九州男児」ぽくないとも言えるかも・・・。




以上、翔ぶが如くのあらすじと感想第13話「正助の布石」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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