太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第42話「母の遺言」。今週で清子も退場。それでも、兄弟、親子の骨肉の争いを見ることなく亡くなったのは幸いだったかな。清子の退場で登子はまた「身内」を失ってしまいましたね。太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第42話

太平記(大河ドラマ)あらすじ第42話「母の遺言」

後醍醐帝崩御。




その後も南北朝の動乱は治まる気配を見せなかった。北畠親房は吉野へと帰還し、後村上帝を支え戦いを継続した。




しかし、高師直、師泰兄弟や佐々木道誉の活躍もあり、吉野方の形勢は苦しいままであった。




その師直がとある夜、怪しい動きを見せていた。

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太平記あらすじ第42話上巻「院か犬か」

「高貞は行きましたぞ」



師直は夜陰に紛れ、打ち捨てられたあばら屋に潜み塩冶高貞が出て行くのをじっと見ていた。




高貞が家人を引き連れ出て行ったのを確認すると、徐にあばら屋から抜け出て高貞の屋敷へ入る。




塩冶家の下女を手懐けておるのだろう。




扉を開かせるといくばくかの銭を渡す。



「西台殿は?」

「今、湯浴みを」

「そうか」



湯浴み。




師直はかつて道誉の屋敷でたまたま居合わせた塩冶高貞の妻である西台の美しさにすっかり惚れ込み攫う機会を狙っていたのだ。




師直は湯殿を覗く。




その時、外が騒がしくなる。



「何者!」



大河姫

師直、キモ過ぎる・・・w

どうやら塩冶高貞の家臣と師直の家臣が争っている。




しかし、師直は湯殿の扉を堂々開くと「必ず手に入れる」と不気味な笑みを浮かべ言い残し、と今宵はここまでと急ぎ表へと出る。




何度か高貞の家人と斬り合うがなんとか逃げおおせるのであった。




その様子を忍び姿の右馬介がじっと見ていた。




道誉や師直といった「尊氏派」と目されぬ武将の専横な振舞いは都でも評判は悪かったのだが。






上皇の牛車と土岐頼遠の一団が都往路で鉢合わせをする。



「上皇様にあらせられるぞ!」



土岐頼遠は道を譲らなかったばかりか・・・。



「院と言うか?犬というか?犬ならば射ておけ」



上皇の牛車に矢を射ったのである。



大河姫

十兵衛のご先祖様です。尊王とは程遠いですねぇ。

尊氏亭


「土岐は酒を相当飲んでいたぞうじゃの!」

「儂はこれから参内し上皇にお詫びを申し上げる!土岐を幕府へ呼べ!」



尊氏亭には評定方の桃井直常達が土岐の件を報告に来ていた。流石の尊氏も怒りに震えている。




しかし、既に頼遠は都を脱し美濃へ戻ったらしいと知らされる。




そして。



「すぐに追手を差し向け、手向かいするなら斬れと」

「直義がか?」

「は、将軍の許しをえるべくまかり越したる次第」



尊氏は急ぎ、直義亭へと向かう。



三条直義亭


「おお!兄上!儂もこれから参内しようと思っていた処です」



直義亭に母の清子、そして直冬もいた。



尊氏は軽く清子に挨拶をすると、直義に話があると別室へと向かう。



「土岐を斬れとはやり過ぎじゃ・・・」

「な!?兄上・・・!此度はよもや兄上も反対せぬと思いましたが!」



尊氏は土岐のやったことは決して許されるものではないが、脇屋義助を破るなどその功績も大きいと話す。




直義は怒りに震える。




佐々木道誉、師直師泰兄弟、そして今回の土岐頼遠。




全て、尊氏が甘やかすからである。




これらの傍若無人な振舞いに直義がどれほど苦労をしているか尊氏は全く分かっていないと。



「師直達を甘やかしたのは儂じゃ、謝る」



しかし。




一方で直義の「政」にも問題があると尊氏は指摘する。



「あの者達は政へ参加したかったのじゃ」



直義は評定方を上杉や細川、斯波といった足利譜代の一門衆で固めている。



「兄上!儂は鎌倉幕府こそ手本と思っておりました」

「儂はそうは思わぬ」



大河姫

足利兄弟、同床異夢であったな。

直義はこれ以上の話は無駄とばかりに部屋を出て行く。




清子は不安気にその様子を眺めていた。

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太平記あらすじ第42話中巻「登子の孤独」

幕府


幕府では土岐頼遠の処断が議論されている。



「上皇の輿に矢を射ったのがどうした!」



大河姫

「それがどうした」は流石に問題発言よ。

師泰はそう大言を吐いているが、直義派の細川顕氏などは渋い表情である。




早々に首を刎ねてしまえば良いといった単純な話ではなくなりつつあった。




美濃へ軍勢を差し向ければ、それを機に吉野方が動く可能性もある。




さらに、



「土岐頼遠が吉野方へ下ったという話も」



あるというのである。




いずれにしても、まずは頼遠の行方を探さねばならない。評定はこれで一旦終わり各々広間を退出するのだが・・・。



「高殿!少々お話が・・・!」



塩冶高貞が声をかける。



「付文はもうおやめください」



師直が高貞の妻である西台に送った恋文の束を返却すると、来るときは表玄関から自分がいるときにと嫌味を言う。




師直と高貞の様子に事情を察した皆は苦笑する。



「何が可笑しいのじゃ?」

「お、これは・・・(苦笑)」



大河姫

あー、これは恥ずかしいヤツだw「鏡見ろ」とか思ってんだろうな。

皆、笑いをかみ殺しながら師直を置いて出て行くのであった。




師直は恋文を破り捨て地団駄を踏む。



「高貞の弱みを見つけるのじゃ!」

「誰でも一つや二つ弱みがある・・・!」



大河姫

醜男のプライド傷付けると怖い・・・。

奈良


奈良の寺院に塩冶高貞の姿があった。




上座には一人の尼がいる。



「ほほう、尊氏と直義は相争っておるか?」



阿野廉子、後醍醐帝亡き後、落飾して住劫(じゅこう)と名乗っている。




高貞は尊氏の意向は一貫して和議にあると伝えるが、住劫は今しばらく様子を見て足利が割れるか様子を見ることにすると応じるのであった。




尊氏亭


「言い争いも一時のことにございます(笑)」



清子は先日の尊氏と直義の言い争いを心配していると話すが、尊氏は杞憂に過ぎないと受け流す。



「左様でございましょうか?」



登子は清子は直義に甘いのだと話す。




直義は鎌倉の義詮を差し置いて直冬を後継に推そうとしているといった趣旨の事まで話す。




清子もそこまで言われては黙ってはおられない。



「御台殿、それは其方が直冬殿を憎んでおられるからではないか?」

「はい。憎んでおります。直冬殿が憎い・・・」



尊氏がたまらず嗜める。



「登子!!」



「申し訳ございません・・・自分自身の浅ましさが嫌になります・・・」

「私には・・・お身内と言えるお方は義詮を除いてお二人しかおりませぬ(涙)」



清子は登子をそっと抱き寄せる。



「そうであったな・・・この尼も言い過ぎた・・・」



大河姫

登子の孤独をもっと分かってあげるべきだよね。。

太平記あらすじ第42話下巻「遺言」

暦応4年(1341年)3月。



「塩冶判官!神妙に致せ!!!」



桃井直常、山名時氏などの兵が高貞亭に踏み込む。吉野方に内通をしていた疑いがかけられたのだ。




高貞は異変を察知し京を逃れようとしていたが結局捕らえられる前に自刃。その妻である西台も自害した。




西台が自害。




師直はその知らせを受けて茫然と天を仰ぐのであった。



大河姫

ざまーねぇな師直。

幕府評定所


先程から直義や細川顕氏。桃井直常といった評定方、そして武者所の諸将も顔を揃えている。




師直はいない。



「何故、高貞を討った!!」



尊氏は右馬介からの報告で「高貞が討たれる」と知らされすぐに止めようとしたのだが、間に合わなかった。




実際に高貞を討った桃井直常は解せないといった様子である。



「そもそも、この情報は高殿からという事もあり大御所も既にご存知と・・・」



確かに。



尊氏の執事である師直からの情報であれば、それも致し方ない。もっとも、高貞が先帝の愛妾であった廉子に会っていたのは間違いないのだが・・・。



「そんなことは分かっていた事!」



尊氏は和議の機会を見計らうために敢えて高貞を泳がせていたのだ。大事は秘さねばならぬと。



「和議!?そのような話は聞いてはおりませぬぞ!」

「大御所は我らを信じておらぬのですか!」



直義は猛然と抗議するが・・・。



「信じておらぬ」

「その方等の口から一度でも和議の話があったか!?」

「師直師泰の戦勝にあぐらをかいて一向に和議の話などでぬ!」

「なんで信じることがなど出来ようか!!!」



その時。



「師直にございます」



師直が評定所へやってきた。



「・・・師直、近こう・・・」



師直が近づくと。




バシッ!



あいや!



ボコ!



あぁぁぁ!



バシッ!バシッ!



ひやーぁぁああ



皆の面前で師直を打擲する。




評定方も侍方も気まずそうに黙っている。




師直は動かなくなった。



「下がれ・・・皆下がれ!!!」



暗い広間には立ったまま怒りに震えている尊氏とうずくまる師直だけが残された。



「・・・殿!申し訳ございませぬ・・・」

「師直、思い違いを致しておりました」

「殿がお命じになれば腹切って・・・」



尊氏の足元にすがる師直。



「師直、其方は代々足利の執事を務める高家の棟梁ぞ」

「頼りにしておるのじゃ」



大河姫

これぞ尊氏の真骨頂をまたまた発揮!

声にならない声を出し師直は泣き崩れる。




康永元年(1343年)12月。




体調を崩していた清子がいよいよ最期の時を迎えようとしていた。




清子は尊氏、直義兄弟を枕元へ呼ぶ。



「兄弟仲良く・・・」



二人の手を握らせると、そう言い残す。




数日後。




康永元年12月23日、清子はこの世を去る。



大河姫

母上様、良い時に亡くなられたね。

清子の最期の願いは死後数年守られ、やがて足利兄弟は宿命とも言える争いに突入していく。




以上、太平記(大河ドラマ)のあらすじ第42話「母の遺言」でございます。

太平記(大河ドラマ)感想第42話「母の遺言」

太平記(大河ドラマ)感想第42話「母の遺言」。足利兄弟最愛の母清子も今回で亡くなりました。清子は「不安」を感じてはいたようではありますが、実際はその想像を遥かに超える凄惨な戦いに発展します。大河ドラマを見ていていつも思うのですよ。




いつ死ぬのかというのは本当に大事ですね。




清子は最後の「良い時」に亡くなった。

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太平記感想第42話「登子の孤独」

「足を踏んだ者はすぐ忘れるが、踏まれた方は覚えている」



心優しい登子の様子が少しずつおかしくなっていました。




前回、清子は登子の「棘のある言葉」に戸惑っておりましたね。




また、



「何処かで間違えた」



と、縁側でポツリと漏らしす夫尊氏を見つめる登子の視線はいつにもまして冷たかった。




今回答え合わせ。



「お身内と言えるお方は義詮を除いてお二人しかおりませぬ(涙)」



実の兄である赤橋守時をはじめ、登子の実家である北条一門は悉く討死しているのです。登子の立場は実は非常に弱いものなんですよね。




もし、尊氏に何かあれば・・・?




勿論、義詮を支える勢力がいないワケではありませんが、登子程義詮を心配する者はいないし、そして登子が心から信じることが出来る味方は二人しかいない。




忘れてしまうんですよね。




登子があまりにも完璧な御台所を演じ切っているから。




自分たち足利一門がこの登子からどれ程の物を奪ってきたか、そして尊氏個人に関して言えば如何に傷付けてきたか。




それをグッと胸に押し込んできたんです。




同じ女子である清子は登子の孤独に気づいてやれなかった事を深く悔いたように思います。




この頃は清子が誰よりも登子を気に掛けていた。




心優しき清子自身にもこれは堪えたように思います。

太平記感想第42話「同床異夢」

土岐頼遠の狼藉は言語同断、師直師泰兄弟の専横な振舞いも決して褒められたモノではない。




それは尊氏も直義も同じ思い。




ただ、二人の間には「罪の重さ」に関しては若干の差異がある。




だけでは無かったのですね。



「鎌倉幕府こそ手本」



武士の世を、幕府を夢見てきた足利兄弟ではありましたが、その「武士の世」のあり方は随分と異なっていたようです。




まさか旗揚げ以来二人三脚で戦ってきた直義と考え方の根本が異なっていたとはね。




先週、尊氏がポツリを漏らした一言。



「儂は、何処かで間違うたやもしれぬ」



何処かと言えば、



「最初から間違っていた」



という事なのでしょうね。

太平記感想第42話「尊氏の真骨頂」

師直は調子に乗ってしまった。




流石の尊氏も「和議」という大道の為に泳がせておいた塩冶高貞を「高貞の妻を得るため」に事実上殺してしまった、師直に堪忍袋の緒が切れた。




評定所で公開パワハラ。




直義以下評定方の面々も「メシウマwwww」って雰囲気ではありませんでしたね。




皆、気まずそうに下を向く。




尊氏と言えば温厚、優しい、師直たちを甘やかしているという印象だから余計に恐ろしかったと思います。



「師直、思い違いを致しておりました」

「殿がお命じになれば腹切って・・・」



この師直の言葉は心からの反省だと思います。




そして、此処から先が尊氏の真骨頂。



「師直、其方は代々足利の執事を務める高家の棟梁ぞ」

「頼りにしておるのじゃ」



これな。




凄い。




この尊氏の言葉は「ホンネ」なんですよね。




打算や所謂「ツンデレ効果」を狙ったの作戦とかではない。




後醍醐帝も義貞も親房も持ち得ず、佐々木道誉が惚れ込んでしまった尊氏の天賦の才。




唯一、正成だけがそれに近い才覚を持っていたかな。




師直、此処で心を入れ替えればなぁ・・・。




一応、女好きは治るのかな?




因みに前にも少し触れた師直女好き説なんですが、原作での描き方が中々面白いのです。




師直は結構な醜男だったこともあり、無類の女好きであったとか。




最近の研究では「濡れ衣説」もあるようですけどw。




女に血道をあげて付文送る様や風呂を除く姿があまりに板についていてちょっと怖かったですね。
(褒めてんですよ)




以上、太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第42話「母の遺言」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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