太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第11話「楠木立つ」。笠置山へ立て籠もる宮方の兵はわずか千未満。一方でこれを討つ鎌倉方は二万。諸国の武家は立たないが・・・。美しい者の代表楠木正成がついに決意する。太平記のあらすじと感想第11話

太平記(大河ドラマ)あらすじ第11話「楠木立つ」

ついに帝は挙兵した。幕府は「穏便に」済ました正中の変に続く二度目の「帝の謀反」に断固たる措置をとる。笠置山へ籠る宮方は僅かに千未満ではあるが、六波羅軍は笠置山を攻めあぐね度々手痛い敗戦を喫していた。

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太平記あらすじ第11話上巻「矢は放たぬ」

北条高時邸へ長崎高資、二階堂道蘊が訪ねてくる。




高時、そしてその実母覚海尼のいる東慶寺は「反長崎」の牙城であったが、もはやそのような雰囲気は微塵も無い。



「高資殿よう参られた」

「覚海尼の御前におかれましてはご健勝で何より」

「円喜殿も息災か??」

「はは!」



高時は二人のやり取りを興味なさげに眺めながら写経をしていた。



「太守(高時)におかれましては写経でございますか?」



高時は亡くなった足利貞氏のために写経をしているのだと覚海尼が答える。




長崎高資はそれは良い供養になると賛意を示す。高資自身も生前の貞氏には色々と世話になったとも。高時は少々白々しいと感じたようだ。



「高資、そちや円喜ほど足利を苛め抜いた者はおらぬ」

「白々しいぞよ・・・」



「はは、それもまた北条家のため、太守への忠誠より出でたること」



高資の言葉に高時はうんざりという表情だが、それ以上は何も言わない。




高資と二階堂道蘊がやってきたのは「ご機嫌伺い」ではない。笠置山での戦の件である。



「なんでも、六波羅では埒があかぬとか?」



覚海尼の言葉に高資は頷く。そして、幕府総力を挙げて笠置山を叩くことに決したこと、その笠置へと派兵する大将軍14名を知らせに来たのだ。




高時は高資から14名の御家人が記された書面を渡されると広げて読み上げる。



「・・・大将軍14人・・・大佛貞直、名越時見・・・皆参るのか?」

「はい」

「足利治部大輔・・・!?」



昨日、先代貞氏を亡くしたばかりの足利家も大将軍に含まれていた。



「かような時なればこそ、北条家のご恩に報いるべき」



と、高資はにべもない。
また、高氏はまだその「後背」が定まっていないというのが円喜をはじめとする幕府の見立てである。ここで、派兵命令を受けてどう出るかを見定めようとしているのだ。




幕府の出兵命令はその日の内に高氏に伝えられた。




義理の兄でもある執権赤橋守時は足利家を訪ねる。



「足利殿はかかる折でもあり、出兵は控えるよう申したのだが・・・」

「いえ、お引き受け致しましょう」

「お引き受けいただけるか・・・!」



守時は高氏の言葉に喜び頭を下げる。また、執権でありながら義弟のために何もできないことを詫びる。



「執権は飾りのようになってしまった」



執権の守時に話が回ってくるのは長崎父子や覚海尼・高時母子などの調整を済ませてから。やや自嘲気味に語るのであった。




高氏は引き受けると言ったものの、弟の直義はじめ、家中の者は猛然と反対する。



「兄上!何故!?何故引き受けると申された!?」



他の家中者も概ね皆反対である。口々に北条への怒りを現す。



「これは北条殿の嫌がらせ!」

「許せぬ!!」



そんな中、高師直は黙って高氏と直義をはじめ、反対派の家人のやり取りを能面のような表情で聞いている。




足利家には「喪中」以外にも事情がある。そもそも、足利家の領地は笠置にいる帝に寄進していおり、その管理を任されているという事情もある。北条に恩が無いとは言わぬが、帝からも恩を受けているのだ。




高氏は直義たちの突き上げには何も答えなかった。




そして、亡くなったばかりの父貞氏の遺骨の前に独りやってくる。



「・・・父上」



高氏は独り言。




この日、幕府の第一陣が笠置へ向けて出兵した。




足利家は数日遅れての出兵することと定められた。




翌日。




高氏と登子は夫婦二人朝餉を摂っていた。登子の物憂げな様子を気にして高氏は声をかける。



「どうしたのじゃ?」

「義父上が亡くなり殿もご出陣・・・鎌倉は淋しくなります」



少々暗い話題だっただろうか?




登子は直義のことを話す。



「最近、直義殿が色々と気に掛けてくれます」



そのことが嬉しいのだと。高氏も少し嬉しそうにその話を聞いていた。



「・・・直義殿もお淋しいのでしょう」

「私に「兄上は直義に何も話してはくれませぬ」と」

「何故易々と戦に行くことを承知したのか・・・」

「義姉上は何か聞いておりませんかとも・・・」



「それで、登子はなんと応えているじゃ?」



「私も何も存じませぬと・・・正直に・・・」



高氏は苦笑する。



「皆、大袈裟じゃの」



登子は高氏の言葉の意味が分からない。戦は「大袈裟」な事ではないのだろうか?




高氏は謎解きをするかのように応える。



「兵は出すが、戦をするとは申しておらぬ」

「笠置山を見に行くだけじゃ」

「矢は一本も放たぬ・・・必ず無事帰ってくる」



登子は不思議そうな表情で高氏をみつめていた。




足利家の出陣を明後日に控えたこの日。




登子は千寿王を伴い実家の赤橋家を訪ねていた。高氏から先日の貞氏の葬儀への参列の御礼を伝えるように言われていた。




守時は妹と甥の訪問を喜ぶ。



「千寿殿は重くなられたかな??おお!重くなった!」

「兄上、先日は亡き義父の葬儀への参列御礼申し上げます」

「うむ」



守時は妹の登子が高氏のことを案じているだろうと、戦の見通しは明るいと話す。また、今回「意外にも」あっさりと兵を出す足利家にはあの長崎円喜も「足利殿の事は評価せねばならない」と言っているとも。



大河姫

円喜は円喜で「幕府の安定」を心から願っているからね。足利がそれに協力的なら大歓迎。

「高氏殿はすぐに無事戻ってこられる」

「心配せずとも良い」



「夫もそのように申しておりました」

「高氏殿は此度の戦、矢は一本も放たぬ」

「笠置を見に行くだけだと」



「高氏殿がそう申されたか?」



「はい」



「・・・笠置を見に行くだけ・・・」



守時は不安気な表情を見せ、登子から聞いた高氏の言葉を繰り返した。



大河姫

登子はこの時何を考えていたか・・・?いや、何も考えていないの・・・か・・・?

高氏は9月上旬、鎌倉を発した。




笠置山は未だ落城していなかった。

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太平記あらすじ第11話中巻「南の大樹」

後醍醐天皇が挙兵してから2週間が経過していた。




笠置山は未だ健在である。




度々の六波羅の攻撃を防いだ事もあり士気は旺盛ではあったが・・・。




ただでさえ少ない帝の兵は傷つき、次第に敗色が濃くなっていた。後醍醐天皇としては、笠置山が健在のうちに諸国の武家の決起を期待していたが、思うように兵は集まらない。



「師賢、兵の集まりは如何に?」

「昨日、三河の足助氏が一族百名ほど率いて加わりました」



数百、数十では万を超えるであろう幕府方相手には心元ない。三河からも参陣した者がいるのだ。摂津、播磨、備中など近隣諸国の武者ならとっくに参陣出来ていてもおかしくない。




後醍醐天皇の指摘に師賢や万里小路藤房をはじめとする公卿は下を向く。



「ご心配遊ばし給うな」



千種忠顕は一同を勇気づけるかのように応える。彼は公卿であるが武者姿で前線にも立っていた。



「御上のご聖断下ればたちどころに兵は集まります」

「ただ、ここは狭いためにわかな大軍は却って不利でございます」



そこに、大きな戦場の歓声が聞こえる。声の感じからも分かる通り近い。公卿達は動揺するが、千種忠顕は動じない。



「麿が参る、此処で帝を(お守りしろ)」

「待て、忠顕、河内水分に楠木正成なる人物がいると聞いているが」



後醍醐天皇はかつて、日野俊基が一丁ことある時には頼みにして然るべき者と幾度も聞かされていた。忠顕もまた、楠木正成の噂は知っていた。



「楠木正成なる者の事は私も存じております」



かつて、幕府の兵500ほどが楠木党の市場を荒らしたとき、僅かな兵で苦も無く平らげたと語る。紀伊、大和の「悪党」はことごとく楠木に滅ぼされているとも。



「確か、楠木にも綸旨は発しておるはずじゃが・・・」

「河内からは3日の距離」

「なれば、既に北条方か?」



後醍醐天皇は一座のやり取りを黙って聞いているがその表情は冴えない。



「楠木に限り、北条方と言う事はありませぬ」



その僧は隣国の者でもあり、その人となりは分かっており、使者を遣わせば必ず参陣すると話す。しかし、無位無官の土豪の武者ばらに帝の勅使を遣わすのか?




結局、この日はなんの進展も見なかったのである。




その夜。




後醍醐天皇の夢枕に菩薩の使いである二人の子供が現れ予言を伝えたのだ。



「この先、世は大いに乱れることになる」

「その乱れは御身(帝)が隠れる場所すらないほどである」

「ただ、大樹の南の影に帝の席を設けました」

「しばし、その木陰でお過ごしなされませ」



目覚めた後醍醐はさっそく側近の万里小路藤房に問う。



「藤房!この夢解けるか!?南の大樹、木の南じゃ」

「文字にすれば「」と読めよう!!」



早速、楠木正成へは勅使が送られる事になる。




その頃、楠木正成の領国である河内では北条方による兵糧米の徴収が激しく行われていた。
今回の戦に、



「笠置方でも北条方でもない」



楠木党は兵を出さないと言った正成に対して、ならば物資を供給せよと言う事のようだ。これは事実上の略奪である。




正成の元には北条方に米を奪われた領民がその横暴を訴えに来ていた。




さらに、北条方の横暴に正成の配下の武士もついに戦に出るものが現れる。




和田五郎、神宮寺正房の二人は弟の正季の元で笠置へ走ると告げに来たのだ。



「帝の激に応じて北条を討ちます!!」

「正季が笠置へ?誰がそのようなことを許した!なぜ正季は自分で来ない!?」

「龍泉寺殿は兄と話しても喧嘩になるだけど我らが代わりにご挨拶に!」



最長老の臣、恩地左近によると正季の元には既に200騎ほどが終結しているという。



「殿!もはや笠置でもない北条でもないは通用しませぬ!」

「しからば御免!」



二人は正成の説得には耳を貸さなかった。




苦悩の表情を浮かべる正成の元に息子多聞丸が駆け寄ってきた。後ろには妻久子もいた。




多聞丸は手習いをしていたのだ。誇らしげに「多聞丸」と書かれた半紙を見せる。




正成は相好を崩し、褒める。



「よく書けておる!大きくて立派な「」じゃ」

「が「」がいかん!よし!手習いじゃ」



多聞丸の手習いを見る正成。その様子を心配そうに、思い詰めているかのように眺める久子。



「・・・行きたい者は行けばよいのじゃ・・・」

「のう久子・・・愚かな事じゃ」

「僅か200人で笠置へ行ってもみな討たれてしまう」

「正房も五郎も妻も子もある・・・どうするつもりじゃ・・・」



「殿、今からでも間に合います」

「正季殿も、殿の顔を見れば」



「そうじゃの・・・そうじゃの!」



正成が屋敷を出て龍泉寺へ向かおうとしたとき、笠置からの勅使が来たという知らせが届く。



「これはこれは、金剛寺の了源坊!」

「く、楠木殿に笠置より勅使でございますぞ!」



正成はいったい一瞬、何事か理解出来なかった。

太平記あらすじ第11話下巻「勅使」

楠木の屋敷を訪れた勅使は帝の最側近万里小路藤房。




武家への勅使、いや、楠木のような土豪に勅使とは前代未聞ことである。



大河姫

楠木正成と万里小路藤房。三大忠臣の二人の邂逅。もう一人は平重盛。

正成もまた、正装の上勅使を出迎える。



「このような山里へ帝の御使いとは何事でしょうや」



「詔である。謹んで承れ」



「はは」



後醍醐天皇がかねてから楠木正成を頼りとするように日野俊基より話を聞いていたこと、そして、此処に至りて綸旨を発しているにも関わらず楠木の姿が見えないことに、特に、勅使を遣わし、笠置へと召したことを伝える。



「この冥加、あり難くお受けなされ」



「このような冥加、謹んでお受けすべきとは存じますが・・・」

「力なく、才なき正成なれば平にご辞退を申し上げます」



「な、なに!?」



「詔に応じなければ万死に値しましょうが平にお許しください」



「お受けせぬは鎌倉方への義理立てか?」



「我が家は北条殿とは縁薄く、いわば独歩の家」



「ならば・・・」



「見ての通りの田舎侍!帝の元へ参じても却って乱を大きくするばかりでございます」



「一介の武者にかくばかり仰せらるのも、苦難の時なれば!」

「儂も此処を動けぬ!思案付くまで此処で待とうぞ」



「これは・・・また迷惑な・・・」



「控えよ兵衛!主上はみどもにこう申された・・・」



藤房は後醍醐天皇が見たという夢の話を伝える。
そして。



「この藤房、夢などは信じぬ・・・信じぬが!」

「夢にすがらねば・・・笠置は・・・主上の御命は・・・頼む」



藤房はそういうと涙するのであった。正成はただ、ひれ伏していた。




藤房は屋敷の近くの寺に宿をとることになり、楠木の屋敷を後にする。正成は縁側に座りじっと柿の木を眺めている。妻の久子はその柿の木からとれた柿を「干し柿」にしている。




縁側には正成と久子だけである。




皆、寝静まったようだ。



「殿、この柿の木も大きくなりましたな」

「大きくなったの・・・」



この辺りでは嫁入りに際して柿の木の苗木を庭先に植える風習がある。その木と共に生き、そして天寿を全うした暁には木を切り、それを薪として荼毘に付されるのだ。




夫はその木が健やかに育つように気を配る。つまり、妻を大事にするという事である。久子の母も祖母もそうして過ごして来たのだ。



「私は病がちでしたらか、この木はすぐに切られ憐れと思っておりましたが・・・」

「こんなに大きくなって!」



二人は思い出話に笑い合う。



「男はこう言われるのじゃ」

「木を間違っても自分で切ることにならぬようにと」

「じゃが、男には戦がある」

「戦は女子供を巻き込み木も切らねばならぬ」

「儂はそれが嫌なのじゃ」



二人は木をみつめ暫く沈黙する。



「殿、木も生き物でございます」

「家の主が誉となれば木も誉、主の気が沈めば木も沈みます」

「殿が嫌でも楠木党は走り出します!」

「帝直々のお召しとは武門の誉、久子の誉、家門の誉でございます」

「木のためにお迷いなさいますな」

「木の為に迷うなら、木も久子の一生後悔します」

「それならば・・・!」



久子は近くに置いてあった斧を木に振り下ろす。刃は気に浅くめり込んでいた。



「久子・・・長い戦になるぞ・・・長い戦に・・・」

「多聞丸を・・・頼む!!」



夫の決意を聞いて久子は涙を浮かべた。




ついに、楠木正成が立った。




河内の片隅で立ち上がったこの土豪が後に世を大きく変える。




高氏もまた、旅の半ばで楠木正成立つの報を聞く。




以上、太平記(大河ドラマ)のあらすじ第11話「楠木立つ」でございます。

太平記(大河ドラマ)感想第11話「楠木立つ」

太平記(大河ドラマ)感想第11話「楠木立つ」。足利高氏が北条方として立ち、楠木正成が宮方として立つ。二組の夫婦の心の機微が見所かな。登子の微妙な心理が特に印象的。もっとも、今回は何も起きないんですけどね。

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太平記感想第11話「登子の心理」

「笠置を見に行くだけじゃ」



この言葉の意味。




登子の表情が気になったんですよね。
はじめは多分、



「不安」



であったのだと思います。戦である以上、最悪夫高氏は命を落とすかもしれないと。




ただ、高氏の言葉を聞いて、



「別の意味の不安」



を、感じているようにも思いました。これは、嫁入りの時に「もし、北条と敵味方になれば」という言葉を聞いていたからこそ感じたと言えるかな。




守時にもこの言葉をそのまま、伝えていますが、これは兄守時への「アラート」でもあるように思います。




此処で嫁入りの時の言葉を告げれば守時の警戒心、いや、北条方の警戒心は高まりますが、しかし、そこまでの情報は与えない。




兄守時と夫高氏、北条家と足利家、妹と妻の心境の間で揺れる微妙な女心。




お市の方の姉川の戦いでの行動を思い出しますね。

太平記感想第11話「時代のうねり」

楠木正成は日野俊基とはあまり会っていないのですよね。少なくとも、この大河ドラマ太平記が始まってからは一度も。



「これはまた迷惑な」



勅使である藤房に向かって放ったこの言葉が正成の偽らざる心境なのでしょうね。日野俊基の「世直しへの想い」には共感しつつも「戦をする」ということには賛同はしない。だから、日野俊基の事も避けてきた。




その意味では(前も書いたかもしれませんが)北条高時や吉田定房に心理的には近いのかもしれない。




ただの土豪に過ぎない自分にそこまで期待をするという現実に、本当に困っている姿が物悲しい。この姿は600年後の山本長官と重なります。



「戦を大きくするばかり」



という言葉も重い。




多分、正成は自分の持つ「戦における才覚」は正しく認識していたと思うのですよね。そして、自分がその力を遺憾なく発揮すれば宮方は「善戦出来る」とも。


善戦の上、敗北すると。



戦略的に負けている戦いを戦術で挽回することは不可能である。




しかし、時代が正成を放っておいてはくれなかった。




妻、久子は「引き裂かれる夫」を見ていられなかったのだと思います。




ならば。




背中を押そう。




もはや、このうねりから逃れる事は出来ないのだから。




以上、太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第11話「楠木立つ」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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