太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第7話「悲恋」。藤夜叉と一緒に京で夢の続きを見るのか?足利の棟梁として生きるのか?貞氏に覚悟を問われる場面。偉そうに覚悟と言っても父には見破られているの。親父は偉大だ。太平記のあらすじと感想第7話

太平記(大河ドラマ)あらすじ第7話「悲恋」

正中2年(1325年)正月。




奥州での安東氏の反乱は収束する気配はなかった。鎌倉からは北条家を中心とした軍勢が次々と送り込まれるが連戦連敗を続ける。この日も敗残兵が沈鬱な表情で鎌倉へ帰還してきていた。安東氏は当初4千程度の兵力であったが、蝦夷の者も味方に付けて数万に膨れ上がっていた。




その様子を小気味良さげに眺める若い男。




石である。楠木館のある水分(みくまり)から花夜叉一座のいる鎌倉まで戻っていた。石は藤夜叉が高氏の子を身ごもったことを知らない。

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太平記あらすじ第7話上巻「円喜来訪」

鎌倉の足利屋敷は物々しい雰囲気に包まれていた。内管領長崎円喜の来訪の意向が伝えられていたのだ。



「屋敷内総出でお出迎えせよ」



右馬介から円喜来訪の知らせを聞いた高氏は不満気である。また、藤夜叉の件は貞氏には報告をした旨伝えられる。



「・・・右馬介、父上はなんと?」

「よろず、この右馬介に任せると」



高氏が北条家(赤橋家)から登子を迎え縁戚となる。それまでは危ない振舞いは慎むようにとも言われていた。藤夜叉の件は高氏と右馬介、そして貞氏以外は知らない。



「京でのことは過ぎた夢とお覚悟をお決め下さい」



右馬介は藤夜叉の居場所を突き止めていた。悪いようにはしないと高氏に言い含める。




先日の「騒動」などどこ吹く風である。内管領長崎円喜はご機嫌な様子で単身足利屋敷を訪ねてきた。




直義などは敷居を跨いだら叩き斬ってやると息巻いたが、口だけで終わる。




貞氏は円喜の来訪を謝する。高氏も貞氏の隣で頭を下げる。



「わざわざの来訪嬉しく侍る」

「ははは、嬉しく侍るのはこの円喜も同じこと」



円喜は来訪の目的は「足利家と赤橋家」の縁組の件であった。執権北条高時もとても「良い話」と喜び早く話をまとめるように命じられたのだと。足利家に異存が無いのであれば話をまとめたいと言う。



「改めてご当家に異存が無いか確かめるようにと」

「して、ご異存はございませぬな?」



「身に余る光栄と執権殿にお伝え下さい」



「いやあ!これは目出度い!」



円喜は貞氏の返答を喜ぶ。



「これで、我が北条家は足利家を兄とも弟とも思って政を行わねばならぬが・・・」

「・・・この所奥州にてちと厄介な問題がありましてな」



円喜は「北条家のお身内になる大大名」となった足利家に安東氏の乱の鎮圧に6千ほど兵を出して欲しいと頼む。貞氏は一瞬表情が曇るが・・・。



「我が一族に使いを出して兵を整えるに3カ月ほどはかかりましょう」

「やむを得えませんな、お待ちもうそ」



円喜は派兵の約束を取り付けると上機嫌で足利屋敷を後にした。




安東氏の乱は「長崎高資」のまずい裁きが原因である。その尻拭いを足利家に任せることに高氏は不満である。



「父上、何故断りませんでした?」

「北条家のお身内と言われてはな・・・」

「されば、お身内になるのはやめましょう」

「そうもいくまい・・・」

「何故・・・何故にございます!」



高氏は部屋を出でる貞氏の背中に向かい叫んでいた。

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太平記あらすじ第7話中巻「逃避行」

藤夜叉は高氏の子を身ごもったことが分かってから、佐々木道誉により花夜叉一座とは別の場所に移されていた。




周囲は佐々木の兵で厳重に警護されていた。




藤夜叉は一人燭台を灯し文を書いていた。



「・・・誰に文を書いているのだ?」

「石!?」



石は花夜叉に居場所を聞き出し厳重な警備を抜けて天井から入ってきたのだ。藤夜叉は石の声に一瞬喜んだ表情を見せるが、天井から降りてきた石の表情を見るとその表情は曇る。




石は藤夜叉が書いていた文を手に取るとそれを読み上げるように皮肉を言う。



「足利に会いあわよくば側女にしてもらう」

「石は兄弟だから足利の下人に召し抱えくれよう」

「そんな事でも書いたか?」



「石・・・」



「足利は儂の親の仇じゃ!忘れた訳ではあるまい!」



石は文を丸め藤夜叉に投げる。藤夜叉は顔を見て謝るのはつらいから文で謝ろうとしたのだという。



「私、よく分かったの」

「ずっとモヤモヤしてたけど分かったの」

「好きだから忘れぬように子が出来たと」

「たった一度会っただけなのに、」

「だから、もう一度お会いして確かめてみたい」

「私勘違いしてないかって」

「もしかしたらお腹の子のこと喜んでくれるかも・・・」

「きっと喜んで下さる!だから・・・」

「私、石の嫌いな人を好きになってゴメンね」



大河姫

あ、あ、あ、、、聴いてられぬ・・・。

藤夜叉は夢見るように語る。



「無駄だ・・・会っても無駄だ」

「足利の御大将は北条から嫁を取る」

「北条でも一、二を争う見目麗しいお方」

「そんな男と会ってどうする」

「子供なら一座が育てる」

「父が必要なら俺や木斎さんがなる」

「足利はよせ!北条の天下がいつまで続くかもわからんぞ」



石は河内水分で楠木正季から「北条打倒」の一味に加えて貰えたことなどを誇らしげ話す。しかし、藤夜叉は心此処に在らずという雰囲気である。



「藤夜叉・・・相手が悪い」



大河姫

石は藤夜叉に恋愛感情は無いんだね。まあ、兄妹だから当然と言えば当然か。

藤夜叉は唐突に子供の頃の話をする。




まだ、石が花夜叉一座に拾われる前の5歳か6歳の時に早く赤ん坊が欲しいと思ったと。



「赤ん坊がいれば賑やかで良いなって」

「でも、同じ、何も変わらない」

「石!此処を出たい!いてもしかたないもん」



二人は見張りの目を盗み、部屋を出て屋敷を抜け出そうとするが、屋敷の庭から門を抜けようしたときに見張りに見つかる。



「何者だ?!斬れ!」



かがり火は炊かれているが相手の顔はよく見えない。万事休すかと思ったその時。



「早く逃げい!」



屋敷の壁の上から顔を隠した男たち(右馬介たち)が入ってくると藤夜叉を外へと逃がす。表へ出た藤夜叉は立ち止まる。



大河姫

白馬の王子様を見た藤夜叉・・・ってかホントに白馬じゃん!

藤夜叉は馬上の高氏を見つめている。



「乗れ!よいか!しっかり掴まっていろよ!」



大河姫

ホント、見てられまへん・・・!

高氏は藤夜叉を乗せて駆けた。



「このまま・・・このまま都へ帰りたい」



波の音が聞こえる。



大河姫

愛を囁くには波音が必要で愛の告白には砂浜が最適。

「子がいるのは真実か?」

「そなたを引き取るつもりでいた」



「では、どうして北条の姫君を・・・どうして!」

「此処が鎌倉だからですか?」

「都へ行けばお会いした時のお殿様に・・・」

「あの夜のことが忘れられませぬ」

「夢の醒めぬうちに都へ戻りたい!高氏様と!」

「今すぐ都へ!」



藤夜叉は高氏が北条の姫を迎えるのを見たくはない、情けで側女にされるのも嫌だと泣く。高氏は藤夜叉を抱きしめていた。



「儂が一緒に行けぬと言ったら子は?」

「独りで育てます」



高氏は今すぐに一緒には行けないが、明日の夜もう一度此処へ来てほしいと話す。



「都の想いは同じぞ!」



そこへ、石が追い付いてくる。



「そんな奴(高氏)から離れろ!こっちへ来い!」

「放っておいて!」



大河姫

ああ、石は大事なモノを奪われていくのな・・・。しかも、奪っている方は「奪っている自覚」すらない。

石は手に抜き身の短刀を構えていた。高氏は明日此処でと藤夜叉に言い含めると馬にまたがり戻っていく。

太平記あらすじ第7話下巻「覚悟」

深夜、足利屋敷へ戻ると丁度帰り際の客人と出くわす。客は新田義貞であった。



「それがしも北条殿命で奥州に兵を出します」

「本日はそのご挨拶に」



足利だけではなく、新田、小山など諸国の源氏も今回の安東氏の乱鎮圧に駆り出されるのだ。



「我らは足利殿と違って貧乏御家人」

「これから田畑売って戦の準備せねばなりませぬ」



そう言うと足利邸を後にする。




高氏は父貞氏の元へ急ぐと、この深夜に新田義貞が何をしに来たのかを尋ねる。貞氏は扇を手に、鎌倉から奥州までの絵図面を前に座っていた。




新田と安東氏はかねてから「結び付き」があると言われている。その新田が北条の命で易々と出兵するとは思えない。



大河姫

しかも、日野俊基から聞いているからね。足利立てば天下が動く。

「新田殿はなんと?」



「多分、新田も小山殿も足利も長崎殿に軍勢の催促を受ければ同じ事を考える」

「奥州征伐に集められた軍勢が奥州勢と合流すれば相当の数になるであろう」



高氏は興奮気味に問いかける。



「もし、その軍勢が鎌倉に反転し!?」

「新田殿はそれを!?」



「口に出しては言わぬ」

「何も言わずに帰って行った・・・腹を探りに来たのであろう」



「父上の御心は?そのおつもりで長崎殿の催促をお受けに?」

「お聞か頂きとうございます!敵となる北条の姫を嫁に?」

「高氏はもう我慢なりませぬ!」

「父上は何を考えておられる!真意をお聞かせください!」

「事と次第によってはこの高氏覚悟がございます!」



貞氏は一瞬虚ろな表情を見せる。



「覚悟?」

「覚悟とはどの覚悟か?」

「北条と戦する覚悟か?なら兵を集めねばならぬ」

「その為に北条を欺かねばならぬ」

「赤橋登子殿を嫁に取る覚悟か?」

「何処ぞの白拍子と夢の如く生きていく覚悟か?」



高氏は息を飲む。



「どの覚悟だ!!」


貞氏は一喝する。




そして、また苦渋の表情である。



「覚悟は難しい」

「此度こそと思ってやってきて未だに覚悟がつかぬ」

「足利一門、何千の兵が儂が動けば動く」

「女子供を併せれば万の数だ」

「それらの者を皆、殺すことになるかもしれぬ」

「それよりも、赤橋殿と力を併せて」

「戦もなく幕府を正すことが出来るのなら登子殿は救いの神だ」



言い聞かせるようにもう一度繰り返す。



「それが出来れば」



「出来ますか?幕府を正すことが?」



「分からん、が、やってみる値打ちはある」

「高氏!今分かっているのは儂も其方も足利の棟梁として生を受けた」

「そこから逃れることは出来ぬ」




幕府では長崎円喜は赤橋守時、金沢貞顕の来訪を受けていた。



「なに?軍勢催促は下の策と申さるるか?」



金沢貞顕は足利、小山だけで1万、さらに足利には諸国に万の軍勢がある。もし、その軍勢が奥州安藤勢と鎌倉を突けば・・・?



「これは金沢殿とは思えぬ・・・」



金沢貞顕と言えば足利とは縁戚の間柄でもあり、いつも肩入れしていたはずだが。



「足利殿に限りとは思いますが・・・」

「諸国の源氏を鎌倉に集めるは不用意」



円喜は顔色を変えて今度は赤橋守時に意見を求めるが、今回の安東氏の乱は北条の手落ちが原因であり、北条一門で解決すべきと原則論を述べる。円喜は苛立ち気に、



「赤橋殿!それがしは足利の寝返り有や無しやと」



「それがしは妹を足利殿に嫁がせます」

「聞き捨てなりませぬ」



「えええい!軍勢催促は取りやめじゃ!ままならぬ奥州よ!」



赤橋守時は登子に足利への嫁入りの日取りが決まった事を伝えるのであった。




以上、太平記(大河ドラマ)のあらすじ第7話「悲恋」でございます。

太平記(大河ドラマ)感想第7話「悲恋」

宮沢藤夜叉が「女の愚かしさ」を見事に演じておりましたね。原作と比較すると結構マイルドな感じではありますが。原作の藤夜叉は結構メンヘラも入っていたりする。また、高氏も「男の愚かさ」「身勝手さ」が如実に出ていた。・・・出過ぎて貞氏に一喝されておりましたが。

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太平記感想第7話「覚悟」

「事と次第によってはこの高氏覚悟がございます!」




この「覚悟」は幼い覚悟でしたね。北条と戦をする覚悟という大義名分を隠れ蓑に「藤夜叉」を正妻に迎えるというのが本来の目的。




あっさりと貞氏には喝破されておりましたが。




貞氏に一喝されて、その苦悩を見てからは、



「目が覚めた」



ようでしたね。目が覚めたと同時に己の「矮小さ」に気付いて恥じ入っていたようにも見えました。




高氏、三歩進んで二歩下がる。




日々成長。

太平記感想第7話「不用意」

「新田も小山殿も足利も長崎殿に軍勢の催促を受ければ同じ事を考える」



しかし、幕府最高権力者で知恵も回る長崎円喜ともあろう御仁がその事に気付かない。個人の能力の限界なんでしょうかね。




だからこそ「機会(チャンス)」が訪れる事もあるということなんだと思いますけど。




さて、此処で気になるのは金沢貞顕と赤橋守時の本心です。




この2人は「長崎憎し」の想いは共通であり、足利贔屓でもあります。円喜が「軍勢催促を取りやめ」を決断した時に目と目で通じ合っておりました。守時は「足利寝返りの可能性」に聞き捨てならぬとも。




聞き捨てならぬが・・・。



「足利を警戒する気持ちが無かったか」



と、いうとそれもあったように思うんですよね。




感覚的に3割5分くらいかな・・・?




以上、太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第7話「悲恋」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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→太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第8話「妖霊星」