太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第5話「危うし足利家」。高氏は謀反を疑われ侍所へと連行される。長崎円喜はこの機会に足利家を潰そうと画策していた。貞氏は一縷の望みをかけて、執権北条高時の元へと向かうが・・・。太平記のあらすじと感想第5話

太平記(大河ドラマ)あらすじ第5話「危うし足利家」

花夜叉一座も鎌倉へとやってきていた。おりしも、日野俊基もまた鎌倉へと送られてきた日である。花夜叉は遠目から日野俊基の様子をそっと眺めていた。




巷では日野と足利の処分や「帝の謀反」について話題が溢れている。



「足利の御曹司も危ない」



藤夜叉はその話を耳にすると動揺する。あの都の夜、高氏の子を宿していたのだ。

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太平記あらすじ第5話上巻「貞氏の想い」

貞氏は縁戚でもあり懇意にしている金沢(北条)貞顕に詰め寄っていた。



「これではまるで罪人の扱いではないか!」

「長崎殿が・・・儂も執権殿も預かりしらぬ所でな・・・」

「お主の力でなんとかならぬのか?執権殿に次ぐ連署であろう??」



貞氏の言葉に貞顕は首を振る。貞顕を「連署」の地位に付けたのも長崎円喜である。連署の地位も所詮飾りに過ぎない。




高氏解放に出来る限りの協力はすると言ってはくれたが全く心元なかった。




貞氏は直接執権北条高時にも面会する。



「珍しいのぉ・・・讃岐(貞氏)が儂に会いに来るとは・・・」

「田楽もやらぬ、闘犬も見に来ない・・・」

「そこもとはいったい何が楽しくて生きているのだ??」



高時のこの言葉は皮肉では無さそうである。心底不思議そうである。



「鎌倉の繁栄を常日頃から願い職務に励んでおります」



高時はやや面食らった感じである。



「そうか、それは殊勝な心掛けじゃ・・・」

「儂の父もそのような事をいつも申していた・・・」



公平であることが何よりも肝要である。高時は父の言葉を思い出していた。



「此度、この鎌倉で不正義がまかり通っている件ご存知でしょうか」

「・・・高氏のことじゃな・・・それは円喜に任せておる」



ダメだ。
面倒なことに巻き込まれるのはゴメンであるとい雰囲気だ。高時にはそれ以上取り付く島もなかった。




貞氏が高時の元を辞すと長崎円喜・高資父子と会う。



「おお、讃岐殿!如何された?執権殿に御用とは珍しい」



「ちと、私用のご相談を」



「私用!そのような事はこの円喜が承ったものを・・・」

「して、どのような私用であった?(パン!)」



円喜はかつて吉見の一族の件で貞氏を問い詰めた時のように扇で貞氏の肩をたたく。貞氏は円喜の言葉を無視して鎌倉の足利邸へと戻る。円喜はその後ろ姿を不愉快そうに見送る。




足利邸では直義が戦支度の指示をしていた。



大河姫

太平記が「霜月騒動」から始まっている意味が生きてくる。一大勢力だった安達泰盛の一族は霜月騒動で消滅している歴史を知っているのだから当然安穏とはしてられない。北条は「ヤル時はヤル」のだから。

かつて、安達泰盛が襲われた「霜月騒動」の例もある。そこへ貞氏が戻る。



「父上!執権殿はなんと!!」



貞氏は何も答えずに奥へと向かう。そして、妻、清子に幕府政所での出来事を話す。



「長崎殿に会ったが、何も言わず振り返りもせず戻って来た」

「20年出来たことが出来なかった」

「・・・愚かなことじゃな・・・」



大河姫

こういう「心理描写」させたら緒形拳の右に出る俳優は早々いない。

自嘲気味の夫、貞氏に清子はかける言葉がなかった。



「父上!金沢様が表に!」



貞顕は貞氏と高氏の面会の許可を取り付けてきたのだ。幽閉されている侍所で格子越に親子の対面が実現する。




高氏はどんな表情をすれば良いのか分からなかった。



「息災か?」

「申し訳ございませぬ・・・直義などはさぞ騒いでおりましょう」

「ははは、戦支度と騒いでおるぞ」

「まったく誰に似たのか・・・」



ただ、貞氏は元気そうな高氏の姿を見て嬉しそうである。高氏は敵の罠にみすみす墜ちた自分の至らなさを詫びる
しかし。



「此度の件は高氏の試練とばかりは思えませぬ」

「・・・足利家の試練とも思えませぬ」

「これは鎌倉の試練」

「今回の裁きが納得出来るものでなければ、この牢を蹴破ってでも出ます」



「そうか」



「父上はその時は・・・」



「お前を見捨てることは無い」



大河姫

旅から戻ったわが子の成長を喜んでいる感じだね。

貞氏はそう言って静かに微笑んだ。

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太平記あらすじ第5話中巻「対決」

侍所での取調べには長崎父子をはじめ、赤橋守時、金沢貞顕など鎌倉幕府の重鎮たちが揃っていた。



「日野俊基と淀の津で密会しておったな?」

「いいや、私は預かり知らぬ」

「淀の津で六波羅の捕吏から俊基を逃れさせ佐々木判官邸へ逃げた!」

「知らぬ」

「証人がおるのだ」



高氏はその「証人」に衝撃を受ける。佐々木道誉が高氏の隣に座ったのだ。



「佐々木殿、都での一件をもう一度」

「はは!某は京で日野俊基殿とは懇意にしておりまた」



高氏は合点が行った。この佐々木道誉が裏切ったのだ。




しかし、事実はそれ以上に残酷であった。



「裏切った」



のではなかった。




佐々木道誉は執権北条高時の信頼厚く、その密命を帯びて京表で謀反の内偵を進めていたのだ。そして、見事に日野俊基を吊り上げ、さらにもう一匹の大物「足利高氏」をも吊り上げたのだ。



「足利殿と日野殿はわが屋敷へ逃れて参りました」



長崎円喜は佐々木道誉の証言に笑いを堪えるのに必死の様子である。



「判官殿・・・お主の隣にいる足利高氏殿で間違いないな?」



道誉は高氏に顔を近づけまじまじと見つめる。



「いや?この若武者ではございませぬ」

「な、なんと!もう一度よく見るのじゃ!」

「何度見ても・・・成程!あの若者は儂を謀った・・・」



審問はこれでお開きとなる。長崎円喜は帰り際の佐々木道誉を呼び止める。



「判官殿は我らと同心と思っていたが?」



「なんの・・・違うものを違うと申したまで・・・」

「それと、某は長崎殿と同心した覚えなどありませぬぞ?」



「なんと?」



「某は執権殿の命でしか動きませぬゆえ(パン!)」



道誉は扇で円喜の肩を叩くと笑いながら侍所を後にした。




高氏は未だ幽閉中だが、そこに赤橋守時の来訪を受ける。



「先程の長崎殿のやりようは審問とは言えぬ」

「あれは長崎殿が言いたいことを言ったまで」

「儂は足利殿の本心を聞きたい」



守時は赤橋登子の兄である。




守時は坂東武者が僅か数日の間、京にいただけで公家と同心し東国に弓を引くとは思えないという妹登子の言葉を伝える。



「そのような坂東武者はおりますと妹殿にお伝え下さい」



高氏は自分は日野俊基とは「関係はない」が、京で数日過ごしただけで、このまま宮方に身を投じたいという衝動に駆られたと語る。



「それ程、鎌倉は腐っている」

「そこにいる足利も」



「足利殿のお気持ちよく分かりました」

「私も北条で無ければ・・・この鎌倉は腐っていると」

「しかし、鎌倉は長崎殿だけではない」

「ゆめゆめ、早まったことをなさらぬように」



高氏の無実は佐々木道誉の証言で証明されたが、長崎円喜はこの機会に足利を潰す事を諦めていなかった。無論、足利邸では貞氏を中心に直義、高師重など重臣たちが北条方の襲撃に対抗すべく作戦を練っていた。




足利家は幕府最有力御家人である。いざとなれば万を超える兵力を整えることが出来る。出来るが・・・。



「これしか集まらんのか!?」



直義は鎌倉で動員可能な一門衆の一覧を見て天を仰ぐ。



「直義様、所詮我らは鎌倉では手足をもがれたも同じ・・・」



直義はこちらから長崎邸に奇襲をかけることを提案するが、そこは長崎方も警戒しているはずである。もし、しくじれば足利は滅亡である。




重苦しい雰囲気の中に意外な来客がある。



「新田殿が安東十郎申す者と殿に目通りを願っておりますが・・・」



直義、高師重は今はそれどころじゃないとツレナイ反応だが、貞氏は会うことにする。



「このような夜更けに突然申し訳ない」

「新田殿・・・久方ぶりですな・・・」



新田義貞は安東十郎を紹介する。十郎は今、奥州で幕府軍と戦っている安東季長の家臣であり、季長の書状を預かっていると話す。そこには、共に北条打倒に立ち上がろうといった趣旨のことが書かれていた。



「足利殿が立てば、幕府軍を挟める」



貞氏は書状を火鉢にくべると、安藤十郎ではなく、新田義貞に語りかける。



「画を描いたのは新田殿ですな?」

「新田は足利殿と違い無位無官、思いなどはございません」

太平記あらすじ第5話下巻「鎌倉幕府」

赤橋守時高氏の審問の後に妹の登子に改めて高氏の印象を問うていた。審問の結果自体は高氏に有利なものであったが、長崎円喜はこの機に足利を潰すことを諦めてはいなかったのだ。



「足利殿は信用出来るお方と見たか?」

「そう思います・・・正直なお方でしたから」

「嫁に行けと言えば行けるか?」



「はい!」




登子は返事が思わず大きな声となってしまったことに頬を染める。



大河姫

沢口登子可愛いな・・・

「足利高氏救うてみるか・・・此処で死なすには惜しい男だ」



その日、朝廷から勅使が到着する。後醍醐は申し開き書、事実上の「誓書」を幕府へ送ったのだ。




その夜、足利貞氏が新田と密会していた夜。




幕府では執権高時も臨席の元「朝廷への対応」を協議していた。内管領長崎父子、連署の金沢貞顕、赤橋守時、二階堂貞藤など鎌倉幕府の顔役たちが揃っていた。




後醍醐天皇の誓書を囲む顔役たち。




長崎高資はさっそく誓書を読もうとするが・・・。



「おやめなされ!」



二階堂貞藤は高資を咎める。高資は二階堂を睨みつけ、文句を言うが父円喜に出過ぎるなと釘をさされると引き下がる。




執権高時は不思議そうである。



「爺(二階堂)なぜ読んではならぬのだ?」

「このまま、お返しするのが礼と心得ます」



天子が臣下に「誓書」を出すなど和漢の歴史にも前例がない畏れ多いことだと。高資は二階堂の「オツムが古い」のだと悪態を付く。




此処で赤橋守時もまた融和を解く。



許せと誓書まで送ってきた帝をここでさらに責めて敵に回してどうするのだと。高資に代わり父円喜が鷹揚に頷きながら応える。



「赤橋殿の案じていることはわかっておる」

「奥州に火のついた今朝廷を敵に回す理が何処にあると問うているのだと」



「帝だけではない、鎌倉随一の足利殿も敵にして如何なさるおつもりか?」



「それは・・・足利高氏殿のことよの?」

「罪ありと言う事で疑いはしたが敵にはしておらぬ」

「鎌倉幕府は公平な裁きを常に心掛け百数十年世を治めておる」



「ならば、奥州に火を付けた罪人も等しく裁き獄に繋がねばなりませぬな」



赤橋守時は「奥州の乱」に至るいきさつを語る。元々は安東季長と従兄弟である五郎三郎季久の相続争いであったが、その双方から金品をせしめて、怒りを買った者がいると。



「この戦の元凶は幕府内の不正にあります」



高時も初耳であったらしく驚き、それは誰かと尋ねる。




長崎円喜は初めて動揺を見せる。



「い、今は勅使への対応を・・・奥州如きは2万も送れば、、」



「帝が再び立ち、奥州と連携の上、足利も立てば我らも無傷とはいかぬ」



円喜は沈黙する。連署の金沢貞顕が続く。



「まず、足利を味方に固め、奥州の手当を」



長崎父子と赤橋・金沢のやり取りを引き取り高時が決を下す。



「儂は疲れた・・・疲れたぞ・・・何事も穏やかが良いぞ」

「連署の申す通り、足利とは仲良く、それ(誓書)は勅使にお返し申せ」



正中の変は高時の意向もあり「穏便に」処理されることとなる。




円喜は評定の後、息子高資を殴りつけていた。



「この、愚か者!」

「私利私欲で内管領が務まると思うか!この愚か者!」

「北条家は今傾いているのだ・・・!北条が倒れれば幕府の倒れる!」

「そうならんよう血を流してきたのが分からんのか!」

「この・・・このウツケが!!!(泣泣)」



翌朝。




金沢貞顕から「高氏無放免」の知らせを受け貞氏は嬉しさを隠し切れず庭先で軽く飛んだ。同じ頃、高氏もまた獄から出され飛んでいた。




以上、太平記(大河ドラマ)あらすじ第5話「危うし足利家」でございます。

太平記(大河ドラマ)感想第5話「危うし足利家」

太平記(大河ドラマ)の感想第5話。太平記が「霜月騒動」から始まった意味が分かりましたね。万を超える兵を要する足利家であっても「一寸先は闇」かもしれない。鎌倉幕府(室町幕府にも)「参勤交代」はありませんでしたが、鎌倉に居を構えていると言う事は事実上「人質」のようなもの。

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太平記感想第5話「帝の誓書」

天子が臣下に「誓書(詫び状)」を出すなど前代未聞。




鎌倉幕府が如何に驕っていても「分別のある武士」が決していなかったワケではない。大河ドラマ太平記でも二階堂入道が、



「封をしたままお返しするのが礼儀」



と発言して、そのまま中身は読まずにお返しされております。




因みに、古典太平記では「誓書を読もうとしたら」読もうした人が吐血して亡くなってしまい、これは畏れ多いことと開封されなかったとか・・・。



また、これは別の見方なのですけど、誓書の内容が「謀反を認めるような内容」であった場合に対応が紛糾してしまうため、敢えて「触らなかった」という説もあるそうです。




この、朝廷と幕府のやり取り。




日本人なら二階堂入道の言う事は理解出来ると思うんですよね。勿論、中にはそういった「文化を嫌う」人もいるとは思いますが、意味不明とはならないと思います。




日本以外の文化圏の人にもこういった「微妙な機微」って理解が可能なのかな・・・?




外国人で日本文化が好きな人に是非聞いてみたい・・・。

太平記感想第5話「高氏の成長」

獄に繋がれた高氏と貞氏の再会の場面。




やっぱりわが子は可愛いのだ。




貞氏が息子高氏をみつめる視線の優しさよね。獄にいる高氏を「不安にさせない」という配慮も見える。




そして、旅から戻った高氏の成長を喜んでいるようにも思えました。



「これは、鎌倉の試練」



私もこの視点は高氏に言われて気付きました。




最有力御家人の一角である足利家と本当にコトを構えるのか?そこまでの「度量」が果たして本当に鎌倉にあるのか?




自分に流れる「源氏の血」がどれ程の可能性を秘めているのか、つまりはどれ程諸国から「頼りに」されているのかを知ってしまった。これも。京の風に当たったことで視野が広がっているということなのだと思います。




それともう一つ。




高氏と赤橋守時との会談。




高氏は鎌倉の腐敗を痛烈に批判しますが、赤橋守時もまた高氏の想いを「理解」しました。



「しかし、鎌倉は長崎殿だけではない」



高氏は「鎌倉のこと」もよく知らないのだと思うのですよね。




一皮むけた高氏は鎌倉でも「新しい人間関係」を構築していくのでしょうね。




手始めは、登子を嫁に向かえるのかな。

太平記感想第5話「円喜の苦悩」

長崎円喜もバカ息子に苦労していたのですね。




円喜こそ、最も斜陽の北条家と幕府を立て直そうと苦労している御家人と言えるかも。




しかし、親の心子知らず。




長崎高資が安東家の相続争いに介入して双方から金品をせしめていたのは史実。最も、父である長崎円喜がそれを知っていたか否かは分りませんが・・・。




因みに、長崎円喜はカナリの年ですが、鎌倉炎上の日まで残り見事に自刃したはず。




足利を味方にすることで幕府を立て直そうとする金沢貞顕や赤橋守時。足利が敵となると見込み早めに刈り取ろとする長崎円喜。




悲しいかな・・・。




正しいのは長崎円喜であったのですけど。




以上、太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第5話「危うし足利家」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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