青天を衝けのあらすじと感想第19話「勘定組頭 渋沢篤太夫」。実際の処はともかく。家茂はすっかり自信を失い不甲斐なき己を責める。ただ、慶喜からすれば「家茂あっての」公儀。孝明天皇と将軍家茂、そして慶喜の三位一体揃って絶妙な均衡を保っているの。勝手に意気消沈されてもこまってしまふのですよね。青天を衝けのあらすじと感想第19話

青天を衝けのあらすじ第19話「勘定組頭 渋沢篤太夫」

「これからは一橋の為に尽くす」

「お前ぇはどする?」



成一郎は攘夷ではなく「一橋の為に」力を尽くすと覚悟を決めいていた。




そして、篤太夫もまた覚悟を決める。



「一橋の懐を豊にする」



篤太夫は早速播磨へ出向く。




一方、幕府でも篤太夫と同じように「幕府の懐を豊にする」為に小栗忠順がフランスとのカンパニー設立に動いていた。






フランスとの関係を強化し、貿易でも幕府の利益を上げる。近く、開催予定で幕府も開催国フランスから参加の打診があった「パリ万国博覧会」にも出席の意向を固めていた。

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青天を衝けのあらすじ第19話上巻「勅許の行方」









今回はオープニング早々にご登場。




幕府の勘定奉行小栗忠順の活躍ぶりなどを御解説頂く。



一橋領
播磨


「今後は一橋が木綿を一旦全て買い上げる!」



木綿を作る百姓たちを集め、品質では劣らないはずなのに、隣の姫路の木綿よりも一橋領の木綿が安い理由を熱弁する。






姫路の木綿は一旦、全て買い上げられた後に質の良い木綿「姫玉」として売られている。一方一橋の木綿は各農家バラバラに大坂商人に卸しており、足元を見られているのだ。




今後は一橋が一旦全て買い上げ「質の高い一橋の木綿」として売り出すのだと。




百姓たちは篤太夫の言葉に大いに喜ぶが・・・。



「御上が俺たちを儲けさせるワケがねぇ!」



百姓の一人多呂作の言葉に、先程までは乗り気であった百姓達の雰囲気は一変してしまう。御上、役人が信頼されていないのだ。




篤太夫の想いはまだ百姓には届かない。



英国艦上


その頃、英国の新しい公使ハリー・パークスが日の本へ向けて航海していた。



「ハリスが日本と修好通商条約を結んだのはいつだ?」



アーネスト・サトウが答える。



「1858年ですね」



「今は何年だ?」



パークスは条約締結から7年経過しても一向に兵庫などの港が開港されず、なんら貿易で利を上げていないことが不満である。




日本通でもあるアーネストは開港には「チョッキョ(勅許)」が必要で、それを得るのに幕府も苦労しているようであると説明する。




しかし。



「7日以内に勅許を得るのだ」



パークスはこれ以上待つつもりは無い様子である。



大坂城
幕閣


英国の強硬姿勢は幕府に波紋をもたらす。




今更勅許など得られるものであろうか?




将軍家茂には疲労の色が濃い。



「恐れながら・・・勅許などもはや必要はないと存じます」



老中阿部正外や松前崇広、栗本鋤雲はそう進言する。




そもそも、幕府は朝廷から「政」を委任されているのである。いちいち、勅許など得る必要はないのだと。




もし、朝廷がごちゃごちゃと言うようであれば大政を返上してやれば良いとまでいう。朝廷はこの日の本を差配する気概も能力も持ち合わせていない。



「それは如何なものでしょうか?」



そこに慶喜がやってきて、その意見を一蹴する。



「Laquais de la Cour」
(京の犬め・・・!)



栗本鋤雲はフランス語で悪態をつく。



御所


慶喜は苦しい立場にあった。




孝明天皇はともかく、公卿の中には薩摩と関係が深い者も多い。




幕府で「勅許など必要ない」と言っている者がいるという話の真偽を尋ねられる。




慶喜はそういった「声」があることを認める。




正親町三条実愛はその発言をした阿部正外などを罷免するようにと命じる。




慶喜はそれは行き過ぎと食い下がろうとするが、取り付く島もなかった。

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青天を衝けのあらすじ第19話中巻「七年越し」

大坂城
幕閣


阿部正外、松前崇広の罷免を命じる朝廷に幕閣は憤慨する。



「其方達がよくやってくれたことは分っている」

「私に力がないばかりに・・・」



家茂は阿部正外の仕事ぶりを労わる。



「上様・・・!」



「一橋殿なら・・・あるいは上手く対応できるやもしれぬ」



「!?」



家茂は将軍職を辞し、後継に一橋慶喜を推し江戸へ戻ると宣言する。




知らせを受けた慶喜は馬を駆け帰路にある家茂を追いかける。



「上様!!!どうか思い留まって下され!」

「旗本八万騎は貴方様に忠誠を誓っているのです」



慶喜は自身には人望も無くとても幕府を動かす事ができないこと、そして、兵庫開港は必ず自分が勅許を得ると約束する。




家茂は辞職を思い留まる。



御所


慶喜は御所で再び兵庫開港の勅許を得ようとする。




正親町三条実愛は冷ややかにその申し出を却下し、家茂の辞職まで求めるが・・・。



「正親町三条殿、将軍を辞職せよとは何方の意見か?」

「正親町三条殿の家に薩摩の者が出入りしていること存じておる」

「これ程の大事を誰かに唆されてとあっては・・・」

「そのままでは済ませぬぞ?」



「・・・!」



「これ程申し上げても勅許を得られぬのであれば切腹するより致し方ありませぬ」



「ひ、一橋殿、、またそのようなお戯れを・・・」




戯れではござらん!!(怒)



「なお、それがしも不詳ながらいくばくかの兵を持っております」

「腹を切った後に家臣が何を仕出かすかは責を負いかねますためお覚悟を」



「それは・・・」



慶喜の迫力に公卿たちは怯える。






孝明天皇が口を開く。



「二条、人払いを」



孝明天皇は慶喜を近くに呼ぶ。



「朕は家茂や公儀を憎んではいない」

「憎きは長州じゃ」

「未だに降伏せんとは何事ぞ」

「外国のことそこまで言うのであれば慶喜のいう事を信じよう」



幕府は七年越しに修好通商条約の勅許を得る。



江戸
川路聖謨の家


身体を悪くしている川路聖謨の元にやすが見舞いに訪れていた。



「そうか・・・ようやく天子様も御認めになられたか・・・」






川路聖謨はかつて、外国相手に丁々発止のやり取りをしていたことを懐かしく思い出す。




そして、丁度その頃円四郎を一橋に推挙したのだ。




やすもまた、その頃から円四郎が水を得た魚のように生き生きとしはじめたことを思い出していた。



「一橋様の創る新しい日の本を見届けるまで死ねない(笑)」



二人は未来への希望を語り笑い合う。

青天を衝けのあらすじ第19話下巻「仁を以て為す」

京、一橋邸


篤太夫は着々と「一橋の懐」を豊にする布石を打っていた。硝石を用いた火薬製造など成果も出始めているが「木綿」が上手く進んでいない。




篤太夫には腹案があった。




藩札である。




篤太夫はかつて藍の買付をしていたころ、銭を持って歩いていたが、これが重くかさばる。




もし、これを紙で持ち歩けてたらどれだけ助かるか・・・。




篤太夫が屋敷で熱弁を奮っていると丁度慶喜がやってくる。






慶喜は篤太夫の提案を聞きたいと促してくれた。



「札に信頼があれば!」



藩札は各藩でも取り入れられているが、あまり利用はされていない。実際「銭」と比べれば信用が足りず、額面の通りの銭と引き換えられることはほとんどない。




そこで、一橋の銀札は必ず額面通りに交換するのだ。






慶喜は篤太夫の熱弁に見とれてしまう。



「殿、それがしのいう事はお分かり・・・」

「すまぬ、途中からお主の顔に見入り聞いていなかった」



「なんと!」



慶喜はここ数日幕府と朝廷、さらに諸外国との間に挟まり神経をすり減らしていた。




しかし。



「お主をみて気鬱が無くなった」

「円四郎風に言えば其方はまことにおかしろい」

「仁を以てなすか。銀札が藩を豊にし民を喜ばすのであれば見てみたい」



「はは!必ずや!」



篤太夫は銀札の絵柄を一流の絵師に描かせ版画師に掘らせる。




また、出来上がった原盤を三つに割り、一橋の会所でしか擦れないように工夫する。




かくして。




一橋の木綿は銀札で売買され、百姓たちがその銀札をもちこんだ時には額面通りの金額で銭と交換した。




先日は篤太夫の提案に、



「御上が俺たちを儲けさせるワケがねぇ!」



と批判的だった多呂作も額面通りの銭と交換されて目を丸くする。



「この前は悪かったな・・・」



「これからも頼むぜ!」



「お、おう!」



京、一橋邸


そして、篤太夫は一橋家の勘定組頭に抜擢される。



「瞬く間に一橋の懐が安定したと皆、喜んでおる」

「渋沢篤太夫よ、よくやった!」



「はは!この道でお役にたてますように精進致します!」



一方、成一郎は軍制所調役組頭に昇進する。




二人は別々の部屋で暮らす事になり、この日は同じ部屋で暮らす最後の日であった



「勘定組頭とは断れなかったんかい?」



成一郎は折角武士になっても銭勘定と百姓商人相手の商売ではこれまでと同じではないかという。




篤太夫も成一郎の言うコトは分からないではない。




しかし、篤太夫は「この道」が自分に向いていると思うのだ。



「殿に誉められ一橋の役に立っていると思うと胸がぐるぐるした」



成一郎は篤太夫の様子に少々不満気である。



「其方は殿の真の苦しみをしらぬ」



この頃、第二次長州征伐が計画されていたが、前回は出兵した薩摩が兵を出さないと宣言。これに倣い、阿波なども出兵を取りやめ幕府方は苦しい戦いが予想されていた。



「俺は一橋の為に命を賭けて戦う」



成一郎はさらに、



「あの時俺たちは長七郎を行かせるべきだったんでねぇか?」

「長七郎が老中を斬って名を残す機会を奪ってしまった」



「死んじまったらなんにもなんねぇ!」



「それは己が決める事だ」

「俺は長七郎と一橋の雄となる」

「お前ぇは懐でも守っておれ!」



「ああ!守ってやる!懐だって大事だ!」



成一郎は出て行った。




一人、広くなった部屋に残される篤太夫。




道は違えども己の道で一橋を強くする。




そう誓うのであった。




その頃、薩摩と長州は所謂「薩長同盟」を結ぶ。








欧州から帰還した五代才助はグラバーを介し、最新鋭のミニエー銃を長州藩へ引き渡す。






第二次長州征伐では幕府方は苦戦。




さらに、大坂城の将軍家茂が病に倒れてしまう。

青天を衝けの感想第19話「勘定組頭 渋沢篤太夫」

青天を衝けの感想第19話「勘定組頭 渋沢篤太夫」。慶喜の力の源泉は孝明天皇と将軍家茂という立法と行政を司る権力機構からの信頼。そして、慶喜という稀有の存在が朝廷と幕府二重権力と化した政治体制を辛うじて維持しているとも言えますね。三者はお互いに絶対欠いてならないのです。

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青天を衝けの感想第19話「慶喜の本気」

あくまでこの徳川を公方様をお守りする




史実ではどうであったかは兎も角。




慶喜は徳川を守ると決意を固めているのですよね。




とは言っても幕府にも「様々な思惑」があり、幕府の保守派と朝廷内の攘夷急進派との間で苦しい対応を迫られる。




前半の慶喜はすっかり精彩を欠いておりました。




しかし。




「上様!!!どうか思い留まって下され!」

「旗本八万騎は貴方様に忠誠を誓っているのです」



家茂の「辞意」を聞いてから超慶喜に変身。




前回は調子コイていたクソ公卿正親町三条もすっかり怯える。




そうなの。



クソ公卿は脅すに限るのですよ。



流石、慶喜はよく分かっている。
でも、普段はクソ公卿を脅す事で
宸襟を悩ませないように気を遣っているのです。




真の尊皇家と言えますね。




を探せ




と宣う、朝敵長州とは違うのです。




ただねぇ・・・。




これが慶喜の弱点でもあるのかもしれない。

青天を衝けの感想第19話「癒し」

慶喜は疲れていた。




幕府も朝廷も(そのトップの孝明天皇と家茂は兎も角)お互いを信じていない。




この十九世紀の大植民地時代に内輪揉めしている場合ではないのですけど、まあ、しょうがない。




その義理と人情とメンツと意地の間で一人消耗して行く慶喜を癒すのが篤太夫なのです。




分るなぁ・・・。




「すまぬ、途中からお主の顔に見入り聞いていなかった」



ただひたすらに前を向いて熱量込めて希望を語るヤツを見ていると元気になるんですよね。




篤太夫には人を魅了する才覚があるのでしょうね。




慶喜の新相棒篤太夫。




きっと旧相棒も草葉の陰で喜んでいることだと思います。

青天を衝けの感想第19話「やすと川路さん」

川路さんが半身不随となっておりましたね。




川路さんは1801年生まれなので、この頃は六十代半ば。




あの時代であれば中々長命と言えると思います。




兵庫開港が認められ自分が撒いてきた種がようやく花開くのを愛でる好々爺の風情がありました。




・・・畳の上で明るい日の本の未来を想像しながらやすと奥方様に見送られて穏やかに亡くなって欲しい。




もう、言ってしまいますけど川路さんの最期は中々壮絶なものなのです。




ああ、いつも言っている事ですけど。




人間はいつ死ぬのかが重要



川路さんはきっと今が一番幸せなのではないでしょうか・・・。




以上、青天を衝けのあらすじと感想第19話「勘定組頭 渋沢篤太夫」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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