西郷どんの感想のまとめとレビュー!(今更)少々遅くなってしまいましたが改めて西郷どん最終回まで見た感想まとめを備忘録的に。「物足りなさを感じた」というのが正直な感想。役者陣は奮戦するも脚本には迷いを感じました。それは「脚本の問題」というよりも企画そのものの「軸」が定まっていなかったのではと思う。

西郷どん期待が膨らみ過ぎた

私、個人的にも西郷隆盛は「好き」な人物です。また、原作者の林真理子も結構好きなんですよ。文春読んでた時は「夜ふけのなわとび 」も目を通していたし。・・・まあ、実際小説で読んだのは「下流の宴」位なんですけどね。




さらにさらに、脚本の中園ミホも結構好き。




花子とアン面白かったし。




そして、役者陣。




主役の鈴木亮平は勿論、松田翔太、瑛太といった若手俳優、そして、私が個人的にも好きな北村有起哉とか!!西田敏行のナレに鹿賀丈史や佐野史郎や遠藤憲一や神保悟志(以上五名は翔ぶが如くも出てた!)のベテラン勢。




しかも、冒頭良かったんですよね・・・。

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→西郷どんの感想一覧

→西郷どんのキャスト表

冒頭の盛り上がり

「西郷どん」は前年の「おんな城主直虎」を踏襲・・・したワケではないかもしれませんが子役の活躍が光りました。




西郷や糸の子供時代は1話しかありませんでしたが、第2話「立派なお侍」のふきどんや第3話「子供は国の宝」での中村半次郎。



→西郷どんの子役キャスト一覧


原作とは毛色は異なりますが西郷家の貧乏でも幸せ?な様子と父と母との関係については、流石!ハートフルホームドラマは脚本家の真骨頂!笑いあり涙ありで素晴らしかった。




そして「大河ドラマ」として歴史を描く事も忘れていない。西郷の借金は有名な史実ですが板垣与三次(翔ぶが如くにはない)を登場させて西郷と父の関係に深みを持たせている。




この頃の感想を改めて読むと「ウキウキ感」に溢れているんですよね。



→西郷どんの感想第1話「薩摩のやっせんぼ」

→西郷どんの感想第2話「立派お侍」

→西郷どんの感想第3話「子供は国の宝」


しかし、期待感はここの辺りまで。




段々と不安感が募ってきます。

迷いと停滞

異変の兆しは西郷が江戸へ行ってから。




藤田東湖が登場しない。




この時「?」と感じました。




そして、井伊直弼が出て来たら余りに描き方が・・・。水戸黄門の悪代官みたい。長野主膳(神保悟志)を登場させたは良いけど小物感。
(それでも、流石佐野史郎!死に際の美しさよ・・・!)



→長野主膳と井伊直弼


ただ、この頃も「歴史に新し光を」という意図は度々見える部分もありました。宝島事件を出したりとか。




でも、尻切れトンボ。




ポンッと出て来てそれだけ。




菊池源吾として流されたからはもう目も当てられない。




視聴者に誤解を与えるような表現が度々。




この頃の感想を見ると私、一生懸命解説してた。



→西郷どんの感想第18話「流人菊池源吾」

→西郷どんの感想第19話「愛加那」


西郷の「個人的な事」を描こうと必死でネタを探し、描いているのは分かるのですげど全て大味な味付けであんまし共感出来ない・・・。




西郷がどれだけ「良い奴」だったかを描くために、他の登場人物を必要以上に悪く(島の田中とかね)描き、郷中の仲間たちの存在感も「増すのは困る(主役の印象が薄くなる)」と言わんばかりに、薄い人物(大山格之助とかね)となってしまっている。




一方で糸や愛加那、ふきの存在感を上げよとしているのですけど空回りしているんですよね・・・。




特に空回りが激しく非常に残念だったのはふきどん。



→ふき(お芳)は実在?新門辰五郎の娘お芳


慶喜の真意を誤解したまま別れた時はあまりに哀しくて泣いた。
(まあ、最終回で一緒にいたけどね)

最後の最後で多少良さが・・・

迷いと停滞は維新後も続きます。




最も、新機軸を打ち出そうと「もがいて」いるのは感じるんですけどね。




西郷下野に至る過程の描き方が薄かったり、大久保に至っては「小物」を通り越して「メンタルか!?」というテイ。一方で、横山安武を登場させたり、川路と半次郎の関係とか「ああ、西郷と大久保の関係の象徴として描きたい」という、意図は感じるのですが、これもまた中途半端な感じに終わってしまう。



→西郷どんの感想第42話「両雄激突」


・・・ただ、最後の最後、久光は良くなって行ったけど・・・。




西郷と久光の関係については、何度か感想でも触れていましたけど、まあまあの着地点に落とせたように感じます。




最終回を目の前にして「筆が乗ってきた」のかな・・・?




とは言っても、この迷走ぶりはいったい何なのか?

西郷どんの軸

私は企画、原作者、そして脚本家が描きたい「西郷像」がズレていたんではないかと感じます。原作を読んだ方なら理解できると思うのですがこの「西郷どん」を林真理子原作というのは少々無理がある。原作で印象的だった場面は悉く「西郷どん」では描かれていませんでした。




それは会見で脚本の中園ミホが語った、



「原作には師弟愛や家族愛、男女の愛、BL(ボーイズラブ)までの色々な愛がある」



つまり、月照との「関係」の事だけではないのです。
(原作では西郷と月照が薩摩への逃避行の際中にそういう仲になる)

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描かれなかった西郷

林真理子らしい描き方だなと思ったのは吉之助の両親に対しする想い。二人を尊敬してはいるものの・・・。



あれほど毅然としている母の満佐の、何かを訴えるようなかすかな声がする。猫のような声である。


「それはよがっちょるからじゃろう」


親友の大久保正助が教えてくれた。


「おいのうちはおはんのところよりも狭かで、手に取るようにわかっ。親のあん時の声は全く聞きたくなかもんじゃ」


その結果子を孕むのだ。そしてこのようにひもじがる子供を世に送り出す事になると思うと吉之助はどうにもやりきれない。



昔の家屋は狭いですからね。吉之助の複雑な心境を上手く表現していると思います。身内の「性的なモノ」はあまり見たくないものですからね。




ただ、この「ドロッ」とした感じは大河ドラマには「不向き」と判断したのかな?




そして、江戸へと向かった西郷が出会う二人の重要人物。藤田東湖と橋本左内。



「先輩としては藤田東湖に服し、同輩としては橋本左内を推す」



後に西郷自身が語っています。




藤田東湖は出番も無かった。




橋本左内は重要人物として出ていましたが「根本」が描かれていない。




斉彬が吉之助に橋本左内の元へと行くように命じますが、橋本左内は吉之助が尊敬してやまない藤田東湖の教えを否定するような事を言います。



「貴方様がはじめて初めて江戸にいらした時、水戸屋敷に行くように命じたのも恐らく薩摩守様だったはずです。薩摩守様は西郷殿に水戸の毒をたっぷりかがせ、そして今私の処でその毒を抜こうとされているのです」



この西郷と橋本左内とのやり取りは印象的でした。橋本左内とのやり取りにこの場面を入れるだけで物語は随分と「締まった」と思う。




大河ドラマ西郷どんでの橋本左内は慶喜を巡ってのドタバタ劇に参加している人という感じで少々物足りない。




さらに物語が進んで。




家茂と孝明天皇相次いで亡くなる。



吉之助は若い将軍の死を悼む事は出来たが天皇の事はそうでもなかった。これで全ての事が上手く行く、とう思いの方が強かったのだ。そして吉之助はそんな自分を責める。涙一滴こぼさない自分はなんと薄情で不敬かと空恐ろしくなってくる。安政の地震で圧死した、藤田東湖の顔が浮かぶ。獣のように首を刎ねられた、東湖の息子・小四郎、会った事はない吉田松陰その門下の久坂玄随。天皇に恋い焦がれて死んで行った男たち。



良いですねぇ。西郷の複雑な感情と苦悩。




ここから、西郷は「天皇」や「将軍家」の頚から脱して「変身」する印象的な場面でしたが完全スルー。




そして、朝鮮問題。



原作では西郷の真意が誤解されたしまった事情を描いています。そして、その真意についても。



朝鮮が最初から暴挙を働くだろうと、との疑念を持って戦争の準備などをしては礼儀を失した事になります。未だ十分な努力をしないで、朝鮮の非だけを責めるのは承服出来ない事です。どうか私の案を採用し私を使節に仰せ付け下さい。



西郷どんでは居留民を助けたい西郷の事を「闇落ち」した大久保が邪魔するといった感じでしたね。ただただ大久保の矮小さが際立つ・・・。

西郷隆盛「愛に溢れたリーダー」像の相違

前述の通り、原作の西郷は複雑な想いを抱えています。


「複雑な感情」

「複雑な背景」



大河ドラマ西郷どんでは結果的にはそういった要素はなるべく省かれているように思います。




何故か?




これは想像でしかありませんが、企画段階で考えられていた「愛に溢れたリーダー像」と原作が乖離してしまっていたのではないか?




描きたかったのは「家庭人西郷」であり維新の英雄である西郷ではない。もっと、糸や愛加那との関係を描きたかった。




歴史的な事情は今回の大河ドラマでは「些末な事」であるはずだった。




しかし、原作には残念ながらそのような「家族ネタ」は少なかった・・・。




脚本家は頭を抱えたのではないかと想像します。原作を活かすほど、そういった部分は薄れますからね。




そこで、家庭的な部分や家族的な部分を「無利して」入れ込んだように思います。




・・・もっと言うと脚本家が描きたかったのは西郷ではなくてだったのではないかと。
(そんな雰囲気でオファーされていたのかも)




ただ、前述の通り後半やや持ち直す感じもあったんですよね。久光と西郷の関係の変化とか。




脚本家が「素材」の活かし方に光明を見出した頃に最終回を迎えてしまったように感じました。

ズレが生んだ悲劇

放送中、辛辣な感想を呟いている方もおりました。




概ね、原作と脚本は「歴史に興味がないのだ」といった批判が多かったように思います。




しかし、前述の通り原作は「結構保守的な構成」です。




なら脚本が悪い?




それだけではないと思うんですよね。




企画段階での「ゴール設定」の共有が甘かった事で想定していたのとは随分と異なる「素材(原作)」を渡され走りながら考えてよく頑張ったと思います。




確かに「歴史に興味はなかった」かもしれませんが、興味を「持とう」という姿勢を感じる部分はありましたし。




もう一度「西郷どん」の脚本を書く事があれば、より洗練された作品に仕上がる気がします。

鈴木隆盛の迫力

西郷隆盛を演じた鈴木亮平はこの「西郷どん」を受ける辺り、前作と言っても過言ではない「翔ぶが如く」を何度も見たと言っていました。




実はこの言葉を聞いた時に少し胸が苦しくなりました。




翔ぶが如く」は凄いんですよね。




歴代大河ドラマ史上屈指の名作です。翔ぶが如くの脚本は美しい。




軸が定まっているのですよ。




鈴木亮平ほどの役者が「軸が定まっていない」事を感じないワケがないと思います。




でもだからこそ今回の西郷どんで鈴木亮平の「役者魂」を見た。




脚本が「?」でも西郷が有無を言わさずにその存在感で圧倒していくというね・・・。

西郷どんで奮戦した役者陣

さて、ここまで結構辛辣な事を言い続けてきましたが、それでも、主役の鈴木隆盛以外にも圧倒的な存在感で「その想いを想像させる」役者陣には拍手を送りたいと思います。全体を通してですと、やはり島津久光と徳川慶喜は奮戦していたと感じました。
(個人的に好きな俳優でもあるけど・・・)




今回は少ない出番で強烈な印象を残した三人を称賛して西郷どんの感想を終わりたいと思います。

調所広郷

良かったねぇ・・・。




調所広郷役の竜雷太。




竜雷太は「翔ぶが如く」では川口雪篷先生を演じてた。




自分を「ハメた」のが斉彬であることを悟ると「薩摩藩のため」に自死する。




ただ、決して斉彬を憎んでいるワケではないのですよね。




「お世継ぎ様(斉彬)がお産まれになった時に呑んだ酒の美味さは忘れられない」




多分、自分が死ぬことになった時、人生で一番美味かった酒はこの斉彬が産まれた時だと思い出していたんでしょう。



二人のやり取りは序盤の山場であったように思います。

有馬新七

この西郷どんは西郷意外の存在感の薄さが特徴!?なのですけど、郷中の仲間たちも名優を揃えた割にはその存在感は西郷の引き立て役以上のものはなかった・・・。




しかし!




一人気を吐いていた人物。




有馬新七(演:増田修一郎)ですね。




有馬新七は寺田屋騒動で上意討ちに合い亡くなります。
(翔ぶが如くでは内藤剛志が演じていた)




寺田屋事件は、まあ、あんまりだったんですけど、この有馬新七を西郷が説得する場面。



「ああ、こいつ(西郷)には勝てないな・・・」



自分も覚悟を決めていたが、西郷の覚悟がその自分の覚悟を超えている事を知る。有馬新七が穏やかな表情の西郷から渡された刀を返す場面の緊張感と迫力は素晴らしかった。



→西郷どん感想第22話


・・・新七どんは此処で斬られて良かったね・・・。




郷中の仲間で唯一、美しい見せ場を用意してもらえていたと思います・・・。

島津斉興

最後に島津斉興!




鹿賀丈史は「翔ぶが如く」では大久保利通を演じておりました。




島津斉興は非常な苦労人です。




元祖蘭癖の重豪蘭癖of蘭癖の斉彬に挟まれ必死こいて薩摩藩を立て直した・・・。




斉興の場面で印象的だったのは久光との関係です。



「お前が斉彬の意思を継ぐなど思い上がるな!」


斉彬亡き後、上洛しようとする久光への一言。




この言葉は「含蓄」があった・・・。



→西郷どんの感想第17話「西郷入水」


斉興は斉彬を嫌うのですけど「認めて」はいるんですよね。一方で、久光は「可愛い」がとてもじゃないが斉彬の跡を継げる器ではない。




たった一言で息子達への愛憎を表現するのはね。




流石名優でございます。




さて、長々と講釈を申し上げて参りましたが、いよいよこの物語も最後の時を迎えました。




以上、西郷どん感想まとめレビューでございます。

大河姫

この物語は此処までに致します。

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