西郷どんの感想第17話「西郷入水」でございます。月照を伴いようやく薩摩へと戻ってきた西郷一行。しかし、斉彬亡き薩摩藩を任されたはずの久光は実父斉興の前に指導力を失う・・・。今回は西郷よりもこの斉興の苦悩と斉彬・久光への「父として」の想いが言外に現れたいた。この大河ドラマ西郷どんでは屈指の名場面だったと思います。では、西郷どんの感想第17話始めます!

西郷どんの感想第17話~父、斉興~

西郷どんでは天保山での洋式調練中に倒れてそのまま帰らぬ人に・・・、みたいな感じでございましたがやはりちゃんと7日間闘病をされておりました。そこで、後継は茂久に、その後見を久光が任される形に。




しかし!




あの男が帰って来た。



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父と子

島津家は結構長命な家柄です。



※重豪以降の歴代薩摩藩主(大河姫作成)



King Of 蘭癖」の島津重豪が目立ってはいますが、重豪以降、斉彬以外は当時としては長命と言えるのではなないでしょうか。
(斉彬も決して短命とは言えないと思いますけど)




さて、この時まだ江戸でお元気だった斉興は薩摩へと戻って来ます。斉彬と斉興の不仲については此処では詳細には触れません。



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ただ、あの「ロシアンルーレット」事件とその後の斉彬のなりふり構わない行動に、



「この息子(斉彬)は変人だ」



と、諦観している部分があったように感じます。



※関連記事:→西郷どん感想第11話「斉彬暗殺」


第11話では西郷が暗殺を疑い斉興とお由羅に直談判に行っていますが、斉興としては「痛くもない腹を探られる」のが不愉快極まりないといった感じでした。




また、その後結果的には敗北したとは言え、篤姫を将軍家に輿入れさせ、一橋派の事実上の頭目として朝廷を動かし、さらには「上洛」などという、



「お前は戦国武将にでもなったつもりか?」

「義元か?信玄か?信長か??」



前代未聞の行動を取るに至っては、もはや、「関わらん方が良い」という判断をしていたと思います。




ただ、それは途中から、



「ただの変人」



から、



「自分の物差しでは測れない器がある変人」
(何事かを為す大人物(変人だが)かもしれない・・・)




と、ある種認める部分もあったのではないでしょうか。
本日、久光に、



「お前が斉彬の意志を継ぐなど思い上がるな!」



と、言う言葉にそれを感じます。




そして、この言葉は久光への愛情の裏返しでもあると思います。

秀才と変人

久光は阿呆に見えますが、実際の久光はかなりの秀才です。実母のお由羅が「八百屋の娘」だった影響もあると思うのですが、



「母親が町人だから」



と、言われないためにお由羅も久光を学問好きになるように育てましたし、久光もまたその期待に大いに応えます。




学問の方向性は蘭学を好んだ斉彬とは異なり、国学を好みますが、現在も鹿児島大学には15,000冊にものぼる久光の蔵書が残されています。




しかし、久光は普通の秀才。




いや。



「田舎者の凄い秀才」



斉興は江戸暮らしの長い洗練された知識人ですが久光は田舎者です。




斉興は斉彬の事は「自分の物差しでは測る事は出来ない(諦めた)」のですが久光の事はよく分かります。




なので、久光が斉彬の意志を継ぐ事など出来る事ではない。斉彬なら(腹立たしいけど)奇跡を起こすかもしれないが、久光には決して奇跡は起こらない



「止めないといかん」



愛する我が子の目を覚まさせ、地に足のついた藩政を行わせる。




これが最後の自分の仕事だと考えていたのではないかと思います。




因みに・・・。



「お前が斉彬の意志を継ぐなど思い上がるな!」



この言葉、後に西郷からも聞く事になります。皮肉な事に斉興と西郷の「久光評」は一致していたと言えるかもしれません。




西郷どんの感想第17話「西郷入水」まだまだ続きます。次はその「西郷と久光」の皮肉な運命について。

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西郷どんの感想第17話~西郷と久光の皮肉~

西郷は月照を連れて薩摩へと落ち延びてきます。因みに、今回西郷と有村俊斎、月照の三人が仲良く薩摩へと帰国しましたが、実際は、下関の白石正一郎邸に月照と俊斎を残し、西郷は単身月照の受入れを願うため薩摩へと入ります。直ぐに許可を得らるるかと思いきや、難航、その間に福岡藩士の平野国臣に連れられて月照は薩摩入りしています。

城下士

西郷吉之助と言えば、江戸においては水戸や越前などの雄藩との人脈と信頼を得、京においては、近衛家をはじめとする公卿にも顔が効く薩摩の顔役と思われています。




しかし、西郷吉之助の身分は・・・?




そう。




江戸や京・大阪で西郷の事を知らぬ者はないというのに、薩摩へと戻れば藩の重役に直接の目通りも簡単には叶わない城下士に過ぎない。




斉彬は吉之助に「庭方役」という役職を与えましたが、これは所謂薩摩藩の「通常のマネジメントライン」に乗った訳ではありません。斉彬は西郷の「能力」を買っており、自由に行動させるために、通常の薩摩藩のマネジメントラインには「敢えて」乗せなかった。




また、急に出世をすれば「やっかみ」も出てきます。それを防ぐという意味もあったと思います。




この事は斉彬という後ろ盾があれば活きますが、一度、その後ろ盾を失ってしまえば西郷には「上司も部下も」いない。




斉彬にそこまで求めるのは酷だとは思いますが、事実上前藩主の側近であったはずの西郷には斉彬の死後なんの権力もなかった。




おそらく、この事に一番面食らったのは西郷自身ではないでしょうか。




実際、西郷は月照の受け入れに関しては無事に薩摩にさえ入ることが出来れば、大丈夫だと楽観視をしていた節がありますからね。




そして、皮肉な事にこれと全く正反対の素養を持つ人物が今暫く後に薩摩に現れます。

ジゴロ久光

今宵は父斉興に主導権を奪われた久光ではありますが、斉興が亡くなった後には藩政を掌握。亡き斉彬の意思を継ごうと行動に出ます。




薩摩では事実上の最高権力者「国父様」と呼ばれるようになります。




しかし。




久光は藩主ではありません
そして、前藩主でもありません
さらに、無位無官
(斉興は従三位で公家であれば公卿クラス、斉彬は従四位上左近衛権中将)




薩摩では「国父様」でも薩摩を一歩外に出れば、



「ただのジゴロの三郎(久光)」



これは後に西郷が久光の上洛計画を伝えられた時に久光本人に語ったと言われます。ちな、ジゴロとは田舎者という意味。




西郷と久光。




共に、国学を好み、久光を敬愛しながら、その運命が正反対であった事もあり、終生対立してしまう。




なんとも皮肉な二人であると感じずにはいられないのでございます。




西郷どんの感想第17話「西郷入水」もいよいよ最後の段でございます。

西郷どんの感想第17話~西郷入水~

前述の通り西郷は月照が薩摩に受け入れられる事を楽観視していたと思われます。現実は甘くはなかった・・・。しかし、大久保正助!西郷の性格なら熟知しておろうに・・・!

正助・・・詰めが甘い!

正助は東奔西走、兎に角西郷と月照の助命嘆願を願い各方面に働きかけます。そして、ついに得たのが大御所斉興への面会。



「西郷を殺してしまえば、また藩内に争いが・・・」



斉彬がかつてお由羅騒動の後にお由羅派の処断を行わないどころか、斉彬派として処分をされた人間の「赦免」さえ非常に「ゆっくり」行ったのは藩内融和のため。




斉興もその事は理解していたと思います。




大久保正助は斉興の「幕府恭順路線」のためにも西郷を救うべきと説きます。




此処までは流石、斉彬派として長く謹慎していただけの事はある。




しかし・・・。



「西郷が月照を殺せば助ける」


この条件を聞いた時の西郷の様子。


「おいのために有難うな!」



自分の事より人の事、無私の西郷吉之助なら絶対に受入ない!




正助は気が付くのが遅かった・・・。




結果、西郷と月照は冬の錦江湾に・・・。




そして、次週はからは島編のようでございもす!




島編の間に「色々」あるんですけど・・・。




まさか・・・。
島での愛妻家な日常がひたすら描かれたりして・・・!




以上、西郷どんの感想第17話「西郷入水」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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