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軍師官兵衛のあらすじと感想第1話「生き残りの掟」です。時に、天正18年(1590年)相模国小田原。関白豊臣秀吉は20万と号する大軍で関東の雄後北条氏の居城小田原城を包囲していた。既に、包囲戦は三ヶ月に及んでいた。軍師官兵衛のあらすじと感想第1話!
軍師官兵衛のあらすじ第1話「生き残りの掟」
弱い者は死に、強き者が生き残る時代。
「殿下!総攻撃をかけては?」
小田原城といえば「武田信玄」そして「上杉謙信」の両雄も落とせなかった城である。とは言え、既に3ヶ月包囲戦で敵も疲弊はしてきているが・・・
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「殿下!人は生かしてこそ使い道があるのでございます」
足を引きずり1人の武将が現れる。秀吉はニヤリと笑うとこの男に全てを任せる事とする。
男は単身城門の前で丸腰となると城主北条父子への面会を口上する。かくして、城門は開かれるが無数の刃が男を取り囲む。
「命を粗末になさるな!生きられよ!」
男の名は黒田官兵衛。秀吉を支え、そして秀吉が最も恐れた稀代の軍師である。
軍師官兵衛のあらすじ第1話上巻「万吉」
時を遡ること三十余年。ここは永禄元年(1558年)の播磨国姫路。
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後に秀吉の天下統一を支える事になる男は万吉と呼ばれていた。小寺職隆の嫡男でもある。
万吉は剣の稽古から逃げ出し一路、御師屋敷へと向かっていた。御師とは広峰明神に仕え、五穀豊穣を願う札を諸国で行商する人の事である。伊吹善右衛門。諸国を巡って戻ってきた善右衛門から珍しい話を聞くのが万吉の楽しみでもあるのだ。
傅役の母里小兵衛は万吉にしてやられたと地団駄を踏む。
万吉は小兵衛の息子武兵衛と共に御師屋敷へと入る。
「南蛮人にも会ったのか!」
「背は六尺で赤い顔、鼻は天狗のように高こうございました!」
善右衛門は山口の方で南蛮寺にも入り、そこで南蛮渡来の「ビードロ」をもらったという。物珍しそうに眺める万吉。また、南蛮人は「鉄砲」という鉛玉を火薬で射出する武器の話も興味深く聞いている。
そこへ伊吹善右衛門の娘おたつもやって来る。
その時。
「あ!若!!!」
万吉は思いっきりお漏らしをしてしまう・・・。武兵衛は急いで着替えを取りに行く。
「善右衛門!続きを早く!」
伊吹善右衛門は着替えが先だと言うが万吉は耳は開いていると目を輝かせていた。
万吉は勝手に稽古を抜け出したこととお漏らしの罰として座敷牢に入れられていた。座敷牢の表では傅役の母里小兵衛が見張っていたが・・・。
中があまりに静かだ。
「あ!いない!」
「父上!あれは?」
「な!あそこから出たのか!?」
小兵衛・武兵衛父子が座敷牢の天窓に吊るされた紐に眼を奪われているスキに万吉はあっさりと座敷牢を抜け出す。そう、狭い天窓から脱出など出来ない。二人を天窓に注意を集めさせ表から堂々と逃げたのだった。
「万吉には座敷牢は意味をなさないな?学問は嫌いか?」
「表にいる方が楽しい!」
「アッハッハッハ!」
万吉は祖父の重隆の元を尋ねていた。元々黒田家は重隆の代に薬の行商で財を成し、近隣の住民たちの信頼を得てその武威も高まったことをきっかけに、播磨の小寺氏に仕官を許され、現在は小寺の名を頂き家老職を任されるに至っている。
重隆と善右衛門は長い付き合いだ。
元々、善右衛門がお札を諸国に売り歩いていることに目を付けた重隆は、ついでに黒田家秘伝の薬もセット販売をする話を持ち掛ける。それが、馬鹿あたり。さらに、その財を近隣住民に無利子で貸し出す代わりに黒田家の家来としたのだ。人望もあった重隆のもとたちまち人が集まり、小寺へ士官、小寺姓を賜り家老職という現在に至るのだ。
「ご隠居様!良い薬草はありましたか!?」
「いや、龍野の竜神池辺りなら良いのが生成しているんじゃが」
おたつの問いかけにに応える重隆。重隆はかつて、今は小寺の敵対する赤松家に仕えていた事もあった。
「万吉はまたお漏らしか・・・」
「あの子は夢中になると厠へ行くもの忘れるのです」
「それが分からん・・・」
万吉の父小寺職隆は渋い顔だが母のいわはあまり心配をしていないようだ。いわは万吉は優しく真っ直ぐな性格であると話す。いわは、元々は職隆が使える小寺政職の養女である。元は政略結婚とは言え、職隆といわは仲睦まじく寄り添っていた。気になるのは・・・。いわは最近病がちであること・・・。
重隆の代で小寺家へと士官し職隆の代では家老職まで任せられているが、必ずしも、小寺政職から全幅の信頼を得ている訳ではなかった。
軍師官兵衛のあらすじ第1話中巻「御着の殿」
姫路城は丁度御着の小寺氏と敵対する赤松氏と国境を接している。度々、赤松側の野武士が村々を荒らしているが、その度に姫路の職隆は弟休夢や母里小兵衛と出陣し、敵を追い払っていた。
しかし、今は政職の養女いわを妻に迎え小寺姓を与えられ家老職にあるとは言え。元々「外様」、しかも「商人」出身である黒田家を譜代の家臣である小河良利、江田善兵衛は快く思ってはいない。今回も攻め込んで来た野武士が50騎程であったが討取ったのが13騎である事に難癖をつけていた。
「たった13騎!?姫路は強者揃いと聞いたが?」
「そうじゃのぉ・・・」
「いい加減にされよ!姫路が睨みを利かせているお陰ですぞ?」
「その通りじゃ・・・」
職隆を庇ったのは同じく小寺家重臣の石川源吾。また、主君の小寺政職は二派に分かれる重臣達双方の顔を立てている。石川は外様である自分達を快く思っていない譜代家臣のやっかみだろうと職隆を励ます。
職隆が姫路で睨みを利かせている事で播磨の東に手が出せない。ただ、赤松側も小寺家中の不協和音を察していた。度々、かつて重隆が赤松家に仕えていたおりに旧知の間柄である僧円満を使者とし送り、
職隆を取込もうとしていた。
「どうですか?小寺に義理は尽くしたでしょう」
「お断り致します」
職隆は浪人同然であった黒田家を取り立てて、一門衆、家老職まで引き立ててくれた小寺を裏切る事は出来ないと言う。円満は旧知のご隠居重隆の元にもやって来ていた。
重隆は「生き残るため」赤松に着くのもありだと言うが・・・。
「武士は忠義を尽くすもの」
「ハハハ・・・薬売りと言われるのが嫌か?」
重隆は息子の職隆の堅物ぶりが少々心配なようであった。そんな折に黒田家を揺るがす出来事が・・・。
「万吉がいない!?」
「申し訳ございません!!」
傅役の小兵衛は頭を地面にめり込ませんばかりに謝罪する。
万吉はいわが病がちであること、そして先日祖父の重隆が話していた、
「龍野の竜神池辺りには良い薬草が・・・」
と、いう言葉を聞いておたつと共に薬草採取に出かけていたのだ。ただ、龍野は赤松氏の勢力下にあった。
「おたつ此度は世話になった!薬草採ったら御礼がしたい」
「なら・・・私を万吉様の御嫁にしてください!」
「!?お、おう!分かった!」
二人はついに竜神池に辿り着き薬草を採取するが・・・。
「キャー!」
「おたつ!」
二人はの武士風の男たちに連れ去られる。
軍師官兵衛のあらすじ第1話下巻「名探偵万吉」
「母御のために薬草を採りにとは・・・健気な御子息ですな」
「ささ!まずは一献・・・!」
「いえ、家中の者も心配します」
「倅を連れ直ぐに戻ります」
「・・・敵の饗応は受けぬと・・・?」
職隆は赤松政秀と対面していた。政秀はこの機会に播磨半国を条件に寝返りを進めるが職隆は頑として断る。
「・・・御子息を人質としても?」
「・・・その際は倅諸共斬り死にするつもりです」
「・・・はは!戯言でござる・・・」
万吉は職隆に連れられて戻る事が出来た。職隆はいつも厳しい父だったが今回は強くは叱らなかった。しかし、姫路に戻ると・・・!
「あなたはいったい何をしたのか分かっているのですか!?」
いつもは優しいいわが万吉を厳しくしかる。実は、職隆が赤松領へと入っている間に傅役の武兵衛は切腹をする処だったのだ。黒田家嫡男である万吉は一人で生きている訳ではないこと、万吉の判断で家臣が死ぬこともあるのだと厳しく言い聞かせ、今後は嫡男として思慮深く行動をするように約束させる。
「母上もお約束下さい!」
「必ず病を治すと・・・!」
いわは約束すると応えたが・・・。程なく、いわは他界する。
職隆は御着城にいわの病死を伝える。主君の小寺政職は心底残念そうな表情を浮かべ・・・。
「後添えを世話させてくれんか?」
政職は黒田家との縁が薄くなることを憂いていると言う。職隆はまだいわが亡くなったばかりなので考えさせて欲しいと応える。
その後、度々野武士が小寺領内を荒らす。小寺側の動きを察しているかのように職隆が不在の時に限って湧いて来るのだ。
ある日、ついに広峯神社まで襲われる。広峯神社にはおたつが・・・!万吉は広峯神社へ駆け出すと、さらわれそうになったおたつを助ける。物陰に隠れていると・・・。
「追ってかないからと言ってやりすぎじゃ!」
万吉は顔に特徴的な傷のある男が野武士に指示をしているのを目撃する。赤松の手の者であろうか・・・。
度々の野武士の出没と黒田家が鎮圧に後手に回った事は波紋を広げる。
「黒田は赤松に通じているようですぞ!」
「なんじゃとぉ・・・?」
小寺譜代の小河良利と江田善兵衛の二人は早速讒言するが、タイミングが悪く、「後添え」の話を断っていた事も災いし疑いの目が向けられる。
「俺でももう庇いきれぬ」
姫路にやって来たのは石川源吾。もはや、黒田家への疑いは晴らしようがないという。
そこへ、万吉がやってくる。
「今は来客中じゃ・・・後に致せ」
「いえ、緊急・・・いや、お邪魔なようなので後に」
石川源吾が戻った後、万吉は石川源吾の家臣の武将を広峯神社の乱戦の最中見たという。赤松に通じているのは石川。
「三略に謀は密なるを良しとす」
あの場で言わなかった理由を尋ねた職隆に万吉はそう答える。程なく、石川源吾は職隆に事が露見事察し赤松へと走る。
「殿!赤松に通じていたのは石川!」
「ほぉれみよ・・・儂は職隆を信じておったぞぉ」
小河良利と江田善兵衛は赤っ恥であるが、政職は職隆を疑った事などつゆほども見せずに言い切る。また、職隆は政職の斡旋で後添えを貰う事になる。
軍師官兵衛のあらすじ第1話秀吉「秀吉と信長」
その頃、尾張では後に天下を獲る信長と秀吉が出会っておりました。
「猿も木から落ちるか・・・」
「どうか!某を配下にお加え下さい!」
「・・・まずは草履取りから始めよ!」
「はは!」
信長はその数年後、「桶狭間の戦い」で海道一の弓取りと言われた今川義元を討取る。
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万吉は義元の首を討取った者よりも、義元本陣を突き止めて梁田何某に、最も多くの褒美を取らせた信長という男に興味が湧く。
そして。
桶狭間の戦いから1年後の永禄4年(1561年)万吉は元服し、その名を黒田官兵衛義孝高と名乗る。
永禄4年は川中島で最も大きな戦いがございました。
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軍師官兵衛の感想1話「生き残りの掟」
軍師官兵衛の感想第1話です。軍師官兵衛は大河ドラマ「秀吉」で主演を務めた竹中直人さんが再び「秀吉」を演じる事でも話題になりました。大河ドラマ「秀吉」は秀吉の「暗黒面」は描かれませんでした。確か、最期は聚楽第の花見で終わるんですよね。官兵衛が主役であればその先も描かれる訳で・・・。こちらも楽しみです。
軍師官兵衛の感想1話「万吉少年が良い」
初回は子役からスタートでした。少年万吉は既にちょっと天才を持っていますね。
「夢中になると厠へ行くのを忘れる」
と、いうのは「集中力の高さ」、そして粗相をした後も、
「耳は空いている!」
と、着替えよりも善右衛門に話の続きを促す様子は物事を論理的に考える「思考力」を現しているように感じます。
また、「座敷牢脱出」の下りは万吉の「機転」を表現している。そして、何よりも母を大事に想う「優しさ」ですね。
官兵衛というと「軍師」ですし、また大河ドラマ「秀吉」では、半兵衛との対比で「黒い軍師」「野心家」的な描かれ方をしていました。ただ、キリシタンに帰依したり、生涯側室は置かなかったりと結構優しい男だと思うのです。
「私をお嫁にして下さい!」
きっとおたつもそんな万吉の事が好きなんだと思います。
まあ。。。
万吉はおたつの前でお漏らししても平気な様子なので、「恋愛感情」には未だ目覚めていないようですが・・・!
軍師官兵衛の感想1話「御着の殿」
官兵衛の主君である御着の殿こと「小寺政職」が最高ですね。演じるのは片岡鶴太郎さん。
片岡鶴太郎と言えば・・・。
往年の大河ドラマファンなら北条高時ですね。
北条高時と長崎円喜(フランキー堺)のコンビも良かった。いつも、仲良くしているようで、最期高時は長崎円喜を暗殺しよとするんですが、それは長崎円喜に見破られていて・・・
「ヒイィィギャヤャャー!!」
いるはずのない長崎円喜を見て発狂する高時とか思い出深いです。余談ですけど、太平記は児玉清さんや緒形拳さん、そして長崎円喜を演じたフランキー堺さんなど、結構鬼籍に入られている方も多い・・・。
鶴ちゃんには末永くご活躍を頂きたい・・・!
あと、職隆をイビる江田&小河さんの譜代家老コンビ。
江田善兵衛は上杉祥三さんで来世では徳川家定(翔ぶが如く)小河良利は堀部勉さんで来世では松平春嶽(翔ぶが如く)
磯部さんは面影ありますが・・・!上杉さんは面影まったくありませんww
軍師官兵衛の感想1話「父と子」
万吉、そして父職隆と祖父重隆の親子三代の様子も良い描かれ方だったと思います。
・・・まあ、典型的な「良い親子三代」と言われればそれまでなんですけど、子供の「至らなさ」心配する父、そして「孫の長所」が良く見える祖父。
まだ、万吉は子供なので父への反発も子供らしいものですが、職隆と重隆はお互いを「信頼」してはいるけど「ズレ」があるのが面白いですね。
「薬屋と言われるのがそんなに嫌か?」
重隆が兎に角小寺家へ義理立てする息子の職隆に語った言葉。そうなんです。
職隆は「武士らしい武士」になりたいんでしょうね。一方で、重隆は「生き残るため」ならなんでも利用するべきであると。
勿論、重隆はもう職隆に家督を譲り任せているのであまり口を出しませんが、流石一代で黒田家を盛り上げただけあってかなり「剛腕」な人物のようです。職隆は父も息子も「やり手」ですから気苦労が多そうですね・・・!
軍師官兵衛の感想1話「秀吉」
そして、、今宵「桶狭間の戦い」が終わりました。感想の冒頭でも申し上げました通り、「秀吉」が本当に楽しみです。あと、江口信長も中々味がありそうですね。
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以上、軍師官兵衛のあらすじと感想第1話「生き残りの掟」でございます。
今宵は此処までに致します。