武田信玄のあらすじ第24話「義元討死」。今川義元。駿河、遠江、三河、それに尾張の一部を領有する100万石の名門。一方織田信長は一門との骨肉の争いに明け暮れて、この頃ようやく尾張一国を平定したばかりであった。永禄3年(1560年)5月1日、駿府城を立った今川の大軍はおよそ2万5千。5月19日には駿府から凡そ150キロの地点、現在の豊明市あるいは名古屋緑区の付近に到着。
一方織田軍は清州城を立った時には7~8騎、追いついて来た2千程の軍勢で義元の本陣を襲ったのである。世に有名な「桶狭間の戦い」である。戦国の世の風雲児織田信長は今まさに、歴史の表舞台に飛び出そうとしているのである!
武田信玄第24話上巻~上洛前夜~
「この事他言無用。密なるを要する」
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晴信は山本勘助殿に尾張織田信長殿と強力して義元殿を討てと命じます。
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駿府

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「晴信は勘助を寄越すと申しておったか!」
「は!」
「勘助もあっち行け、こっち行けの生涯じゃのぉ(苦笑)」
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甲斐から戻ってきた岡部美濃守殿から援軍には山本勘助殿以下の軍勢が合力する報告を義元殿が上機嫌で聞いております。
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「して、北条殿は誰が来るのじゃ?」
「頼んでおりませぬ。あれは虫がすかん」
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寿桂尼殿の問いかけに、先程とはうって変わって不機嫌に答える義元殿。長年争った氏康殿には盟約があるとは言えわだかまりがあるのでしょうか。晴信には使いを出したものの、北条殿に援軍要請はされていないようでございます。そこへ、あのお方が目通りを願っていると。
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「信虎殿の御乱行。そろそろ晴信に引き取らせた方がよいのでは?」
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と、寿桂尼様。
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「おお!義元殿!都に上られるとか!?」
「ははは、どうやらそのようにござる」
「其方(寿桂尼)は幸せ者じゃ。よい子を産まれた!」
「いつ都へ出立なさる?」
「今すぐにでもと言う気持ちですがな!」
「その心意気!儂もお供したい位じゃ!」
「おお!ご一緒しますか?都見物?」
「!!・・・其方が憎い、あ、いや羨ましいと申すか(苦笑)」
「我が子晴信と比べれば力量天と地じゃ」
「なんのなんの、晴信殿には東国から北を治めてもらう所存」
「其方が天下で晴信が東国か」
「左様、二人手を携え日の本を導きましょうぞ」
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信虎殿は義元殿の功績を称えますが、本音を申さば悔しくて仕方がないのでございます。寿桂尼様が越後攻めを促すと信虎殿はすっかり昂ります。
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「越後など、晴信非力といえども朝飯前じゃ!」
「儂が甲斐へ戻れば我が軍勢山を下りこの東海に真の姿見せる!!!!」
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すっかり興奮された信虎殿を義元殿のが嗜めます。
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「まあまあ、そう昂られるとお身体に障りますぞ」
「何が「まあまあ」じゃ!義元!わしは其方の義理の父ぞ!」
「信虎殿、御言葉が過ぎますぞ」
「黙れ!ばばあ!!!」
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義元殿の雰囲気が変わります。
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「信虎。下がれ」
「はは!はははは!!」
欲
「信玄という法名を其方に与えた事が殊の外、領民達に心よく迎えられておる」
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晴信は長禅寺で法名「信玄」を与えてくれた岐秀和尚と会っております。岐秀和尚は国主である晴信が法名を名乗る事が自分の想像以上に領民に喜んで受け入れられている事驚いていたのです。
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「儂は領民の心を掴むために法名を名乗った訳ではない」
「それならばこの上ない喜びじゃ」
「わが心お疑いのようじゃな」
「めっそうもない」
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岐秀和尚は領民達が晴信の法名「信玄」を有難がる様子に何やらあわれと感じただけだという。領民達は皆貧しく苦しい。何かにすがらないと生きていけないのだ。「法名信玄」を領民の光明にしなければならないと言います。
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「言うは易く行うは難しじゃ」
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晴信は甲斐のために生きると誓っても己の「欲」から完全に自由にはなれない。「法名信玄」を得た事で自分もまた「欲」を乗り越え己を無にしたいと言います。
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「はははは!」
「何が可笑しい!?」
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晴信の「己を無にする」という話を聞いて岐秀和尚は笑います。
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「己の欲望を捨て去る事など出来ませぬ」
「なんと、禅宗の僧とは思えぬ言葉・・・」
「儂はとうの昔にそのような事は諦めておる」
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岐秀和尚は今の自分は欲の塊であり、
腹が減れば美味い物を喰いたくなり、
酒を飲みたいと思い、
長生きしたいと願い、
女子を見れば美しいと思うと。しかも、この歳で。
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「己を無にするとは何か拙僧にはわからぬ」
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人が生きるとは「欲を生きる」事である。国主である晴信は「己の欲」を生き抜くしかないと言います。
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「己の欲を生き抜いた時その彼方に何かが見えるかもしれませぬ」
武田信玄第24話中巻~上洛~

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今川勢二万五千は駿府を立ち、都を目指して動き出します。尾張清州城には緊迫感が漂いますが信長殿は能を楽しんでおられます。織田家重臣の皆さまには不安が募ります。
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勘助合流
「久しぶりじゃのう。盃を取らすぞ」
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晴信の命を受けた山本勘助殿は義元殿の軍勢に合流します。義元殿は援軍に現れたかつての家臣を快く迎え甲斐での暮らしぶりなどを尋ねます。
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「晴信ならお主を援軍に使わすと思っていた」
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勘助殿は義元殿の事を良く知っており、また、義元殿としても勘助殿なら安心。
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「じゃが、それが返って危うい事を招く」
「・・・?」
「晴信は杯を取らす隙に儂の首を獲れと申さなかったか?」
「・・・(ゴクリ)」
「冗談じゃ」
「は!」
躑躅ヶ埼にて

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「工事を開始して二十年になりますが、ついに完成しました」
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ついに釜無川の工事を終える事が出来ました。工事開始当初から関わってこられた飯富虎昌殿も嬉しそうです。この甲斐から洪水が無くなる日がやって来ると思うと私も嬉しゅうございます。
そこへ。
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「申し上げます!今川勢約三万!駿府を立ったとの事でございます!」
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飯富虎昌殿の表情はやや曇ります。このまま今川義元殿が上洛すれば天下を獲るのでしょうか。飯富虎昌殿の質問に晴信はただ頷くのでした。
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今川殿ご上洛の報は裏方にも知らされます。
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「今川殿が上洛!?」
「はい。先日二万余の大軍を率いて駿府を立たれました由にございます」
「お館様はいったい何をされているのじゃ!」
「まあまあ姫様、天下とは獲って初めて天下と言います」
「動かねば何も手に入らぬ!!」
「ほほ!それはその通りにございまする」
「もしやお館様は都に上りたくないと思し召しでは」
「なぜじゃ?」
「都に上り天下を獲る事を怖れておいでかと」
「何を怖れるのじゃ!?」
「お気の弱さにございます」
「お館様の何処にお気の弱さがあるのじゃ!?」
「草深き信濃の戦は猿蟹合戦の如きもの」
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八重は京の都の戦は雅と格式が大事。その事に田舎人の晴信がふと怖れを抱いても何の不思議もないと言ってのけます。三条殿は晴信を悪し様に言う事許さぬと八重を叱責しますがそのような叱責も何処吹く風。
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「それだけ姫様の御生れの都は尊いのでございます」
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不機嫌になった三条殿は話題を変えて反撃します。
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「急に御髪に白いものが増えたな」
「気苦労が多おございます」
「邪な心は御髪を白くするのじゃ!」
「うう!(涙)」
「この三条に偽りの涙は通用しませぬ!」
「この涙がそら涙でございましょうや?」
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八重は三条殿が産まれてからこの方そら涙等見せた事はないとさめざめと泣きます。
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「分かった。もうよい(疲れ)」
「ようございませぬ!!八重は邪な心などございませぬ!」
「ならそれで良いではないか(ため息)」
密約
尾張に入る直前。
勘助殿は旧知の織田家臣梁田政綱殿と乱波を使い連絡を取ります。とある月夜の晩。
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「名乗れ!」
「織田家家臣梁田政綱」
「山本殿!!」
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勘助殿はこれから今川勢の動きを教えると政綱殿に伝えます。
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「尾張領内に入った所で今川殿の動きお知らせ致す。今川殿を討たれよ」
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今川勢はこの数日内に尾張領内へ侵入し小さな城を悉く潰すと言います。今川勢は二万五千の大軍、蟻の這い出る隙も無い。
そして。
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「信じられよ」
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次は今川勢が尾張領内に入った所で会うと約し二人は別れます。
武田信玄第24話下巻~義元討死~
今川義元殿と致しましては京への道に敵する者などいないと思っていたのでございます。尾張の織田信長殿が例え若き弓矢取りであろうとも、僅かな手勢引き連れて今川勢二万余の大軍に敵のうはずもありません。その証拠に尾張沓掛に入っても織田勢には何一つ動きなかったのでございます。
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沓掛城
「清州城に至るまでに小さき城ございますが敵ではございませぬ!」
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清州城に至る道には丸目城、鷲津城などがございますが、いずれも守備兵は数百程度にございます。
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「出陣は明朝早くじゃぞ!」
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義元殿は家臣から清州城を囲むのは申の刻(午後4時前後)と聞くと、もっと早く囲んで信長殿に二万五千の軍勢を見せてやりたと上機嫌です。
清州城

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「お館様!今川勢は沓掛まで来ております!御下知下さいませ!」
「うむ。儂はしばらく寝るぞ」
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信長殿は鼓を打った後に尾張領内の絵図を見るとそう言って部屋を後にします。今川勢は二万五千の大軍にして、織田勢は精々が五千弱。織田家家臣達は清州城に籠城するしかないと考えております。
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信長殿の元へ勘助殿と密談を終えた梁田政綱殿が戻って来ます。
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「確かに信じよと申したのじゃな?」
「はい!しかし、話が上手すぎるとも・・・」
「奸風発迷じゃ!」
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信長殿は晴信の迷いが晴れて、今川殿を討つ決心をしたと確信します。甲斐にとって駿河は西への出口。さらに、駿河には晴信が欲しい物が二つあると言います。
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「一つは金山、もう一つは海」
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信長殿は梁田殿を下がらせると一人敦盛を舞います。
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「人間五十年、化天のうちを比ぶれば」
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「夢幻の如くなり一度生を享け」
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「滅せぬもののあるべきか」
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気付けばそこには濃姫様が信長殿を見ておりました。
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「出陣前に悲しげな顔は禁物じゃ。笑えぬか?」
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信長殿は明るく濃姫様に問いかけますが濃姫様は笑えないと言います。
信長殿は相変わらず明るい声で濃姫様に語ります。
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「そうか。ならその表情に相応しい物言いをしよう」
「敵は大軍、我が手勢は二千ばかり、今生の別れになるやもしれぬ」
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濃姫様は涙します。
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「そうじゃ。泣くのじゃ」
「そちを愛おしく思っていたぞ」
「そちの涙は大いなる勇気与える」
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信長殿は僅か数騎の騎馬武者と共に清州城を出陣致します。
桶狭間
「生憎の天気にございますな」
「止まずならば止まずとも良い。雨の中の勝鬨もまたよかろ」
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義元殿は雨の中本陣にて休みを取っております。
そこへ山本勘助殿が現れます。
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「織田信長!清州城を」
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一瞬言い淀む勘助殿。
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「どうした?」
「は。清州城を早朝出陣したとのこと」
「信長が城を出た?して兵数は?」
「七、八百ほど」
「七、八百?はははは!二万五千に七、八百か!」
「しかし、信長油断なりませぬ」
「其の方も苦労性になったの?」
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義元殿は勘助殿に今川勢の力を見物するとよいと上機嫌でございます。勘助殿は義元殿の本陣と退出すると一人虚空に挨拶をします。
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「今川義元様。さらばにございます」
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勘助は単身織田信長殿の待つ農家へと向かいます。
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「丸目城、鷲津城落ちましてございます」
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信長殿は重臣達を前に言います。
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「今生の別れになるやもしれぬ。今日この日を存分生きよ!」
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そこへ梁田殿が新たな情報をもたらします。
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「今川勢は現在桶狭間におりまする!」
「あとは義元の本陣を見つけるだけじゃ!」
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桶狭間は細い狭間となっており、今川の大軍も細く長くなっております。
攻めるなら桶狭間!
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「おお!山本殿!!!」
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外に出ると勘助殿が雨の中控えております。
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「義元殿は百姓家で雨宿りをしております。百姓家は三軒。その内最も大きな家が本陣」
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信長殿は義元の首のみ狙えと命じると出撃していきます。梁田殿は礼を言います。
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「礼などいらぬ」
「そうか。さらばじゃ!」
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百姓家では義元殿が鎧を着たまま持たせております。
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「ああ、鎧はいやじゃ、重い!暑い・・・」
「申し上げます!織田信長熱田まで来ております!」
「熱田まで?皆の者に敵近いゆえ用心せよと申せ」
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岡部殿がそう命じます。
雨は激しくまた雷鳴が轟いております。
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何やら馬蹄の音が?
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「お!お館様!!!」
「お館様!!!!!」
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突然本陣に織田勢が斬り込んできます!!義元殿も自ら応戦しますが!
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「都へ、都へ・・・」
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我が子晴信は今川義元殿の死によって西への出口を得たのでございます。
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