翔ぶが如くのあらすじと感想第10話「斉彬出兵計画」です。安政5年(1858年)大老に就任した井伊直弼はハリスの要求に屈し日米修好通商条約に調印。さらに、将軍継嗣は紀州慶福とする。水戸や越前等「一橋派」は巻き返しを図る。一方、薩摩では斉彬が上洛を決意。吉之助は京都で上洛受け入れ準備に奔走するが・・・?翔ぶが如くのあらすじと感想第10話!

翔ぶが如くのあらすじ第10話「斉彬出兵計画」

薩摩に戻った吉之助は井伊大老に対抗するには斉彬の名望と軍勢を以て、幕政改革を迫るしかないと進言。事此処に至り斉彬も出府を決断。吉之助を再び京都へと向かうように命じる。




この知らせは精忠組にも当然知らされる。大山達はいよいよ「幕府と戦」と大いに張り切るが、斉彬の考えを良く知る吉之助は釘を刺す。



「これは、幕府と戦うための出府ではない」



大山は慌てる。



「も、勿論じゃ!じゃがもし幕府が仕掛けてきたら?」

「そん時は我が薩摩隼人の力を存分に発揮する」



井伊家と言えば、直政以来の赤備え。相手にとって不足はない!



「チェストーーー!!」



大山は刀を振り上げ気勢を上げた。

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翔ぶが如くのあらすじ第10話上巻「条約調印」

井伊直弼は大老に就任したもののすぐさま「条約調印」という難題への対処を迫られていた。



「この程、英仏と清国との間で天津条約が結ばれました」



老中、堀田正睦はアロー号事件の勝利を受けてた英仏等の列強が、余勢かって今度は日ノ本へと迫る事を懸念していた。後は、調印を待つばかりの「日米修好通商条約」を締結を急ぐべきと説く。



「しかし、勅許が得られぬのでは致し方あるまい」

「ハリス殿には暫し待つようにと談判を」



井伊直弼は交渉役の岩瀬忠震に命じる。



「談判は嫌とは申しませぬが・・・」



岩瀬は約定を破っているのはこちらであり、もし強引に押し込まれた場合には如何すれば良いかを尋ねる。井伊直弼はその時は致し方ないと言う。



「じゃが、出来るだけそうならぬように談判するのじゃ」

「はは!この岩瀬忠震ハリス殿の前で見事に腹を切ります!」

「・・・腹を切って済む問題でもなかかろう・・・」

「井伊殿!!」

「条約は嫌じゃという御上を説得出来なかったのは堀田殿であったな!」

「・・・ッ!」



堀田は渋い表情である。井伊直弼はもし戦となればそもそも異国との戦いに勝ち目はない。戦に負けて永遠に日本国を辱めるのと、勅許を得ずに条約を結ぶのではどちらが正しいかと幕閣に問う。御上を説得出来なかった堀田を始め、井伊直弼に反論するものはいなかった。




かくして、安政5年(1858年)6月19日日米修好通商条約は調印される。

翔ぶが如くのあらすじ第10話中巻「幕府混乱」

勅許を得ずに「日米修好通商条約」が調印された事は有力諸侯にも波紋を広げる。本来、御三家・御三卿といった将軍家の一族であっても政(まつりごと)に関しての発言権はない。しかし、一橋慶喜はそれを押して登城する。




井伊直弼には「一橋派」の頭目ともいうべき慶喜には敵意があったが、それ以上に当惑していた。



「予が慶喜である」

「はは!」



政治的な権力はなくとも、徳川家御三家・御三卿は主君筋そして格別の家柄である。大老であっても、いや大老だからこそおろそかには出来ない。慶喜はこの容易ならざる時期に大老に就任した井伊直弼をまずは労う。



「井伊家と言えば先祖以来我が徳川家にとっても格別の家柄」

「先祖と変わらず忠勤を励まれよ」



「はは!この井伊直弼粉骨砕身精進致す所存でございます」



「処で訊きただしたいことがある」

「此度の米国との条約調印の件じゃが」

「帝のお許しを得ずに調印をしたと言うのは如何なる存念じゃ?」



「・・・恐れ入り奉りましてございます・・・」



「しかと答えよ!畏れ多くも将軍家を帝の御意思に背かせたのだぞ?」



「はは!恐れ入り奉りましてございます・・・」



「それは将軍家の御命令であったと言うのか!?」



「恐れ入り奉りましてございます・・・」



慶喜は日米修好通商条約調印が帝の勅許を得ていない事の責任を問うが、井伊直弼は判で押したようにただ、



「恐れ入り奉りましてございます」



と、応えるのみである。
慶喜は話題を変える。



「処で、将軍継嗣には紀州慶福様が内定されたとか?」



「左様にございまするが・・・」



「そうか、実に目出度い」

「処で紀州藩主が御不在となるが跡目は?」



「思し召しがございますればお取次ぎ致しとうございますが・・・」



「断る!儂は一橋家を離れるつもりはない!」



慶喜は押しかけ登城をしたものの確たる成果を得る事は出来なかった。




越前松平春嶽もまた、井伊直弼を詰問する。



「条約調印の後に勅許を得ようするは順序が逆であろう!?」

「何分、事は急を要しておりました」

「朝廷への朝廷は急を要さずと言うか!?」

「決して、そのような・・・」

「今一つ!堀田備中の老中職を解任したが、無断条約締結は大老にあるのでは!?」



ただ、井伊直弼はのらりくらりとかわすだけで、確たる発言をしない。そして、登城時刻であるというと会談を打ち切る。




松平春嶽は水戸斉昭が嫡男慶篤と尾張慶勝を誘い合わせにわか登城を断行するとこれに加わるが、井伊直弼は待たせるだけ待たせ、にわか登城組と会談をする事はなかった。

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翔ぶが如くのあらすじ第10話下巻「斉彬死す!」

将軍継嗣を紀州慶福に決めてからというもの、家定の表情には明るさが戻っていた。篤姫は、斉彬の役に立てなかった事を悔やむ気持ちはあるが、明るい家定の表情を見ていると、もはやそれを蒸し返すつもりにはなれない。



「幾島、この状況を打破出来るのは薩摩の殿様だけ」



篤姫は斉彬に出府を促す手紙を送るのであった。




一方、吉之助は斉彬の命で京都へと入る。まず、吉井友実から江戸の情勢を説明される。井伊直弼が勝手に条約を調印し将軍継嗣も決めた事に驚く吉之助。




薩摩藩の定宿となっている鍵屋に月照を招くと斉彬の「出府計画」を説明する。



「薩摩さんは本気なんですな?」

「はい!既に最新の装備をした薩兵三千が出府準備をしておりもす」



月照は朝廷工作を請け合う。そこに江戸から伊地知正治がやって来ると驚きの情報をもたらす。



「上様が亡くなられた・・・!」

「なんと!」


伊地知正治は将軍家定が亡くなったこと、一橋慶喜、水戸徳川斉昭等が「にわか登城」の責任を問われて処分された事を知らせる。また、この処分は家定の命ではあったが、既に家定は亡くなっており、それを秘した井伊直弼の独断であると言われている旨も伝える。




吉之助は家定の元へ輿入れした篤姫の事を思いやるのであった。




その頃、斉彬は弟の三郎殿を伴い出府に向けて大規模な洋式調練を実施していた。新式銃三千丁を準備して炎天下の天保山での調練ははそれは勇壮なものであった。




しかし。




その夜。



「まだお休みにならないので?」

「篤姫から文が届いたのでな‥・」



斉彬は篤姫からすぐにでも出府すべしという催促に、出府する旨を知らせ安心させてやらねばならないと言う。



「お篤には辛い想いをさせた・・・」

「いずれ詫びる事もあろう・・・」

「そう、儂を責めるな・・・」

「殿を責める等・・・?」



喜久は斉彬の様子がいつもと異なると感じる。



「殿・・・?お熱が・・・?」



喜久は斉彬が高熱を発している事に気付く。斉彬は昼の調練があまりに勇壮で熱かったからだと言うが、それから斉彬は高熱を発し、もはや起きている事もままならない状況に悪化していった。




そして、1週間も過ぎるともはや最期の時を迎えようとしていた。斉彬は枕元に久光を呼ぶ。



「三郎殿・・・後の事は頼む・・・」

「兄上!兄上らしくもない!」



斉彬は三郎(久光)の息子茂久を自身の養子とし、後を継がせる事、そして、三郎にはその後見を頼むというと息を引き取った。三郎は兄の突然の死に接し悲嘆にくれる。




斉彬が亡くなった夜。




江戸城の篤姫は斉彬が枕元に立ち、自分に何か詫びていたように感じる。



「薩摩の殿様がですか・・・?上様の御間違えでは?」

「私が上様と殿様を見紛うはずかない」



篤姫は幾島にそう話すが・・・。




斉彬の死。
京都で薩摩藩兵の受け入れ下準備をすすめる吉之助はその事をまだ知らない。




翔ぶが如くのあらすじ第10話でございます。

翔ぶが如くの感想第10話「斉彬出兵計画」

翔ぶが如くの感想第10話です。井伊直弼大老職拝命後最初のお仕事は条約締結・・・。井伊大老には批判もあるし、勿論その批判に関しては最もである部分もありますが、それでも、ハリスとの条約締結は致し方なかったかな?

翔ぶが如くの感想10話「条約締結」

日米修好通商条約締結は各方面から非難を受けます。帝の勅許を得ないでの条約締結。



「畏れ多くも上様を、帝の御意思に背かせた」



慶喜はこれを大いに詰りますが、個人的にはこの時は「これしか手がない」状況だったと思います。堀田正睦はこのままでは、アロー号事件に余勢をかった英仏の侵略の危機があり、条約締結を急ぐべきと言いながらも、勅許を得なければならないと言う雰囲気で、



「ハリスに強引に押し込まれたら締結しても仕方ない」



と、いう井伊直弼を非難がましい眼でみています。しかし、がこれは井伊直弼の言う通り、



「帝を説得出来なかったのは誰?」
(堀田正睦は条約勅許を得るのに失敗している)



と、ブ―メランを喰らっていますが、この時はこれしか手はなかった。




ただ、この井伊直弼にしても、阿部正弘の生前には、ハリスの言い分に重きを置く阿部正弘を批判しています。




誰しも、もはや条約を締結するしかない事は分かっているがその決断を誰が下すのか?一種のチキンゲームの様相のように見えます。




結局、井伊直弼は決断を下します。慶喜が動いたのはこの機会に、



「条約を勅許なく締結したのは大老の独断」



と、かつての調所広郷のように腹を切らせて、一気に将軍継嗣問題の逆転を狙っているように見えます。これも、井伊直弼からすればある意味では「ブーメラン」ですが・・・。(阿部正弘生前はハリスに重きを置く阿部正弘を非難していた)




井伊直弼は大人しく「ブーメラン」を喰らう玉ではなさそうです。

翔ぶが如くの感想10話「斉彬の死」

井伊大老に対抗するため軍勢をもって上洛し、御上の御威光を以て幕政改革を迫る。斉彬とっておきの最後の手段。




この時のために薩摩藩兵は洋式に調練され装備も近代化されていました。そして、最期の準備「天保山での洋式調練」を終えあとは出府するだけと言う時に病を発します。




現在は毒殺説も有力視されているようですがもし、このまま斉彬が上洛をしていたら・・・。




勿論、斉彬の上洛が必ずしも我々が知っている歴史よりも良い結果をもたらしたとは限りませんが、妄想をするには魅力的な物語であるとも思います。




さて、家督は三郎殿の嫡男島津茂久が継承しますが、ある意味では万が一自分が倒れても「三郎殿」というスペアを残しておく。斉彬が藩主に就任した時に、御由羅派を処罰しなった深謀遠慮が今生きてくるといったところでしょうか。




因みに、「久光派(三郎派)」でも「斉興派(前藩主派)」でもなく「お由羅派」なんですよね。
今更ですが。




お由羅は「祈祷」位はしたとは思いますけど、表での権力を持っていたような証左はないんですけどね。




以上、翔ぶが如くのあらすじと感想第10話「斉彬出兵計画」でございます。

今宵は此処までに致します。

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