太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第6話「楠木登場」。高氏が解放されて鎌倉は一旦は平穏を見るが・・・。楠木正成が初登場。楠木正成はやっぱり武田鉄矢。当時は「武田正成は似合わない」という声もあったと聞きますが、私の楠木正成のイメージは武田鉄矢・・・!太平記のあらすじと感想第6話

太平記(大河ドラマ)あらすじ第6話「楠木登場」

高氏が解放された翌日。鎌倉足利屋敷では高氏が母清子から直垂(ひたたれ、着物のこと)の色について助言を受けていた。



「この色よりもそっと良い物がありましたのに」

「母上、そろそろ・・・私は赤橋守時殿にご挨拶・・・」

「赤橋家にいけば登子殿にもお会いするでしょう」



貞氏と高氏は此度の「騒動」で高氏解放に少なからぬ力添えがあった足利守時邸に挨拶に行くことになっていた。清子はかねてから進めていた赤橋守時の妹、登子との縁談に思いをはせウキウキの様子である。もっとも、弟の直義は今回の件は「北条側の不正義」が発端であって挨拶などいく必要はないと一人むくれていた。

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太平記あらすじ第6話上巻「赤橋守時」

貞氏・高氏父子は足利の鎌倉屋敷から赤橋邸へ向かい馬首を巡らす。
その道中。



「父上、此度の件はあくまでも北条の不正義が発端」

「赤橋殿といえども北条、まずは先方の謝罪があって然るべき」

「謝罪なくば、席を立って帰る所存ですが父上は如何に思われますが」



「うん・・・それで良い」



二人は緊張感を漂わせつつ赤橋邸へと到着すると広間に通される。




赤橋守時はすぐに現れまずは足利父子の来訪を謝する。




そして。



「此度の件、足利殿に落ち度はござらぬ・・・!」

「赤橋も北条の一族、まずはお詫び申し上げる」



貞氏と高氏はあまりに率直な謝罪に暫し、あっけに取られる。



「赤橋殿・・・よくぞ足利を救うてくれました!礼を申す!」



貞氏と高氏は父子もまた今回の赤橋守時の骨折りに感謝の意を伝える。両者のわだかまりが氷解したところで、登子がやってくる。高氏と登子はそのまま広間で「古今六帖」談義に花を咲かせる。二人を残し貞氏と守時は赤橋家の庭へと出る。




守時は先代から伝わる評判の庭を披露する。守時は父の久時を早くに亡くしていたが、丹精を込めて庭の木々を育て上げていた。



「早くに御父上を亡くされ後これ程見事にお育てあるとは」



貞氏は守時の手腕を称賛する。守時はかねてから金沢貞顕を通して相談していた縁談の件についても再考できないかと問う。



「登子を高氏殿の嫁に迎えて頂くわけには参りませぬか?」



今回の件で足利としても北条に「思う所」があるのは重々分かっているが、足利と赤橋が縁戚となり力を併せればこの鎌倉を正しい形に戻していけるはずだと熱心に説く。



「赤橋殿・・・そのお答えをしたつもりだが?(笑)」

「では!!」



赤橋と足利の縁談は改めて進める運びとなる。




赤橋守時が高氏解放の表の主役なら、裏の主役は佐々木道誉である。佐々木道誉はそのまま鎌倉に留まると花夜叉一座の舞を楽しんでいた。



「花夜叉よ、そは誠か?」

「はい、間違いなく」

「藤夜叉が足利殿の子をのう・・・」



道誉は新しい「玩具」を見つけたような表情である。




戦嫌いの高時は今回の「帝謀反」について、後醍醐自身にはなんら罪を問わず、謀議を図った主要人物の日野俊基と日野資朝のいずれかの首を落とすことで沙汰止みとするつもりでいた。



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日野俊基と日野資朝。同じ「日野」だが兄弟や親子のように血のつながりがある訳ではない。

また、北条では得宗家に次ぐ家柄である赤橋家と足利の縁組が事実上決定したことで、鎌倉もまた平穏を取り戻すかに思えていた。




しかし。



「それではつまらぬでな・・・!」



舞を終わった藤夜叉を近くに呼び寄せる。



「藤夜叉よ・・・足利殿に会いたいか?」



小さく頷く藤夜叉。



「ふふふ、この佐々木判官が会わせてやろう!」



突如、道誉は太刀を抜くと床下に突き刺した。床下には何処かの「素波」が潜んでいたのだ。

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太平記あらすじ第6話中巻「楠木正成」

ましらの石はここ数日まったく道に迷ってしまっていた。




石は日野俊基が捕縛される直前に俊基から短刀を預かり、楠木正成へと届けるようにと頼まれていたが、食うや食わずでここ3日彷徨い続けて疲れ果てていた。




ふと、目に留まる畑の大根。




気が付くと一つ引っこ抜き夢中で食べていた。そこに、どうやらこの畑の主と思われる農夫風の男が近づいてくる。




石に逃げる気力は無い。



「・・・人様の畑から盗むくらいなら舌をかみ切って死ね」

「親父にはそう言われていた・・・」

「しかし、ある尊いお方から楠木様なるお方に会うよう頼まれて・・・」

「此処まで来たが道に迷いここ3日水しか飲んでおらん」



石の言い訳とも懺悔とも謝罪ともとれる言葉を聞き終わると男も大根を一つ引っこ抜き食べる。



「この大根は不味かろう?最近は雨が降らんで育ちが悪いのじゃ」



そこに、母親らしき人に連れられて数人の子供たちがやってくる。



「おお!来たか、ここじゃ!この木!立派な栗を付けているぞ!」



男と子供たちは木に向かって感謝の言葉を述べる。女は男の妻だろうか?




男と子供達の行動を不思議そうに見つめる石にワケを説明する。



「木を誉めると、また立派な実を付けてくれると村中の木を回っているのです」

「そ、それは誠に・・・?」

「さあ・・・(笑)」



そこへ、また別の女子達が血相を変えてやってくる。



「お方様!!!龍泉様がまた戦に・・・!」



「分りましたすぐ戻ります!さあ、貴方もご一緒に」

「楠木の屋敷へ案内致します」



先程の男こそ楠木正成。そして、女は楠木正成の妻久子であった。




「龍泉寺」とは楠木正成の実弟楠木正季である。河内水分(みくまり)の龍泉に分家したため、土地の者はみな「龍泉寺殿」「龍泉殿」と呼んでいる。正季は楠木一党の領分の市場や港に北条が介入して来たことを知らされ武力で追い払おうとしていた。



「龍泉殿、明日は皆で雨乞いのはずでは?はて何処へ行かれる」

「雨乞いなど夏にやるもんじゃ・・・」



先程会った正成と兄弟とは思えない大男であるが、久子には頭が上がらない様子である。悪さを見つかった子供のように下を向いている。




そこへ、正成も戻ってくる。




楠木邸に入ると正成が石から渡された日野俊基の短刀を眺めていた。



「俊基殿がのぅ・・・そうか・・・」

「もし俊基殿に再開する機会あれば死んではならぬとお伝え下さい」



石の話を聞いていて激昂したのは弟の正季である。



「ああ!我らは日野殿を見殺しにてしまった!!」



日野俊基は度々ここ水分(みくまり)を訪れ、共に「倒幕に」立って欲しいと要請していた。楠木党が支配する市場や港にも北条に侵されることが度々で正季は日野俊基と同心し、倒幕に立ちたいと考えていたが、兄正成はそれを決して許さなかった。



「関東者が我らの領地に泥足で上がり込んでいるのを許すのですか!」



「泥足で床に上がり込まれたらな、後で綺麗に拭けばよい」

「古市の出入りを邪魔されたら他の市場で商いをすればよい」



「兄上!!!」



「刀を抜けば、相手も抜く」

「斬り合えば双方傷が付く」

「それで、米の一石も余計に獲れるか?瓜が沢山獲れるか?」

「田畑が荒れて、人が死ぬだけだ」

「無益なことだ・・・」



その時大きな雷鳴が轟く。




正成は表の様子を見ながら側近の恩地左近に尋ねる。



「左近!降るかの??」

「降りますかな・・・?」



雨が降り出した。本降りになりそうだ。正成と左近、屋敷の者も近状の農民たちまでもが表に出て雨を喜んだ。



屋敷に残った正季と石。



「おい、お前は日野様をお助けしたいと思わぬか?」



石は黙って力強く頷いた。

太平記あらすじ第6話下巻「高時と判官」

鎌倉では執権北条高時が流鏑馬を催していた。高氏も参加し見事な腕前で的を全て射抜く。



「足利殿・・・見事じゃ見事じゃ!的を全て射抜いていたのぉ」

「は、畏れ多い御言葉・・・」



高時は上機嫌で高氏の腕前を誉める。二人が会うのは「犬合わせ」で高氏が恥辱を受けて以来である。高時の「お気に入り」である佐々木道誉も高氏の腕間を称賛する。



「この判官も足利殿の教えを請わねばw」

「私は二度もやって一つかすっただけw」



「判官に弓は似合わぬ」

「黄金色の服を着て花を生け白拍子の一座を抱えて喜んでいるのが丁度良い」



「執権殿、それは阿呆と言っているように聞こえますぞw」



「何を申す・・・良い大名と褒めておるのじゃぞ?」



「ハハハハハ!」



高時と道誉は気が合うだろう。二人で大笑いをしている。




高時は改めて高氏に近づく。



「足利殿・・・儂はのぅ・・・」

「良い犬と良い一座を抱えた大名を良い大名と呼ぶことにしておる」

「何故かお分かりか?」

「犬と踊りが好きな者は戦など好まぬ」

「儂に歯向かったりはせぬ・・・この佐々木判官のようのぉ」

「それ故このように心置きなく喋れる」



道誉が間髪入れず、



「真に!戦を厭う平らかな御心が偲ばれますな!」



「ほほほ!この口の上手さよww」



高氏はただ、二人のやり取りを黙って聞いていた。




高氏が一人、流鏑馬の陣から帰ろうとすると道誉が呼び止める。高氏は警戒するが・・・。



「それがしの心根はあの審問のおりよく分かっておられるはず」



確かに。あの侍所での審問で道誉が京でのことを話せば高氏は助からなかった。



「藤夜叉という白拍子を覚えておいでか?」



道誉はその藤夜叉が高氏の子を宿しており、さらに鎌倉に来ているので明日佐々木邸で会ってやって欲しいと耳打ちするのであった。




高氏は京であった藤夜叉とのことを思い出す。道誉が去り一人になると叫ぶ。



「ああ!!」



そこに、そのやり取りを見ていた右馬介が現れ、行ってはならぬと釘を刺す。既に、赤橋家との縁談も進んでいるのだ。




高氏は右馬介に苦しい胸の内を明かす。



「右馬介・・・そちはどう思う?」

「この所父上も母上も何も言わぬ!北条嫌いの師重達もそうじゃ!」

「そういう儂もどこかで・・・赤橋殿と手を携えこの鎌倉を良い方へ導ければと」

「日、一日とそう思う自分がおるのじゃ・・・じゃがそれで良いのか?」

「新しい世が来ると言った日野殿はこの鎌倉で刑に処せられる」

「儂は同じ鎌倉で赤橋殿と登子殿と・・・」

「京で見たのは幻か!?」

「儂は京で会った白拍子に、藤夜叉に無性に会ってみたいのじゃ!」



右馬介は黙って高氏の顔を見つめていた。




以上、太平記(大河ドラマ)あらすじ第6話「楠木登場」でございます。

太平記(大河ドラマ)感想第6話「楠木登場」

太平記(大河ドラマ)の感想第6話。私の中で「楠木正成」と言えば武田鉄矢のはまり役。正直、金八よりも「楠木正成」ですね。次点でストロベリーナイトの「ガン鉄」。

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太平記感想第6話「サディスティック判官」

佐々木道誉は退屈がお嫌いなのですね。




日野俊基の「倒幕運動」に肩入れしていたのは高時の命もありましたが、それ以上に「退屈凌ぎ」というのも大きかったと思います。己の才覚を持て余しているというか。




散々泳がせて「遊んだ」後は捨てる。



ついでに吊り上げた「足利高氏」の引きつった顔を楽しみ鎌倉に献上するかと思いきや・・・。




お預けを食らわせて地団駄を踏む長崎円喜を嗤う




ただ、道誉が思うよりもこの「遊び」は早めに幕が下りてしまった。赤橋家と足利家の縁組が決まり鎌倉は再び安定を取り戻してしまう。




次のターゲットは藤夜叉と高氏。




人の気持ちを弄び、右往左往する様子を愉しむサディスティックな雰囲気が似合っている!

太平記感想第6話「日常に流される怖さ」

赤橋守時からの「心からの謝罪」に二人はあっけに取られておりました。




ただ、あそこまで「心からの謝罪」があればやはり心は動く。人間は基本的には「変化を嫌う」ワケですからね。



「そういう儂もどこかで・・・赤橋殿と手を携えこの鎌倉を良い方へ導ければと」

「日、一日とそう思う自分がおるのじゃ・・・じゃがそれで良いのか?」



高氏の苦悩が身につまされるんですよね。




私自身この記事を書いている今(令和二年二月)は宮仕え(サラリーマン)の身。前の仕官先(そこそこの大国)を辞めた時に二度と宮仕えはせぬ!と決意していたのに。




色々と上手くいかなくて生きていく為にやむを得ず、今の仕官先(今度は弱小国)に出仕するようになったときも、あくまで「仮住まい」でだと決意していたのに。




既にもう5年位「仮住まい」している(涙)




本当にコレで良いのか?




私自身はなんだか「過去の自分」を裏切っているようで後ろめたいんですよね。




なので、この高氏の気持ちはよく分かる。



「儂はあの白拍子に会ってみたいのじゃ!」




もう一度、藤夜叉会う事で「確かめたい」のだと思います。




この日常に流されつつある自分の気持ちに変化が訪れるのか?




さて、次回は「悲恋」とありますが・・・。




高氏の気持ち変化は如何に?




太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第6話「楠木登場」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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→太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第7話「悲恋」