武田信玄(大河ドラマ)のあらすじ第3話「別れ」。我が子晴信と夫である信虎殿の諍いは既に多くの方が知る事になっております。こんな時の出陣とはいやな予感がしておりました。時は天文10年5月。信虎殿は海野平へとご出陣をあそばしました。
武田信玄第3話上巻~出陣~
いやな予感はしてはおりましたが力なき私と致しましては、ただただ、皆様の無事の帰還を祈るのみにございます。
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海野城攻め
この戦は信虎殿が諏訪頼重殿、そして村上義清殿と同盟を結び小県郡へ攻め入り申しました。諏訪頼重殿には我が娘「寧々」が嫁いでおります。また、村上義清殿は北信濃葛尾城城主。敵方は海野棟綱殿を筆頭とする国衆で蘆田城、尾野山城、祢津城、矢沢城等でございます。戦は、信虎殿率いる我が甲斐の軍勢が押しております。
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「原美濃守戻りましてございます」
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「おお!で、どうじゃ?蘆田城は落ちたか?」
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戦の様子を知らせに戻ってきた原美濃守殿に信虎殿が訪ねます。
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「諏訪殿の先陣が落としましてございます」
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「そうか!頼重殿も義元殿も良き婿殿じゃ!」
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信虎殿は原殿の報告に満足げにうなずいておられます。そして、信虎殿は晴信に酒を持ってくるように命じます。武田家嫡男にそのようなことはさせらぬと、近習が動こうとしますが・・・。
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「晴信にさせよ!」
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信虎殿はそう命じると、晴信は従います。そして、その様子をご覧になっていた原昌俊殿は一人の近習に目配せをすると、其の者は晴信の後に続きます。まるで監視をするかのように。この陣馬奉行を務める原晶俊殿は信虎殿の命を受けて、駿河に晴信を預けたい旨、義元殿に知らせたお方にございます。
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その様子を此度、晴信に同心をしている飯富殿は見逃しません。夜、同じく信虎殿を追放の同志、板垣殿と原(美濃守)殿の陣へ、その様子を知らせます。
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「怪しげなる動きございます」
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飯富殿は晴信がまるで陣馬奉行に見張られているかのような様子であること、また、蘆田城を落したの諏訪頼重殿であると知ると、
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「諏訪殿も、今川殿も良き婿」
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そう、城を落した頼重を「良き婿」と言うのは分かります。しかし、此度の戦には参戦していない義元殿を褒めるのは・・・?
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「お館様も既に手を打たれたという事か」
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板垣殿は既に信虎殿も義元殿に手を回していることを知ります。晴信充てに「信虎殿預かる」旨連絡は来ているのですが・・・。ただ、ここで妙な動きをする事は出来ません。
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「今川義元の腹のうちは・・・?」
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板垣殿は1人呟きます。まずは今川の使者を待つこととします。
似た者同士

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ここは駿河今川館。義元殿と御生母寿桂尼殿がおられます。
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「親子とは面白いものであるの」
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義元殿は楽し気に語ります。親子揃って小県への戦の時期に同じような事を考えて、お互いの預け先が今川家。
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「憎みても同じ事考えるとは。所詮甲斐の親猿、子猿じゃ」
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暫くはどちらが勝つのか楽しめそうとまるで他人事のような義元殿。その様子を見ていた駿河の軍師、太原崇孚殿が申します。
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「甲斐の山猿の競り合い、黙ってみていてよろしいのでしょうか?」
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それに、寿桂尼殿が答えます。
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「親子喧嘩に手出しは無用じゃ」
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寿桂尼殿は競合いに負けるようなものと同盟を結んでは意味がないと申します。つまり、勝った方と手を結べばいい。弱い方に手を貸すような事があれば、北条の餌食であると。また、京より迎えた晴信の妻三条殿の事も気に掛けねばならないと。
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「そなたは天下人になるのじゃ。都に敵を作る訳にはいかぬ」
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義元殿は以後は何も語らず、ただ、我が「甲斐」に擬しているのでしょうか?併せ貝の玩具で楽しそうに遊んでおります。
八重殿と大井夫人
この頃、三条殿は病に伏しておられました。私が見舞いに参りますと三条殿は全身の節々が痛むと申します。
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「都へお戻し下さい。おもうさん、おたあさんの元で死にとうございます・・・」
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「死にはせぬ」
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三条殿は身重の身体。気をしっかり持つように伝えますが、
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「私は若殿様に見捨てられたました(泣)」
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と、申して泣くばかり。これ以上は何を聞いても致し方ないと思い、女御であり親代わりの八重殿を自室へ招いて問い質します。
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「晴信との間に何があったのか?」
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八重殿は晴信が廃嫡となるため、その話を聞いてからというもの、何も食べなくなってしまったと申します。
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「晴信が廃嫡等と誰が申した?」
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「他ならなぬ若殿様にございます」
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私は驚き、それは酒の上での戯言。廃嫡などといった大事な事を私(大井夫人)が知らない訳がない。廃嫡等あり得ぬ事三条殿に申し伝えるように言います。
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「ありがたきお言葉。そのお言葉文(ふみ)にしたためて頂ければと存じます」
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八重殿は無礼にも我が言葉を疑っていたようでございます。我が言葉を申し伝えるように、改めて命じます。八重殿は承知したと申しましたが・・・。
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「もし、ご廃嫡となれば・・・お恨み申し上げます」
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と、捨て台詞を残し下がっていきました。
武田信玄第3話中巻~晴信か信虎か~
義元殿は晴信にも、また信虎殿にも色よい返事をしております。その腹の内は、義元殿にしかわかりませぬ。ただ、この時は晴信も信虎殿も、相手が同じ事を考えているとは気がついてはおりませんでした。
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襲撃
我が甲斐の軍勢は古い山寺を本陣と致しおります。その日は嫌な雨が降り続いておりました。
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「そろそろお休みになられては?お館様もお休みになられております」
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晴信は近習にそう告げられると、自らの寝所に割り当てられた部屋へと向かいますが、そこで信虎殿と、陣馬奉行の原晶俊殿の会話を聞きます。
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「今川の使者がやってきたら、素早く儂の元へ通せ」
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晴信はそれを聞くと信虎殿の寝所側と離れ、表に控える晴信の近習、甚三郎にそっと耳打ちします。
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「今川の使者、必ず捕らえよと板垣に伝えよ」
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今川の使者がどんな手紙を持ってくるのか。それで今川の腹のうちが分かると。
その時。
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「!?」
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寺の柱に次々と矢が刺さります!何者かが武田家本陣のある寺を襲撃致しておりました。今度は、夜陰に紛れて次々と斬りかかってきます。晴信は素早く相手を切り伏せます。
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「父上!!!」
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信虎殿が危ない!晴信は叫びながら信虎殿の寝所へ突入すると、斬りかかってくる敵を次々と切り捨てます。大方の敵兵を切り捨てた時。
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信虎殿も刀を抜くと。
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刀を抜いている信虎殿に驚く晴信。
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「ザクッ」
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信虎殿が引き戸越しに刃を立てると、その先には襲撃してきた最後の1人が倒れておりました。
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「晴信・・・何故儂を助けた」
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信虎殿は自分が死ねばそれは取りも直さず、甲斐一国が晴信のものになるにも関わらず、何故危険を冒して助けたのかを問います。
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「父上の命、甲斐一国には代えられません。大事にございます」
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「そうか。今宵はよくやった」
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襲撃が失敗に終わったころ。
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「ここで武田親子を葬れば信濃も少しは静かになったものを」
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襲撃を指図したのは共に海野攻めに出陣をした娘婿の諏訪頼重殿、そして村上義清殿にございました。2人はまた次の機会にと話をしておりました。
義元の真意

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今川館では、信虎殿と晴信からお互いを預けたいと申し込まれている義元殿が動きます。
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「勘助。この手紙を武田晴信に届けよ」
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義元殿は晴信の父信虎殿を預けたいと言う申出を引き受けたと言います。また、その盟約の証に山本勘助殿を引出物として仕えさせるとも言います。
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ただし。
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「表は武田の家臣、裏では我が今川の間者となり甲斐の様子を知らせよ」
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義元殿はここ数年で甲斐は今川のものになる。その時は勘助殿にも十分な恩賞を与えるに、それまでは、妻子をこちらに残しておくようにと命じます。
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そして、晴信に会ったらまず、
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「家臣「高間五郎兵衛」兵100率いて、預かりに参ると申し伝えよ」
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山本勘助殿殿は命令を受けると義元殿の書状を持って甲斐へと旅立ちます。
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「聞いたか?」
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義元殿がそういうと、隣の部屋にはその高間五郎兵衛が控えておりました。義元殿は勘助が手紙を持って晴信の元へ参れば信じて信虎殿引取を待つはず。しかし、預かるのは実際は晴信。そしてその事は既に信虎殿へ使者を遣わしていると言います。
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「晴信預かりは甲斐の韮崎にてじゃ」
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「父を追放しようとする晴信の方が危険。疑わしきは芽の内に摘む」
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武田信玄第3話下巻~駿河へ~
戦は武田方の勝利に終わりました。小県より兵を引き上げますが共に出陣をした諏訪頼重殿、そして村上義清殿が別れのあいさつに参ります。
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同床異夢
「諏訪殿、村上殿、今宵辺り祝杯でもあげませぬか?」
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信虎殿は今回の戦で新たに得た小県の分け合いを決めるためにも、今宵辺り、祝杯を上げつつ話し合いたいと言いますが、村上義清殿も諏訪頼重殿もその話は後日またと言うと海野平を後にします。二人が見えなくなると信虎殿は侮蔑の表情で言います。
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「若さとは思慮の足りぬものよ。後日では遅すぎる」
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今回新たに得た小県の領地を諏訪殿、村上殿と分け合う気持ちはサラサラないようでございます。
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兄弟
晴信は小県より引き上げる最中に弟の信繁を伴い本陣を離れます。
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「信繁、馬から降りよ」
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2人は馬から降ります。そこで晴信は信繁に話したい事があると言いますが、信繁はそれを遮りまず先に発言します。
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「父上のいかなる命においても兄の上になるつもりはない!」
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信繁は武田家家督を継ぐのは兄、晴信を置いて他にないということ、そして、父信虎殿と和解をして欲しいと伝えます。
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「さもなくば。兄上は父上に殺されてしまいます」
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しかし、晴信は既にその時期は過ぎたと言います。
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そして。
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「父上を追放する事にした」
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晴信は自分の決意を信繁に伝えると同時に、父上は信繁にとっても父上であり、もし追放する事に反対なのであればこのことを父上に伝えても構わないと伝えます。信繁は涙を浮かべ晴信の言葉を黙って噛みしめるのでありました。
韮崎にて
未だ、今川からの使者はやってきてはおりません。武田勢は小県攻めの帰路の途上にあります。そして、帰路の途中のある朝。晴信は先日倉科の里にて見かけた「間者」と思しき男を見つけます。山本勘助殿であります。
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「書状の他に今川殿の言葉なかったか?」
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「家臣「高間五郎兵衛」兵100を持ってお迎えに上がります」
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「そうか、場所等はなったか?」
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「ございません」
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晴信は山本勘助殿が義元殿より晴信に仕えるように命じられている事を書状で知り、それを許します。
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その後、すぐに板垣殿より今川殿の使者を捕らえる事に成功したと連絡があります。その使者の書状には甲斐の韮崎にて晴信を預かる事がしっかりと記載されておりました。
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「この書状、わが手の者よりお館様に届けさせます」
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「うむ!いよいよ明日だ」
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晴信は信虎殿の命により武田勢の先頭におりました。そこに、ついに晴信を迎えるために高間五郎兵衛殿がやってきます。
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「今川家家臣高間五郎兵衛、お館様に目通り願いたい!」
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「要件はなんじゃ?儂は武田晴信である!その方、信虎殿をお迎えに来たのではないのか?」
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「お迎えするは武田晴信殿!」
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「もう一度聞く。信虎殿ではないのか?」
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「武田晴信殿にございます!」
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そこまで言うと晴信は太刀を抜き、高間五郎兵衛を斬りつけます。
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「その方!今川殿の命を誤って伝えし裏切り者!」
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憐れ高間五郎兵衛は斬り殺されてしまいす。
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別れ
前方での騒ぎを聞いて信虎殿は板垣殿に命じます。
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「もし、今川勢なら、晴信を引き渡せ。わしから今川殿にお願いした」
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板垣殿が信虎殿の元を離れると
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「なんじゃ!?」
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兵達が信虎殿を包囲しています。
そして。
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「儂は甲斐国主武田信虎ぞ!これは謀叛じゃ!陣馬奉行!!」
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此度、晴信追放の命を受けていた原晶俊殿を呼びますが、既に原美濃守殿に「そちを咎める事はない」と抑えられています。
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高間五郎兵衛を斬られて動揺する今川勢を山本勘助殿が沈め「約束通り」武田信虎殿を引き渡します。今川勢と共に駿河へ向かう信虎殿が段々小さくなります。
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「父上!!」
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信繁はたまらず叫んでおりました。そして、無言で見つめる晴信は目にも涙を浮かべ右上を突き出しておりました。
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お話し申し上げたきことまだまだございますが我が子晴信の涙が全てを物語っているかと思いまする。
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今宵は此処迄に致しとうございます。
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