太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第43話「足利家の内紛」。尊氏と直冬の関係を見ていると後醍醐帝と大塔宮を思い出しますね。親の心子知らず、子の心親知らず。この頃はまだ引き返せたかな。そして、北畠親房は流石。足利家の足元が危いことに感ずいている。太平記(大河ドラマ)のあらすじと感想第43話

太平記(大河ドラマ)あらすじ第43話「足利家の内紛」

貞和3年(1347年)、足利兄弟最愛の母清子の願いも虚しく、直義を中心に桃井、細川などを中心とした足利一門衆、そして、高師直師泰兄弟をはじめとする新興の武家衆の対立は先鋭化していた。




また、足利一門が一枚岩ではないとみるや南朝も攻勢を始める。




東国から吉野へ戻った北畠親房は諸国の南朝方に激を飛ばす。




九州では菊池氏、畿内では北畠、そして楠木正成の遺児正行、東国では結城氏が幕府方と衝突を繰り返すのであった。

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太平記あらすじ第43話上巻「時を待つ」

尊氏亭


「ありゃーありゃーありや!」



大河姫

蹴鞠。尊氏と直義を思い出すね。

尊氏亭では子供の声が元気に響いていた。




尊氏と登子との間に産まれた光王、後の初代古河公方足利基氏である。




尊氏は光王と蹴鞠を楽しんでいる。




登子は穏やかな父と子の日常を目を細め嬉しそうに眺めていた。




ただ、一人鎌倉で政務をする嫡男義詮のことにも思いをはせる。もっとも、まだ会った事のない「兄」のことを言われると光王は少々むくれる。



「また兄上の話じゃ!(プンプン)」



そこに三条の直義亭からの使いで直冬が来ているとの知らせが入る。




登子は表情を曇らせる。




尊氏は蹴舞を切り上げ、直冬が待つ広間へと向かうのであった。



「何?直義殿は風邪をひかれたか」



直義は数日前から発熱し病で臥せっているという。その為、名代で直冬が来たのだ。




用向きは河内で猛威を振るう楠木正行の事である。








尊氏は「正行」の名を聞くと少々懐かしそうな表情を浮かべる。



大河姫

尊氏は幼い正行と一緒に牛車に揺られたよね。

先般、その正行は足利方の細川顕氏の軍勢を破っている。




直冬は正行討伐の総大将に自身を任じて欲しいと頭を下げる。



「私も湊川で正成を破った父上の子・・・!」



大河姫

「父上」という言葉を聞いた時の尊氏の表情。。

かつて尊氏と湊川で決戦に及んだ名将楠木正成の子である正行の活躍に功名心をかき立てられているのだ。




尊氏は総大将などはまだ早いと厳しく却下する。



「そうじゃの、師直がよかろう・・・」



尊氏は師直師泰兄弟に討伐を命じることにする。直冬には尊氏の判断は非常に不満な様子であった。



三条・直義亭


「将軍は其方の出陣に否と申されたか・・・」



直冬は既に高師直に出陣の命が下っていることそして、尊氏が自身の成長を認めたくないから出陣を許さないのだと不満を露にする。



「顕氏殿の不首尾は痛手でしたな」



直義亭には側近の桃井直常も来ている。




先般、直義方の細川顕氏は正行相手に不覚を取って敗れている。正行はいま勢いはあるが、百戦錬磨の師直にかかればひとたまりもないであとうことは容易に想像がつく。



「細川殿の仇も難なく討たれることでしょう」



大河姫

冷静だね。桃井直常。ちな、仇討と言っても細川顕氏は討たれてはいない。

結果、師直師泰は益々増長するはずである。



「直冬、時を待て」

「しばし師直の手並みを見ていることに致そうぞ」



佐女牛・道誉亭


「栂尾(とがのう)本茶なり」

「見事!十種みな当てられた!」



上総に流されたはずの道誉はいつの間にか都へ戻っていた。




道誉は師直他、馴染みの諸将や女子を招いて利き茶を楽しんでいた。




師直は戦利品を女子に配ると、これで今夜や仕舞にすると言う。




道誉はまだまだ宵の口、もう一勝負と提案するが、



「明日の朝早く河内へ出陣せねばなりませぬ」

「佐々木殿もご一緒でござろう?」



「正行退治の戦などw」



道誉は正行相手の戦に準備などはいらぬと笑うが、師直は「細川顕氏を二度も破った」相手で油断がならぬと応じる。



「さては、二条の君との別れを惜しんでおられるな?」

「な!?(ッポ)」



二条の君とは師直が攫って側室にした女子である。美人と評判で、師直の大変な入れ込みようは良く知られている。



「ま、あれ程の女子はお目にかかった事はございませぬが」

「これは!本音を吐きおったぞ!(笑)」



師直はご機嫌で帰路についたが・・・。



「高師直だな・・・」

「!」



その道中、怪しい一団に命を狙われ、あわやというところで家臣に助け出される。




寒空の下、ずぶ濡れとなり最悪の気分で自宅へ戻るのであった。



師直亭


師直の愛妾二条の君の美しさは良く知られていたが、その性格は決してしおらしいものではない。



「まぁ、悪運の御強いお方!」



まるで、師直が襲われたことを喜んでいるかのようである。



「殿が消えたらどれだけ胸をなでおろす方がいるかw」



皆、師直に睨まれたら終わりと畏怖している。そう、かつて師直の謀略で命を落とした塩冶高貞の事も皆まだ良く覚えている。



「塩谷判官か・・・あれは惜しいことをした・・・」



師直は高貞の妻で、その美しさにすっかり惚れ込んでいたものの、高貞と運命を共にした西台の事を思い出していた。



「殿を襲ったのは細川顕氏殿では?」



細川顕氏。




先の戦で正行に二度も破れ、その罰でいくつか所領も失い、後釜には師直が納まっていた。



「誰がそのような事を申しておった?」



吉野方が足利を割るために流言を撒いている可能性もある。



「足利方に争いの種を撒こうとしておるのやもしれぬ」



大河姫

師直は流石に冷静。

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太平記あらすじ第43話中巻「正行散る」

吉野山行宮


楠木正行が武者姿で吉野の行宮を訪れていた。




南朝の帝である後村上帝は正行の活躍を喜ぶ。



「正成は如何なる父であったか?」



後村上帝は直接正行の父である正成と接したことはほとんどない。



「桜井では命を大事に致せと命じられました」

「ただ、大人になればその命を自由に使えと」



正行は正成と同じく、南朝方の後村上帝のために戦うと力強く宣言し、帝もまた頼みにしていると応じるのであった。




謁見が終わり後村上帝、その生母住劫(廉子)が退出すると親房が正行に声をかける。



「我が子顕家の事で褒めにくいが・・・」



顕家は奥州より疾風の如く畿内へ戻り、一時は都を奪還。その後、再度の戦いでは都を取り戻すまではと吉野に来ることはなかった。



「其方は帝に拝謁を賜り御守まで賜った幸せ者よの」

「正成に劣らぬ見事な戦振りを見せてもらうぞ」



「は!師直の首を挙げるか、この正行が首を取られるか」

「二つに一つにございます」



大河姫

死神親房。本人にそのつもりは無いのだけど、若者を死地へ送る才能がある。

貞和4年(1348年)1月5日。








河内・四条畷の戦い







高師直率いる足利軍と楠木正行は河内、四条畷で激突。




正行は寡兵ながらも緒戦は善戦するが、師直の老練な戦振りを前に敗れ命を落とす。




勢いに乗る師直はそのまま吉野行宮を攻め落とした上に焼き払う。




後村上帝をはじめ南朝方は吉野からさらに奥深く賀名生(あのう)まで落ち伸びる。




戦いは足利方の、師直の完勝であった。



師直亭


師直亭は戦勝祝いで大いに盛り上がっていた。



「南朝は逃げるのが上手いの!」

「はははは!」



皆口々に師直の戦巧者ぶりを誉め、南朝方を嘲笑う。



「賀名生(あのう)には猿しかおらぬわ!」



二条の君も師直の活躍にはしゃいでいるように見える。




そこに、どこぞの公家の娘と思しき美しい女子が連れて来られる。




女子はすっかり怯えている。



「おお!それは・・・?」

「いや・・・それが、道に落ちておりましたwww」

「はははは!!!」



大河姫

ちょっと羨ましい・・・w

師直の名望は否が応でも高まり、その専横な振舞い拍車をかける結果となる。



三条・直義亭


直冬が庭先で弓を射っている。




そこに、病も癒えた直義も一緒に弓を射る。



「将軍の寵愛を良い事に師直の最近の振舞いは目に余りまする」



直義もそれは良く分かっている。




しかし、吉野で大勝を得た師直に直義派は中々物言いを付けるのは難しい。



「我らの手で戦に勝つ必要がございますな」

「院宣を賜るというのは如何でございましょう」



桃井直常の提案に直義は驚くが、確かに院宣が下ればいかに将軍といえども反対は出来ない。




数日後。




直冬を南朝討伐の大将に任じる院宣が下る。



尊氏亭


尊氏は苛立っている。



大河姫

苛立つと水を撒く尊氏。

乱暴に庭に水を撒いていた。



「我らの負けでございましょう」



大河姫

そして、いつも冷静な師直。

師直である。




今回は直義派にまんまと一杯喰わされた形になる。




もはやどうすることも出来ない。




直冬が尊氏とのとの面会を求めて屋敷に来ているが会おうとはしなかった。



「上皇の院宣により大将に任じられた!」



直冬が金科玉条のようにそう大きな声を上げ、面会を求めるのも気に喰わなかった。




結局。




尊氏は直冬とは会わなかった。




直冬は尊氏の部屋の前で必ず武功を上げる旨を宣言し、屋敷を後にするのであった。




宣言通り。




直冬は目を見張る活躍で初陣を飾るのであった。

太平記あらすじ第43話下巻「天龍寺の密会」

天龍寺


天龍寺に尊氏と北畠親房の姿があった。



「お久しゅうございます」

「会ってはならない者とあっておるな」

「いえ、もっと早くお会いするべきでした」



尊氏は亡き先帝の菩提を弔うために建立した天龍寺で親房と再会出来た事を喜ぶ。




親房は天龍寺の見事な伽藍を大いに称賛する。




尊氏の先帝への想いは嘘ではないのであろう。




が。



「先帝への想いを自身の権威を高める為に用いるは見上げたもの」



そう皮肉を放つ。



「・・・恐れ入りましてございます」



親房は早速和議の条件を言うように促す。



「歳をとると気が短くなる」



また、親房は誰よりも尊氏を信じているとも言う。日和見の公家などは全く信じていない。



「供に天下を語る相手」



であることには異論はないが、



「敵として」



であると。




尊氏は二つの条件を出す。



「吉野の帝に都をお返しする」

「京の帝を廃する」



親房にも少々意外な提案であったようである。



「ほほう・・・して、この件ご舎弟殿は?」

「政はすべからくご舎弟殿任せているとか」



大河姫

流石、親房は足利家の不協和音に感づいておる。。

「将軍はこの尊氏にございます」



尊氏はその条件で幕府を認めて欲しいと言う。



「我らの幕府はもう十余年、世を治めております」



「幕府を認める事が出来るならこれ程長い戦はしておらぬ」

「まずは、足元に気を付けてられた方が宜しかろう(笑)」



「どうあっても?」



「どうあっても」



結局、和議の交渉は決裂する。




尊氏と親房の密会は天龍寺の僧を通じて直義、そして直冬の知ることとなる。




二人は揃って尊氏亭に出向き事の真偽を問い質す。



尊氏亭


「随分と早耳じゃの」



尊氏の前には直義、そして直冬の二人が座っている。




やむなく、親房と会っていたこと、和議の条件として提示した内容を話す。



「都の朝廷を!全く愚か!」



直義はここぞとばかりに、尊氏の元にいる面々の悪事を指摘する。



「佐々木、土岐、吉野の行宮を焼き払った師直」

「師直を執事から外して頂きたい」

「師直こそ獅子身中の虫!」



今回ばかりは直義の強硬な姿勢に尊氏もその意を受け容れる。




後日、師直が尊氏亭に呼ばれる。



「それがしが執事を外れる・・・?」

「それがしがいなければ!誰が殿をお守りするのですか!」



尊氏は政を直義に渡している。師直がいなければ直義の意のままに幕府は牛耳られる。



「師直!兄弟揃っての傍若無人が如何に直義を利しておるか分からぬか!」

「今は一旦退け、時を待つのじゃ」



大河姫

師直は、待たない。

尊氏の言葉に師直は虚ろな瞳で空を見る。




以上、太平記(大河ドラマ)のあらすじと第43話「足利家の内紛」でございます。

太平記(大河ドラマ)感想第43話「足利家の内紛」

太平記(大河ドラマ)感想第43話「足利家の内紛」。楠木正成の子正行の大人版が初登場も1話でご退場。




この既視感。




親房は決して理不尽な指導者ではないのですが、若者を死地へ追い込む死神的要素を持っている。




せめて、生き残る事を説いて欲しかったですね。




その、正行を破った師直。




尊氏に重臣の面前で打擲されて反省していると思ったのですけど。いや、あの時は本当に反省していたと思うのですが、戦勝もあってすっかり元の色情狂に戻ってしまった。現代社会でも女好き、セクハラ癖のあるお方は治りませんからね。

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太平記感想第43話「父と子」

冒頭の尊氏と直冬のすれ違いが上手に描かれておりましたね。



「楠木正行の活躍」



を、聞いて表情が和む尊氏。




お前はいったい何処の将軍だという突っ込みを入れたくなりますが、正行が幼い時に一緒に牛車に揺られたことを思い出したんでしょうね。




そして、同世代の正行の活躍に触発される直冬。




正行がかの名将楠木正成の息子なら、自分はその楠木正成を湊川破った尊氏の子!




父を誇らしく思い、そして自分も父と同じく楠木正行を討つ!




しかし。




「父」



と、いう言葉は尊氏には禁句なのでしょうね。




それは決して「直冬が憎い」というワケではない。




最期まで不知哉丸を心配し、足利家とは関わりのない、戦とは無縁の人生を歩んで欲しいと願った藤夜叉の想いを裏切っているという罪の意識を思い起こさせるからんですよね。




悲しいかな直冬には尊氏のその心までは分からない。あの気まずい空気。




戦に勝ち、自信と実績を付けた直冬の「承認欲求」は「恨み心」へと育っていく。




最期まで父を信じていた後醍醐帝とは趣きが異なりますね。それが却って大塔宮の悲劇を際立たせているかも。

太平記感想第43話「師直劇場」

良くも悪くも師直が本領発揮をしたお話。




まず、戦上手なところ。



「細川顕氏を二度も破った(正行)は油断ならぬ」



道誉は「二条の君」との別れを惜しんでいるのだと茶化しておりましが、準備をしっかり整えるという意味も多分があったと思います。




実際、戦では大勝利、そしてやり過ぎるくらい吉野方を叩き潰してしまいます。尊氏の心中や如何にと思いますが。




戦に勝ったら宴。




女好きはやっぱり永遠に治らない病気。




早速、どこぞの姫君を「道に落ちていたww」と攫ってくる師直旗下の諸将。




こちらは「戦に勝った」のだから多少のやんちゃは許されて当然!




師直は尊氏の庇護を良い事にすっかり調子に乗り過ぎた




「直冬、時を待て」
by直義




直義派はじっと機会を伺っていたのです。




そして、直義派乾坤一擲の上皇の院宣と直冬の戦場での活躍。やはり、土岐の弓矢の件は響いていると思うのですよね。




上皇の御心は流石に尊氏から離れている。




尊氏は対抗策として、吉野方の帰参を画策するも失敗していることもあり、



「今は一旦退け、時を待つのじゃ」



と、いう事になりますが師直は待たない。




ここだけはらしくないですね。




彼はいつも「機会を待つ」男でしたから。

太平記感想第43話「供に天下を語る」

「供に天下を語る相手」



尊氏も親房もこの末法の世の捉え方がよく似ている。そして、先帝への想いも。



「先帝への想いを自身の権威を高める為に用いるは見上げたもの」



尊氏の先帝への想いは本物であると認める一方で、その自身の気持ちさえ「利用」して自身の権威を高めるのに利用。




尊氏は痛い所を突かれたといった感じですが、それもまた心地よいのでしょうね。




先帝の菩提を盛大に弔う事がなぜ尊氏の幕府の権威を高める事になるのか、直義も他の幕府の者、そして公家公卿も理解が出来ない。




共通言語で話が出来るというのは気持ちが良いものです。




しかし。




吉野方の復位、持明院統の帝の廃位まで妥協したにも関わらず交渉は決裂。共通言語で話が出来るからこそ、結論も早い。




そして、尊氏は隠しおおせると思ったようですが、親房はそこまで甘くは無かった。




足利家の変化に気付いているようですね。




内輪争いは吉野方の十八番かと思っておりましたが、そのお株を奪う凄惨な内ゲバが始まろう足利家内で始まる・・・。




以上、太平記のあらすじと感想第43話「足利家の内紛」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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