鎌倉殿の13人あらすじと感想第28話「名刀の主」。刀は斬り手の腕次第で名刀にも鈍らにもなる。頼朝が手に取った「梶原景時という刀」はまさに名刀。しかし、名刀は持主を選ぶ。そこまで分かっていても「鈍ら」で終わりたくないのが人情か。鎌倉殿の13人第28話

鎌倉殿の13人あらすじ第28話「名刀の主」

若き鎌倉殿を補佐する
十三人の御家人達。
父頼朝を超えようともがく頼家は、
不信感を募らせていた。

→無料視聴可能な大河!2022年1月22日更新

→鎌倉殿の13人キャスト表

鎌倉殿の13人あらすじ第28話上巻「不信」





十三人の合議制が始まる。



若き鎌倉殿である頼家が御家人同士の争い、主に土地に関する争い、に公平な裁きを下す方向性を決めるためにある合議だが、御家人達は皆どこかで繋がっている。



争いがあればどうしても身贔屓が起こる。



この日もとある御家人兄弟の土地の相続に関する争いであったが、北条と比企はそれぞれ兄弟との繋がりがありそれを隠そうともしない。また、争う御家人達とは疎遠な者は既に合議に興味無さげである。



ただ、今回の争いも少し吟味するとおかしな点が多々ある。



そもそも、何故今になって争いが顕在化したのか?


「新しい鎌倉殿になったから昔の話を蒸し返したのでは?」


最後、梶原景時は苛立ち気に立ち上がる。





他の御家人達はバツが悪そうに、また、冷ややかに景時を見上げていた。



一方、頼家は十三人の御家人達を信じていない。


「信じられるのはお前達だけだ」





太郎(頼時(泰時))はやや空回り気味の頼家に不安を覚え何事か言いかけるが、五郎はそれを遮り頼家を賞賛する。



若手の中でも一番若い五郎は頼家のお気に入りでもあった。



その最中、頼朝と政子の間の娘三幡が病没する。



頼家にとっても実の妹であり、頼朝が大姫の死で果たせなかった入内計画を引継ごうとしていた矢先であった。


北条館





実衣は結城朝光から琵琶を習うようになっていた。



しかし、琵琶は一向に上達の兆しは見えない。それもそのはず、実衣は姉政子への不満や自分の想い、自分も御台所になる力はある、といった話を朝光へ聞かせるのだ。


「あの人(全成)はこういうお話をするとすぐ不機嫌になるの」


朝光はそれを頷きながら聞いてくれる。



この日は珍しく朝光も自身の不安を吐露する。


「梶原景時に目を付けられた」


頼朝が亡くなって間もない頃、朝光は頼家への不満を口にしたことがあった。


「忠臣二君に仕えずというが、あの時出家すべきだった」


鎌倉殿として優れた指導力を発揮した頼朝を懐かしんでのことで、決して頼家に忠義を尽くせないといったつもりではなかったのだが、これを善児に聞かれたのだ。


「謹慎致しておれ」





朝光は謹慎中の身であったのだ。



この事件は今後鎌倉を揺るがす大事件へと発展する。

スポンサードリンク



鎌倉殿の13人あらすじ第28話中巻「暗闘」

鎌倉御所


この日、安達景盛(安達盛長嫡男)が頼家の前に呼び出されていた。


「それだけは何卒ご容赦を・・・」





頼家はコトもあろうに景盛の妻ゆうと深い仲になっていた。妻と離縁をするよう景盛に迫っていたのだ。



そこに、父の安達盛長もやってくる。



頼家が呼び出したのだ。


「おお、盛長!その方からも説得してくれぬか?」


盛長は頼朝の我儘をなんでも聞き届けていたという。


「こればかりは承服できかねる」


盛長は頼家の頼みを聞き入れない。頼家は不満を顕わにする。


「其方、父上の言うことは何でも聞いていたではないか?」





しかし、盛長の考えは変わらない。既に、死を覚悟している様子である。



そこに、義時、そして政子がやってくる。



政子は頼家の思慮の浅さを叱りつける。また、義時は決して盛長をこのような事で殺してはならぬと断固たる決意で諫言する。盛長が誰よりも頼朝に忠義を尽くしていたことは鎌倉中で知らぬものはないのだと。





結局、頼家は浮気相手のゆうのことは諦め、なんとか大事には至らなかったのだが・・・。


「結城朝光を死罪・・・?」


先般、頼家への暴言を咎められ謹慎中の結城朝光。景時は朝光を殺そうというのだ。



確かに朝光の発言は責められて然るべきではあるがこれで死罪とは重すぎる。





「先日の件が影響しておりますか?」


義時は景時の考えが分かる。



頼家は先般御家人の妻を奪おうとした。それは勿論、多くの御家人が知るところであり若い頼家の威信はいたく傷付いている。ここで、一度恐怖による引き締めを行おうというのだ。



それでも余りにも罪と罰が見合っていない。



しかし、景時はこれを譲つもりは無い様子である。義時は景時の説得は難しいと判断し一計を案じる。


義時の館


「するってぇと梶原の旦那に対抗する御家人を集めればいいんだな?」


「平六、あまり大事にはするなよ」

「五、六人で良い」


義時は景時を糾弾する御家人の声を集め連判状として、それを持って圧力を加え朝光処断を思い留まらせようと考えたのだ。


「任せておけ」


義村はまずは時政の屋敷に出向く。


「一筆書けばいいんだな?」


時政は喜んで署名をしようとするが、りくが署名は一番最後、端に書くようにという。最後に署名した方が格が上がると考えたようである。



次に比企能員の元へ。



能員にとっても景時は面白くない存在である。喜んで署名すると言うが・・・。


「何故、時政はこんなに端に署名を?」

「一番は比企殿に譲ると言うことでしょう」

「なるほど!(笑)」


義村はあれよあれよいう間に67人の署名を集めてしまう。これは義時の想定を遥かに超えている。もはや景時の耳にも届いてしまっていた。


「大事にするなと言ったではないか(困惑)」

「梶原の旦那は嫌われていたみたいだな(冷笑)」


義村は意に介さない。





「いや、見事に集まったな(笑)」


時政の館で集めた連判状を見せる。



時政の妻がおもむろに連判状を手に取るとなんと一番右端、時政の名前のある部分を切り取ってしまう。


「あ!」


不敵に笑うりく。


「梶原殿と鎌倉殿がこの六十六人を処分するかもしれない」

「・・・あんた、やるな」


りくは最初から署名に時政の名前が記されたまま連判状を提出させるつもりは無かったのだ。義村もりくの慧眼に関心する。



しかし、賽は投げられた。



連判状は和田義盛に託され、文官の大江広元へと届けられる。





景時の能力を買っている広元は当初頼家への提出は渋るものの、最後は押し切られてしまう。


鎌倉御所


「景時、このような物が届けられた」

「何か申し開きしたいことはあるか?」


結城朝光の件と梶原景時を糾弾する六十六人の連判状。


「申し開きすることは何もございませぬ」


景時は自信があったのであろう。



しかし。


「これだけの御家人の声を無視する事はできぬ」

「謹慎を命じる」


結城朝光の首は繋がり、景時は謹慎を命じられる。

鎌倉殿の13人あらすじ第28話下巻「鈍ら」

後鳥羽院
御所


「早速内輪揉めか・・・その梶原とは使えるのか?」





後鳥羽院は梶原景時失脚を知ると、早速声をかけ上洛するように書状を送る。





「捨てる神あれば拾う神あり」


義時は景時の能力はまだまだ鎌倉で必要であると考えていた。いずれ折を見て復帰させようと考えていたのだが、景時は既に後鳥羽院に仕えるつもりでいた。



このことは頼家の耳にも入り、景時は「追放」の処分が下る。



梶原景時は完全に失脚、いや、もはやその命も長くはない。



それを知りほくそ笑む男がいた。


「あいつがいると色々と動き難いんでね」





三浦平六義村。



結城朝光に実衣を頼るように仕向けたのは義村であったのだ。



だが、景時もまた黙って殺されるのを待つ男ではなかった。


比企の館


「か、か、鎌倉殿には内密に・・・(涙目)」


比企能員は深夜駆け付けた義時にすがる。



景時は比企の館に現れ頼家の子である一幡を人質にしたのだ。


「おお、よく来られたな」


「何故、このようなことを?」


「刀は斬り手の力量で名刀にも鈍らにもなる」

「・・・鈍らで終わりとう無かった」





景時は一幡を返す。



そして。



「かつて、頼朝を担いだのは坂東武者の為と申していたな」

「忘れてはおらぬな?」


「勿論」


「其方に譲る。役に立つ」


ふすまを開けるとそこには善児の姿があった。



景時はこれから新しい任地へと向かうと告げ比企の館を出て行く。


「太郎、梶原殿を討取れ」

「!?」

「分からぬか?武士として華々しい最期を遂げたいのだ」


梶原景時は駿河国清見関近くで討取られる。

鎌倉殿の13人感想第28話「名刀の主」

鎌倉殿の13人感想第28話「名刀の主」。今回は見所沢山。鎌倉を仕切ってきた梶原さんという大物が消えてしまった。



でも、まず触れなければならないのは頼家。前々回、見所ありそうと言ったのは私の誤りでした。私の見る目の無さを謝罪します。コイツは親父のダメな処だけをしっかり引継いだダメ息子でしたね。



安達盛長は長く生き過ぎたね・・・。

鎌倉殿の13人の感想第28話「長く生き過ぎた」

まあ、いつも思うワケですよ。



人生いつ死ぬかったホント大事。



藤九郎(安達盛長)は長く生き過ぎた。



女好きなのはよく分かっていたはずだが、まさか頼家がよりにもよって息子の嫁をよこせと言い出すとは。





断固拒否しましたが、おそらくもう死ぬ覚悟でありその胸中は、


もっと早く死んでいれば良かった


といった処でしょうね。



頼朝の大願が成就する頃に死んでいれば、こんな
クソみたいな鎌倉を見る事は無かった。生きるってのはいつの時代も残酷です。

鎌倉殿の13人の感想第28話「義村蠢動」




今回の梶原景時粛清の画を描いたのは平六義村である。末恐ろしいのは結城朝光の「失言」があった時から既に梶原景時排除の策謀を巡らせていたところですね。



義時が結城朝光を助命すべく、処断を強く求める景時へ対抗する為に御家人達から連判状を集めるというのも、義村が
義時の思考を読んでいた節が伺えます。



義時も景時が不人気なのは知ってはおりましたが、まさか
義村が「景時排除」を目的に動くとまでは思っていない。



現時点で義村は特段景時への私怨は無い上に、権力闘争と言う観点からも義村と景時ではまだ大いに差があり景時を潰す動機がない。



いや、あったのだ



「あいつがいると色々動き難い」


義村は自身がこの鎌倉でのし上がって行けば、必ず景時とぶつかると見越していたのでしょう。幸いな事に、今、現時点の景時(ある意味義時にも)の目には義村の姿は無い。



ならば、今のうちに人知れず始末する。



いや、なんとも末恐ろしい。



しかし、その末恐ろしい義村を唸らせた美魔女がおりました。

鎌倉殿の13人の感想第28話「りくの俯瞰」

いかに才気あふれる義村であっても権力闘争は実はコレが初戦。勿論、今までも義時の頼みに応じて動いた事はありましたが、今回は「自分の為」に動いた。あくまで「義時の頼みに応じた」という体裁で。



若干前のめり気味になった事は否めない。



そこでりくですよ。



連判状の最後に時政に敢えて名前を書かせた。



義村もその意図を見誤った。



まさか煽るだけ煽って連判状から破って名前を消すとはね。


お見事!


可能性はあまり高くはなさそうではありますが、確かにりくの言う通り若き鎌倉殿頼家がブチキレて、六十六人を粛清に動く可能性も無くはない。また、名前を連ねていたとは言え日和見比企さん辺りは「無理矢理書かされた」と華麗に鞍替えするかもしれませんし。



どちらにも属さなければ今後の展開次第で有利な方に付けば良い。


「あんた、やるな(関心)」


平六はりくがただの美魔女ではないことを理解したようですね。
しかし、心なしか平六の声が若干
嬉しそうに感じました。



こういう権謀術数を用いたやり取りが楽しくてしょうがないのでしょうね。

鎌倉殿の13人の感想第28話「梶原さんの蹉跌」

景時は無骨粗忽単細胞(言い過ぎ?)が多い鎌倉御家人にあって、都から招へいされた大江広元や安達盛長といった文官たちも一目置く能吏です。



また、物言いはハッキリしてはいるものの、自身の主張に固執することなく優れた考えであれば素直に受け容れる度量もある。



義経の一見無茶に見える戦術に真正面から意を唱えるものの、結局、義経の言う事に理があれば自身の考えをすて義経の策を実現すべく御家人達との間の調整、通訳もしていた。



しかし、能力が足りない者には辛辣なんですよね。なので、友達がいない。。。



いや、友達がいない事、仲間を作らなかった事が
蹉跌ではない



能力があれば、力があれば、役に立てれば、必ず必要とされると思ってしまったこと。


「刀は斬り手の腕次第で名刀にも鈍らにもなる」


かつて、自身でも語っていたはずなんですけどね。



「梶原景時あっての鎌倉である」と勘違いしてしまった。



また、私心が全くなかったことも今回は災いした。「鎌倉殿への忠義(これは必ずしも頼家個人への忠義ではない)」は誰にも劣らない。ただ、鎌倉の繁栄の為に采配を振るう。



一切の申し開きをしなかったのは自身に私心など微塵も無かった。この至誠は必ず通じる。


忘れてしまったんでしょうか?


上総介広常もまた頼朝への忠義には一点の雲りもありませんでしたが、排除されてしまったことを。



能力のある自分は鎌倉に必要とされる。
忠義心の厚い自分は鎌倉に信頼される。



そして、最後にして最大の蹉跌は義時に上皇様の書状の件を伝えてしまったこと。



何故?



らしくない



らしくないよ平三。
それでも



「分かって欲しかった」



のです。



そこが憐れであり、人間臭くもある。

鎌倉殿の13人の感想第28話「託す」

梶原さんの最後の行動もまた「らしくない」ものでしたね。



一幡を人質にするなんて。
あっさりと一幡を人質に取られる比企能員のウカツさも問題ですが。



梶原さんは頼家に呼び出されて上皇様の文の件を詰問された時にもはや先は無いと覚悟を決めたのだと思います。
では、何故一幡を人質に取ったのか?



勿論、事を穏便に運ぶために現れるであろう義時に託すため。


「坂東武者の為に頼朝を担いだ」


かつて、上総介広常をスカウトしに来た時に義時はそう言って広常を口説きました。



もはや自分には先は無いが、それであれば義時の「夢」に、いや、坂東武者の夢に自身の人生の意味を託そうとしているのだと思います。



そして、その象徴が善児。



鎌倉の秘密警察はこれまで梶原さんの役回りでしたが、こちらも無事義時に引継がれてしまった。



かつて、爺様を広常を、さらに古くは兄宗時を暗殺した善児が義時の下へ。



なんとも皮肉な巡り合わせです。



以上、鎌倉殿の13人あらすじ感想第28話「名刀の主」でございます。
大河姫

今宵は此処までに致します。

→無料視聴可能な大河!2022年1月22日更新

→鎌倉殿の13人あらすじ感想第29話「ままならぬ玉」

→鎌倉殿の13人キャスト表