鎌倉殿の13人あらすじと感想第29話「ままならぬ玉」。冒頭の痺れる展開から頼家が信じる心を取り戻し、全成と実衣は仲直り。女子は「きのこ好き」という情報に踊らさせる頼時改め泰時と天然義時の父子の語らい。先週とは変わってちょっとほのぼのとした雰囲気も交えつつ、次週の地獄の布石をする。鎌倉殿の13人第29話

鎌倉殿の13人あらすじ第29話「ままならぬ玉」

鎌倉を支えてきた
宿老の一角が崩れた。
バランスを失い、
大きく振れる権力の振り子。
それを止める者は、誰だ。


義時の館


梶原景時が討取られ数日が経過した。



義時の屋敷には景時の懐刀として多くの汚れ仕事をしてきた善児、そして見慣れぬ女がいた。


「トウと申します」


善児ももはや歳ということで後釜を育てていたのだ。トウは見事な動きを義時に披露する。


「そうか、そうだ、これを梶原殿から預かった」

「・・・」


善児は中身を見て肝を冷やす。義時は怪訝そうに尋ねる。


「どうした?」

「いえ、中身はご覧になられましたか?」

「いや、見ていない」





「梶原殿もお人が悪い・・・」


かつて、善児は伊東祐親の命で当時対立していた義時の兄三郎宗時を殺害していた。梶原景時が善児に返却したのはその宗時の持ち物であった。



義時は気付いてもいない様子である。



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鎌倉殿の13人あらすじ第29話上巻「鎌倉殿と何人だっけ?」

梶原景時が失脚して程なく。



正治2年(1200年)1月23日。





時政の一番の友と言える三浦義澄が亡くなった。



時をほぼ同じくして頼朝を流人時代から支え続けていた安達盛長も病没する。





鎌倉殿を支えていた有力御家人が立て続けて3人減ってしまった。



頼家は相変わらず御家人達が「自身の権勢」のために動いていると考えており「合議制」へは冷ややかである。



この日もとある御家人の土地争いが持ち込まれたが、苛立つ頼家はその絵図面に自ら適当に朱筆を入れて取り分を決めてしまう。





「こんなものは運であろう?」


乳父の比企能員はとっくに頼家の信頼を失っており、他の御家人達と愚痴を言う始末である。



また、比企能員にとっては由々しき問題が新たに生じていた。



頼朝の死の直前に頼家の「正妻」とされたと言われるつつじが男子、善哉を出産した。能員は義時に釘を刺す。


「鎌倉殿の跡取りは一幡様であろうな?」

「それはなんとも、頼朝様はつつじ殿を正妻と」

「証拠、文書は残っていない」


一方で、善哉の誕生を喜んだのは時政の妻りくである。


「鎌倉殿に何かがあれば・・・?」


頼家に何かがあれば、その跡取りの話は避けて通れないはずである。善哉が仮に跡取りとなっても北条にうま味があるワケではないが、現在の鎌倉の二大勢力は北条と比企であり、比企の没落は北条にとっては願ったりである。





「全成殿にちょっと頼みたいことが・・・(ニヤリ)」


時政、そしてりくの雰囲気に勘の良い全成は察する。


「私にそのような力はございません(困惑)」


出来れば関わりにはなりたくない全成だが、時政とりくに迫られ渋々受け容れる。

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鎌倉殿の13人あらすじ第29話中巻「太郎の受難」




頼家は相変わらず若い御家人達、太郎も五郎もいる、と蹴鞠に耽っている。



太郎(頼時)はそれを必ずしも良しとはしていない。その真面目さが仇となり頼家との間にはすきま風が吹いていた。。



五郎はそんな太郎を心配していた。





「鎌倉から離した方がよいです」


子供の頃は仲が良かったが、今の頼家と太郎は上手くいっていない。一方、五郎は如才なく頼家の信頼を得ている。



ただ、頼家の言いなりになっている・・・ワケでもないようではある。


「まずは、信頼を得ませんと(笑)」

「そうか(笑)」


義時はこの年の離れた弟を頼もしく感じている。



一方、太郎は鎌倉から所領の伊豆へと下り、農民と在地の御家人との争いをおさめに行くことになる。その仕事も気が重いがもう一つ気がかりな事がある。



初(三浦義村娘)の事である。



初は太郎と歳も近く、八重の生前は一緒に育てられており、太郎は想いを寄せている。既に察している義時は父らしい事をしようと思ったのであろうか?


「きのこだ」

「え?」

「女子はきのこが好きなのだ」


義時は頼朝からの助言をすっかり忘れているようである。



太郎は父の言葉に頷き、お土産にきのこを持って帰れば初の歓心を惹けると決意を新たに伊豆へと下る。



ここ数年、飢饉が続いていた。



農民は米を借りて過ごし、刈り入れ後にその米を返すという約束をしていたのだが、不作でとても借りていた米が返せないのだ。



一方で貸した方としても「証文」もあり、返してもらわなければ困ると言う。


「ええい!(ビリビリ)」


双方の言い分を聞いた太郎は苦肉の策で証文を破り捨て農民の借米をチャラにした。一方で貸していた者には鎌倉から米を運ばせると言うのだ。



双方共に願ったり叶ったりである。


鎌倉御所


「随分と評判になっているぞ」

「は・・・」

「しかし、証文を破り捨てるとはな」


頼家は太郎が行った事は「証文」の効力を薄めてしまうとやや批判的である。もっとも、他にもっと良い方法があるかと言うと頼家にも妙案はない。



義時も今回の判断は致し方ないといった雰囲気で太郎を庇う。


「まあ良い」

「それより、太郎そなたの名だが・・・」


太郎の名「頼時」は亡き頼朝から授かった名だが、これから頼家が征夷大将軍となれば、「頼」の名が重く感じるであろうと言う。


「泰時と名乗るが良い」


義時はありがたき幸せと頭を下げる。やや、遅れて太郎頼時改め泰時も頭を下げる。


義時の館


太郎は不満であった。



そもそも「頼時」の名は頼朝から頂いたものであり、その頼朝は征夷大将軍だったのだ。何を今更と言うことである。



しかし、本当の不満はそれではない。



きのこである。





憐れ、太郎は初からきのこを突き返されたいたのだ。



義時は太郎以上の衝撃を受けている様子であった。

鎌倉殿の13人あらすじ第29話下巻「そこにいる事」

ここ数年の不作は世情不安を呼んでいる。



鎌倉にも怪しい僧の一団がよからぬ企みをしていたと捕らえられ、頼家の前に引き立てられていた。


「全員首を刎ねよ」

「そ、それは・・・」


いつもは概ね頼家の言う通りに動く五郎だが、この日は違った。


「僧の首を刎ねれば禍いが鎌倉殿に起こるやもしれません」

「鎌倉殿の為に申し上げております」


「・・・!袈裟を剥いで打ち捨てよ!」


頼家が苛立ち気にその場を去ろうとするとせつ(比企能員娘)がやってくる。


「鎌倉殿とお話を・・・」


「うるさい!家のためであろうが?」


せつは意を決したように頼家を見据える。


「跡取りは善哉殿で構いません!」

「私はただ鎌倉殿のお力になりたいのです!」

「そういう者もいるのです・・・(涙目)」





その夜。



頼家が独り蹴鞠をしていると義時がやってくる。



そして、珍しく自身の想いを吐露する。


「父上を超えたい」


義時はしばし考える。


「頼朝様は人をお信じになられないお方でした」

「頼朝様を超えるにはまず人を信じる事から始められては?」


「後継は一幡としたいと思う」

「せつとなら一緒にやっていける気がする」

「かつての母上、父上のように」


義時は嬉しそうに笑う。


「よろしいのではないかと(微笑)」


そこに蹴鞠の達人平知康がやってくる。


「知康、蹴鞠に逃げるのは終いじゃ(笑)」

「?」


その時、知康がバランスを崩し井戸へと落ちてしまう。義時がなんとか手を掴んだが一人では支えられない!


「頼家様!縄のようなものを・・・!」

「縄のような物は無いが縄があったぞ!」

「早く!」


しかし、夜ということもあり、上手く知康を引き上げられない!
そこに!


「叔父上!?」

「全成殿!?」


突然現れた全成に義時と頼家が驚く。
しかし、幸い、義時と頼家そして全成でなんとか知康を助け出すことが出来た。



全成は鎌倉殿として振る舞う頼家ではなく、家人を身体を張って助け出そうと必死になっている「甥っ子頼家」を見て、素直に可愛いと思い、また、呪詛をしようとしていたことを悔いる。



後日、全成は実衣にすべてを伝える。


「貴方にそんな力はありませんよ(苦笑)」

「そうだな(苦笑)」

「人型は全て回収したんですね?」

「大丈夫!」


もう二度と、身の丈に合わない事はしない。



全成は改めてそう誓ったのだが・・・。

鎌倉殿の13人感想第29話「ままならぬ玉」

鎌倉殿の13人感想第29話「ままならぬ玉」。玉とは「頼家」のことかな?ここの所、全く良い所なかった頼家ですが、今週はちょっと良かった。そうだね。背伸びしていたんだね。あ、五朗を頼家の太鼓持ちとか、
ホンネは頼家を馬鹿にしているちょっと嫌な奴と思っていてごめんなさい。



あと「きのこ」の件ですが・・・。



息子にも恥をかかせるとね。義時よ、頼朝から教えてもらっていたでしょ?

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鎌倉殿の13人の感想第29話「試す」




梶原さんはお人が悪い。



かつて、義時の兄宗時を河原で殺害したのは爺様、伊東祐親の命を受けた善児。



梶原さんはそのことを知っていた。そして、もし、それを義時が知れば善児の命運は尽きていたかも。



梶原さんは何故そのような事をしたのか?



伊東祐親、梶原景時、そして北条義時。



小物(暗殺の腕は確かだが)に過ぎない善児ではあるが、一度ならず二度までも主を代えて生き延びるには善児自身もリスクを背負うべきと考えたのか?



いや、これは義時の「運」「器量」を試したのではないかなと思う。



ここで過去に拘り善児を失うようであれば義時にも先は無い。



善児が兄宗時を殺害したことを知って誅殺するようであればそれだけの男であるし、気付かないで使い続けるのであればそれは「天の差配」であると。



死して尚、生きている者の運命に影響力を行使しようとするのは、梶原さんの
生への執着が現れているように感じますね。

鎌倉殿の13人の感想第29話「頼家の孤独」

今は亡き頼朝が人を信じないのは分からぬではない。
・・・多分に自業自得的、あと生来のサイコ野郎な部分の影響もありますが。



一方で頼家が「人を信じない」のはハッキリ言って
よくある坊ちゃんの甘え



頼朝が伊豆に流されて来た時は本当に独りでしたが、少なくとも頼家には政子を筆頭に「家族」がいる。



義時は勿論、太郎泰時、五郎時連の若手二人も頼家を心から心配している。


「人を信じる事から始めてみませんか?」


頼家は頼朝ではない。何も頼朝の真似をする必要は無いのです。



頼朝に一番近くで仕えてきたから義時の言葉には含蓄がありますね。



孤独だと思っていたのは自身が心を閉ざしていたから。



そのキッカケをくれたのは頼家の妻で比企の出身であるせつ。



せつもまた孤独なんですよね。



頼家とせつは実はよく似ている。

鎌倉殿の13人の感想第29話「愛の形」




「跡を継ぐのは善哉(つつじとの子)で良い」

「鎌倉殿(頼家)の側でお役に立ちたい」

「そういう者もいるのです」


ああ、良い事言ったな。



せつは頼家の近くにいたからこその孤独感がよく理解できる。



自分は比企能員の意を受けて「家の為」頼家に嫁いで子を成した。しかし、頼家がそういった「能員の意図」を毛嫌いしていることもよく分かっている。



せつは嫁いだ当初はそこまで深くは考えていなかったと思うのです。しかし、子を成して
比企家の勢いが盛んになればなるほど頼家の気持ちは離れていくのを感じるようになる。



せつはただ、頼家を愛してしまったのです。



そして、それこそ頼家が求めてたいもの。



安らぎ


「せつとなら父と母のように手を携えて鎌倉を共に創れる」


雨降って地固まる。
・・・まあ、少々長雨でしたけど!



義時も嬉しそうだった。



義時はただ鎌倉の繁栄を願っているんですねぇ。



そして、そこに現れる全成殿。



井戸に落ちた蹴鞠の達人を一緒に救ってなんか大円団風


「こうして見れば鎌倉殿も可愛い甥っ子」
by全成


からの、ラストは実衣とのいちゃつきw



頼家が求めていた信頼は既にあったのだと気付いた風。



脚本、やり過ぎですな。



既に涙が零れます。。



そのお話は次回に譲るとして、29話の〆は五朗について。

鎌倉殿の13人の感想第29話「五郎という男」

五郎は周囲が良く見えている。



まず、鎌倉殿である頼家の弱さと孤独を理解している。



頼家に必要なのは自分だけを見てくれる「仲間」が必要。逆に、そうではない者は嫌われ遠ざけられるし下手を打つと命も危うい。


「太郎(頼時改め泰時)は鎌倉殿の側にいない方が良い」


この辺りの察しも優れている。



ただね、本日まで五郎のことを比企殿と同じように鎌倉殿を「利用する対象」とだけ見ていて、さらに、平六義村のように野心家的側面があるなと「誤解」をしておりました。



違った。



五郎は鎌倉殿を大事に思っていたのですね。





自分が頼家に諫言するときは、自分しかそれが出来ないときにのみ行う。



今回はその機会だと覚悟を決めたのでしょうね。



よくよく考えてみれば、御家人の嫁を手に入れようとしていた辺り、五郎が落ち着き払っていたのは自身や太郎が諫言しなくても必ず義時がなんとかすると分かっていた節がありますね。



うん、率直に見直した。



頼家の周囲にも少しずつ「仲間」が増えているんだけどな・・・。



以上、鎌倉殿の13人あらすじと感想第29話「ままならぬ玉」でございます。
大河姫

今宵は此処までに致します。

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→鎌倉殿の13人あらすじ感想第30話「全成の確率」