武田信玄のあらすじ第23話「信虎変身」。1980年ブラジルアマゾン川上流に大量の砂金が発見され(セラペダーラ金山)この小さな山間に2万人を超す人々が群がった。その中には医者、弁護士、果ては市議会議長までいたという。「金」それは時代を超えて人の心を捉える不思議な力を持っている。その力が最も利用されたのが日本の戦国時代である。戦乱の世にあっては軍資金が調達出来るかがその国力を決した。当然の如く金山がある所に有力大名が産まれたのである。
晴信は「金山衆」と呼ばれる専門集団を抱え特に金山の開発に力を入れた。中でも隠し金山として知られる「黒川金山」は豊富な産出量を誇り、甲斐が小国から軍事大国へ成長する原動力となった。越後の長尾景虎もいくつかの有力金山を持っていた。晴信と景虎の戦い。それは二大経済大国がその主導権をかけた戦いでもあったのである。
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武田信玄第23話上巻~天下~
さて、晴信は信廉に自身の画を描かせております。この年晴信は39歳となりましてございます。今にして思えば、晴信はこれから15年しか生きられなかったのでございます。
上洛争い
「兄上!動いてはなりませぬ!」
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信廉が晴信を注意しますが晴信は心ここにあらずという感じです。
そこへ。
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「申し上げます!織田信長殿上洛をした由にございます!」
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尾張へ放っていた乱波より上洛の情報が報告されます。
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「兄上。将軍家より信濃守護職を拝命した事ですし一度上洛されては?」
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尾張織田信長殿の上洛の情報に接し信繁は晴信に提案をします。信繁は世の中動き始めていると言いますが、晴信は、
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「うむ」
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と、生返事をするばかりにございます。
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その頃駿河では今川義元殿もまた、織田信長殿上洛の報を知らされておりました。
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「織田信長が上洛?ハハハ!!」
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義元殿は信長如きが上洛してなんとすると笑います。
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「織田家は守護でも守護代でもなくそのまた下の下の、奉行の出(苦笑)」
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また、将軍足利義輝公ももはや風前の灯火なくなっていると嘆きます。
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「そろそろこの義元も腰を上げねばなりますまい」
「ではご上洛なさいますか?」
「この義元が腰を上げるというのは天下を獲るという事じゃ」
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義元殿はこの1年をかけて上洛の準備を行い、来年の春には軍勢を率いて上洛、つまりは天下を獲ると宣言します。
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寿桂尼様も此度はその決断を強くご支持すると、留守は自分と嫡男氏真殿で護ると言います。
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その頃、このお方もまた上洛のご準備をされておりました。長尾景虎殿の元へもまた上洛を求める将軍家からの命が下っておりました。
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「また、上洛致すぞ!」
「ハハハ!景虎殿は将軍家に頼りにされておりますな!」
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春日山城には北条氏康殿に関東を追われた関東管領上杉憲政殿が寄せております。上杉憲政殿は幕府の力のなさ、そしてその幕府から任命された関東管領職にありながら、関東を追われ長尾景虎殿の元へ寄せている自分の境遇を嘆きます。
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「関東管領は関八州を治める重要な御役目にございます」
「ならば、景虎殿。関東管領とならぬか?」
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上杉憲政殿は力のある者こそ関東管領職は相応しいと言います。憲政殿の養子となり、その上で自身が隠居をすれば長尾景虎殿に関東管領職を譲れると。
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「そのかわり、儂をこの越後に置いてもらいたい」
「は。有難き御言葉にございます」
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景虎殿は申出を受け入れます。ただ、重臣の直江兼続殿は即断は禁物と説きます。兼続殿は関東管領職となれば北条との争いには今後も関与しなければならなくなる事を懸念します。
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「武田晴信は信濃守護職じゃが関東管領職はその上じゃ」
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景虎殿は晴信との争いにおいて、信濃守護職よりも上位である関東管領職は、大いに意味があると考えたようにざいます。
自堕落
駿河では信虎殿が昼から酒を呑み、自堕落な生活を送っております。
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「ええい!いつまで寝ているのじゃ!邪魔じゃ!侍女が掃除が出来ぬ!!」
「まあ、そう怒るな(ニヤニヤ)」
「これが、かつては甲斐守護職か!(怒)」
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蘭に邪険にされておりますが、全く怒る素振りもございません。掃除の邪魔と庭でも歩いて来るように命じられトボトボと歩きます。
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「私無しでは1日も生きられぬ癖にwww」
「・・・」
「なんじゃ?文句があるなら直ぐにでも甲斐へ戻りますが?」
「儂を見捨てないでくれ!そなた無しでは生きられぬ・・・(涙目)」
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信虎殿は蘭に邪険されるとその足元にすがりつき、もうすぐ死ぬのでそれまでは側におってくれと泣くのでした。
武田信玄第23話中巻~陣馬奉行~
「あと四~五年で金の算出が半分になるとは!」
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金山衆を束ねる今井兵部の報告に重臣達がどよめいております。
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「なぜもっと早く報告しなかった!!」
「申し訳ございません」
金山
信繁は今井兵部を叱責します。今井兵部は南蛮渡来の新しい金の吹き立て法を会得すれば減少する産出量を補えると考えていましたが、思ったようには行っていないようです。
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「金の産出が減れば新たな金山探さねばなるまい。他に金山はあるか?」
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晴信の問いかけに今井殿はいくつか金が出始めてはいるが量が少ないと言います。もし、国内にないのであれば国外ですが。
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「駿河の安倍金山や越後の黒姫あたりに金産出するという噂が」
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駿河という言葉に信繁は難色を示します。しかし、晴信は金出なければ我が甲斐は終わる。その前に新しき金山探さねばならないと言うと、
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「越後の黒姫か駿河の安倍かその何方じゃな」
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原晶俊殿が続きます。
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「攻めるなら越後にございます。」
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原晶俊殿は武田の軍勢も越後勢の特徴を掴みつつあり、戦った事のない相手よりも、何度か矢合わせをした越後攻めを提案します。
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「うーん。じゃがそれは相手も同じでござろう?」
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今度は原美濃殿が申します。
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「なんと!今川は遠江三河併せて3万とも言われます!そこと戦するおつもりか!?」
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原晶俊殿は大声で反論しますが、
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「まあ、駿河は近いということじゃ!」
「ふざけるのもたいがいになされませ!!」
「なんじゃと!?」
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両原殿が口論を始めます。
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「静まれ」
「は・・・申し訳ございません」
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晴信はあと4~5年はもつのであれば、今しばらく様子を見ようと言います。時が来れば、妙案が産まれるかもしれぬと。
3人目の死
「いやあ!すまぬな。儂は上手く年を取れんよじゃ」
「儂などもはや身体が言うこと効かぬ(笑)」
「まあ、お互い隠居の年じゃからな!」
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原美濃殿は原晶俊殿に先程の件を詫びております。ただ、付き合いの古いお二人でございます。そこへ、飯富虎昌殿も北信濃から戻ってきます。
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そに丁度表に来ていた八重殿とばったり。
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「・・・(八重)」
「・・・(飯富殿)」
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お互いに何事もなかったかのように無言ですれ違います。
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「おお!飯富殿!北信濃の様子はどうじゃ?」
「おお。和睦の影響で今しばらくは静かなものじゃ」
「う!!」
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突然原晶俊殿が頭を抱えて座り込みます。
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「原(昌殿)殿!!如何した!!」
「頭が、割れる・・・!」
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原晶俊殿はすぐに屋敷で寝かされます。晴信もすぐに駆けつけて来ますが既に原晶俊殿は意識がありません。
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「儂が原殿を怒らせたからじゃ(涙目)」
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原美濃殿は先程の評定でのやり取りを悔やみます。原晶俊殿がゆっくりと目を開きます。
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「陣馬奉行!しっかり致せ!」
「お館様、我が命尽きまする・・・」
「陣馬奉行。其の方役目終っておらぬ。まだまだ学ぶ事ある」
「息子、原昌胤を頼みます」
「分かった!陣馬奉行!!!」
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この日陣馬奉行原晶俊殿が亡くなりました。板垣殿、甘利殿に続き、三人目の重臣を失ったのでございます。
武田信玄第23話下巻~信虎変身~
この日駿河は大雨にございました。信虎殿は夜、灯りも付けずにただ一人暗闇の中で酒を呑んでおります。
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雷
「おほほ!!!!」
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遠くの部屋では蘭と侍女たちが酒盛りをしている声が届いております。
突然!
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雷が庭の木に直撃し真っ二つに割れております。怯える信虎殿。
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信虎殿は太刀を抜くとその姿を映して独り言ちます。
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「日夜酒に浸り、気力失せ、虫けらの如き生き様じゃ!」
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太刀に映る自分に問います。
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「其の方は甲斐の国主ではかったのか!?」
「新羅三郎義光公の血を引く甲斐国の守護ではなかったのか!?」
「国主の誇りを何処へ捨てて参ったのじゃ!」
「何故この十有余年、背を丸め嘲りを受けながら生きてきたのじゃ!」
「恥をしれ!!」
「何故このように成り下がり生き長らえようとするのじゃ!」
「国主なら国主らしく死して武田信虎の名を活かしめよ」
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信虎殿は太刀を抜き放ちます。
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「儂を導け・・・」
別れの盃
翌朝、昨日の大雨が嘘のように晴れ渡っております。また、信虎殿もまた何か吹っ切れたような。部屋には蘭と侍女、そして出入りの商人である京屋がおります。蘭はすっかり京屋がお気に入りのようでございます。
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「此方などはよくお似合いにございます」
「あら!そうか?(笑)」
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蘭はお気に入り京屋相手に御機嫌ですが信虎殿が部屋へ入って来ると厳しい視線を送ります。
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「まあ、珍しい。今日は酒を飲んでおられぬのですね」
「まあ、そう邪険に致すな(笑)京屋!蘭が望むだけ買うとしよう!」
「はは!いつも御贔屓にして頂き有難き幸せにございます」
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京屋は恐縮し、信虎殿に御礼を申します。
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「ところで蘭。今宵辺り夜桜見物に参らぬか?」
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信虎殿は酒はその時の楽しみのため飲んでいないと言います。蘭はまったく乗り気ではありませんでしたが、贔屓の商人である京屋も連れて行ってよいと言うと快諾します。
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信虎殿と蘭、それに京屋と侍女、また芸人も二人ばかり呼びます。
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その夜、かがり火に照らされる桜は美しいのですが、その様子に昔を思い出さずにはおられませんでした。
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「春の宵には朧月。舞うのも満たし酒も飲んだ。よい気分じゃ!」
「桜の風情などつまらぬものじゃ。花より京屋じゃ!のう?」
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蘭も大分酔っているようです。
京屋にしな垂れかかっておりますが、京屋は戸惑っております。
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「それにしても見事な桜じゃ。この桜も風が吹けば誰に見せるでもなく散ってしまう」
「ふん!白髪頭がまた独り言じゃ」
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蘭は悪態をつきます。
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「散ってこそ桜。いつまでも咲いていたら気味が悪い」
「左様。桜は散る姿に風情ありじゃ」
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信虎殿の様子が変わります。
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「良く見ればこの桜気味悪い」
「ただ咲く事を忘れ、勝ち誇り、嘲笑い、蔑み」
「その美しさに惑わされし者の魂奪い」
「誇り捨てさせ、その日その日の目先の闇に生きさせようとするのじゃ」
「美しい姿に惑わされてはならぬ!!」
「高き志持て!甲斐を、天下を思へ!己を見捨てるな!」
「己を活かすためには自らの手で絶つのじゃ!己を取り戻せ!」
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蘭は京屋と酒を飲んでおります。
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「蘭」
「其方は独り言を言っておればよいのじゃ!」
「蘭。其方に盃を取らす。別れの盃じゃ」
「はいはい。別れの盃とは(苦笑)別れの盃飲み干しましたぞ?」
「其方の命奪う」
「ははは!奪うななら奪うが良い!この蘭なしで1日とて生きられぬ癖に!」
「生きて見せる!!」
「ああ!」
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信虎殿は蘭を斬ると、侍女、京屋、芸人まで皆斬り捨ててしまわれたのでございます。
上洛前夜
この年、我が子晴信にとっては忙しい1年となりました。釜無川の工事を終え、善光寺様の御本尊を甲府へ御移しし、自らの名を信玄と改めたのでございます。それから1年後、永禄三年春(1560年)。
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「いよいよ、我がお館様京へ上りまする。武田様のお力をお貸し下さい」
「承知した。今川様の兵を持ってすれば乱れし都もおさまり、天下も安泰となるであろう」
「有難き幸せにございます!」
「我が軍勢からは特に武勇に優れ今川殿もよくご存じの山本勘助以下の軍勢を送る」
「はは!」
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岡部殿は喜んでお戻りとなりましたが晴信は勘助殿に衝撃的な言葉を伝えます。
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「織田信長と力を合わせ、必ずや今川義元の首を討取るのじゃ」
「はは!」
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今宵は此処までに致しとうございます。
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