武田信玄のあらすじ第31話「義信事件(二)」。「御旗楯無御照覧あれ!」(楯無鎧は武田家の家宝として伝わる)。実は茨城県勝田市と深いかかわりがあります。茨城県勝田市。古い遺跡が数多く残るこの人口10万の都市が意外にも武田信玄のルーツとして脚光を浴びている。信玄から祖先を遡る事19代前、源氏の流れをくむ新羅三郎義光と義清がこの地で初めて武田の姓を名乗り館を築いたのである。
湫尾(ぬまお)神社は甲斐源氏発祥の地とされる。やがて、武田家は義清の時代に甲斐へ移り住む事になる。戦に明け暮れた武田信玄。彼もまた自らのルーツであるこの地に想いをはせていたのかもしれない。
武田信玄第31話上巻~信玄暗殺~
川浦温泉の晴信の屋敷に夜陰に乗じて刺客が襲い掛かかります。しかし、気を利かせた飯富三郎兵衛殿らの護衛が刺客を全て斬り伏せたのでございます。
[br num=”2″]
「越後の乱波ではないな?何処の者じゃ」
[cc id=4173 title=”U-武田信玄”]
[cc id=4143 title=”U-総合”]
犯人は?
その頃、刺客を放った義信は不機嫌に酒を呑んでおります。
[br num=”2″]
「どうしてそのように怖ろしい表情を?(怯え)」
「煩い!!」
[br num=”2″]
義信の妻、於津禰(おつね)は尋常ならざる雰囲気に義信を心配致しますが、いつもは於津禰には優しい義信が今宵は妻に当たるような感じにございます。於津禰は独り泣いております。
[br num=”3″]
義信の元へ配下の者が知らせを持ってやって来ます。
[br num=”2″]
「どうじゃ?」
「申し訳ございません、手の者しくじりましてございます」
[br num=”2″]
晴信暗殺未遂は厳重に伏せられていましたが重臣、そして正室である三条殿と八重など一部の者には伝えらます。
[br num=”2″]
「もしや義信が・・・?」
「姫様、そのようなお考えはなりませぬ」
[br num=”2″]
八重は高貴なる三条家の血が流れる義信がそのような事をするはずがないと言いますが三条殿は反論します。
[br num=”2″]
「義信にはお館様の血も流れておるのじゃ」
労咳
我が子晴信にとって昨夜の出来事は殊の外、不快な出来事にございました。敵の乱波ならいざ知らず、身近に黒い人の心の蠢きのようなものを感じたからにございます。
[br num=”3″]
晴信は川浦で湯治を続けております。また、そこには海津城で晴信の身代りとなった医師の立木に代わり、御宿監物が新たなお抱え医師として帯同しております。
[br num=”2″]
「あと半年ばかりはご養生される事をお勧めします」
「労咳の兆し見えるのであろう?」
[br num=”2″]
御宿監物殿は正直に言います。
[br num=”2″]
「このまま養生しなければ労咳になります」
[br num=”2″]
監物殿は立木が晴信について記した書物を全て読んでおり晴信の身体の事はよくよく理解しています。
[br num=”2″]
「もし、悪い兆候があっても正直に申せ」
[br num=”2″]
晴信は自分の身体はもはや自分の身体ではない。もし、悪化する兆しがあればすぐに教えるように命じます。
武田信玄第31話中巻~父と子~
晴信を襲った刺客は城下に首を晒していますが、その依頼主は依然として分かりません。捜査は刺客を斬り伏せた三郎兵衛殿が担当しております。
[cc id=2939 title=”adsense”]
信虎の使者
「あまり騒いではならぬ」
[br num=”2″]
晴信は晒した首はあくまで「物取り・野盗」の輩であり、もし、知っている者があれば褒美を出すと振れを出すように命じます。委細を承ると三郎兵衛殿が意外な事を報告します。
[br num=”2″]
「実は御父上(信虎)の使者がまた躑躅ヶ崎に」
「父上の使者が?」
[br num=”2″]
使者は晴信に直接でないと委細話してはならぬと命じられているということもあり、晴信は川浦温泉から躑躅ヶ崎へと戻ります。
[br num=”2″]
「お帰りなさいませ」
「うむ」
[br num=”2″]
義信は晴信を迎えます。晴信は疲れた表情で挨拶を返すのでした。主殿には信虎様の使者が待っております。
[br num=”2″]
「・・・」
「父上はご無事なのか?」
[br num=”2″]
信虎殿の使者、修三は駿府城下で信虎が襲われ、現在掛川万願寺へと脱出しているはずと言いますが、万願寺への到着前に自分は信虎の命令で甲斐へ向かったので生死は分からないと言います。義信は妻の実家である今川家がそのような事をするとはにわに信じられないと言います。
[br num=”2″]
「大方、父上が今川家中で謀反を煽ったのであろう」
「ならば!使者を持って詫びるのが礼儀では?」
「何を詫びるのじゃ??」
[br num=”2″]
晴信は自分が分かっているのは、今川の手の者に父信虎が襲われた事だけだと言います。毎年多額の賄いを送っているにも関わらず信虎を襲った。
[br num=”2″]
「申し上げます!今川の使者が参っております!」
「客間に通せ!」
[br num=”2″]
晴信は、今川の使者が何を言っても全てを信じる事は出来ない。この場で今川の使者を斬り、すぐさま駿府へ兵を向ける事も出来る。
[br num=”2″]
「戦とはそのようにして始めるのじゃ」
[br num=”2″]
晴信の国主としての迫力に圧倒される義信でした。
[br num=”3″]
しかし、結果的に晴信は今川殿との間で事を荒立てることはしませんでした。それからの3年は北条殿と共に、西上野へ出陣したのでございます。越後の上杉殿のお力を弱めるのが狙いでございました。
繰り返す

[br num=”3″]
永禄8年(1565年)、倉賀野城を落した晴信は重臣一同を集め評定を開いております。
[br num=”2″]
「倉賀野城を落し、碓氷峠より東を気遣う事もあるまい」
[br num=”2″]
川中島の戦い以降は北信濃では動きなく、また関東は北条殿にお任せすればよい。
[br num=”2″]
「後は、西じゃ」
「いよいよ西にございますか!」
[br num=”2″]
西という晴信の言葉に重臣一同が色めき立ちます。馬場殿はついに西へ向かう時が来たと気合十分な表情でごさいます。
[br num=”3″]
この頃尾張の織田信長殿はしきりに晴信に献上品を贈ってきておりました。甲斐との盟約を希望しているとも見えます。
[br num=”2″]
「狙いは駿河ではないかと思う」
[br num=”2″]
晴信は漏れ聞くところによれば、駿河今川氏真は日々歌詠み事に熱心で政に身が入らず、このままでは尾張か相模に攻め込まれるであろうと言います。
[br num=”2″]
「信長からの献上品は我が武田を恐れての事かと」
[br num=”2″]
馬場殿は信長殿が武田が西へ向かう事を恐れており、それはとりもなおさず「西」へ向かうなら今である事を示していると発言します。
[br num=”2″]
「馬場殿に同感にございます!」
[br num=”2″]
陣馬奉行を原晶俊殿より受け継いだ原昌胤殿もまた馬場殿に賛同します。甲斐と信濃勢を併せれば二万を超える軍の動員が可能。信長殿にそれに対抗する準備は出来てないはずであると。
[br num=”2″]
「碓氷峠より西は某が見張りましょう!」
[br num=”2″]
信濃の真田殿は「後ろ」を取られぬように留守の間「東」はしっかり守ると力強く宣言します。
[br num=”2″]
「父上に申し上げます」
「うむ」
「西とは駿河にございますか?それとも天下でございますか?」
[br num=”2″]
晴信はまずは「駿河」であると言います。駿河は放置すれば数年のうちに滅びる可能性が高い。由緒ある今川家を潰さぬためにも甲斐の分国とすると言います。今川家がそのような事を承諾するはずがないと言う義信に、それならは兵を向けるだけであると静かに語ります。
[br num=”2″]
「義信は反対にございます」
「なら他に良い手立てはあるか?」
[br num=”2″]
晴信は穏やかに尋ねます。
[br num=”2″]
「何もせぬ事にございます」
[br num=”2″]
義信は今川家が危機に陥った時こそ助けるべきだと言いますが、晴信はそのような甘い考えは捨てるように言います。氏真殿は信虎殿の命を奪おうしており、そのような者と盟約はあってないようなもの。
[br num=”2″]
「我が父の命を奪おうとしたのだぞ?」
[br num=”2″]
「しかし、信虎様は謀叛を起こさせようとしていました」
[br num=”2″]
義信は命を奪われても至極当然と発言します。
[br num=”2″]
「我が父は!其の方にとっては血の繋がりし祖父であるぞ!」
「それを命狙われて至極当然とは何事じゃ!!」
[br num=”2″]
「私は今川殿の正義の事を申しております!」
[br num=”2″]
「今川の正義など父の命には値せん!」
「父の命は今川一国より重いぞ!」
[br num=”2″]
「ならば申し上げます」
「父上は信虎様を追放されました!」
「今になって今川殿を恨むは筋が通りません!」
[br num=”2″]
「若殿!言葉を慎むのじゃ!」
[br num=”2″]
「某は事の筋道、正義のありようを話している!」
「理不尽に我が妻の実家を攻めるなら義信に切腹をお申し付け下さい!」
「そのような不正義の戦に出るは我が妻に死ねと申すようなもの!」
「義信、生きて恥を晒したくありませぬ!どうか切腹を!」
[br num=”2″]
[br num=”2″]
「女々しき奴め!このような場で妻の事を申すなど!」
[br num=”2″]
「妻の事ではございませぬ!今川殿の正義の事を・・・!」
[br num=”2″]
「妻の行末と国の行末何方が大事なのじゃ!」
「そちのような狭量!国主にむかぬ!!」
「妻と一緒に山奥の庵へでも去れ!」
[br num=”2″]
晴信は怒り、主殿を出ていきます。
[br num=”2″]
「どうか!切腹を申し付け下さい!」
「国主に向かぬ嫡男などいらぬではありませんか!」
「湖衣姫の子、四朗がおります!」
[br num=”2″]
「小心者めが!腹斬る度量もないくせに!」
「小心者は小心者らしく、部屋で妻の衣に隠れよ!」
[br num=”2″]
「切腹の御下知を!」
「そうまで言うなら切ってみよ!儂が見届ける!」
[br num=”2″]
腹を切ろうする義信を追いかけて来た重臣達が止めます。
[br num=”2″]
「兄上!おやめください!」
「公家の血が武田家の血を汚したのじゃ!」
[br num=”2″]
「兄上が仰せられた事はかつて父上が仰せられた事と同じですぞ」
「義信の心中お察し下され!」
[br num=”2″]
義信は重臣達になんとか抑えられて連れて行かれます。その様子を八重がじっと見つめておりました。
過去は未来に復讐する
「お方様のご用向きとは?」
「はい、姫様におかれましては若殿様のお立場を御憂慮されております」
[br num=”2″]
飯富殿の元に八重がやって来ております。飯富殿は義信の立場を守るため出来る限りの事をするので安心して欲しいと伝えるように言います。
[br num=”3″]
しかし。
[br num=”2″]
「お館様の怒りに触れているため、少々時間がかかる」
[br num=”2″]
八重は「義信は正義のために父晴信を死を覚悟の上諌めてたのだ」と涙します。そして、長き年月で国主の座は腐るとも言います。
[br num=”2″]
「高慢、奢り、不正義が生まれます」
[br num=”2″]
この甲斐国の行末を考えるのであれば、
[br num=”2″]
「新しき流れが必要」
[br num=”2″]
そこへ、飯富殿の妻まさ殿が八重に茶を出します。飯富殿はただ、黙っておりました。
[br num=”3″]
飯富殿はその後、義信と会っております。
[br num=”2″]
「殺してやる(怒)」
「飯富!頼む力を貸してくれ!」
[br num=”2″]
飯富殿は謀反を起こそうとする義信を必死で止めます。重臣一同は全て晴信の味方であり、いまや大国となった武田家を動かす事は出来ないと。
[br num=”2″]
「今はその時期ではありません!」
[br num=”3″]
しかし。
[br num=”2″]
「その方はかつて父上に手を貸し信虎様を追放したではないか!」
[br num=”2″]
義信は隠居の我が身が可愛いのかと詰め寄ります。
[br num=”2″]
「若殿!私は最後まで若殿のお味方でございます!」
[br num=”2″]
飯富殿は御覚悟をお決めになられたようでございます。そして、義信にはこれから一切動いてはならないと厳しく言上します。
[br num=”2″]
「いつ動く?」
「明日にでも!」
武田信玄第31話下巻~飯富兵部立つ~
「ははは!親子とは難儀なものじゃのう?」
「兄上!笑い事ではございませぬ(疲れ)」
「いやあ!すまぬな!隠居の身じゃからな」
[br num=”2″]
飯富殿は弟の三郎兵衛殿と酒を呑んでおりました。
[cc id=10347 title=”adsense02″]
兄弟
「此度の事は丸く収めねば国の行末に関わります」
「儂は若殿傅役、如何なる場合も若殿と生死を共にする」
「・・・?」
「ところで、お館様はいつ川浦へ戻られるのじゃ?」
「明日には戻られると思いますが」
[br num=”2″]
「そちは若くてよいの!」
「兄上とて、隠居の身とは思えませぬ」
「儂はもはや迎えを待つのみじゃ」
「そのような事、兄上らしくはございませぬ」
「人の命は明日も知れぬ、会った時こそ楽しまねばな」
「(不安)」
「儂に何かあったら妻を頼む!あれは元気だけが取り柄、儂が死んだら慌てるであろうから」
[br num=”2″]
「明日の夜」、「川浦」、そして「儂が死んだら」三郎兵衛殿は嫌な予感がしました。
悲しいぞ
「如何であった!」
[br num=”2″]
飯富殿は十数名の手勢を引き連れ晴信が逗留する川浦温泉へやって来ます。斥候から屋敷の中には護衛もいるがこの人数で突入すれば勝てると報告を受けます。
[br num=”2″]
「良いか!もう一度言う!これからお館様のお命頂く!」
「これは正義の戦いである!」
「行くぞ!!」
[br num=”2″]
飯富殿は屋敷へと突入します。
[br num=”2″]
「飯富兵部少輔虎昌!正義のためにお館様のお命頂く!」
[br num=”2″]
しかし、
[br num=”3″]
晴信の周りだけで十数名の護衛が完全武装で待ち構えております。そして、さらに多くの手勢が飯富殿達を囲んでおりました。
[br num=”2″]
「お館様!御覚悟!」
[br num=”2″]
しかし、勝敗は数分で付きました。
[br num=”3″]
現場を指揮していたのは三郎兵衛殿でございます。
[br num=”2″]
「兄上」
「礼を申すぞ・・・」
[br num=”2″]
そして、同じ隠居の身であり信虎殿の時代から共に甲斐を支えてきた鬼美濃殿も。捕らえられた飯富殿を見て涙ぐみます。
[br num=”2″]
「飯富殿・・・」
[br num=”2″]
絞り出すように声をかけます。
[br num=”3″]
そして。
[br num=”2″]
「飯富兵部少輔!悲しいぞ・・・!」
[br num=”2″]
晴信は身分を問わず力ある者を取り立ててきたため、恨みを持つ者も多く、此度も飯富殿の赤備隊から多くの者が謀反に与しました。殿方にとっても人生とは難しきものにございます。
[br num=”3″]
今宵は此処までに致します。
[cc id=4173 title=”U-武田信玄”]
[cc id=4143 title=”U-総合”]