おんな城主直虎の感想第10話「走れ竜宮小僧」。新ためて、小野家の置かれた立場の苦しさを噛み締めると同時に、なつ殿に希望を見出しました。また、「竜宮小僧」こと次郎殿は人心掌握に長けておいでのようで。そして、どうも、松平元康殿は21世紀風に申せば「サイコ野郎」のようで瀬名殿の将来が心配にございます。

竜宮小僧のご活躍

斬りかかってこられた奧山殿を誤って刺してしまった政次殿。龍潭寺へ向かい次郎殿に手当を受けている時の心境を考えると胸が痛みまする。また、「お前はいつか私と同じようになる」と言っていた政次殿の父、政直殿の孤独を思い出しました。政直殿には友も兄弟もおりませなんだ。強がっておられてもさぞ孤独でありましたでしょう。

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獅子身中の虫

明朝奧山殿の遺体が発見さて、当たり前ではございますが大騒ぎとなりました。改めて、井伊谷における小野家の立場は未だ、いや当然のように「占領軍」のような扱いなのですね。




今回、奥山朝利殿の遺体は、明朝あっさりと発見されました。論理的に考えればこのようにスグに露見して、犯人は自分だというような痕跡を残して逃亡すれば、そもそも、なんのために政次は奥山殿を殺害したのか?不自然とお考えになると思います。かつて、「目付」だったからでしょうか?唯一、左馬助が「犯人と決まった訳ではない」と言うのが救いにございました。




ただ、身内を殺された孫一郎は勿論、
中野直由殿の



「小野は井伊にとって獅子身中の虫というのは周知の事!」



というお言葉。
これは未だに井伊谷の共通認識なのですね。もし、奧山殿の企てが成功して、政次殿が暗殺されていれば、きっと誰も政次の事を顧みはしなかったのではと思うと泣けて参ります。




勿論、心優しい次郎殿は「そんなはずはない!」とおっしゃいましょうが、それで、何かが変わるわけではございません。また、直親殿も「奧山殿が偽りを言っている」と確信したとして、奧山殿の政次殺害の咎を奧山殿に問うて何になりましょう。それは取りも直さず、この苦しい状況下で有力家臣を失うだけ。やはり、顧みる事はなかったと思います。



考えてみれば、「小野を殺害しても何も誰も自分を咎めない」という状況が、奧山殿を凶行に走らせたとも言えると思います。



・・・政次殿のお立ち場があまりにお辛いと思いました。

なつ殿の勇気と「この礼は必ず」の意味

四面楚歌状態の政次殿にとって心から頼りになるのは次郎だけかと思いきや、弟、玄蕃の妻なつ殿は今回味方である事が明らかに。次郎殿の入れ知恵があっただろうとは思いますがそれをしても、「小野の名代」として自分が父の説得に耳を貸さなかったからと、説明したのはご立派と思います。



ただ、一点気がかりな事が。なつ殿が屋敷に戻った時にその政次殿が、



「この礼はいつか必ず」



と、申していました。
この言葉に何故か「哀しい」予感がしたのは私だけでしょうか。

直親殿、やはり御性格に難が・・・?

なつ殿は悲しみを乗り越えて、亡き直盛殿と夫玄蕃殿の望んだ「小野と井伊の架け橋」になろうと、ご活躍頂きました。そして、一方でもう1人の娘メンヘラ気味のしの殿がとても心配でありました。



※メンタル夫婦と愛の夫婦
→直虎感想第8話「赤ちゃんはまだか」より



しかし、流石直親殿。
過去の反省を踏まえてカンペキな対応でした。



「悪いのは自分(直親)」



「恨むなら私(直親)を恨め・・・」



からの、



「いえ、きっと悪いのは父なのです・・・」



と、しのに言わせる華麗なる連続攻撃。カンペキすぎて草が生えもうしました。正直これも「竜宮小僧」の入れ知恵ではないかと・・・?直親殿は一度学ぶとカンペキな対応が出来るようでございまする。ただ・・・。その表情、瞳は空虚に感じたのは私が少々穿ちすぎなのでございましょうか・・・?




そして、ここでも一つ気になる事が。
政次殿が今回はお咎めなしという事に相成りました御礼に来た時。



「鶴!おれは信じたぞ!」



はい。これだけで良かったのに。


「検地の時の借りは返したからな」


※鶴亀合戦。
→直虎第7話「検地がやってきた」より



・・・これは蛇足にございましたな。直親殿。一方で、次郎殿とお会いしている時の直親殿は「王子然」とされており・・・。いや、もう辞めましょう。来週はまたお辛いことがあるようでございますので・・・。

写経の件

此度、竜宮小僧が政次殿に「写経」を勧めておられました。紐解けば、奧山殿の怨霊を怖れて、写経をしているという噂が広まれば、赤い血の代わりに塩水が流れているから塩対応なのだと噂される政次殿の井伊家中での評判も良くなると、まあ、なんと単純で子供だましな。・・・と思いましたが、効果テキメン。



「政次は臆病じゃの(笑)」


「お主も、可愛いところがあるものよの(笑)」


あの、「小野は敵国!」と言う勢いの直平殿が!「小野は獅子身中の虫!」と怒鳴っていた直由殿が!人間とはなんと単純なのでしょうか。ただ、私、次郎殿の提案に乗り政次殿が写経を始めたのは、賢い政次殿のこと、次郎殿の作戦を全て見通した上でと考えておりましたが・・・。




どうやら、本当に怨霊に脅えてのことのようで・・・これを見て私も「可愛い!」と思ってしまいました。やはり、「人」とは単純な生き物なのかもしれませぬ。それをご理解している次郎殿には一国一城の主となる器なのかもしれないと感じました。




ぼんやりではないサイコだ

さて、井伊谷の「奥山朝利殺害事件」は考えられる限り最大穏便に収まりました。ただ、三河では「ぼんやり」が何やらきな臭いことを始められてしまいました。

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佐名様御髪が・・・

佐名殿の御髪がたった1週間で真っ白になられてしまいました・・・。ツイッターでは「1日」という噂が出ていましたが、1週間・・・もとい、数年にございます。南渓殿と深淵な会話を交わされたのが桶狭間直後にございます。というのは、南渓殿は義元殿の葬儀の手伝い云々と語ってから駿府へ旅立っております。



また、本日「走れ竜宮小僧」は「桶狭間の戦い」から少なくとも1年以上たっております。最期の瀬名殿の手紙は桶狭間の直前。「ぼんやり」とのやり取りや「手柄を立てろ!」と発破をかけた旨、次郎殿が受け取っておりました。本日次郎殿は南渓殿に「瀬名様から1年手紙が来ていない」と言っておりました。



※兄妹の深淵な会話。
→直虎感想第9話「桶狭間に死す」より



ツイッターでは「マリーアントワネットだから・・・」というお話しが実しやかに呟かれておりました。佐名殿の中の御方がかつて演じられていたからでございましょう。断頭台に上る直前にブロンドが白髪になったマリーアントワネット殿の伝説を思い出す方が多かったようでございます。



※関連記事:佐名殿演じる花總まりさん
→直虎のキャスト佐名とその夫について



御髪が白くなられてもその美しさと、儚さは相変わらずにございました。そして・・・1年放っておいてこの仕打ちの御方こそ瀬名殿の旦那元康殿!許せませぬ・・・。

瀬名の絶望とサイコ君

瀬名殿は「悪女」とされることが多いですが、此度は敢えて「悪女」の評判高い菜々緒殿を配役し、しかも、「悪女ではない」というのがとっても良い演出と思いました。勝気で、上昇志向が強いけど、旦那を叱咤激励して、子供達を大事にする・・・。強気に見えて、結構優しい・・・。正直、これは寿桂尼殿にも通じる御性格と思いまする。




そんな瀬名殿にこのような仕打ちをされた元康殿はかなりのサイコ野郎とお見受けしました。確か、先週も妻子の事などまったく顧みていなかったように思いまする。この御性格だからこそ、あの信長殿とも仲良くなれるのか存じます。




この先の運命は言わずもがなでございますが、唯一の女友達失う次郎殿の御心境を考えると・・・。せめて、我が子晴信がその根性を叩きなおすため三方が原で鉄槌を下すのが、せめてもの供養とさせていただきたいと思います。

優しさの隠せない寿桂尼殿

結果的には松平元康殿の人質である瀬名殿に自刃をお命じになられましたが、寿桂尼殿はそのお優しさが隠せぬお方と見ました。第3話でもそうでしたが、此度も成長した次郎殿をご覧になり眼を細めておいででございました。




若き日から、氏親殿、そして、氏輝殿、彦五郎殿、さらには此度、大いに期待し、その期待に応えてきた義元殿まで失っており、女子でありながらも政事に関わらなければならなかった寿桂尼殿。




ともすれば、「残酷」な決断をしなければならいお立場にも関わず、きっと本来の御性格はお優しく決断をするたびにきっと苦しまれてこられたのではと思います。私、寿桂尼殿は瀬名殿の事も買っていたかと思います。



関連記事:寿桂尼の実像を調べてみた。
→寿桂尼の実像はドラマと違う?



おそらく、これから先、ある意味では井伊家にとって敵となる今川家はございますが、直虎殿の「師」のような存在になるのではと考えております。




さて、長々とお付き合いを頂きありがとうございます。今宵は此処迄に致しとうございまする。

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→大河ドラマおんな城主直虎の感想第11話「さらば愛しき人」