軍師官兵衛のあらすじと感想第33話「傷だらけの魂」です。村重の魂は救われたのかな・・・。33話で村重改め道糞改め道薫の登場も最期。又兵衛を抱きしめ「だし・・・済まぬ・・・」と言った時私も涙を禁じ得ませなんだ。軍師官兵衛のあらすじと感想第33話

軍師官兵衛のあらすじ第33話「傷だらけの魂」

天正13年(1585年)7月、秀吉は関白に任官。さらに同年9月には朝廷より豊臣の姓を与えられ名実ともに天下人となる。

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軍師官兵衛のあらすじ第33話上巻「関白秀吉」

秀吉は朝廷から豊臣姓を下賜されると石田三成や福島正則、加藤清正といった子飼の武将に官位を与え重く用いていた。
また、基本政策に、



「天下惣無事」



を掲げ、大名同士の私闘を禁止する。官兵衛もこの政策には異論はない。




しかし。



「薩摩の島津の動きに大友が助けを求めております」

「また、徳川は北条と結び守りを固めております」



勿論、秀吉の「天下惣無事」に従わない大名には秀吉自らが鉄槌を下すのだ。




黒田家臣団の間では次の戦の噂で持ち切りである。おそらくは次の戦は九州征伐。



「またただ働きか!」



太兵衛は四国征伐で大いなる働きがあったにも関わらず恩賞に預かれていない事に不満を言う。善助はそれが官兵衛の気性から出た事であり、四国征伐前に四万石の大名となっていたのだからと宥める。



「本当にそれだけでしょうか」



九朗右衛門は琵琶を弾きながらある懸念を話す。



「殿を良く思わない者が殿下に何か吹き込んでいるかもしれません・・・」



官兵衛へは恩賞はないのだが、秀吉は毛利の外交僧である安国寺恵瓊にまで恩賞を与えている。黒田家臣に不満が出るのは致し方ない部分もある。




秀吉は次の戦は九州征伐であると決めていた。しかし、これに三成は反対する。



「殿下!今度は勝てます・・・!!!徳川を!!」



「三成・・・儂は官兵衛の言う通りもう徳川とは戦わん」



「しかし!」



「三成・・・!内政に置いてはお前の右に出る者はおらん」

「じゃが、戦は官兵衛をおいて他にいない」

「あやつは先の先を読む・・・それはもう気味が悪い位じゃ」



「殿下!ですから油断がならないのです!!」



官兵衛は秀吉や三成、善助達の心配をよそに足繁く右近が援助する南蛮寺に通っていた。有岡城の岩牢に幽閉されていたときに聞こえた讃美歌が忘れられなかった。



「だし様はいつも私を気にかけてくれました・・・」



だしもキリシタンであったが右近の影響でキリシタンとなっていた。二人は有岡城陥落の混乱の最中乳母に預けられた村重とだしの子供の事に思いをはせる。



「無事生き延びていれば八つ位か・・・」

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軍師官兵衛のあらすじ第33話中巻「過去からの使者」

「お前様!!!ちょっとお話しがあります!」

「おお!おね!どうしたんじゃ!」



おねは秀吉が余りに茶々に入れ込んでいる事に苦言を言いに来たのである。



「側室達もヤキモチを焼いております!」

「・・・私も少々妬けます・・・」



おねの発言に秀吉は大喜びである。



「おお!おね!!お前にもまだ悋気が残っておったか!!」



大河姫

晴信は無類の女好きでございましたが・・・。勿論、我が子晴信が全ての元凶ではあるのですが、三条殿にもおね殿のようにもっと早く「素直に」御気持ちを伝えていればとおも思います・・・。晴信が三条殿の本心を知るのは第39話「京の夢」。余りに遅すぎましてございます・・・(涙)




おねは茶々に執心のまり本来の目的を忘れていないかとも話す。



「お前様は我が子に跡を継がせたいと申しておったではございませぬか?」

「・・・私がお前様の子を産んでいればこのような・・・」



「それ以上申すな!子はなくともお前が天下一の女房殿である事は間違いない!」

「ありがとうございます・・・しかしなぜそれ程茶々殿に」



大河姫

秀吉は最期までおねを大事にした・・・。此処は素晴らしいかと存じます・・・




秀吉は天下人となり欲しいものはなんでも手に入るようになったが茶々だけは秀吉に見向きもしない。



「逃げれば逃げる程欲しくなるのじゃ・・・!」



秀吉は恍惚の表情で茶々への想いを語るのであった。そして、おねの手を取り茶々と言ってしまい・・・。



「お前様!!(怒)」



その茶々は大坂城で道薫と遭遇する。有岡城の戦いで城兵、妻子を見捨て単身脱した男。そして、その後も自ら命を絶つ事もなく秀吉の御伽衆として生きている。茶々は道薫に興味を持つ。



「道薫!お前に頼みがある!」

「はは・・・殿下のご命令であればなんなりと」



秀吉は高価な着物にも珍しい舞にも興味を示さなかった茶々が村重に興味を示したという。そして、有岡城の事を聞きたいのだと。



「お前には辛い話かもしれぬが引き受けてはくれぬか?」

「私は殿下の御伽衆でございます。話せと言われれば何でもお話しします」



村重は再び官兵衛の元を訪れていた。



「官兵衛殿には見届け人となって欲しい」



村重は自身が有岡城の話をする際に一緒に聞いて欲しいと頼む。官兵衛はそれには異存がないと言うがその前に村重に会って欲しい者がいると言う。




黒田家では数日前から新吉という男を住み込みで働かせていた。新吉は夫婦で子供が一人。九朗右衛門はその新吉を何処かで見た事があると思っていたのだが・・・




新吉は村重を前に平伏する。傍らには息子の又兵衛と妻がいる。



「殿!お懐かしゅうございます・・・!」

「鉄砲組組頭谷崎新吉にございます!」



新吉の「妻」はだしの侍女であり、さらにその子又兵衛はだしと村重の子であると言う。



「父上・・・又兵衛にございます」

「・・・儂には子はいない・・・」



大河姫

己の罪と最愛の人を同時に直視させられたのだろうね。頑な心に初めて動揺が見えました。




村重は動揺を隠せぬ様子で官兵衛の元を去っていった。又兵衛は澄んだ瞳で「父」を見つめていた。



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村重と又兵衛の再会の後。




官兵衛は又兵衛が画を描いている処をみつける。又兵衛は官兵衛に気付かずに夢中で描いていた事を詫びる。



「続けるがよい!気にするな・・・見てもよいか?」



又兵衛は尋常ならざる画の才能があるようだ。鶏の画を描いていたが、まるで半紙から出てきそうな臨場感である。




そして。



「・・・これは・・・」



そこには優し気な僧の画が一枚。

軍師官兵衛のあらすじ第33話下巻「救済」

「信長様に憧れる気持ちと恐れが半ばでございました」

「しかし、ある時恐れが勝ったのでございます」



村重の話を聞いているのは秀吉と茶々、そして官兵衛と右近。そして、三成と村重の茶道の師利休である。



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村重は謀反に至る過程、そして官兵衛を幽閉しその事で今も官兵衛の脚が悪い事も話す。話を聞く官兵衛から感情は伺えない。



「叔父信長様は恐ろしいお方・・・勝てると思ったのですか?」



「勝てると思わねば謀反等は起こしませぬ」

「しかし、此処にいる高山右近の裏切りで計画に狂いが生じたのです」



大河姫

右近が此処にいるのは自らに「裏切り」の贖罪のつもりなのかしら。己に罰を与えている風にも見える。・・・マゾか・・・?!




右近は一瞬表情を歪めると俯く。



「もうやめよ・・・」

「そうですな・・・」



村重の陰鬱な話に辟易した秀吉の言葉に利休が応じる。



「道薫・・・もう良いぞ・・・済まぬな」

「いいえ!もっと聞き取うございます!!」



茶々は村重に問う。



「貴方は何故、生きているのですか?」



茶々は妻子を城兵を見捨てて逃げた事、その後も自刃しない事が不思議でならない。



「はい。死にたくても死ねないのです」

「ならば、いっそ生き恥を晒らそうと開き直りました」

「私は乱世が生んだ化物でございます」



そして。



「私も茶々様にお尋ねしたい事ございます」

「自らの父母を殺した者と何故暮らしているのですか?」



「!?」



村重は茶々もまた「化物」だと言い放つ。いや、茶々だけではない。天下惣無事などを言っているが秀吉も天下に魅入られた化物、此処には化物しかいないと言う。



「道薫・・・!おのれ!!」



秀吉は三成から太刀を受けとると斬ろうと立ち上がる。



「・・・このような首であれば何時でも差し上げます」



その時。



「はっはっはっは!!望が叶いましたな(笑)」



官兵衛は自ら死ねない村重がわざと秀吉を怒らせ斬られようとしたんだと喝破する。秀吉は道薫の思い通りにはならぬと言うと、道薫に蟄居を命じて苛立たしげに部屋を後にする。




後に道薫は大坂城を処払いを命じられる。その村重が大坂城を離れる前日。官兵衛は村重を訪ねる。



「会って頂きたい者がおります・・・」



そこには村重の息子又兵衛がいた。官兵衛は又兵衛が描いた村重の画を渡す。



「・・・よく似ておる・・・」



それは村重の画であった。村重の目から何年振りかに涙が溢れる。



「道薫殿・・・この子は尋常ならざる画の才能があります」



村重は又兵衛をそっと抱きしめると、



「だし・・・済まぬ・・・済まぬ・・・」



そう言って涙する。



大河姫

私も泣いた・・・「だし・・・済まぬ・・・」漸く村重の時間も動きだしたのかな・・・一番喜んでいるのはきっとだし様だと思います・・・。




村重は堺へ向かう事になる。茶道の師利休の計らいである。



「道薫よ、堺で茶の湯三昧の日々を送るがよい」

「ありがとうございます」



利休に礼を言う。



「又兵衛・・・精進するのだぞ・・・」



村重は又兵衛に絵筆を一本渡す。



「はい!」



そして。



「官兵衛殿・・・いや!官兵衛!さらばじゃ!」



村重は堺へと移り翌年その生涯を閉じる事になる。




官兵衛は村重が去った後も南蛮寺を訪ねていた。右近は大坂城で秀吉の怒りから村重を救った心境を訪ねる。



「ただ、生きて欲しかった・・・」



「官兵衛様・・・官兵衛様は何故此処を訪ねるのですか?」

「門は何時でも開かれております」



官兵衛は程なく洗礼を受けキリシタンとなる。




シメオン



天正14年(1586年)正月。



「いよいよ九州征伐じゃ!官兵衛!此度も働いてもらうぞ!」

「はは」

「今回の戦が終れば其の方にも恩賞を取らす!何が欲しいか申してみよ!」



秀吉は四国征伐でも恩賞が無かった事を話すが、官兵衛はそれは自ら辞退したものであり恩賞の為に自分は働いていないと話す。



「ならば官兵衛は何のために戦うのだ?」

「ただ、殿下のもと天下が静謐になる事のみでございます」

「・・・そうか・・・それは・・・怖ろしいの」



官兵衛と秀吉の間の溝は確実に開きつつあった。




以上、軍師官兵衛のあらすじ第33話「傷だらけの魂」でございます。

軍師官兵衛の感想第33話「傷だらけの魂」

軍師官兵衛の感想第33話「傷だらけの魂」。今宵、私も村重に生きて欲しいと思いましてございます。有岡城での事、村重がだし様にしでかした事も許す事に致しました。



「だし・・・済まぬ・・・」



又兵衛を抱きしめて涙する村重を見た時に思いました。だし様はきっと村重が己の人生を再び生き始める事を喜んでいるだろうと・・・

軍師官兵衛の感想第33話「ロールモデル」

大坂城で有岡城の話をする村重。



「此処には化物しかおりませぬ」



村重の姿に茶々は自分自身を重ね合わせいたんでしょうね。




父母を二度も秀吉に殺された。




秀吉を憎んでいるにも関わらずその庇護の元でなければ生きていけない自分。いったいどういう心境で生きていけば良いのかが分からなかった。



「開き直った」



もはや死ねないと開き直ったと言っていましたが、この時村重は「化物」から人間へ戻る直前であったように思います。



死に急いだ



多分、又兵衛の存在が最愛の人だしの象徴でもあり自らの罪の象徴でもあったのではないかな。



死に急いだ



というよりも、



逃げようとした



のでしょうね。




しかし、最後村重は自分自身の中で「有岡城」を漸く消化したんだと思います。




人間に戻った。




一方で茶々。




茶々は「化物」への道を驀進し始める契機になったのかも・・・。

軍師官兵衛の感想第33話「許す事は己を救う事」

以前に政職の最期を官兵衛が看取った時にも書いたかもしれません。




許すという事は己を救う事なんだと思うのですよね。



「殴れないから殴りたい」



のです。




殴れるようになった相手を殴っても決して気持ちは晴れませぬ。




官兵衛は村重に生きて欲しいと願った。




流石は利休。



「官兵衛様にあの男の迷いを断ち切って貰いたいのです」

「それは貴方様自身の為でもあります」



この時ようやく官兵衛自身もまた有岡城を消化したんだと思います。

軍師官兵衛の感想第33話「恐怖の正体」

人間が何を怖れるのか?




人間は



「理解出来ないモノ」



を怖れるのだと思います。




物欲、金銭欲、オンナ、オトコ、権力、領地、名誉、官位・・・。




官兵衛の清廉な性格を秀吉は理解出来ない。
いや・・・



理解出来なくなった



という方が近いのかな?




秀吉が官兵衛に抱いた恐怖はかつて朝廷が信長に抱いた恐怖に近いように感じます。



「この男の世界には自分の生きる余地はあるのか?」



官兵衛の理想とする「秀吉」でいられるだろうか?いられなくなったら官兵衛は自分を果たして許すのだろうか・・・?官兵衛のあまりに切れすぎる刃が自分自身に向いたら果たして勝てるだろうか・・・?




官兵衛はまだ気付いていない。




あれ程先を見通す官兵衛でさえも気づけない。




ある意味では現時点での官兵衛の限界なのかな。




以上、軍師官兵衛のあらすじと感想第33話「傷だらけの魂」でございます。




今宵は此処までに致します。

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