鎌倉殿の13人あらすじと感想第7話「敵か、あるいは」。坂東における源平合戦の勝敗はこの男の決断にかかっている。上総広常。源平を天秤に掛けて自身の目の前で提案させる様子は流石は坂東一の大物。この男は来世で芹沢鴨に転生したとかしないとか!?鎌倉殿の13人第7話

鎌倉殿の13人あらすじ第7話「敵か、あるいは」


再起した頼朝だが、
目指す鎌倉は遠く
兵は少ない。
助けを求めて
義時が向かったのは、
坂東屈指の大物、
上総介広常の館。

福原


都を福原へ移した清盛は宗盛と共に後白河院と会っていた。


「頼朝は石橋山で敗死」

「ほ?」





清盛の言葉に後白河院は何故か意外そうな表情をする。この頼朝挙兵には「唆した誰か」がいるはずだが、それも無駄なことであると伝える。



その帰り。


「父上、どうやら頼朝は安房に逃れて生きているようです」


宗盛の言葉に清盛は驚き、必ず討取るように厳命する。しかし、宗盛には父の心配が過剰なように感じる。



清盛は苛立ち気に、


「必ず討取れ」


改めて厳命するのであった。

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鎌倉殿の13人あらすじ第7話上巻「源平の提案」

義時と和田義盛は上総介広常の屋敷にあった。


「平氏の命運は尽きている!」


二人は広常に平氏打倒への加勢を求めた。広常は縁側で鶏に餌をやりながら興味無さげに聞いている。


「で、俺にどんな得があるんだ?」

「得?」





広常は源氏だ平氏だという争いには大して興味はない。どちらに付いた方がより得なのかで決めると言うのだ。



二人は少々面食らう。


「そこにさっきまで誰が座っていたと思う?梶原景時よ」


平氏方もまた、広常に使者を送っていたのだ。広常は情勢を理解していた。


「間違いないのは俺が付いた方が勝つということ」


広常の軍勢は優に二万を超える。石橋山で一敗地に塗れた頼朝も、広常の助力が得られれば勝機が見える。勿論、広常が平氏方、大庭景親に付けば頼朝の命運も尽きる。


「さて、両者で話し合ってもらおうか?」

「斬り合ってくれても構わないぞ?」


梶原景時も広常の屋敷にまだいたのだ。





まずは、平家方梶原景時が広常の前に進み出でる。


「我らに付けば左衛門尉への任官も出来る」


大庭景親は坂東における平相国清盛の代弁者である。景親が必ず広常のために官位をもらうというのだ。


「悪かねぇな」


広常は満足気に頷く。


「そっちは?!」


源氏の提案を促す。





義盛が進み出る。


「我らについたら好きなだけ土地を」


義盛の言葉を義時が袖を引いて止める。


「そのような勝手な約束は・・・!」

「儂が必ずなんとかする!」


二人のやり取りをつまらなそうに眺めている広常。


「生憎、こっちはそんなに困っちゃいねぇ」


既に坂東で大きな勢力を誇る広常は土地には全く興味を示さなかった。


「我らについても得はございません」





義時がずずいと前へ出てきて意外な事を言う。広常は少し関心を示したようだ。


「しかし、我らは坂東武者の為に戦っている」


「ほう?するってぇと頼朝はお飾りか?」


「あ、いや、そういうワケでは・・・」


流石に義時は気が引ける。


「お前は今そう言ったんだよ!」

「で、頼朝は担ぐ価値のある神輿か?」


「佐殿は天に愛されている」


確かに、これまで幾多の死地を何故か生き延びているのだ。平家方の景時の表情が一瞬動く。


「勝てるのか?」


「勝てます。先ほど仰っられたではありませんか?」

「上総介広常殿が付いた方が勝つと」


この日は源平双方の言い分を聞いて解散となる。



門前で平家方の使者梶原景時の姿を見て義時は声を掛ける。


「石橋山ではありがとうございました」


頼朝を見つけながら見逃した梶原景時。義時はいったい何故見逃したのかを景時に尋ねると、


「殺めるのは天に背くと思った」


と答える。



義時はさらに、頼朝の元へこないかと誘う。


「刀は斬り手の腕次第で名刀にも鈍にもなる」


景時はそう言い残し去って行った。


「おい、今の意味分かったか?」





義盛にはその意味がさっぱり分からなかった。



源平の使者が帰ると、広常の屋敷にまた別の客人が訪ねてくる。


「儂は佐殿に味方する!」


広常も一目置いている実力者の一人千葉常胤である。既にかなりの老齢であったが、どうやら武士としての血が騒ぐようである。広常にも加わるように促すのであった。

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鎌倉殿の13人あらすじ第7話中巻「天の差配」

伊豆山権現に疎開中の政子達の元へも仁田忠常が頼朝無事の報せを届けてくれた。



また、頼朝挙兵の話を聞きつけて、その腹違いの弟である阿野全成も挙兵に加わるために訪ねてきた。政子達は頼朝の無事、さらに新しい力が加わることを喜ぶ。



そこに、今度は平家方の僧兵が乗り込んでくる。


「謀反人の縁者を捕らえる!」


三人は全成と忠常に守られからくも脱出する。



一方、八重は伊豆山権現で我が子の死を知り伊東へと戻っていた。


「立派な墓を立ててくれてありがとうございます」


父、伊東祐親へ「お礼」を伝えるが、もはや二度と父とは思わないとも付け加える。





弟の九朗祐清は父も辛いのだと言い添えるが八重にその言葉は届かなかった。





頼朝は安房で上総介広常を待ち続けるワケにもいかず北上を開始する。



その途中、時政に改めて甲斐源氏の棟梁武田信義の参陣を促すように命じる。


「言い忘れておったが」

「儂を待たずに安房へ渡ったそうじゃな?」





と、頼朝を待たずに安房へ先に逃げたコトに嫌味を付け加えるのも忘れなかった。



義時は広常の回答を待って未だに広常の屋敷の近くに待機していた。



あくる日、改めて広常の屋敷を訪れる。


「しつこいね。俺は嫌いじゃねぇが」


広常はしつこく屋敷の側で待ち続け食い下がる義時のことが嫌いではないようだ。奥州藤原氏から送られてきた砂金を数えながら一部を義時へと渡す。


「頂けません」

「こういうのはもらっておくもんだ」

「頂きます」


義時は一度は辞退するも改めて勧められると懐へと砂金をしまい込む。そして、この時代、平家を向こうに回して戦をするのは痛快ではないかと言う。


「兄の意思を継いで気付いた」





義時は今の自分に満足しているのだ。そして、話は頼朝の件になる。


「天に守られていると言ったな?」


広常は先日の義時の言葉を反芻する。



この時、広常の元には頼朝暗殺の兵が差し向けられているという情報が入っていた。寝込みを襲われればろくに護衛もいない頼朝はひとたまりもない。



義時はすぐに広常の屋敷を出て頼朝へ報せようとするが・・・。


「天に守られているんだろ(笑)」


義時は広常の家来に屋敷内に止め置かれるのであった。


頼朝本陣


頼朝は北上の途上、漁村近くで休んでいた。



しかし、生来の女好きでもある頼朝はさっそく気に入った女子をみつけてしまう。付き合いの長い安達盛長は早速手回しをする。



まず、頼朝が見染めた女、亀と名乗った、を見つけだし事情を説明する。



頼朝が安心して夜を過ごせるように護衛の三浦義村を頼朝の滞在する屋敷から遠ざけた。義村は一瞬不信に思うが女が入って行く処をみかけて合点が行く。



その夜。


「かめ!かめはどこだ!!!」


頼朝は外の騒ぎに目を覚ます。


「夫が来ました!」

「お、お前、亭主がおったのか!?」


亀の亭主、権三は手下を引き連れ頼朝と亀を捜し歩いている。頼朝は寸出のところで屋敷を抜け出し雑木林に隠れていた。



そこに、今度は武士と思われる一団が現れ頼朝を捜し始める。頼朝暗殺に来た平氏方の手の者だ。



頼朝と亀は呆然とその様子を眺めていた。


「ご無事で何より」


義村がやってきた。もし、頼朝が権三に見つかっていれば、命は無かったであろう。彼は不届き者を成敗すると言い置き平家の手の者へ向かって行く。


「ついでに夫も斬っておいて!」


亀は義村に権三の始末も一緒につけて欲しいと頼むのであった。



翌朝。



上総介広常の屋敷には頼朝の暗殺が失敗したようだという報せが届く。



広常は頼朝の元へ向かうことを決める。

鎌倉殿の13人あらすじ第7話下巻「器」

頼朝本陣


広常が参陣する。



その兵力は二万。


「上総介広常でございます」

「帰れ」

「!」


頼朝は広常の挨拶を受けるや否や開口一番「帰れ」と言う。



息をのむ一同。



頼朝は微動だにしない。


「大方、己の価値を吊り上げる為の遅参」


頼朝はそのような武士は戦では役に立たないと言い放つ。また、数では劣りこそすれ、気に入らなければこもまま一戦交えても良いとも言う。


「・・・遅参の件は申し訳ございませぬ」

「田舎者の粗忽とお許し下され」

「これよりは命を賭して働く所存」


「そうか・・・頼む」


義時もホッと胸をなでおろす。



義時は頼朝との会見を終えた広常を追い掛け改めて源氏に加わった広常へ礼を伝える。


「頼朝に伝えおけ、よくぞ申したと」


広常はもし頼朝が棟梁の器でなければその場で討取り平家にその首を差し出すつもりでいたと言うのだ。


「そうだったのですか・・・」


「中々の男よの、源頼朝」

「これで平家も終わったな!」


広常の軍勢を加え頼朝の軍勢は北上する。



一方その頃奥州藤原氏の都平泉。


「御館(みたち)これまでの御恩忘れませぬ」


後に平家を滅ぼすことになる頼朝の弟九朗義経もまた奥州から頼朝の軍に加わるべく旅立ちの時を迎えていた。



以上、鎌倉殿の13人あらすじ第7話「敵か、あるいは」でございます。

鎌倉殿の13人感想第7話「敵か、あるいは」

鎌倉殿の13人感想第7話「敵か、あるいは」。先週顔見せした上総広常が本格的に登場。この悪辣な雰囲気で怖そうなのに粋で純粋、器もデカくて魅力的。うん、来世の芹沢さんを思い出しますね。いやー、問答無用でカッコ良い。



あと、お元気そうで嬉しい。



さて、少なくとも坂東における戦の趨勢は二万の兵力を持つ上総広常がどちらにつくかにかかっている。源氏代表の義時&義盛と平氏代表梶原景時の提案合戦、それぞれの特色が出ていた良かった。



義時だからこその視点が広常を動かしたかな?



そして、頼朝と広常最初の駆引き。



家康と秀吉を思い出しました。



この「頼朝が広常を叱り飛ばすやり取り」は吾妻鏡にもあるそうなので後の関白秀吉公も参考にしてたりして。

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鎌倉殿の13人感想第7話「営業合戦」

源氏と平氏がこぞって受注したいのは予算規模二万を誇る上総広常。



坂東における平氏方の頭目と目される大庭景親でさえその勢力はやっと二千。少なくとも坂東における勝敗を決めるのは上総広常の胸先三寸なワケですから、源平双方目の色が違います。



そして、上総広常は自身の価値を良く分かっている。


「どちらの方についたら得なのか?」


源平の使者を手玉に取って値段を釣り上げるワケですね。



この辺りは流石は大庭景親。



おそらく、上総広常の性格と欲しいものを見抜いていた事でしょう。すかさず、梶原景時のご提案。


「大庭景親は平相国様の覚えめでたい」

「左衛門尉への任官も出来る」


ちゃんと実現可能で広常が欲しいものを準備してある!



因みに、左衛門尉は六位相当。あんまし高位ではないと感じたのなら、それは官位インフレに慣れすぎですね。



この時代、坂東武者は都に出仕して官位を得るために四苦八苦しております。余談ですけど、平将門が反乱を起こしたのは京で官位にありつけなかったからというのも理由の一つと言われております。



坂東にいながら、精々一千程度の頼朝を討って官位を貰えるなら安い買い物なのです。


「悪くねぇ」


上総広常の反応は上々!



一方の源氏代表和田義盛。


「好きなだけ領地上げます!」


この時代、確かに土地は大事。しかし、上総広常は既に大地主なのです。


「生憎それほど困っちゃいねぇ」


まあ、困っちゃいないのもそうですし、義時の反応からも「空手形」だなってのも感じていたかな?



義盛は
顧客(広常)が見えていないし完全に準備不足



勝負あったかに見えましたが・・・?

鎌倉殿の13人感想第7話「人を動かすのは?」

「源氏だ平氏だというのに興味はない」


兄、宗時は死の直前に義時にそう伝えました。



義時自身はずっとそう(源平の争いには興味なし)だった思います。行掛りで兄に協力したものの(堤は気に入らなかったけど)そこまで源氏に入れ込む宗時には必ずしも共感していなかった。


「坂東武者の為に立つ」


と、いう言葉を聞いてはじめてシナプスが繋がったのです。戦う、命を賭すに足る理由を見つけた。



兄の想いを引き継いで戦う決意をしたコトで義時自身にもある変化があったと思うのですよね。



源氏についても得はない。



平氏につけば官位が貰える。



さらに、源氏についたら坂東の戦はともかく、その先はやってみなけりゃ分からない。
負ければ首チョンパ



しかし。


「面白いと思いませんか?」


兄の想いを引き継いで、いや、兄の存命中からも。永遠の盛者と思われた平家相手に戦をするのは面白い!



これは義時だからこそ提案出来たことなんですよね。



兎に角、平氏憎しと源氏万歳の者では思いつかない。



官位という人参にも首チョンパという恐怖にも負けない提案。


「面白さ(好奇心)」


に訴える。



因みに、金持ちは実利より好奇心で動く。



手元不如意で台所事情も苦しい源氏としては空手形を発行する必要すらない素晴らしい提案でしたね。

鎌倉殿の13人感想第7話「主導権」

さて、源氏方は義時の提案が功を奏して見事に上総広常を受注したものの。



その圧倒的な兵力は頼朝からすると主導権を全て奪われてかねない恐怖もある。所詮この世は力。



後に北条氏康もこう言っていた。


「陣を同じくすれば良い」



氏政殿は反発しますが、上杉勢の2倍、3倍の軍を率いて陣に入れば輝虎も何も出来ないと諭します。そして、その上で輝虎殿が相模の役に立たないのであれば、斬ってしまえばよいとも。



「近くに行かねば、首は討てない」



上総広常の気が変われば頼朝は首チョンパ。そして、悲しいかなそれを防ぐ手だてを頼朝以下北条も三浦も皆持っていない。



しかし、この辺りは流石は政治家で駆引きに長けた頼朝がその才覚を遺憾なく発揮。


「帰れ!」


勿論、この言葉を上総広常も額面通りには取らない。


「(成程、そう来るか・・・)」


いや、一瞬、これまた後の世の秀吉/家康会談みたく下準備したのかと思いましたよ。



頼朝は本当に抑えなければいけない処には気付くんですね。少なくとも、これで上総広常の手綱は握る事が出来ましたね。



さて、源氏の調子は上がっているのですが・・・。

鎌倉殿の13人感想第7話「宗盛よ」

多分、第1話以来?



久々にリアル後白河法皇のご登場。


「頼朝は石橋山で死んだ」


清盛様は自信たっぷりではありましたが、それを聞いている後白河法皇の表情は、


「はて?先日安房で元気にしてたけど?」


みたいな感じで面白かったですね。



ま、冗談は(でもないけど・・・)さておき。



後白河院は頼朝挙兵から石橋山の敗戦、そして安房逃亡までは分かっていたように思います。



清盛、後白河院会談の後、宗盛が清盛にその旨を報告しておりましたが・・・。



遅いよ宗盛



なんで後白河院との会談の前にソレを伝えないのかな・・・。後白河院はハナで笑ってましたよ?



嗚呼、重盛が生きていたら・・・。



ま、この宗盛は人はよさそうですけど。



以上、鎌倉殿の13人あらすじ感想第7話「敵か、あるいは」でございます。
大河姫

今宵は此処までに致します。

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→鎌倉殿の13人のあらすじと感想第8話「いざ、鎌倉」