翔ぶが如くのあらすじと感想第14話「桜田門外の変」。精忠組は突出を思い留まったが、水戸の脱藩浪士が井伊大老を襲撃する。そして、その中には俊斎の弟もいた。唯一、桜田門外の変に参加した薩摩藩士が井伊直弼を討取った事に、「藩を上げての挙兵」の機会と精忠組の意気は上がるが・・・?翔ぶが如くのあらすじと感想第14話

翔ぶが如くのあらすじ第14話「桜田門外の変」

藩主茂久名での「諭告書」が下り精忠組は突出脱藩を思い留まったが、そこへ、江戸から堀仲左衛門が江戸から帰国する。堀は精忠組が「論告書」を頂き「突出」を思い留まった事を薩摩へ戻って初めて知る。

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翔ぶが如くのあらすじ第14話上巻「揺れる」

「江戸では水戸脱藩浪士が決起の日を3月20日ときめもしたぞ!」

「俊斎の弟達は共に決起の日を待っている!」



堀は既に水戸の浪士達とは同盟しており、突出を思い留まっている精忠組に憤慨する。一度は論告書をもって「突出」を思い留まった精忠組だが、堀の話を聞いてやはり突出すべきという者も多い。



「正助!藩を上げての上洛を藩に掛け合ってくれぬか?」



正助は藩の重役である谷村愛之助の元を訪れる。既に精忠組は決起の日が到来したと考えていること、そして、事前の策として近く参勤交代で江戸へ上る藩主茂久の共に精忠組を加える事、そして万が一事変到来の際は水戸と連携をする事を掛け合う。




谷村はその旨を久光に伝える。



「事変が起こっておらぬ」



久光はもし事変が到来すれば亡き斉彬の意志を継いで、自ら薩摩兵3,000を率いて上洛するつもりだが今はまだ時期ではないという。谷村は精忠組を事実上束ねる大久保の立場が苦しくなることを懸念するが・・・。



「これくらい抑える事が出来ねばモノの役にはたたぬ」



久光はまるで正助の力量を試しているようであった。谷村の懸念の通り精忠組は揺れた。



「水戸が立つのは3月20日に決まっておる!」

「今から突出すれば間に合いもす!」



特に若い精忠組の志士は強硬に突出を叫ぶ。西郷の弟の従道もまたその一人だ。正助は論告書まで引き出し、いまこそ薩摩77万石が一丸となる時と説得をする。
しかし。



「脱藩じゃ!」

「おう!脱藩じゃ!!」

「そん時は西郷吉之助が弟この信吾が一番槍を承りたい!」



血気にはやる精忠組志士を止める事は出来ない。



「わかった!それなら行きやんせ!」

「そん前においを斬ってからにたもせ」

「もはや止めもはん!」



一同がざわつく。



「ようし・・・俺が斬る」



有馬新七が刀を抜く。



「ま、ま、お待ちに・・・!」

「とめるな!」



新七を止めようとする森山新蔵に怒鳴るのは当の正助であった。




正助は自分は君主の命令があれば命懸けでそれに従う事を叩きこまれた薩摩兵児(へこ)だと折れる気配はない。



「・・・信吾、おいが斬られたらお前を腹を切れ」

「なして信吾が?!」



「機が熟すまでは待てという吉之助さぁの命を実の弟が破ってただで済む訳がない!!」



正助の命懸の反論に精忠組はギリギリのところで突出を思い留まる。

翔ぶが如くのあらすじ第14話中巻「桜田門外の変」

江戸では脱藩した水戸浪士達が決起の日を3月20日から3月3日に早めていた。登城する井伊大老を襲撃せんと機会を伺っていた。




この襲撃に薩摩藩からただ一人有村次左衛門が加わっていた。有村次左衛門・有村雄助は共に有村俊斎の弟である。




襲撃には弟の有村次左衛門が加わり、有村雄助はその結果を薩摩へと知らせる役目を負っていた。



「まさかお前1人行かせることになるとはな・・・」

「兄さぁには決起の結果を薩摩に知らせる大事な役目がありもす」



兄弟は雪の降りしきる中最期の別れを告げる。




そして、井伊大老が登城のために桜田門外に差し掛かった時。水戸藩士関鉄之助のピストルの発砲を合図に脱藩水戸藩士17名と薩摩から唯一参加の有村次左衛門の18名が井伊大老を襲撃。降りしきる雪の中壮絶な斬り合いとなる。




そして。



「チェストーー!」



有村次左衛門はついに井伊大老の籠を一突きした後、抜刀して出て来た井伊大老に留めを刺す。




安政7年(1860年)3月3日。




世に言う「桜田門外の変」である。




桜田門外の変の知らせは直ちに諸国へと知らされる。また、有村雄助は弟の義挙を知らせるべく薩摩へと向かい、丁度参勤交代の途上であった藩主茂久に変事発生を知らせる。当初予定されていた通り、「変事発生」につき茂久は参勤交代の途中薩摩へと引きかえす。有村雄助は厳重な警護の元、薩摩へと戻る。井伊大老の首を挙げたのが薩摩藩士という知らせに久光もまた喜ぶ。




勿論、精忠組は有村次左衛門の活躍に歓喜に湧く。



「次左衛門がたった一人で薩摩武士の意地を見せてくれた!」

「水戸への義理を果たしてくれた!」



しかし、喜びは長くは続かなかった。桜田門外の変を知らせてくれた有村雄助には即日切腹の命が下されたのだ。



「なんごて雄助どんが腹を切らねばならない!!」



精忠組は激昂する。また、正助にはなんとか「助命」を久光様に掛け合ったもらいたいとう意見も出る。



「分かりもしたが・・・」

「じゃっとん難しいかと思いもす」



今回の沙汰を決定したのは久光ではなく藩の重役達である。重役達が決定した事を覆すのは「国父」久光であっても難しい。精忠組は有村雄助と共に脱藩しようという意見が大勢を占めるが・・・。



「おいの弟の事を心配してくれるのは嬉しいが・・・」



有村俊斎は弟がせっかく果たしてくれた義挙を脱藩という形で終わらしたくはないという。
そして、



「おいもそれでよいでございもす」



有村雄助は折角藩が名誉ある「切腹」をご下命頂いた以上、怖気ずいたと思われたくはないのでは本日中に腹を切ると言う。




有村雄助は兄有村俊斎の介錯で切腹をする。




享年26歳。

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翔ぶが如くのあらすじ第14話下巻「不信」

正助は島津久光から許しを得て初めて面会許されていた。



「その方が大久保か?」

「はは!」

「直答を許す、思うところを申せ」



正助は今回の「桜田門外の義挙」に際し、有村雄助に名誉ある「切腹」を賜った事への感謝を伝える。久光はそれは重役達が決めた事だと応える。これからも忠勤に励むように言われて終るかと思いきや・・・。



「国父様におかれましては、是非ご出府を・・・」

「その際は精忠組一丸となってこれを支え致します」



久光は一瞬やや不機嫌な表情を見せる。



「物事には順序がある・・・」

「下が上を動かしては上下逆さまじゃ・・・」



久光は江戸で騒いでいる者達の尻馬に乗って薩摩藩国父たる自分が動けるわけがないと言う。
正助平伏する。




数日後。




大久保正助は勘定方小頭格へと取り立てられる。有村俊斎と吉井友実が徒目付に任命された。正助は久光に取り入り己の栄達を図り、有村俊斎は弟達の死を利用したとも言われる。
精忠組には隙間風が吹いていた。



「有馬さぁはそれでよいのですか!」

「おい達は有馬さぁについて行きます!」



信吾と小兵衛、女子でありながら勤王の気持ちが厚い岩山糸は有馬新七のもとを訪ねていた。信吾と糸は幼馴染である。




有馬は威勢の良い二人を頼もしそうに目を細めて眺める。



「分かった!分かった!じゃが次期が来るまで待て」



糸は正助のやり方に不満である。有村雄介を見捨て、水戸の脱藩浪士で遥々薩摩まで落ちて来た関鉄之助を見捨てたのだ。



「有馬さぁまで正助どんと同じことを言う!」

「正助と一緒にするな!!」



先程まで穏やかだった有馬が怒る。有馬は正助は久光に取り入る事に必死だと非難する。



「なら!なにか指示をしてください!」

「分かった・・・じゃがその前に薩摩汁じゃ・・・!」



大久保正助は精忠組内で孤立を深めていく。




桜田門外の変により、藩主であり大老である井伊直弼を討たれた彦根藩は兵を挙げ、さらに、幕府大老を襲撃した水戸藩に対して幕府もまた兵を挙げる・・・。そのような展開を予想していたが、江戸は殊の外静かであった。表面上は何も変わらなかった。井伊大老によってなされた「処分」もまたそのままである。




その最中、万延元年(1860年)8月水戸徳川斉昭は蟄居先で静かにその生涯を閉じる。




しかし、少しづつ時代は「変化」を始めていた・・・




その頃、島の吉之助には初めての子が産まれようとしていた。

翔ぶが如くの感想14話「桜田門外の変」

翔ぶが如くの感想第14話です。第13話に引き続き正助の正念場ですね。前回は「背伸び」をしている感というか、吉之助の真似を必死でしている雰囲気を感じたのですが、今回で正助は一皮むけた気がします。




そして、久光。
この頃は時世を見る目はまだ「久光」の方があるようですね。

翔ぶが如くの感想14話「大久保の成長」

大久保は薩摩一丸となっての上洛を目指しています。前回はそのために「久光を抱き込む」事に主眼が置かれていました。程なく「論告書」の獲得など筋書通りに物事は進みました。




この辺りはある意味では西郷よりも優れていると言えるかもしれません。西郷も勿論、最初は「意見書」を通して斉彬に認知をされたのですが意見書は皆出す機会がありました。西郷は「機会」を利用して結果的に斉彬の目に留まります。




一方の大久保。




大久保は「機会」を創り出します。




囲碁」にしても「古史伝の分割納品」にしても「お手紙作戦」にしても、全て、大久保自ら機会を創出しています。




しかし、求心力は・・・。いや!西郷と比べるのは酷ですね。それでも前回と比べると「大久保らしさ」が出ていた気がします。大久保らしさというよりの「西郷の二番煎じ感」が薄まったという感じでしょうか。




前回は「上っ面を真似ている」感じがしたのですが、今回は大久保の「魂」が乗っていた感じがします。



ただ、だからこそ限界が見えて来たと言う部分もあります。人心掌握に関しては西郷には「天賦の才」があったのでしょう。別名「人間磁石」と言われていましたら。




西郷のようにはいかなくとも苦しい中で「自分のスタイル」を創っている感じがします。

翔ぶが如くの感想14話「久光の目」

「桜田門外の変」



時の最高権力者(事実上)が暗殺される。精忠組の誰もが大混乱、乱世が到来すると考えていましたが・・・。



「江戸は静かである」



大久保はそれでも井伊大老暗殺の「事変」を機会到来を思っていましたが久光の方が冷静ですね。久光の言い方は、



「下からの突き上げで大藩薩摩77万石の国父が動けるか!」



といった感じで、序列を重んじる久光らしいのですが実際、騒いでいるのは一部の浪士だけ。流石、事実上の藩主である久光の方が情勢を見る能力には長けているということ、一方で大久保はまだまだ「機を見る」能力は学習中という事ですね。



「江戸は静かじゃ」

「関鉄之助は見捨てる」



この冷静さ。
大久保は自分の考え、つまり今こそ機会到来、というのが早合点であったと受けれ容れています。ここから、「機を見る」こと、そして「惨酷な決断」の訓練を始めたように思います。

翔ぶが如くの感想14話「悲劇の布石」

そして、それは精忠組内にも感じます。



「正助と一緒にするな!!」



有馬新七は正助が久光に取り入るのに必死である様子が許せないようです。人が生きるのは難しい・・・。




人間は残念ながら感情の生き物です。




誰もが命を投げ出したくなってしまう西郷と比べるのは酷ですが、大久保はこれから苦しい決断を強いられる事が多いですからね。




最近感じるのは「器の大きい」「人格者」という存在がいる組織は圧倒的に強いという事です。




色々な意味で西郷の登場が待たれます。




以上、翔ぶが如くのあらすじと感想第14話「桜田門外の変」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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