翔ぶが如くのあらすじと感想第25話「薩長同盟」。長州の顔役である桂小五郎は京へ潜入し、ついに薩摩西郷と会見に至る。しかし、「禁門の変」以降の恨み事を最初に述べるなど雰囲気は「同盟」には程遠い。薩摩もまた、長州に歩み寄りの姿勢を見せず交渉は決裂寸前となるが・・・!翔ぶが如くのあらすじと感想第25話

翔ぶが如くのあらすじ第25話「薩長同盟」

坂本竜馬は京都へと戻って来た。定宿としていた寺田屋へとやって来る。竜馬は懇意にしているおりょうが「菊の花」を摘んでいるのを可哀そうではないかと不思議がる。


「坂本様のために菊の花の枕で眠る贅沢をして欲しい!」



菊の花の枕をつくっている事知り苦笑いの竜馬。おりょうは竜馬に惚れ込んでいるようだ。しかし、竜馬は西郷に行き先を聞くとおりょうが一瞬目を離したすきに薩摩藩邸へと向かう。

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翔ぶが如くのあらすじ第25話上巻「竜馬の提案」

竜馬は怪しい町人風の男をまいて、薩摩藩邸へとやって来る。



「西郷さん!長州の為に軍艦を買って欲しい!」



竜馬は下関へ寄らずに京都へ向かった西郷を責めなかった。むしろ、もし西郷が下関で桂小五郎と握手をしたとしても薩長同盟は難しかっただろうと言う。



「そうじゃき、まずは商の道で手を結ぶ!」



西郷は薩摩の名義は竜馬の亀山社中に貸しており、それをどのような目的で使っても構わないと話す。また、薩摩藩は今年の米は不作と聞いたが、長州は豊作。




いずれ、薩摩藩は幕府権勢のため大軍を京へ駐屯させると思うが、その際の兵糧米は任せて欲しいと請け合うのであった。



「ではそろそろ!」

「どこへ!?」

「米の算段をつけに長州へ!」



西郷は京都は浪人地獄であり、また新撰組の取調べも厳しいので用心するように伝え、万が一の時は、薩摩藩士と名乗るように提案し、途中まで村田新八を警護に帯同させるのであった。




大坂には将軍家茂が出陣して来ていた。慶喜は今こそ、幕府の威信を上げるためにも長州征伐が必要であると説いていた。



「まずは、帝に勅許を得ます!」



慶喜は家茂から許可を得ると、長州征伐の勅許を得るために京都へ向かう。同じ頃、それを阻止すべく、大久保もまた京へ入っていた。関白、二条斉敬邸へと出向いた大久保は勅許を阻止すべく粘る。



「藩主は恭順しているのに征伐とは道理がありませぬ」

「・・・しかし・・・一橋がの・・・」

「いえ!一橋様が何様であろうと天下万民が納得してこそ勅許」



大久保は道理の通らない勅許には従えないこと、そして、道理の通らない勅許を帝に強いるようなことがあっては大罪であると熱弁を振るう。



「では!一橋に言い聞かせて参る」

「いいえ!関白様が得心しなければ一橋様に丸め込まれます」

「でもな・・・大久保・・・私は将軍家の参内に同席せねばならぬ・・・」



関白が同席の元でないと帝への拝謁は叶わない。大久保は根負けしそうな二条関白が「厠へ・・・」といって逃げようとするのも、「警護」と称して付き添い離れようとしない。



「何!?まだ二条邸を出ていない!?」

「はい!あくまで帝への拝謁を妨害するつもりかと」

「大久保!陪臣の身でありながらなんと無礼な・・・!」



松平容保の報告に怒りを露わにする慶喜。しかし、大久保の粘りも空しく長州征伐の勅許は出る事になる。




京都の大久保の家には西郷、小松、大久保の三人が集まっていた。



「負けもしたか」

「はい。一昨日勅許は出ました」

「これからどないしもすかい」

「いよいよ薩長が手を結ぶ他ないでしょう」



二人の議論を黙って聞いている西郷。小松は、やむを得ない仕儀であったとは言え、下関での階段を反故にした今、桂小五郎との取っ掛かりは「切れて」いるようなもので、どのように交渉するべきか西郷に尋ねる。



「坂本どんに動いてもらう他なか思います」



大坂にいる竜馬を迎え、京都の寺田屋で会合となる。会合にはおりょうも同席する。



「いよいよ決まりましたか?」

「はい」



竜馬は「薩長同盟」に動く薩摩を喜ぶが釘も刺す。



「京大阪は長州人にとっては危険極まりない」



桂小五郎が京へ入るという事は決死の覚悟であり薩長同盟が成らずば桂小五郎は長州へは戻れない。その時は、桂小五郎を刺し、西郷も刺し、そして竜馬自身も自刃すると言う。西郷はそれで構わないと言うと坂本のために船も用意すると言う。



「それは有り難い!のうおりょうさん!」

「私は坂本さんに何処へも行って欲しくありません!」



おりょうは竜馬がまた何処かへ行ってしまう事が不満なようだが、そんなおりょうが可愛くて仕方ないといった風情だ。




暫く後、薩摩名義で長州所有の船を土佐の坂本竜馬が操るという前代未聞の離れ業が現実のものとなる。

翔ぶが如くのあらすじ第25話中巻「薩長同盟」

竜馬は下関で再び桂小五郎と面会する。桂小五郎は自ら京に出向く事を了とはするが、気が重いようだ。



「やはり、こちらか出向くのか」

「当たり前じゃき。この坂本たった長州34万石のために働いているんではない」

「わかってる・・・」



桂小五郎は西郷を、薩摩を好きになれないと言うが・・・



「薩摩と君のおかげで軍艦、武器弾薬が手に入った事は認めている」

「桂さんは西郷どんを信じて良か」



物と形で誠意を見せた薩摩に、今度は長州が形と物で誠意を見せる。



「君が言ってきた兵糧米の件は手配は終わっている」



桂小五郎は軍艦だ米だと坂本の「手品」が飛び交っている間に薩摩への悪感情も幾分は和らいだと言うと、準備した米は薩摩藩に進呈(無料)するという。



「鮮やかなり!おはんは天下が獲れる!」

「おだてはよい」

「村田新八が11月に船で下関へ来る!その船で京へ行ってくれ!」



竜馬は今の時代は「丸十字」ほど安全な船はないと請合う。




慶応2年1月10日




桂小五郎は幕府の警戒の目を掻い潜り京へと潜入した。




ここに、西郷と桂小五郎は初めて会談する。しかし、会談は重苦しい雰囲気での開始となってしまう。



「ここに、薩摩と結ぶ事になりましたが・・・」

「これは日本国の為ではございますが・・・」

「我々は薩摩を深く恨んでおります!」

「我々は文久以来一にも二にも勤皇を唱えてきましたが、これが誤解され朝敵となり」

「つまり薩摩と会津に京を追われた事よもやお忘れではございますまい!」

「禁門の変においても秀でた者を戦死させました・・・」

「あの者達が倒幕の旗を挙げた時にどれ程働いたかと思うと無念でございます!」



桂は一気に述べる。



「ごもっともにございもす・・・」



西郷は桂に頭を下げるが、同席していた大久保や小松は微動だにせず桂を見つめていた。



「あげな塩梅ではとても話はまとまらない・・・」



吉井幸輔は信吾に小松屋敷へ行くように命じると、桂一行を宿泊させる準備を整えるように伝える。信吾は小松屋敷へ出向くと、以前懇意にしていた舞子のお縫と再会する。お縫は小松の「妾」となっていたのだ。淡い想いを寄せていた信吾はすっかり気落ちするが、物語の趨勢にはなんら影響は与えない。




桂一行は小松屋敷で歓待されるが、薩長共に「同盟」の口火は切らない。




長州には「薩摩への恨み」と同時に「第二次長州征伐にかかる苦境」が腰を重くさせていた。もし、ここで長州から同盟を切りだせば「対等な同盟ではなくなる」と考えていたのだ。




一方、薩摩も冒頭の桂の言い分に反発心がある。
大久保は西郷に、



「けしてこちらから同盟を切りだしてはならない」



と、伝える。
苦しいのは長州であり、ここで長州側から同盟を言わせる事が後々に効いて来ると言う。かくして、ひたすら宴席を設けては、お互いだんまりのまま10日程が空しく過ぎる。




薩摩と長州がとっくに同盟を結んでいると思っていた竜馬は、交渉が決裂寸前と聞いてまず、桂へ詰め寄る。



「お主は10日間何していた!?」

「朝昼晩山海珍味が出た」

「馳走を食いに命懸けで京へ入った訳ではないじゃき!」



桂は坂本に長州の立場を考えてくれと言う。長州は天下に孤立し朝敵の汚名を着て幕府に攻められている。その長州から薩摩に同盟を言いだせば、もはや対等の同盟とは言えないと。




坂本はその桂の言い分に怒る。



「あんたも西郷も日本人でない!長州は滅ぶぞ!」

「確かに・・・薩長同盟ならずば長州は滅びる・・・それで構わん」

「桂・・・!!」



坂本は小松屋敷を出ると西郷の待つ藩邸へと向かう。西郷・大久保・小松・吉井のお歴々を前に叫ぶ。



「西郷さん!もう体面遊びは止めや!!」



坂本は桂が意地を張っていること、長州が滅びても構わないと言っているが、



「薩摩が生き残って戦ってくれれば幸い」



桂は長州の面目に拘っている部分があるが、天下の事を考えていない訳ではない。



「長州が可哀想でないか!」

「坂本さぁの言う通りでごわす」



西郷は同盟に関しては薩摩藩から長州藩へ申し入れる事に決まる。




薩長同盟は成立した。この時から薩摩と長州は共に倒幕を目指し維新への道を歩むのである。改めて会談する薩長の顔役と竜馬。



「坂本さぁ!今回の事は全て坂本さぁのおかげ!有難うございもす!」



西郷は竜馬に頭を下げる。



「坂本君!この通りじゃ!!」



桂も坂本の活躍に頭を下げるのであった。因みに、この目出度い席に大久保は胃痛で出席が出来なかった。西郷は京の自宅で休んでいる大久保を見舞う。



「これは、吉之助さぁ・・・」

「そのまま寝ててたもせ!」



西郷は薩摩と長州が「対等の同盟」となったこと、そしてその結果を国元の久光へ伝えてくれるように頼むのであった。

翔ぶが如くのあらすじ第25話下巻「寺田屋事件」

薩長同盟が成った祝が行われた夜、伏見の寺田屋が襲われた。



「坂本さぁ!逃げて!!」



おりょうが叫ぶ!竜馬はピストルで応戦するも多勢に無勢である。なんとか、寺田屋を脱出するが・・・。



「吉之助さぁ!大変です!坂本さぁが襲われもした!!」

「なんと!伏見へ兵を向ける!!!」

「おお!」

「坂本さぁを絶対に死なせてはなりもはん!!」



竜馬は助かった。そして、吉之助の誘いで竜馬とおりょうは薩摩へと向かう事になる。これが日本で初めての「新婚旅行」と言われる。




薩摩へと戻った西郷には悲しい知らせも待っていた。弟吉二郎の妻が男の子を出滓した後暫くして亡くなったのだ。



「吉二郎・・・お前には貧乏籤ばかり引かせて・・・」

「人が死ぬというのはせつなかぁ・・・」



そして慶応2年(1866年)6月。




第二次長州征伐が開始される。吉之助もまた、京へと登る。吉之助と糸の間には男の子が産まれていた。



「寅太郎・・・!なにがあってもうろたえたりしてはならんぞ・・・」

「薩摩の子じゃからな・・・」



その頃、長州征伐開戦2ヶ月で幕府側では思わぬ事態が起きていた。将軍家茂が大坂城で亡くなったのだ。その知らせは内々に江戸城大奥へと伝えられる。



「上様が・・・!?」

「そうかて、昨日上様からのお土産が届いたばかり・・・」



江戸城の天璋院と幾島は突然の訃報に驚く。そして、その「将軍薨去」の事実さえ政(まつりごと)の為に内々となっている事を嘆く。



「吉之助に知らせるのじゃ・・・」

「噂に流されてはならぬが・・・入って来るのは」

「一橋殿のありようによっては我らも覚悟を決めねば・・・」

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翔ぶが如くの感想25話「薩長同盟」

翔ぶが如くの感想第25話です。翔ぶが如くは全48話となるので、この25話からは後半戦です。今回は薩長両藩の「リーダーの在り方」と「マネジメント」が裏テーマだったように感じます。組織を、藩を背負っている西郷と桂と「自由人(まあ、一応土佐藩士だけど)」の竜馬の対比。

翔ぶが如くの感想25話「義理とメンツ~大将の在方~」

京に潜入した桂小五郎一行と薩摩の西郷達の最初の会合。



「我々は薩摩を深く恨んでおります!」



開口一番桂小五郎が放った言葉。桂小五郎はまず、未来よりも「過去」を話します。




特に、



「特に秀でた者達を失った事は無念」



久坂玄瑞や来島又兵衛の事を思い出しているんでしょう。ただ、これは「薩摩」へ言ってやりたかった半分、もう半分は、






「弱気な交渉はしない!」



という、同席した品川など長州藩士への言葉、いや。



「ポーズ」



でもあると思います。第二次長州征伐の勅許が下り苦境の長州藩だからこそ弱みを見せる事は出来ない。強い指導者でなければ(特に長州では)藩を纏める事も出来ない。




西郷は桂の言い分に「理解」を示します。
ここで、



「ごもっともでございもす」



と、頭を下げる度量が流石西郷吉之助。おそらく、西郷は桂の「苦境」を理解したんではないかと思います。だからこそ、頭を下げた。




しかし、面白いのは大久保や小松、吉井の表情。微動だにせず、真っ直ぐ虚空を見つめている。その表情からは、



「誰のお陰で長州は生き残っている?」

「今更、古い話を持ち出しおって・・・」



不満の表情がアリアリと出ています。




結局交渉(と、言う名の意地の張り合い)は10日程続きますが、その間大久保は西郷に釘を刺しています。



「こっちから同盟を言う必要はない」



西郷は大久保の言葉を容れて当初は薩摩藩からは同盟を言いだしません。最後、桂を話をした竜馬の言葉を以て、



「一蔵どん、同盟は此方から申し入れもんそ」



と、決断します。




しかし、西郷は最初から「薩摩から同盟の申し入れをする」つもりだったように感じました。



「頭は、立場が上の者が下げてこそ意味がある」
(公安九課課長:荒巻大輔)



ただ、桂が「長州を背負っている」のと同時に西郷もまた「薩摩」を背負っている。大久保や吉井達の「力量」ではその事を直ぐには理解出来ないと考えたのではないかな?



「時間が必要」



西郷は自ら同盟を言いだす頃合いを伺っており、その機会を坂本竜馬が創り出してくれた。いや、もっというと西郷と桂の中には阿吽の呼吸で「脚本」があり、坂本竜馬が躍ったようにも感じます。

翔ぶが如くの感想25話「自由人と組織人」

「義理人情とメンツ(体面)こそが最も重要」



私はそう思っています。物事をスムーズに進めるのに最も大事な事です。




竜馬は西郷に、



「もう体面遊びはやめや!」



竜馬は本当に「遊び」あるいは「意地の張り合い」と思っていたのかもしれませんが、当の御両人(西郷と桂)は決してそんなつもりはないと思います。むしろ、「命懸け」の体面調整だったのではないでしょうか。




組織で働いた事(活動した事)がない方は、損得や論理で物事を語ります。簡単に言うんですよ。



「そんなの時間の無駄」



したり顔で言い放つ奴らにはいつも思っていました。



「世間知らずのお坊ちゃん( )」



そんな事は皆知ったんだ馬鹿!色々な諸事情があんだよ!




人間は常に「気持ち」で動くのです。そして、「気持ち」が一つにならない、まとまらなければ、当時なら「内ゲバ」でしょう。これを「馬鹿にする」事は絶対出来ない。これは現代でも変わりませんね。中を固めるためにも「外に強き」に出なければならない。



内政と外交は連続してる



ただ、一方でそれを理解してくれるのはあくまで「村内」での話なんですよね。村外にそれは通用しない。村内の論理で「意地を張った結果」アメリカ兄貴の「ど頭」をぶん殴って国が滅びる訳ですからね。




その時活躍出来る者こそ、



「自由人」



ですね。
薩摩も長州も「意地」を張っていますが、それを「意地張ってる場合かい!」って突っ込めるのは部外者だけ。




積上げられた複雑怪奇な義理人情の糸をほぐす、いやバッサリイケるのは外。
だからこそ、



「コンサル」





「プロ経営者」



のお仕事が存在するんだと思います。課題や問題点は内部にいる人間は百も承知。それを「言う」役回りがコンサルやプロ経営者。




まあ、こういった人の中にはたまに「自分が課題を発見した」とド勘違いするおめでたい方もおりますが。




以上、翔ぶが如くのあらすじと感想第25話「薩長同盟」でございます。
大河姫

今宵は此処までに致します。

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→翔ぶが如くのあらすじと感想第26話「倒幕への道」

→お由羅騒動の原点は「近思録崩れ」にあり。重豪と斉宣。

→翔ぶが如くのキャスト表(随時更新)