黄金の日日あらすじと感想第3話「羅針盤」。今回は本圀寺の戦いが描かれます。てっきり摂津晴門の計略だと思っていたんですけど信長の罠だったとは!そして、善住坊よ。お前はついて行く人間は絶対に間違えてはならないのだけど・・・!?黄金の日日あらすじと感想第3話

黄金の日日あらすじ第3話「羅針盤」





助左は美緒に連れられ港へと来ていた。



「才蔵さんは?」



「へい!あっしならここに!」

「ところで、美緒様いつ私と結婚するのですか?」

「琉球には美緒様と暮らす・・・」



才蔵は今井家の交易船の一隻「琉球丸」の船長である。美緒に惚れ込んでいるらしく上機嫌で口説くが美緒は呆れ顔で相手にしないのであった。




美緒は新しく水夫(かこ)となった助左を才蔵に紹介するが、才蔵は助左を知っている様子である。



「甚九郎の倅でございましょう!」

「はい!父を、父を知っているのですか!?」



才蔵は助左の父甚九郎をよく知っていた。そして、助左が「水夫」になったということは母も亡くなったのであろうこともすぐに察したようだ。




さらに、助左が自身の年齢を告げようとするとそれも知っていた。



「十九歳」



才蔵は自身の息子大介と助左は同じ日に生まれたたのだと笑う。




美緒は才蔵の話を少々複雑な表情で聞いている。




助左は兎にも角にも、才蔵の船の水夫となる。早速、水夫としての仕事を命じられる。



「向こう半年間、陸に上がることまかりならぬ」

「いつから?」

「今からじゃ」



助左の水夫初日がはじまる。




美緒は少し名残惜しそうである。



「半年会えませぬな」

「どころで船長の息子の大介さんは」

「・・・いないわ。もう亡くなっているの」



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黄金の日日あらすじ第3話上巻「罠」





永禄11年(1568年)10月。




新公方足利義昭を奉じて電光石火の上洛を成し遂げた信長は岐阜へと帰還する。



堺、今井亭


堺では信長の動きを警戒する今井宗久、千宗易の二人が信長の「意図」を探っていた。




新公方の本陣は本圀寺にあるが、そこを守護するのは僅か二千ばかりの兵であると言う。




千宗易が都の小西隆佐から信長と義昭の情報を得ていた。




信長は新公方足利義義昭から宴で鼓を打つように所望されたが固辞したという。また、管領職、副将軍などの役職も全て辞退。



「代わりに草津、大津、そしてこの堺に代官を置きたいと」

「この申し出をどう思う?」



宗久は腕を組み唸る。



「草津は分かる」



大河姫

温泉あるからな。

近江国草津は岐阜と都を繋ぐ途中である。




しかし、大津、堺は?



「大津の近くの国友村は鉄砲の産地」



国友村の鉄砲は堺から日本全国へ流れて行くのだ。もし、この国友村と堺を抑えれば国中の鉄砲が信長手の内に入る。



「なんとも、我らの前に銭勘定の出来る武将が現れたものじゃ」



宗久は信長の「商才」に感嘆する。




宗易が尋ねる。



「もし、三好が堺に登ったら?」

「!」



三好は信長が上洛すると本拠地の阿波へと兵を退いている。しかし、その力は侮ることは出来ない。三好が再び戻って来た時に拒絶出来るか?



「会合衆三十六人中三十四人が三好を出迎えるよ」

「罠だ・・・!信長の罠だ!」



大河姫

摂津晴門の計略かと・・・。

堺に代官を置くといっても堺は「局外中立」を標榜しており、手は出しにくい。しかし、堺が三好方に組してしまえば話は別である。




宗久は早速会合衆の会合で信長の罠に掛かってならないと熱弁を振るうが。



「三好は攻めてくるよ。その時堺は三好方に付く」



津田宗及をはじめ宗易以外の会合衆の考えは変わらない。




三好が上洛すればその兵力は一万は下らない。




僅か二千の新公方など相手にはならないと。






時をおかず、三好政康、三好長逸、岩成友通を中心とする三好勢一万が堺に上陸。



大河姫

わーい!我らが三好三人衆揃い踏み!

堺会合衆はこぞって三好三人衆を出迎える。




堺は三好方についたのだ。



堺、今井亭


「親父殿、今日限りでお暇を頂く」



宗久の息子兼久は鎧武者姿で宗久へ挨拶に訪れた。




兼久は三好政康の家臣となりこれから戦に行くというのだ。



「親父殿が紹鴎茄子を信長に献上したことは会合衆なら皆知っている(笑)」



今井宗久は信長の間者、裏切り者であると。


「私は嬉しゅうございます」

「親父殿でも間違えることはあるのだと」

「父上の汚名はこの俺が晴らしてきます(笑笑)」



大河姫

親父に褒められたい、認められたいのでしょうね。自分を大きく見せようとしているね。

兼久は不敵に笑い一部の郎党を率いて三好勢に加わる。




妹の美緒は兄兼久を止めるが。



「紹鴎茄子の次は(献上品になるのは)お前だ」



と聞く耳を持たない。

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黄金の日日あらすじ第3話中巻「決着」

琉球丸


助左は船長の才蔵の命令通り船での生活を始めている。




この日は共に死線をくぐり抜けた杉谷善住坊が訪ねて来ていた。



「どうしたもんじゃろの」



善住坊は兼久に鉄砲の腕を買われて誘わていたのだ。因みに、宗久からもらった銭五貫は湯町をふらついていたら気付けばもう使いきってしまっていたという。




そこに、兼久が現れる。



「信長と相撲を取ったのはお前か?」

「へい」

「其方も一緒に来ないか?」



このまま水夫として甲板磨きと芋剥きで一生を終えるよりは、侍になった方がずっと良いと言う。



「今は好機」



大河姫

混乱が「機会」なのは間違いないよね。既存の枠組みが壊れる瞬間に先行者利益を得るの。兼久は「武士の時代」と読み、自らも「武士」になって一旗揚げようとしているのよね。

しかし。



「戦場で首を拾うよりは(水夫の方が良い)」



と、兼久の申し出を断る。



「そうか。行くぞ!善住坊!」



大河姫

善住坊よ・・・ついて行く相手は選ばんと・・・

結局、善住坊は兼久と一緒に行く。




助左は別れ際、善住坊には命を大事にしろと念を推す。






永禄11年(1568年)12月24日。




三好勢一万は堺で軍備を整え出陣。




信長に従った三好義継の守る家原城を落とし破竹の勢いで進撃する。



本圀寺
義昭本陣


そして、明けて永禄12年(1569)正月4日。




三好勢は足利義昭、そして明智光秀の籠る本圀寺を包囲した。




城を守る兵は僅か二千。




多勢に無勢ではあるが幕府方は櫓から鉄砲を撃ち必死に応戦する。



「信長殿は儂を見捨てのじゃ(動揺)」



城内では足利義昭が戦況を悲観している。



「明け方になれば各地から御味方が参集します」



本陣を指揮する事実上の大将は明智光秀である。これは全て信長の作戦通りであると自信ありげな様子で義昭を勇気づけていた。



堺、今井亭


「三好方は六条(本圀寺)を落とせなかったか」



石川五右衛門が茶室の宗久に本圀寺の戦いとその後の様子を報告している。



大河姫

五右衛門、薄着すぎるやろ・・・!?五貫で服を買いなさいよ!

明智光秀が予言した通り、明け方には芥川城より和田惟政、大津方面から丹羽長秀の軍勢が集まり三好方は後退。




桂川付近で四散したという。




また、三好政康の配下になっている宗久の息子兼久の行方は知れなかった。



「信長公の予想通りか・・・」



五右衛門は行方不明の兼久の捜索を打診するが、宗久はその必要はないと言う。




それよりも、信長の動きである。



「軍備に二日、岐阜から行程二日、十三日か」



しかし、信長は宗久の予想よりも早く、僅かの供回りで上洛。




宗久が予てから心配していた通り、堺を威嚇した。




堺の町は大混乱に陥り、皆家財道具を纏めて逃げ出していた。








フロイスはこの時の堺の混乱の様子を書き残している。



堺、今井亭


「能登屋、日比屋などは未だ櫓を築けなどと申しておるが」

「誰にもついて行くものはない(苦笑)」



大河姫

ワイン片手にテーブルなのがウケる。幕末みたいだ。いや!?幕末だったわ。

今井亭を訪ねて来たのは津田宗及である。



「堺を救って下され」



そう言って頭を下げる。




織田方は代官に松井友閑を派遣する。




和議の条件として以下三つを命じる。



  • 三好方にはつかない
  • 堺の武装解除
  • 矢銭二万貫拠出


堺は全てを受け容れた。




堺は名実ともに織田の保護下に入る。




宗久はすぐに「次の打ち手」を考える。



「あの坊主上がりの新公方は中々策略好きと見える」

「其方は公家の娘だ。近くに仕えて欲しい」



大河姫

策略好き?せやろか?

美緒は宗久から義昭の側近くに仕えるように言われる。




その日の夜、美緒は昔を思い出し灯台の近くまで歩いて来ていた。




たまたま。




見知った顔が通り過ぎるのに気付き思わず声をかける。



「お仙ちゃん、寒くなりましたね」

「貴方から声をかけてくれるなんて珍しい」



大河姫

お仙ちゃん、苦労し過ぎたんやな・・・ちょっとユミル入ってる?

お仙。




かつて、美緒もこのお仙も「人買い」に買われた売り物だったのだ。




同じ人買い船には何人も子供が乗っていた。




安南、シャム、高砂、そして琉球。




各地で子供たちは売られて行き紆余曲折を経て運よく生き残り日の本へ戻って来れたのはお仙一人であった。




美緒は。




美緒は運よく生き残ったお仙よりもさらに運が良かった。




最初に今井宗久に眼を付けられて買われ今井家の養女である。



「私もお仙ちゃんと同じ、いくらで買われて・・・」

「おやめなさい!」



その様子を遠くから助左が見ていた。

黄金の日日あらすじ第3話下巻「船出」

琉球丸


助左は美緒が何を話しているかは分からないがその様子からただならぬ気配を感じる。




思わず船を降りてしまいそうになる。



「あの女は止めておきな」

「五右衛門!?」



五右衛門は宗久の命令で遠くから美緒を守っていると伝える。




また、三好方と織田方の戦の息子の兼久の行方も話す。



「尼崎で三千の織田勢に囲まれている」

「三好も兼久も敵わぬ戦をやっている」



五右衛門はそれだけを伝えると美緒を追って闇に消えた。




助左は兼久に従っていた善住坊を心配して居ても立っても居られない。




思わず船から出てしまいそうになるが・・・。



「何処へ行くのじゃ?」



船長の才蔵である。




助左は兼久と自身の朋輩が尼崎で戦をしており助けに行きたいと懇願する。



「尼崎で朋輩を助けたら戻ってきます!」

「行くのは勝手だが戻ってくることは無い」



僅か半年。




半年、港の船に乗っているのも「航海」であり、それが出来ない者に交易船の水夫などは出来ないと厳しく申しつける。




その時。



「この船に才蔵はおるか?」

「これは!千宗易様!」



宗易は今井の船を探していたのだと話す。




才蔵は甲板に宗易を上げる。



「尼崎から戻った者が当地で今井殿の息子を見たと言う」



才蔵の表情が微かに動く。




尼崎は港町であり、織田勢に包囲されている。




当然、宗久もそのことは分かっているだろう。



「この才蔵にどうせよと?」



大河姫

分かっている癖に。

「退路も海に求めるしかない」

「しかし、息子の事で頭を下げることはあるまい」



才蔵も頷く。



「あのお方は己の倅など見殺しに出来る」

「そうで無ければ船も人も動かせない」



「今の宗久殿の心中はおもとが一番分かってくれると思ってね」



才蔵は笑う。








琉球丸は出向した。



「動いている・・・針も船も俺も!」



助左は初航海に羅針盤を見ながら感激する。




尼崎沖まで進むと町が炎に包まれているのが見える。




途中、海に逃げた者を出来る限り救い上げる。




助左は尼崎へと上陸し、兼久と善住坊がいる櫓までたどり着き、怪我をしている兼久を連れ無事尼崎を脱出するのであった。




その頃、今井宗久は琉球丸が夜中に出港したことに驚いていた。




港で琉球丸があった場所に五右衛門と立って沖を眺めている。



「五右衛門、うぬらは堺が信長に負けたなどと思うなよ」

「信長という新装の船に乗り換えたのじゃ」



大河姫

宗久は全て察していそうだね。

以上、黄金の日日あらすじ第3話「羅針盤」でございます。

黄金の日日感想第3話「羅針盤」

黄金の日日感想第3話「羅針盤」。本圀寺の戦いから堺が織田に屈するまでが描かれておりました。麒麟がくるとの比較が面白いですね。




麒麟では本圀寺の戦いは「摂津晴門の計略」でしたが、黄金の日日では「信長の罠」でしたね。あと、三好推しとしては三好三人衆がちゃんと登場していた嬉しい。多分、もうほとんど出番は無いと思うけど。




その面でも三好長慶や細川晴元を出した麒麟は流石だった。




期待が高まり過ぎた分、三好長慶をもっと真正面から描いて欲しかったという不満は残ってしまいましたが。




さて、今回は初船出と宗久の想いが描かれましたね。




つまり、頑固おやじと言う事ですな。

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黄金の日日感想第3話「宗久と宗易」

今井宗久と千宗易の二人は「ニコイチ」ということなんですね。




お互いに何を考えているのかよく理解している。




息子を心配しながらもそれを言葉にすることが出来ない。




五右衛門が気を利かせて、


「兼久様の行方を・・・」



と言えば即座に拒否する。




面倒くさい頑固親父ですな。




で、あれば勝手に助けに行くしかない。




千宗易は今の宗久の気持ちを一番理解出来る相手に白羽の矢を立てる。



「今の宗久殿の心中はおもとが一番分かってくれると思ってね」



同じ想いを宗久にはさせたくない。




断腸の思いで息子大介を見捨てた才蔵ならば必ずそう考えるはずだと。




宗久と宗易。




夫婦のような関係とも言えるかな。




しかし、子供達にはその想いは届いてはいないようですが。

黄金の日日感想第3話「助左と善住坊」

助左は人生の目標が若干二十歳にして明確です。



「自分の交易船を持ち世界に漕ぎ出す」



全てはその目標に向かってやるべきことをやってゆく。




一方で善住坊。




彼は並外れた射撃の才能を持っていますが、それを活かして「武士になる」「一旗上げる」といったような目標はない。




敢えて言えば、




ただ漫然と生きている




のです。




しかし、それって悪いことなんですか?




寧ろ、二十歳そこそこで「人生の目標」なんて持って良いのは孫正義とか前澤さんとかホリエモン位なもので、普通の人は漫然と生きているのです。




あ、言っときますけど藤田さんだって二十歳そこそこの頃はただの麻雀好きのパータリ大学生ですからね。




では、善住坊のような人間はどう生きれば良いのか?




それは「ついて行く人間を間違いなく選ぶこと」なんですよ。




で、善住坊は勘は優れている。




助左が好きなんでしょうね。




出来れば一緒にいたい。




丁度、自身は兼久に半ば強引に配下にされておりました。なら、一緒に助左もと思ったのでしょう。




しかし、悲しいかな助左はまだ呂宋助左衛門ではない。




ただの助左なのです。




ああ、善住坊よ。




お前の人生の歯車はここから狂い始めたのかもしれない。




以上、黄金の日日のあらすじと感想第3話「羅針盤」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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