翔ぶが如くのあらすじと感想第17話「同士討ち 寺田屋事件」です。文久2年(1862年)春、久光は薩軍一千を率いて上洛。しかし、久光の逆鱗に触れた西郷。小久保や小松は必死に庇うが大久保により捕縛される。一方、有馬新七等精忠組過激派は、薩軍入洛を機に、一気に討幕の狼煙をあげようとしていた。翔ぶが如くのあらすじと感想第17話!

翔ぶが如くのあらすじ第17話「同士討ち 寺田屋事件」

薩軍一千は一路、京を目指していた。近衛忠煕は幕府も大人しくしている今、下手に事を荒立てたくはないと考えていたが・・・。



「近衛さんの名で、三郎に書状をお出しください」

「なんと書くのじゃ?」

「まあ、此度の上洛誠に大義であるとか??」



そう提案するのは岩倉具視である。岩倉は公家としての身分は低かったが、後の明治維新では大いに活躍する人物である。



「本気にされたらどうする!?」

「ご心配はいりません。本気で朝廷の意向に従ってもらいます」



近衛忠煕は久光、そして浪士の暴発を怖れるが、岩倉は書状さえ出してくれれば自分が万事対応すると言う。

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翔ぶが如くのあらすじ第17話上巻「久光大坂へ」

「これは誠に有難きお言葉じゃ!」



近衛からの書状は勤王一途の久光の事を大いに喜ばせる。また、「朝廷工作」等は難しいと久光に意見して吉之助捕縛についても尋ねる。大久保はなんとか吉之助の許しを得ようするが、側近の中山に遮られる。



「ご安心を!大坂の藩邸におる事は確かです!」



そこへ、小松帯刀がやって来ると、大久保に書状を渡し、薩軍の入洛に備え、宿の手配などを進めるようの命じられる。久光は既に大久保への関心を失っているようだ。




大久保は天をぐ。しかし!書状を見て驚く。そには西郷の居場所が書かれていた。小松は中山が発した捕吏が事情を知らない吉之助が万が一にも斬られたりせぬように大久保に手を回してくれたのであった。




大久保は吉之助が泊まる宿へと駆け出していた。

翔ぶが如くのあらすじ第17話中巻「吉之助捕縛」

吉之助が泊まっている宿に捕縛のための捕吏が踏み込んでくる。そこには吉之助と共に先行していた村田新八が1人飯を食っていた。しかし、そこには二人分の膳が用意されていた。先程まで吉之助が食事をしていたのは明らかだった。



「西郷さぁはどうした!」

「しらん!その内戻る」

「飯の途中でいったいどこへ行った!?」

「飯の途中だとなんだろうと御役目なら行くお人じゃ!」

「おいも西郷さぁに縄ばかけたくなか・・・!」

「戻ると言ったら必ず戻るお人じゃ!」



その頃、吉之助は先に宿へと着いた大久保に連れられ海辺の漁師小屋にいた。



「あいすいもはん・・・!吉之助さぁに捕縛命令が!」

「中山が吉之助さぁを久光公に讒言しもした・・・」



大久保は久光との最初の面会から久光の吉之助の印象が悪い事を利用し、中山が吉之助を「不定浪士の首領」と讒言をしたこと、そして大久保自身も久光から遠ざけられた事を伝える。



「なんと!?」



自身の捕縛命令は兎も角、大久保も遠ざけられた事に驚く吉之助。大久保はこのままでは小松帯刀も中山の讒言で遠ざけられることを最も危惧していた。



「吉之助さぁ1人を死なせたりはしもはん!」

「一蔵どん・・・」

「もはやこれ以外に手はなかとでございもす・・・」



大久保は刀に手をかける。



「馬鹿者!!」



吉之助は大久保を殴る。吉之助はこのまま大久保が死ぬことは不忠であると言う。いや!日本国への不忠であると。また、今は遠ざけられているとは言えいずれ必ず久光も大久保の力必要とする。中山程度では役に立たない。



「そいが分からぬ一蔵どんではなか?」

「生きて役目を果たす事がおいの真心ではなかか?」



吉之助は大久保が自分を捕らえて藩邸へと連れていくように促す。大久保は断腸の想いで吉之助を藩邸へと連れて行く。



「そうか!西郷を捕らえたか!」

「はは!」

「西郷、そして帯同した村田新八・森山新蔵も同罪じゃ」

「しかし・・・」

「はい!早速二人も国元へと送ります!」



久光は西郷の他、村田新八と森山新蔵も国元へ送り返すように命じる。大久保はなんとかせめて二人は庇おうとしますが、側近の中山に遮られ何も出来ません。




大久保は臍を噛みますが今は他にもやる事があります。薩兵一千の宿の手配です。早速、薩摩藩が定宿としていた鍵屋へと向かいます。



「それが難しいんですわ・・・」

「その理由は・・・?」



鍵屋の主人は当初は宿の手配に好意的だった同業者も続々と入洛する浪士に脅えているという。そもそも京は公家と寺社の町である。武士に慣れていない京童たちは腰が引けていた。
大久保は思案する。



「空き家を買い上げるというのは如何じゃろう?」

「空き家を・・・?お幾ら程で・・・?」

「急を要する訳であるので多少高くても構わん」

「そいなら、同業者をあたってみます」



話がまとまった所でずっと不機嫌そうにしていたお芳が大久保に文句を言う。



「西郷さんならこんなにジタバタしませんでしたよ?」

「西郷さんなしで上手く行くんですか??」

「なして、この時期に国元へ帰るなんて・・・!」



大久保は事情はよく分からないが君命であるとだけ話すのであった。

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翔ぶが如くのあらすじ第17話下巻「寺田屋」

久光は入洛すると早速近衛忠煕と面会を果たす。



「此度の上洛大義である」

「はは!」

「此度の事は全て岩倉さん力添えであらしゃる」

「岩倉様とは・・・?」

「私が岩倉です」



岩倉は久光の「禁裏守護」の上洛を大変喜ばしいと言った後、



「浪士達が所司代を襲うとか言われておりますが?」

「薩摩兵児は私の命令なしでは一兵たりとも動きませぬ!」

「ならば・・・浪士達を鎮撫し帝を安んじ奉れば如何か?」

「はい!この久光にお任せ下され!」



久光は浪士達の鎮撫を約束する。




一方その頃、薩摩藩邸には大山格之助たちが到着していた。



「信吾!」

「大山さぁ!待ちくたびれもしたぞ!」

「何を!お?森山どんの倅か?弥助も!」



大山は信吾たち若い精忠組の様子に目を細めるが、事態は思わぬ方向へと動く。久光は薩摩藩邸にいる諸国の浪士の追放、さらに薩摩藩士が諸国の浪士と交流する事を固く禁止する。



「し、しかし・・・!」

「御上の御意思じゃ!」



小松帯刀は浪士の暴発を怖れるが、御上の意思となれば無下にする事も出来なかった。この命令は精忠組、特に有馬新七など過激な倒幕論者には受け入れ難かった。



「やっぱり久光は腰抜けじゃ!」

「有馬さぁ!指示を出してくれ!!」



信吾たちは今回の命令が納得できず、過激派の首領となっていた有馬新七に指示を求める。



「おい達は諸国の浪士と共に所司代酒井、そして九条関白を襲う!」

「そして、そん首を久光に差し出し一気に討幕じゃ!」

「なんとしても久光をおい達の動きに巻き込む!」



精忠組過激派は薩摩藩邸を出ると薩摩藩が定宿としている寺田屋へと入る。しかし、その動きは久光の元へ直ぐに届く事になる。久光はすぐ寺田屋へと人を送ること、そして藩邸で自分が説得すると下命する。



「そうじゃ・・・同じ精忠組から人選せよ」

「しかし・・・それでは最悪の場合同士討ちに・・・」

「君命じゃ!」



説得のため精忠組でも特に剣の腕に定評のある大山格之助、奈良原喜八郎、道島五郎兵衛、鈴木勇右衛門、鈴木昌之助、山口金之進、江夏仲左衛門、森岡善助が選抜。そして、京の宿手配などをしていた大久保は藩邸に戻ると丁度寺田屋へと向かう大山達と出くわす。



「大山さぁ!こいはいったい!?」

「一蔵どん、君命じゃ」

「おいも一緒にいきもす!」

「一蔵どん!!おい達に任せておけ・・・!」



大山はこのまま一蔵まで死ぬことになってはこの後誰が精忠組を纏めるのかと押しとどめる。大久保は大山達を茫然と見送る。




寺田屋では有馬新七や信吾、そして弥助や森山新蔵の息子新五右衛門などが討入の準備をしていた。そこへ、大山達鎮撫使が到着したという知らせが入る。




有馬新七、柴山愛次郎、田中謙助、橋口壮介が1階で対応する。



「新七どん・・・頼む!!君命じゃ・・・!」

「・・・もう止める事は出来ぬ」

「新七どん!君命に従わねば・・・上意討ちじゃ・・・!頼む!」



その時、田中謙助が君命に従うと言う。
しかし。



「じゃが、突出を止める事は出来ぬ」

「斬ってくれ」



道島が斬ったのを皮切りに壮絶な同士討ちが始まる。



「上意!!」

「チェスト-!!」



その時、有馬新七の刀が折れる。有馬新七は斬り合っていた道島を壁際に組み伏せると、



「橋口!!突け!早く!!」

「チェストー!!」



橋口は有馬ごと道島を突き殺す。




その時、騒ぎを聞いて森山新五右衛門が降りてくる。本能的に大山が新五右衛門を斬ってしまう。



「新五!!!!」



自分が斬ったのが可愛がっていた森山の息子新五右衛門である事に衝撃を受ける大山。大山は達は直ぐに2階へ上がり、残りの過激派を説得する!



「頼む!上意じゃ!!有馬さぁ達が意地を見せた!」

「久光様はお前達の気持ちはわかっちょる!」

「直接話をすると言っちょる」

「これ以上の同士討ちは犬死じゃ!!!」



大山は刀をすて上半身を脱ぎ先ほどまでの激闘の血しぶきを浴びた顔で必死の説得を試みる。ついに、信吾達は説得に応じる。




しかし。




藩邸へと戻った信吾たちは久光への面会は叶わなかった。



「話が違う!大山さぁを!大山さぁは!」



その様子をじっと見つめる大久保。大久保に気付いた信吾は叫ぶが大久保はただ無言であった。




一方、国元へと送られた吉之助、そして村田新八と森山新蔵は船に留めおかれたままとなっていた。吉之助と村田新八は釣りをしているが森山新蔵は落ち着かない。



「このまま家族にも会えずなんじゃろか??」

「森山どんは商家の出じゃが今は武士であろう?」



村田新八からすれば、武士は常在戦場でいつ死ぬかは分からぬものなのは当たり前である。



「森山どんもこっちで釣りをせんか?」



西郷がのんびりとした口調で提案する。とてもそんな気分にはなれないと言うが・・・。



「家族もここなら無事を確認できるでごわすぞ」



港では吉二郎、そして小兵衛が吉之助の事を眺めていた。




この時、吉之助は寺田屋の事件をまだ知らない。

翔ぶが如くの感想17話「同士討ち 寺田屋事件」

翔ぶが如くの感想第17話です。同士討ち・内ゲバは長州や水戸の専売特許の感もありますが・・・。薩摩藩でも「寺田屋事件」という犠牲を払う事になります。大山さぁ!!!蟹江さぁ!!!!!

翔ぶが如くの感想17話「大久保と西郷」

西郷の捕縛命令下り、大久保がその顛末を西郷に話をしに行きます。大久保は久光の西郷への怒りを解く事は不可能であること、そして、その責任は最初に久光の怒りを買ってしまったことが原因でその責は自分にあると言います。



「共に死ぬ」



しかし、吉之助は当然それを許しません。この辺りの西郷と大久保やり取りは丁度斉彬が亡くなった事を知った後の西郷と月照を思いだします。



「いったい誰が斉彬さんの御意思を継ぐのですか?」

※関連記事:→翔ぶが如く11話「大獄の嵐」


大久保は生きて使命を果たす事こそが自分(西郷)への真心ではと言われて、感じるモノがあったように見えました。



「そんな事が分からん一蔵どんではなか!」



大久保は西郷の言う通り分かっていたと思います。にも関わらず「共に死」と言ったのは西郷への後ろめたさだと感じました。つまり、確信的ではないにせよ、



「公よりも私を優先した」



のだと。
そして、その事をやんわりと西郷に指摘をされて、西郷と言う男を小さく見積もった自分、そしてそんな自分自身の小ささを悔いているようにも見えました。




因みに、一説には今回の「捕縛」に関しては下関で久光到着を待たなかった事に対する処罰であったとも言われています。




翔ぶが如くでは西郷からの手紙を吉之助が呼んでいる場面がありますが、実は手紙は久光に渡っておらず大久保が握りつぶしたとも。そのため、西郷は久光がそこまで怒っているのを理解出来なかった。



「説明したい」



と、言う西郷ですが、手紙を大久保が握りつぶした以上久光に会わせる訳にはいかない。西郷が大久保の説得に応じなければ斬るつもりだったのではとも・・・。

翔ぶが如くの感想17話「蟹江さぁ!」

寺田屋騒動の鎮撫使に選ばれた蟹江格之助。これは、もう是非見て欲しいですね。




蟹江格之助の苦悩と命懸けの説得。




斬り合いの場面で画面が白黒となり、スローモーションになる演出も臨場感があります。血しぶきが大山の顔にかかる場面や身体が咄嗟に反応して森山の倅を斬ってしまった瞬間の苦悩の表情。




そして、刀を捨て2階へ上がり若い過激派を説得する時の背中!身体も「武士」らしい鍛えられた感じがかっこいいです・・・。




因みに、この記事を書いている時はまだ西郷どんでは寺田屋騒動放送前ですが、大山を演じる北村有起哉さんは「江姫たちの戦国」での秀次以来、私の中では期待の名優です。




寺田屋騒動での北村格之助にも期待してしまいます。




以上、翔ぶが如くのあらすじと感想第17話「同士討ち 寺田屋事件」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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