岐阜城。永禄10年(1567年)織田信長が斎藤龍興から奪取し、かつてここにあった「稲葉山城」の縄張りを改め新たに造営した城です。この金華山頂上にそびえる岐阜城は信長が尾張・美濃の二カ国を治める太守となり、これ以降「天下布武」印章を正式に使用し始めたため「信長の偉業」の象徴的な城でもあります。某有名なゲーム「~の野望」でも稲葉山城を落とすとイベント「岐阜城改名と天下布武」がありました。岐阜城に上った時にこの「岐阜城」が信長に与えた影響は思いの外大きかったではないかと感じました。

身の程知らずの大ぼら吹き!?

信長はかなり早い段階から「天下布武(天下統一)」の構想を持っていたと言われます。そして、前述の通り岐阜城を落とした永禄10年(1567年)には「天下布武」の印章を利用しており、この頃には明確に「天下」を意識しています。しかし、この永禄10年時の織田家はまだ大々名と言うにはまだ遠い状況でした。

永禄10年の情勢

信長が稲葉山城を岐阜城に改めた頃は甲斐の武田信玄、関東には北条氏康、北陸には上杉謙信、中国地方には毛利元就も健在です。



確かに、畿内の情勢は所謂三好政権を築いた三好長慶没後足利義輝が謀殺されるなど混沌としてはいましたが、だからと言ってようやく美濃を獲得した段階で「天下布武」と言うのは酒の上の戯言ならいざ知らず、けっこう思い切った発言だと思います。



しかし、だからこそこの「尾張美濃2カ国」の時点で「天下布武」という明確な目標を設定した信長は三英傑の二人秀吉と家康と比較しても傑出していると言えるのではないでしょうか。

信長と秀吉、家康の違い

後に「三英傑」と称される織田信長と豊臣秀吉、徳川家康。この辺りはもはや語りつくされた感もあるのですが、秀吉と家康は段階を踏んで天下人となったといえると思います。



秀吉で言えば、まず、日ノ本一の草履取を目指して努力と工夫を重ねます。日ノ本の草履取りの次は日ノ本の足軽大将を目指して、次は侍大将、部将、城持ち・・・結果として天下人です。



家康も似たような感じであったと言えるでしょう。
生き残る事を頑張っていたらある時、


「あれ?俺天下とれんじゃね??」


と、いう状況気が付いた。


「生き残れれば御の字よ(真田丸)」


と言っていた家康が天下を意識した、豊臣政権にとって代わる事を意識したのは、早くても関東へと移封された小田原攻め後であると思います。



一方で信長はやはり傑出しています。群雄割拠の時代とは言え尾張・美濃を抑えた段階で「天下布武」という青写真を描いてそこ向かって走っているのですから。

信長のヤル気スイッチはなんだ!?

信長が早くから「天下」を意識した(出来た)理由については信長の性格や天賦の才と共に、信長が生まれた「尾張」という場所が有利に働いたのも間違いないと思います。当時、日ノ本の中心は京の都です。尾張国は都に近い。



移動手段も通信手段も限られていた戦国時代政治の中心に近いという地の利はあります。



勿論、近ければという話であれば、もっと近くにも大名はいます。しかし、地の利があってもやる気が無ければやはり天下は獲れません。信長は如何にしてやる気を出したのか?その答えの、「信長のヤル気スイッチを押した」のは岐阜城なのではないでしょうか?

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岐阜城からの眺め

岐阜城はご存知の通り金華山の頂上にあります。金華山の標高は329m。正直、登るまでは徒歩でも登れる大して高くはない山だと思っていました。



岐阜城を麓から(大河姫撮影)




岐阜城を麓からその2(大河姫撮影)




ただ、実際に近くで見て見ると思いの外高く感じたんですよね。



折角なので、一番難所と言われる「馬の背登山道」から上りました。



そして、頂上。

金華山頂上から(大河姫撮影)





岐阜城近影(大河姫撮影)




それ程多くの城に登城した経験がある訳ではないのですが、岐阜城からの眺めの素晴らしさには驚かされました。町の中にある平城と異なり、視界を遮るものが何もありません。



岐阜城天守より(大河姫撮影)




「うぉおお!テンション爆上げ!」



岐阜城天守より(大河姫撮影)




この景色と同じ景色を信長も見ていたと思うと胸が熱くなりました。



そして、直ぐにある事に想いが至ります。


「信長はもっと感動したんではないか?」


金華山は329mですが、東京タワーは333m、スカイツリーは634m。我々はもっと高い場所から平野を眺めた事がありますが当時は戦国時代ですからね。



濃尾平野に突き出た金華山山頂からの眺めを見て、



「オレ、天下獲るわ」


となっても不思議ではない、いやきっとそうだと確信。



もし、金華山の標高が低かったら・・・?
歴史は変わっていたかもしれない!?

以上、岐阜城登場の想い出でした。

今宵は此処までと致します。