武田信玄のあらすじ第40「暗闇の鬼」。山梨県一宮町で150年振りに町おこしの一環として大文字焼きが復活した。大文字の送り火と言えば京都が思い出される。信玄の正室三条の方は京都の公家の出身。15歳で一つ年上の信玄の元に嫁いできた。ここで三条の方の系図を紐解いてみよう。三条家は代々名門で、父三条公頼は左大臣という要職に在った。しかし戦国時代、京の公家にとっては家柄だけに頼るしかない辛い日々であった。
三条の方も政略結婚で信玄に嫁いで来たのかもしれない。京の都から遠く離れた甲斐の国でおよそ30年。戦乱の世に弄ばれた子供たちの不幸を悲しみながら1人の母として生き抜いたに違いない。春の梅の香が漂うような女性だったと伝わる三条の方。どんな思いでこの甲斐の国の大文字を眺めたのであろうか。
武田信玄第40話上巻~病の影~

[br num=”2″]
「小田原城攻めの帰途、諏訪村でとったそちの行い」
「武田家家督を継ぐに相応しいと快く迎えられておるようじゃ」
[br num=”2″]
晴信は勝頼と阿部勝宝を主殿に呼び、小田原城攻めの帰途、勝頼が諏訪村で講じた「応変の処置」について褒めます。また、甲斐と信濃は一心同体であり、その後見をしている阿部勝宝には武田家代々の家臣と勝頼の間が上手く行くように心を配るように命じます。
[cc id=4173 title=”U-武田信玄”]
[cc id=4143 title=”U-総合”]
三条殿の病
三条殿の病は日に日に進でいるようでございます。
[br num=”2″]
「義信!!義信!!!」
「姫様!姫様!!」
[br num=”2″]
三条殿は悪夢にうなされいるようでございます。八重が必死で呼びかけます。
[br num=”2″]
「八重・・・」
「はい、この八重がいつも御側におります」
[br num=”2″]
三条殿は八重の姿をみると安心してやすらかに眠りに入ります。八重は眠る三条殿を前に涙します。
[br num=”2″]
「おいたわしや・・・このような姿になられて・・・」
「義信様奪われこのような病に・・・」
「姫様の苦しみ、あの方にも必ず味合わせてご覧に入れます(覚悟)」
「あの方ばかり嬉し顔で都に上らせたりは致しませぬ」
[br num=”2″]
何やら不吉な事を考えているようにございます。
影武者
「小田原城攻めから1月もおかずに駿河攻めか」
「お館様のお身体は大丈夫であろうか?」
「しかし、今が攻め時でござるのは間違いござらん」
[br num=”2″]
小田原攻めと三増峠の戦いから日を置かずに再び駿河へ侵攻する事に、馬場・山県は晴信の体調を心配します。一方で真田は今、駿河衆は小田原に入っており、空の駿河を攻めるには好機なのは間違いないと言います。
[br num=”2″]
「おお!高坂殿!いつこちらへ!」
[br num=”2″]
海津城から高坂殿が戻って来ておりました。海津城であらたに侍女となったしのから晴信労咳の噂を聞きつけてやって来たのでございます。
[br num=”2″]
「お館様のお加減は悪いのか?」
「良いとも悪いとも言える」
「ええい!どっちじゃ!?」
「まあまあ、まあこちらへ」
[br num=”2″]
四人は空き部屋へと入ると小田原城攻めから戻った後の晴信の様子や駿河攻めについて話します。
[br num=”2″]
「ならば、暫し養生して頂くべきでは!?」
「高坂殿はお館様の事はよくご存知であろ?休めといってお休みになられるか?」
「しかし!」
[br num=”2″]
高坂殿は晴信の身を案じ暫しの休息をと言いますが、真田殿の反論には返す言葉がありません。この頃、北条殿・上杉殿の間には盟約が結ばれる気配があり、さらに尾張織田信長殿は伊勢等を攻められております。
[br num=”2″]
「寝てなどおられるか?」
「しかし、戦続けば病は進む・・・」
「一つ手立てはある。影武者じゃ」
[br num=”2″]
山県殿が信廉を影武者として立てて駿河を攻め、その間に晴信を休ませる案を提案します。
[br num=”2″]
「それはいい!」
[br num=”2″]
高坂・馬場両名は微妙な反応でしたが、真田殿は賛成します。その時突然引き戸が開きます。
[br num=”2″]
「何をしているのじゃ」
「このような小さな部屋に籠りて?」
「なんの悪巧みじゃ?」
[br num=”2″]
四人は平伏し、正月の歌会始めの打ち合わせと苦しい言い訳をします。しかし。
[br num=”2″]
「そのように心配せずとも良い」
「それと、影武者はいらん」
「信廉に儂の影武者は務まらぬ」
[br num=”2″]
全て聞かれていた事に慌てる四人組。
[br num=”2″]
「儂の方が数段美男じゃからの」
[br num=”2″]
一同は苦笑いでございます。晴信は駿河攻めの準備を進める事、また海津城代の高坂殿には碓氷峠を超えて越後勢の動きを見張るように命じます。
[br num=”3″]
そして、
[br num=”2″]
「将軍足利義昭公に使者を送り越後との和睦進める」
[br num=”2″]
驚く一同。
[br num=”3″]
高坂殿は上杉輝虎殿が和睦に応じる可能性は低いと懸念します。
[br num=”2″]
「じゃが将軍家からの斡旋とあれば、輝虎は信濃へ兵を動かせない」
[br num=”2″]
秩序を重んじ将軍家を崇拝する輝虎殿の御性格であれば、たとえ和睦叶わなくてもその将軍家の意向を無視するような行動は取らないと言います。
武田信玄第40話中巻~氏康の苦悩~

[br num=”2″]
その頃、相模・越後の盟約が整っておりましたが、輝虎殿は信濃へ兵を動かしておりませんでした。北条殿としてはなんとか輝虎殿に晴信の背後を突いて欲しいのですが・・・。
[cc id=2939 title=”adsense”]
和睦とは心を和するもの

[br num=”2″]
「信濃への御出馬を!このままでは越後にもその火の粉が・・・」
「松田、我が越後の心配など無用じゃ」
[br num=”2″]
輝虎殿は和睦の条件の一つである氏政殿と陣を同じくする事は承知しているか確認します。松田殿は既に主君氏政殿が承知している事を伝えますが・・・。
[br num=”2″]
「では、いつ氏政殿はやって来る?」
「それは、上杉殿が碓氷峠を超えて信濃に入った時」
「松田。儂は関東管領ぞ」
[br num=”2″]
輝虎殿は関東管領の配下である相模守護北条氏政殿から、嘘偽りのない誠意を示すのが先であると言います。その事をまず小田原へ戻り氏政殿に伝えよと。松田殿は、それはその通りではあるが過去の経緯もありなんとか碓氷峠を超えて欲しいと粘りますが、
[br num=”2″]
「誠意を示せ!!!」
「和睦とは心を和するモノじゃ!」
「戦の為にするものではない!!」
[br num=”2″]
そう告げると会談は打ち切りとなってしまいます。
[br num=”3″]
晴信は時を置かず駿河へと攻め入り、駿府城を再び手に入れたのでございます。しかし、晴信の戦振りは少々急いでおり、病との戦を感じるのでございます。
[br num=”3″]
この日から、晴信は命失うその日まで日夜戦に明け暮れる事になります。
兄妹喧嘩

[br num=”2″]
駿河を追われた今川氏真殿と妻阿弥殿は阿弥殿の実家相模小田原城に入っております。ここ小田原城にも晴信が駿府城を再び手に入れたという報告が入っておりました。苛立たしく主殿へやって来る氏政殿。気まずそうにうつむく氏真殿。
[br num=”2″]
「神原城(蒲原城)駿府城が落ちたぞ!」
「松田!上杉はなんと申しておる!」
「儂は陣同じくする事承知したぞ!?」
[br num=”2″]
松田殿は上杉殿は陣を同じくしてからでないと碓氷峠は超えないと言っている事を伝えます。氏政殿はもはや、上杉殿を信じてはいない様子です。和睦の話等は白紙にと言います。そこへ、隠居した北条氏康殿がやって来ます。
[br num=”2″]
「父上!輝虎信用出来ませぬ」
[br num=”2″]
氏政殿としては上杉の腹の中は北条武田が相争い力尽きればよいと考えているのだとまくし立てます。
[br num=”2″]
「さもあらん」
[br num=”2″]
氏康殿はそれを否定はしません。
[br num=”2″]
「和睦を結ぶは損得のためじゃ」
「心の底から和を結ぶ事等出来ぬ」
「しかし、此度の和睦は上杉にも利がある」
[br num=”2″]
氏康殿は徳川と上杉に使者を送り、甲斐を三方から囲めばよいと言います。駿府城は奪われたがまた取り戻せば良い。不意に、氏政殿は氏真殿に尋ねます。
[br num=”2″]
「今川殿はどう思われる?」
「儂には何も申すべき言葉はありませぬ」
「我が夫氏真殿に応える言葉ありましょうや!」
「阿弥!我が兵は駿河のため戦っているのだ!」
「兄上!徳川と駿河を分ける密約がないとは言わせませぬぞ!」
「おのれ!兄を疑うのか!?今の言葉許せぬ!!」
[br num=”2″]
阿弥殿と氏政殿の兄妹は互いに激昂しております。氏康殿は疲れ切った表情で二人を諌めます。
[br num=”2″]
「やめよ・・・」
「国主は私!妹とは申せ許せませぬ!」
「もう良い(疲れ)」
「よくありませぬ!!」
[br num=”3″]
[br num=”3″]
氏康殿の迫力に氏政殿は黙ります。氏康殿は立ち上がると、一瞬ふらつきます。そして阿弥殿の側へ。
[br num=”2″]
「阿弥、徳川との密約を氏政に命じたは儂じゃ」
[br num=”2″]
駿河はもはや一人では生きられぬ事、相模の分国として、由緒ある今川家を潰さないのが最善と説きます。
そして。
[br num=”2″]
「氏政・・・阿弥を良しなに・・・」
[br num=”2″]
それだけ伝え主殿を後にします。
しかし、
[br num=”2″]
「ウッ・・・」
「大殿!?」
[br num=”2″]
心労が祟ったのでしょうか。氏康殿は廊下で倒れます。
武田信玄第40話下巻~暗闇の鬼~

[br num=”2″]
甲斐には駿河をほぼ平定したという知らせが参ります。ただ、三条殿は病のため知らせに立ち会う事はありません。報告を受けたのは里美殿、そして恵理殿のお二人。
[cc id=10347 title=”adsense02″]
正室の座
晴信には現在、正室の三条殿、そして側室として里美殿と恵理殿がおります。里美殿にはお子はありませぬが、恵理殿には松姫と五郎(後の仁科盛信)がおります。
[br num=”2″]
「お方様が亡くなられたら正室の座を里美殿と争う・・・」
「恵理殿、そのような不吉な事申してはなりませぬ」
「しかし、正室の座は大事にございます」
「恵理殿、御慎みを」
「もしや、里美殿は正室の座に尽くつもりはない‥・?」
[br num=”2″]
恵理殿の発言に疲れ切った表情で諭すように言います。
[br num=”2″]
「お館様は三条のお方様に万が一の事あれば正室は置きませぬ」
「なぜにございます?(不思議)」
「それが、お館様の思いやりにございます」
「もしや、里美殿この恵理を安心させて正室の座を?(疑い)」
[br num=”2″]
もはやあきれ果てたといった里美殿。
[br num=”2″]
「そのような事はもう二度と口にしてはなりませぬ」
「このような会話が八重殿の耳に入ればどのような不幸があるか分かりませぬ」
月夜の鏡
その頃、八重殿や御宿殿の懸命の看病にも関わらず三条殿の病状は悪くなる一方でございました。
[br num=”2″]
「八重、もしお館様がお見舞いに来られても通してはならぬ」
「私はお館様との最期の別れを済ませた」
「もはや、この醜い姿をお館様にご覧にいれとうない」
[br num=”2″]
「姫様は醜く等ございませぬ」
「その美しさ増すばかりにございます」
[br num=”2″]
「八重・・・鏡を・・・」
「月夜の鏡は不吉にございます」
「鏡を持って来るのじゃ!」
「この八重が申しておるのです」
「鏡を!鏡を!!」
「まるでややこのようですな・・・」
[br num=”2″]
八重は鏡はないと三条殿に言い聞かせると部屋を出ます。そして、一人、人知れず涙を流します。
[br num=”2″]
「おいたわしや・・・姫様・・・」
[br num=”2″]
そこへ、浅黄と若狭が三条殿が鏡を所望していると報告に来ますが・・・
[br num=”2″]
「鏡を渡してはなりませぬ」
[br num=”2″]
八重は二人に厳命するのでした。
そして、
[br num=”2″]
「このまま姫様を死なせたりましませぬ・・・必ずや・・・!」
三年後日本全国平定
年が明けて元亀元年。晴信は勝頼を伴い三度駿河へ攻め入ると、花沢城、藤枝城、徳之一色城(田中城)等を落します。晴信と致しましては、京の都を目指すため是が非でも駿河を平定しておかねばならなかったのです。病の事など忘れていたのかもしれませぬ。
[br num=”2″]
※関連記事:→徳之一色城(田中城)
[br num=”2″]
甲斐へと戻った晴信は重臣達とささやかな宴席を設けております。そこには、勝頼、そして阿部勝宝も加わっております。
[br num=”3″]
話は必然、今後の動きのお話しとなります。晴信は家臣達のやり取りを楽しむように黙って聞いております。
[br num=”2″]
「次は遠江ですか?それとも背後の越後にございますか?」
[br num=”2″]
晴信は既に将軍家に和睦の斡旋を依頼しております。これは、例え断られたとしても秩序を重んじる上杉輝虎が将軍家の意向を無視して信濃に攻め込むとは考え難い。
さらに。
[br num=”2″]
「この和睦は上杉にも益する事多い」
[br num=”2″]
真田殿が解説します。上杉殿は北条殿との和睦を進めております。もし、甲斐・相模を和睦となれば、両手が自由になる。その力を上洛へと集中出来る。
[br num=”2″]
「輝虎上洛となれば、我が甲斐が邪魔にはなりませぬか?」
[br num=”2″]
阿部勝宝殿は、輝虎殿上洛となればその時に大きな戦になると言います。
[br num=”2″]
「儂はそうは思わぬ」
[br num=”2″]
勝頼が発言します。
晴信は面白そうに理由を尋ねます。
[br num=”3″]
勝頼は輝虎殿は必ずしも越後一国を掌握しているわけではないこと、国内を掌握し、上洛に必要な三万からの軍勢を整えるには少なく見積もってもあと三年はかかる。我が甲斐の上洛が一年先と考えれば。
[br num=”2″]
「上杉が上洛の体制整う頃には我が甲斐が日本全国平定致しております」
[br num=”2″]
一同は大笑いにございます。
[br num=”2″]
「三年後には日本全国平定!目出度き仕儀にございます!」
[br num=”2″]
晴信もまた、楽しげに笑います。
[br num=”2″]
「我が子とは思えぬ利発さじゃ!」
「じゃが急ぎ過ぎるが玉に瑕じゃな」
[br num=”2″]
一度の楽し気な宴席を外から眺める者がいる事には誰も気づいておりませぬ。
八重
「姫様を苦しめた湖衣姫の子にあの笑顔」
「姫様の苦しみを味合わせてご覧に入れます」
[br num=”2″]
それから数日経っての夜の事にございます。
[br num=”3″]
廊下を歩く歩く原昌胤殿は見慣れぬ近習とすれ違います。
[br num=”2″]
「ご苦労様です」
「うん・・・」
[br num=”2″]
そのすれ違い様にお互い斬り結びます。
[br num=”3″]
その頃、勝頼の寝所にも不審者が。
[br num=”3″]
勝頼は肩を斬られますが、阿部殿も加わり不審者を切り捨てます。外では山県殿がさらに一人の不審者を切捨てます。その者が最期に語った言葉。
[br num=”2″]
「八重殿・・・」
[br num=”2″]
今宵は此処までに致しとうございます。
[cc id=4173 title=”U-武田信玄”]
[cc id=4143 title=”U-総合”]