翔ぶが如くのあらすじと感想第20話「薩英戦争前夜」です。薩軍は京都を去る。薩摩が去ると過激攘夷派である長州藩などは益々増長し京都で幅を利かせるようになる。ついには将軍家茂の上洛を命じるに至る。一方、英国は「生麦事件」の賠償として幕府に10万ポンド(約10万両)薩摩藩には2.5万ポンドという法外な賠償を求め応じなければ武力行使も辞さない構えだが・・・。翔ぶが如くのあらすじと感想第20話

島津十文字

翔ぶが如くのあらすじ第20話「薩英戦争前夜」

京では長州藩の後押しを受けた攘夷派の公卿が益々増長する。そして、ついに将軍家茂に対して「攘夷の期日」を迫るに至る。ここに、将軍家茂229年振りに上洛をする事態となる。「公武調和」を唱える薩摩藩としては、長州藩の動きは許し難いが・・・。

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翔ぶが如くのあらすじ第20話上巻「再び京へ」

「信吾さぁ!一蔵どんがいらっしゃいました!」

「そげなお人は知らぬ」



謹慎処分を受けた信吾の元へ大久保が訪ねてくる。信吾は寺田屋事件の件で大久保を憎んでいた。大久保は寺田屋で死んだ者を想うのであれば、その意思は生き残った者が継ぐしかないと告げる。しかし、信吾には大久保の言葉は届かない。



大久保にとっては久しぶりにの薩摩藩であったが、久光の命で再び京へ立つことになる。公武調和と開国を目指す薩摩藩であったが京都政界は既に「尊王攘夷一色」である。大久保は単身上洛し朝廷工作を命じられる。早速上洛し京都政界で重きをなすはずの関白近衛忠煕を尋ねる。



「我が主島津三郎が出府し、一橋公を将軍後見職に就けたばかり」



大久保はようやく幕政改革を始めようというこの時期に将軍が京を離れるなど言語道断であり、勅命を取り下げるように言上する。しかし、近衛忠煕は大久保の話しは最もであるとは言うが表情は冴えない。



「それは不可能じゃ」

「・・・恐れながら近衛様は関白職、すぐに朝議を・・・」

「朝議など儂の預かり知らぬところで開催されている」



近衛忠煕は薩摩が帰国した後、長州や土佐に担がれた若手公家によって開かれているという。大久保は京都政界の動きの早さに驚く。




大久保はその足で、岩倉村に隠棲している岩倉具視を尋ねる。



「近衛公をもってしても朝廷は攘夷派を一掃するのは難しく・・・」

「当たり前じゃ・・・奴らはすぐ天誅!とだんびら振りかざすよってな」



大久保はもはや再び薩軍を上洛させるしかないと考えている話すが、岩倉は長州藩が朝廷を抱き込んでいる以上、どうにもならないと投げやりだ。



「・・・取り敢えずお手元金でございます」

「・・・まあ、生きていればまた逢う日もあるじゃろう」



帯同していた薩摩士の与田から「金子」をもらうと多少機嫌を直し岩倉は笑う。




大久保は薩摩へと戻る際に船を利用するが、折からの台風で船は大揺れに揺れる。身体を船の柱に結びつけて固定していたが、途中で座礁する。



「与田!紐を緩めろ!泳いででも生きるぞ!」

「は!!」



大久保は命からがら薩摩へと帰国する。




その後、将軍家茂と将軍後見職の一橋慶喜が上洛。一橋慶喜は近衛忠煕や三条実美と面会していた。列強との戦力差の実態をなんとなくは理解している近衛公は不安気である。



「我が国のみ鎖国をするのは不可能・・・」

「一橋!それはどういう事でおじゃる!?」

「いや!されど勅命であれば攘夷はせねばなりませぬ」



三条実美の言葉に応える慶喜。



「しかし、彼我の戦力差は大人と子供」

「その事帝はご存知でしょうや?」

「大事な事ゆえ、正直なところをお伺いしたい!」



近衛公は知らぬであろうと答える。慶喜は自分たち武士は戦が身上であり全く戦を恐れてはいないが、もし戦となった場合にその事をご存知なければ途中で日和る心配はないかと畳みかける。この都でも間違いなく戦火は免れない。



「か、勝てるのでおじゃろ?」

「いーや!勝てませぬ」

「じゃ!じゃったらどう攘夷を行うのじゃ!」

「この慶喜、異国と戦い華々しく討死をしてみせましょう!」



慶喜は不敵に笑うが三条実美など公家衆は実態をしり動揺するばかりである。

翔ぶが如くのあらすじ第20話中巻「天命」

その頃、吉之助は畳一畳ほどの雨ざらしの牢で死を待っていた。西郷を慕う下役人の土持政照は西郷の身体を心配していた。




西郷は座敷牢で水粥しか口にせず、土持が持ってきた魚には箸を付けようとしない。そこに、土持は川口雪篷という男を連れてくる。




川口雪篷はかつて、久光の「書物」を勝手に売りに出して酒に代えてしまった男だ。それが露見したため、この沖永良部島へと流されて来た。




川口雪篷は西郷にこの囲みから出て、別の場所へ移るように提案する。君命は自分に死ぬように命じていると断る西郷に川口雪篷は、命令書の不備を説明する。



「囲えと書いてあるが「牢屋」に入れろとは書いていない」



西郷は自分は君命により死ねと言われており、これは天命であると固辞する。川口雪篷は呆れる。



「西郷とは大人物と聞いていたがこげん小さな男とは!」



天命とは「君命」ではない。己を無にして天の赴くままに生きること。命令書の不備こそ天が「生きろ」と言っているとは考えられないのかと説く。そう取れないのはただ「意地を張っているだけ」であると。



「・・・恥ずかしかぁ・・・」

「申し訳なか・・・おいをここから移してたもんせ・・・」



吉之助はついに雨ざらしの座敷牢から「囲いのある」家へと移る事になる。




一方、大久保もまた「天命」を感じていた。




九死に一生を得て薩摩へと帰国した大久保は度々悪夢に魘される。妻の満寿は京都での御役目で何かあったのかと大久保を心配するが、大久保はなんでもないと不機嫌に応える。



「いつも船がどうとか魘されておりもす」

「何もない!どうした?満寿??」

「いえ、それならもう大丈夫でございもす」



船と聞いて大久保はハッとする。



「満寿・・・別に隠す事ではなかどん・・・」

「おいは此間死にかけた・・・」



大久保は船が難破しかけて危うく命を落とすとこだったということ、ただ、こうして生きているのは「天」が自分を生かしているのだと応じます。



「おいは死なん!」



また、これから英国との戦争になるかもしれないが、もしそこで死ぬような事があれば、それは満寿も一緒だろうと話す。

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翔ぶが如くのあらすじ第20話下巻「開戦前夜」

「されば!京への出府は3月7日に決めた!」

久光は主だった重臣を鶴丸城へ集め再びの上洛を決断する。一方で、英国が幕府に10万ポンド、薩摩へは2.5万ポンドの賠償金を求めており、談判が決裂すれば戦になる可能性が高いと言う。



「金は惜しくはないが、応じれば我が薩摩が非を認めた事になる」



久光は戦に備えて大久保を御小納戸頭取兼務(家老待遇)へと昇進させると留守居を命じる。



「されば大久保一蔵!戦に備えよ!」

「はは!一命代えましても!」



大久保一蔵34歳。今や薩摩藩の幹部となり、生麦事件の後始末のためにも無くてはならない人物となる。




薩摩へは上洛の勅命も下るが大久保は上洛をしようとする久光を止める。長州が異国と撃ち合い勝ったと言われているがその内実は余談を許さないこと、また、今の朝廷のやり方はかつて「源平」を相争わせたように「薩長」を争わせている。これに乗ってはならないと。



「じゃが勅命じゃ」

「勅命も奉じる価値が無ければ奉じる必要はございもはんかと」

「勅命を道具のように扱い畏れ多いぞ!」

「御言葉をお返し申し上げもすが英国は薩摩と直接交渉をするとの事」



大久保は幕府は2.5マンポンドか久光の首を求めている。そして、それが叶わねは・・・。



「英国が砲艦をもって薩摩へ迫る可能性がございもす」

「英国の軍艦がこの錦江湾に来るのか!」

「長州にも来ました」

「決まったぞ一蔵!」



久光は戦にあたり、小松帯刀を総指揮官とし、大久保に前線のしき一切を任せると命じる。




薩摩藩は一気に戦時体制へと舵を切る。そして、謹慎を命じれられていた信吾たち精忠組は謹慎を解かれ戦に参加する事になる。




英国艦船は錦江湾へ迫るがまずは交渉が持たれる。しかし、談判は決裂。




大久保は敵艦船への切り込みを画策する。有村俊斎や大山格之助などが深夜、西瓜売りに化けて小舟で英国艦船接近しへ乗り込む事はまでは出来たが、結局怪しまれ、敵艦を強奪する作戦は失敗する。




いよいよ夜明けが近づく。




薩英戦争が始まろうとしていた。

翔ぶが如くの感想20話「薩英戦争前夜」

翔ぶが如くの感想第20話です。生麦事件を経て、大久保は薩摩藩の幹部、いや、久光の最も頼りとする重役に昇進しました。今迄は「御言葉をお返し申し上げます」久光の意見に異を唱える事が出来る。この信頼があればこそ、後に西郷を再び島から呼び戻せる訳ですね。そして、政治の中心がいよいよ京都へ。一橋慶喜が良い味を出しています。

翔ぶが如くの感想20話「重役、大久保!」

翔ぶが如く第20話で久光はいつも



「一蔵!」



「一蔵!!」



「一蔵!!!」




ともはやお気に入りです。
ちょっと面白かったのが「御小納戸頭取兼務(家老待遇)」に任命すると命じられた時に、小松帯刀がちょっと微妙な表情をしていたんですよね。




勿論、小松帯刀は大久保の力を認め頼りにはしていますが、やはり心のどこかで「下級藩士」という意識もあったんじゃないかなと。




現代風に言えば、「キャリア官僚(小松)」と「ノンキャリア官僚(大久保)」といった感じで、お互い、棲み分けが出来ていたはずが、気が付いたら大久保も「キャリア官僚」となっており同じ土俵にいたみたいな。




単純に「ライバル視」するとか「警戒する」とかではないんです。



「あれ?」



みたいな。
もしかすると、今後は大久保の指示で自分が働く事になるのかもみたいなね。この辺りの感覚というのは宮仕えをしていた人ならなんとなく「分かって」くれるんじゃないかなと思います。




それにしても、事此処に至り、大久保は西郷と並んだと言えるのかな。




西郷は斉彬が最も頼りとする部下でした。久光は大久保を「使える男」だとは考えていましたがあくまで「有力な駒の一つ」に過ぎなかったと思います。しかし、生麦事件を経てこの「薩英戦争前夜」に至り、



「最も使える駒」



と、なったのかな。




ただ、斉彬と西郷のような「同士」ではなく、あくまで「同床異夢」だと思いますが・・・。

翔ぶが如くの感想20話「大西郷も意地を張る」

この20話で川口雪篷が初登場。演じるのは竜雷太さん(当時51歳)。流石に若い・・・!のですが、2018年の「西郷どん」で調所広郷を演じた時は78歳ですが、とても28年経過しているとは思えないですね。雰囲気がほとんど変わっていない・・・!



※関連記事:→翔ぶが如くと西郷どんのキャスト比較


さて、西郷は沖永良部島へと流されて雨ざらしの牢に入れられ「天命」だと逍遥と死を待っています。しかし、川口雪篷はそれをさにあらずと説きますが西郷は聞き入れない。



「ただの意地っ張り」



そう。
この時の西郷の気持ちとしてはある意味で「当てつけ」に死んでやる位な感じだと思います。
(それが、久光にどれ程「当たる」のかは定かではありませんが・・・)




大西郷でも意地を張ってしまうのです。




でもですね。



「・・・恥ずかしかぁ・・・」



西郷は川口雪篷の言葉に己の過ちを認めます。




この「過ちを認める」事をあっさりと出来る事こそ、今、いや、実はずっと人類に必要な事のように感じます。




今は特に「過ちを認めなたら負け」みたいな風潮が強いですからね。




そして、過ちを認めたら、周りはそれを許し受け入れる事もまた大切な事だと思います。

翔ぶが如くの感想20話「一橋慶喜」

将軍家茂と後見職慶喜が上洛。攘夷について、三条実美などから問われる場面。



「お前ら、京都も当然戦火に包まれるけど分かってるよね?」

「俺ら武士はとっとと討死するけど?(笑)」



と、いう皮肉が最高でしたね。この議論を見ていると後の「日米開戦」を思わずにはいられません。



勢いのある連中が「勝てる!」と連呼して「勝てる気分」になる。いつの間にか、気分に引っ張られて米国兄貴のドタマをぶん殴る訳ですね。




挙句、



「おれは本当は反対だった」



と、宣う訳です。
この辺りの「メンタリティ」は幕末から昭和・・・いや平成になっても変わっていないのかな。




まあ、難しいのは「威勢がいい」と相手が忖度してくれたりする部分も無くはないんですけどね。




少なくとも、米国兄貴をぶん殴る前までは、「威勢が良い人の言う通り」であった部分も否定は出来ない。




最後に、因みにちょっと不思議に思っていること。




第20話は「薩英戦争前夜」なんですけど21話は「薩英戦争」じゃないんですよね!何故か「慶喜の裏切り」です・・・!




尺の問題なのかな・・・?




以上、翔ぶが如くのあらすじと感想第20話「薩英戦争前夜」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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