翔ぶが如くのあらすじと感想第19話「異人斬り 生麦事件」です。久光と薩兵1千は勅使を奉じて江戸へと入る。勅使は早速将軍家に「勅命」を下すが幕閣は回答を保留する。一方、久光は松平春嶽に面会し総裁職就任を打診するが反応は芳しくはなかった。大久保は一計を講じるが・・・?翔ぶが如くのあらすじと感想第19話

島津十文字

翔ぶが如くのあらすじ第19話「異人斬り 生麦事件」

久光一行は薩兵1千を率いて江戸へと入る。勅使、大原重徳はさっそく江戸城へ入ると将軍徳川家茂に勅命を伝える。




江戸開闢以来、「勅使」とは言え将軍と謁見する場合は下座が当然であったが大原重徳は上座から将軍家茂と面会する。




これは「快挙」ではあったが、前例のないこの所業に幕閣は表向きは「検討」を約するが態度を硬化させていた。対応した老中板倉勝静などは激怒していた。



「これは勅命なのであろう?」

「これは勅命に非ず!薩摩が裏で糸を引いています!」



幕府は勅使を江戸城へと入れたものの、勅命については態度を保留していた。

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翔ぶが如くのあらすじ第19話上巻「三郎君」

久光は政事総裁職への就任を願う事になる松平春嶽と会っていた。久光としては兄斉彬の意思を継いで、幕政改革にあたっているつもりであり、松平春嶽はこの話を喜んでくれると思っていたが・・・。



「お初にお目にかかりもす!島津三郎久光にございもす!」

「うむ・・・」

「越前公に置かれましては政事総裁職にご就任を頂きたく」

「・・・困る」



松平春嶽はそもそも「政」は家来筋の老中などが行うものであるという。久光は特段関心も示さずに一言。



「それは歯がゆか決まりでございもすな」

「ただ、幕政改革は亡き斉彬の忠義でございもす」



斉彬という言葉に松平春嶽は反応する。



「斉彬殿と言えば、あの西郷吉之助は如何しております?」

「西郷なら流しもした」

「流した??」



松平春嶽はあの「西郷」を流したという久光に不安を覚える。後ろに控える大久保に目線を移し、「何があった?」という顔をするが、大久保は黙っている他ない。




さらに久光は微妙な命令を大久保や小松に命じる。




久光は無位無官であり、さらに藩主ですらない。



「あの件、大奥にも働きかけるのじゃ!」

「あの件とは・・・?」

「藩主就任の件じゃ!」

「しかし、既に御藩主様はご嫡男が・・・」

「じゃ・か・ら!大奥にも働きかけるのじゃ」

「・・・はは!」



大久保と小松は顔を見合わせる。しかし、久光の命令を聞かない訳にはいかない。大久保は幾島となんとか面会し、この件を大奥からも働きかけて欲しいと頼む。



「なんともまあ!厚かましいにも程があります・・・!」



幾島は、大久保が面会を求めて来た時に、西郷の赦免を天璋院に働きかけて欲しいと願ってくるものと考えていたのだ。西郷からは薩摩にいる大久保は一番の親友と何度も聞かされていた。
それが、



「前代未聞!息子の家督を父親が継ぐなど・・・!」

「こんな呆れて、がっかりした話はおじゃりません!」

「西郷さんは人の良い方だと思ってましたが・・・」

「こんなに厚かましいお方が一番の親友とは!!」



幾島は今回の話はなかった事にしてくれと早々に部屋を出て行ってしまう。勿論、そのような事は大久保自身もよく分かっている。



「吉之助さぁ・・・おいは泣きたか・・・」

「こげん恥ずかき事はございもはん・・・」



大久保の悩みは尽きない。



「一蔵どん!老中を斬るというのは誠か?」

「大山さぁ!いったい何のことでございもす?」

「俊斎がそう言っておる!」



大山としては薩摩のためなら斬り込む事にいささかの躊躇もないが、俊斎のいう事はイマイチ信用出来ないので確かめに来たという。




俊斎は過激分子の頭目のような存在になっていた。
桜田門外の変を再び・・・!



「俊斎!老中を狙うというのは誠か!?」

「お!一蔵どん!そいじゃ!!」



大久保は頭が痛いが、兎に角まずは俊斎の心意気を褒める。



「じゃどん、突出はまだその時期ではない!」

「俊斎!知恵は一蔵どんが上じゃ!今回は任せよう!」



俊斎は渋々ではあるが、大山も説得してくれた事もあり、老中襲撃を思い留まる。しかし、大山もまた大久保を全面的に信頼している訳ではなかった。このまま、勅使がおめおめと帰京する事になれば、薩摩の行動は笑い者である。薩摩が恥をかくような事になったら、大山は大久保を斬ると言う。



「分かりもした。そん時は大山どんに斬られもんそ」

「俊斎・・・これはお前が証人じゃ」



俊斎は襲撃を諦めたものの、浪士を率いて江戸の町を徘徊する。大久保と小松は後日とんでもない瓦版を入手する。



「薩摩が老中襲撃を画策!?」

「俊斎は襲撃を思い留まったんじゃ?」

「老中への威圧のつもりでしょう」

「まったく勝手な事を‥‥」

「いや!これは良い機会でございもす」



大久保は再び大原重徳を登城させると板倉など老中と面会させる。



「いったいいつになったら回答が出るのじゃ?」

「前代未聞ゆへ暫くお待ちを・・・」

「まさか、勅命に従わぬでおじゃるか?」

「いえ、そのような事は・・・」

「勅命に従わぬとあれば・・・!」



その時、公卿の配下の振りをしている伊地知と吉井が抜刀して老中を威嚇する。幕府はついに、薩摩の威圧に屈する事になる。

翔ぶが如くのあらすじ第19話中巻「異人斬り」

「一橋慶喜に将軍後見職、松平慶永を政事総裁職に任じる」



一橋慶喜と松平慶永は久光とも面会する。久光は部屋の端で頭を下げて二人を待っていた。しかし、二人は決して久光を歓迎している訳ではない。



「まずは部屋の奥へ!」

「某は陪臣でございもす。将軍家御家門御家族より上席に着くなどもっての他」

「・・・もっともである!」

「はは!」



久光は二人の将軍後見職、政事総裁職への就任を祝い、自身も公武調和のために働くつもりであると挨拶をする。すると、一橋慶喜が西郷の名を口にする。



「西郷がおらぬは残念!おれば叱ったものを・・・!」

「西郷は一橋様にもご無礼を働いておりもしたか?」



久光は我が意を得たりとといった表情で尋ねるが、慶喜は「天下のため」と言う。



「かの者、斉彬公の薫陶を受けておりながら!!」

「閣老をつけ狙いただ、力で押す薩摩の悪評を未然に防げなかった事!」

「これ、即ち日本国の土台を揺るがす大罪である!!」

「まあ・・・あの男は斉彬公でなければ手綱は捌けぬと言っておられたが・・・」



これは、久光に対する慶喜の「強烈な皮肉」である。久光は怒りを必死に堪える以外になかった。




薩摩兵は京都へ向けて引き返す事になる。




この頃、横浜は「外国人居留地」となっていた。そこに住んでいる異人は数百人ではあるが、異人街の様相を呈し、さらにその先の地域まで出かけるようになっていた。



「生麦」



東海道の一部である生麦付近まで、異人たちは遠乗りを楽しむようになっていたのだ。久光の行列の前方に異人が馬で現れ、行列を止めてしまう。



「・・・何事じゃ??」

「はは!行列の前方に馬に乗った異人がいるようで・・・」

「・・・斬れ」

「はは!」



有村俊斎は走っていく。大久保も驚き止めようと有村俊斎を追いかけるが・・・!



「OH! NO!!!!」

「武士の情けじゃ・・・!」



哀れ、異人は斬られてしまった。異人の力を知る大久保と小松は茫然とする。



「・・・えらい事になりもした・・・」

「小松さぁ!あとはおいがなんとかしもす!」

「大久保どん!」

「行列は出来るだけ、先に行くようお願いしもす!」



大久保はこの辺りの宿場を仕切る幕府の役人に事の次第を知らせる。要点は以下の通り。



  • 薩摩の脱藩浪士が異人を斬った
  • 大名行列横切りは斬り捨て御免が国法
  • 異人は勿論、知らぬだろうがそこを管理するのは幕府の役目!


勿論、下っ端の下級役人に対応できるものではなかった。すぐさま、幕府中枢にも「生麦事件」の情報が知らされる。




行列に追いついた大久保は、横浜へ異人襲撃に出張ろうという有村俊斎に、宿舎を死守する事こそが「忠義」と言い含めなんとか出撃を止めると、久光の様子を小松帯刀に尋ねる。



「・・・寝ておりもす。熟睡でございもす・・・」

「・・・寝ている?これ程の事件を起こして??」



大久保は薩摩の、いや日本国の将来を想い暗澹たる気分になる。

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翔ぶが如くのあらすじ第19話下巻「腐る」

京に戻った大久保は、江戸へ出府している間に京都政界の雰囲気が全く様変わりしている事に驚く。そして、久光は朝廷の定見のなさ、そして長州のやり方に怒りをぶつける。



「おのれ長州め!」



京都では「公武調和」ではなく過激な「尊王攘夷」が主流となっていた。そして、尊王攘夷を掲げる長州の浪士達は「天誅」と称して度々意に沿わぬ者を襲撃するなど、やりたい放題である。




大久保は「政治の変化」で処分され隠遁生活を余儀なくされている岩倉を訪ねた。岩倉は「攘夷派」の襲撃を警戒し、自身の所領である岩倉村の寂れた庵で隠遁生活を送っていた。




岩倉によれば、長州は「銭」を撒き公家を手なずけると公武調和派などは「朝敵」であると糾弾した。特に、和宮降嫁に尽力をした岩倉などは最もやり玉にあがる。




岩倉はこれは全て「薩摩の真似をした」と言う事であると言う。



「何故でございもす?」

「あんさん達が成功したのは、幕府の土台が既に腐っていたから」



時代の流れが早い。
世が世なら自分(岩倉)と大久保が膝を突合せ話すなどあり得ない。そして、今はただの浪士が御上を担いで攘夷を叫んでいる。



「腕の立つ者を護衛につけましょう」

「危ない危ない・・・御気持ちだけで結構」



岩倉は今薩摩と繋がっているとなれば余計に狙われると言う。大久保はそれを聞くと、おもむろに岩倉に近づいて頬を軽くはたく。岩倉もまた、軽くはたき返していた。



「・・・蚊が止まっておりもした・・・」



大久保は上京の目的は果たせたので、取り急ぎ薩摩へ戻り出直してくるという。




その頃、西郷は徳之島で愛加那、そして菊次郎と生まれたばかりの菊草と短い再会の後沖永良部島へと流されていた。小さな「座敷牢」に入れられ風雨にさらされる西郷は、君命が「死ね」という事であればそれに従うつもりであった。

翔ぶが如くの感想19話「異人斬り 生麦事件」

翔ぶが如くの感想第19話です。大久保、八面六臂の大活躍です。出来の悪い、いや、世間知らずの若社長(三郎君)、出来の悪い精神論だけの部下(俊斎)、そして多少話は分かるが、視野はまだ狭い同僚(大山)。でも、そんなときに「同士」がいるとね。心強い。小松帯刀君。飛ぶが如くの感想19話「異人斬り 生麦事件」はじめます。

翔ぶが如くの感想19話「泣きたい」

江戸へ入った薩軍一向。早速勅使は江戸城へ入りますが、無位無官、しかも藩主でもない久光は江戸城へ登城すら出来ない。



「藩主就任の件、大奥に働きかけよ」



この言葉を聞いた時の大久保と小松の顔ww



「お前はいったいったい何を言ってるんだ?」



二人はそう突込みたかったはず。でも、久光の御性格を知っている大久保と小松です。無駄とは分かっていても、恥晒しとは分かっていても、幾島の元へ行きます。




この辺り、宮仕えは今も昔も変わらないんですね・・・。私もね。ここまで「恥晒し」で「厚かましい」願いではなくても似たような経験はあります。




もうただ、平身低頭・・・。今まで培ってきた信頼が砂の城のように消えていく感じ・・・。




三郎君の御守はまだまだ。




生麦事件でイギリス人を斬り殺してしまいます。




まあ、斬り殺した件については、当時の異人さんの中にも「斬られたイギリス人」に批判的な意見もあるんですよね。日本で大名行列を邪魔しちゃいけないのは常識中の常識。あのイギリス人はそんな常識もないのかと・・・。




まあ、それはさておき。




それでも、所詮日本(と、いうか自分達以外)は「未開人」とか思い上がっている連中です。余談ですけど、20世紀後半「エコノミックアニマル」と日本人は揶揄されましたが、君たちは「エコノミックモンスター」だよ!って言ってやりたいですね。所詮、「戦争」がお上手なだけ随分とデカい顔をされてね。




これをきっかけに「戦争」になるかもしれない。




それ程の大事(実際、戦争になったし)なのに三郎君。



「熟睡」



この時、コイツはアカンとと思ったんじゃないかな・・・。




大久保さんのご苦労は上司だけではありません。




馬鹿な部下にも振り回される。




有村俊斎。




でも、大久保さん、もはや「馬鹿」の扱い方を心得ています。



「俊斎の言う事はもっとも!じゃっとん・・・」



馬鹿の言う事を「論理で否定」しない。



Yes!or But・・・


の法則。




なんとか、俊斎の「突出」を押しとどめます。で、流石なのはそれでも「深夜徘徊」で不穏な動きを見せる俊斎の行動を利用する事ですね。これは結果論です。




こういった事は現在の宮仕えでも多々ある。馬鹿のあり得ない行動をなんとか、打開策に持っていく。これが出来ている間は、なんとかバランスが保たれるんですけど。




・・・頑張れ!大久保!!!

翔ぶが如くの感想19話「三郎君」

三郎君は前述の通り酷いですねぇ・・・。いやぁ!実に酷い・・・!




以前、吉之助が言ってた通り。三郎君は所詮、ただの三郎君。




松平春嶽や一橋慶喜に面会した時の様子が如実に物語っています。



「コイツいったいなんだ?」



それを「薩摩言葉まる出し」で話す三郎君と訝しい眼で見る松平春嶽という構図で見事に演出してます。そして、恥をしのんでいる大久保・・・。




でも、世間知らずの坊ちゃん社長にはありがちです。キャラが立ち過ぎて誰も何も言えない。




そこで、バシッと皮肉をかます一橋慶喜様流石。



「西郷がいたら叱ってやろうと思った」

「あの男は一橋様にもご無礼を(ウキウキ)」



三郎君の嬉しそうな事・・・!




上げといて落とすやり方ですね。
まぁ、御性格の悪い事・・・!




でも、この発言で吉之助はさらに奥に流される事になるんですけどね・・・!




一橋慶喜の発言で私も溜飲下がりましたが、下らない皮肉を言って勝ち誇るような「器」では日本国の棟梁は難しいかな・・・




今も昔も「人格者」が求められているんだと思う。




西郷吉之助。




21世紀の西郷吉之助は何処におられる・・・?




以上、翔ぶが如くのあらすじと感想第19話「異人斬り 生麦事件」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

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