武田信玄第46話のあらすじです。第六感、あるは虫の知らせ、テレパシー。我々うかがい知れぬ不思議な力。果たして存在するのであろうか?かつて人は自然の声を聞き、魂の叫びを聞く事が出来た。現代人が洪水のように押し寄せる情報を目と耳で理解するように研ぎ澄まされた心で、より豊かに何かを感じ取っていた。人は口で語るより遥かに多くの事を心で語りあって来たのである。
(信玄の次男竜宝は幼い時から助けを求める声を聞く事が出来た)

武田信玄第46話上巻~竜宝~

晴信は悪夢に魘されております。同じ頃、晴信の次男竜宝は晴信の声を感じ、躑躅ヶ崎へと向かいます。夢とは申せ、我が子晴信の最期を見るのはなんとも忍び難いものがございます。



「竜宝が参る・・・」



晴信は目を覚ますと呟きます。枕元にいた里美殿、恵理殿はこの時間(朝4時)という事もあり、怪訝な表情ですが・・・。

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→武田信玄の感想第46話「最後の出陣」

西へ行ってはなりませぬ

「申し上げます。竜宝様が参っておりますが‥」

「通せ・・・」

「お呼びにございますでしょうか」



恵理殿は晴信が竜宝を何時呼んだのか訝ります。



「ま、まさか、竜宝様のお姿をした死神では・・・!?」

「・・・不吉な事を申す出ない・・・」



晴信は竜宝と二人で話をします。



「父上・・・西へ行ってはなりませぬ・・・」

「都に光、こざいませぬ」

「これは北の方様からの御言葉でもあると思召し下さい」



「‥・懐かしい言葉であるな・・・」

「正直に申す。儂はもう長くはない・・・」



晴信は竜宝に自分はもう長くは生きられないであろうこと、そして、都に光がないことも知っているとも言います。また、義信が死の直前に光輝く庭を見て自分の求めていたものがただの光であった事が分かったと言い残した事を思い出すとも。




しかし、それでも西へと向かうのはそれが自分の運命(さだめ)であるからだと。



「西に光はない、されど西に向かわねばならない」

「・・・それ程までに天下をお望みなのですが・・・」

「この期に及んで儂に夢などない」

「では何故??」

「わが運命(さだめ)を生きるのみ」



将軍家を始め都人が晴信の軍勢の上洛を待っている。新たなる光は東より出ることを都人に示さなければならない。



「・・・全うで出来るように祈ってくれ」

「・・・はい・・・!」

八千年の春・八千年の秋

「早く上洛せよと将軍家から矢の催促じゃ」

「しかし、兄上のあの病は‥・」



「暫し川浦の湯で養生を頂き回復を待ちましょう」

「お館様あっての我が軍勢にござる!」



馬場殿と信廉は晴信の体調を心配します。晴信は上洛の準備は重臣達に任せる事にして暫くは川浦の湯にて養生を致す事になりましてございます。1人湯に浸かり静かに眼と閉じれば、上洛などうっとおしく思われ、このまま湯の底に沈んてしまいたい想いに捉われたのでございます。




そんなある日、勝頼が嫡男信勝を連れて見舞いにやって来ます。



「幼き命を見れば、また力も沸いてくるというものじゃ」

「本日は信勝に一つ昔話を説いてしんぜよう」



晴信は荘子の話をします。



昔、昔のその昔、唐の国に大きな椿の木があったそうな。
その大きなこと天に至る程でござった。


その椿の大木は八千年をもって春とし、その間、
花咲かせ、葉生い繁げらせ、元気よく育ったそうじゃ。


そして、次の八千年をもって秋となし、その間葉散らせ、
実落とし続け、また次に来る八千年の春にそなえたそうじゃ。


その木の下に春盛りの頃一人の若武者が立ったそうな。
その若武者は椿の木を見上げて、その大きさに感心いたし、
思わず、椿の木に語りかけたそうじゃ。


「この世で一番大きな椿よ。
わしもこれから都に出て、いつの日か、
そなたの如くこの世で一番の偉い人物になってみせる」



それから数十年がたち、その若武者は望が通りこの世で一番の国主となった。
そして、再び椿の木の下に戻ったそうじゃ。
この世で一番の国主になった男は、また、椿の木に語りかけたそうな。


「この世で一番の椿よ。わしを見よ。
約束通り、このわしはこの世で一番の国主となった。
されど、そなたは老いさらばえ、春盛りの今日の日に、
葉散らせ、実落とし続けておるではないか。
そなたの命は幾許も無く、もはやわが国の栄華見ることできまい。
残念なことじゃ」



男はそう申して去ったそうじゃ。
それからまもなく、男の国は滅び、
男もこの世を去ったそうな。


男は椿の木が八千年の秋を生きてることを、
露ほども知らなかったというお話じゃ。



「どうじゃ、分かったかな?」

「はい」

「そうか、信勝は利発じゃの」



「人の生きる五十年は短い」

「されど、八千年の秋あること思えば」

「なにほども思いわずらうことあるまい」

「天のみぞ知るじゃ」

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武田信玄第46話中巻~友(強敵)との別れ~

「兄上、上杉謙信西上野に現れました」

「そうか・・・」

「北条殿からも出陣の要請が来ております」

「行かずばなるまい」



川浦の湯へ信廉がやって来ております。そして、上杉勢の動きを報告するのでございます。



「西上野へは私が出陣致します」

「そうも行くまい」



晴信は此度の「甲相同盟」は氏康殿の遺言によるものであり、もし、自分が出陣をしなければあの世で氏康殿が嘆くと。




信廉は、上杉殿が北条殿の裏切りを怒りその怒りを我が軍勢にぶつけて来る事を懸念します。



「あの男は儂とは戦わぬ」

「儂もあの男と戦う気などない」

「お互いによう知りあった仲じゃ・・・」



信廉には晴信の言葉の意味がよくわからないようでございます。

西上野出陣

上杉謙信殿は自ら軍勢を率いて西上野に着陣を致します。まるで、旧友との再会を待ちわびているかの様子でございます。



「申し上げます!武田勢碓氷峠を越えてきます」

「武田信玄自ら参ったか?」

「はい!軍勢の先頭におります」

「病を押して来たか!中々律儀な男じゃ・・・」



晴信は謙信殿と出会いたかったのでございます。もはやあの川中島の出来事は遠い昔の想い出にて、昔の幼馴染を訪れるような想いでございました。




謙信殿もまた川中島の血戦を懐かしみ、永禄四年(1561年)の戦いに参加していない若手武将達に川中島の話をしております。



「其の方達は誠の血戦という物を知らぬ」

「永禄4年の川中島の戦いは正にその血戦というものじゃった」

「・・・もはやあのような血戦はない」

「血戦とは天の思召しによる戦を申す」



謙信殿は敵も味方も剣に神宿るを信じ、鬨の声は天に通じるようであったと語ります。そして、霧が晴れて川中島に光が差し込んだ時皆、天が己に味方をしたと思ったと。



「儂は敵本陣に突入し武田信玄と二太刀三太刀斬り結んだ」



謙信殿は今にして思えば不思議だと言います。あの血戦の最中敵が消えて信玄の元まで一本の道が出来たようだと。



「天の思し召しであろう」

「儂と信玄はそのようにして出会ったのじゃ」

「今もあの男は儂に会いに碓氷峠を越えたのじゃ」



※ざっくり陣立て(クリックで拡大)



※関連記事:→武田信玄第27話「川中島の血戦(一)」
※関連記事:→武田信玄第28話「川中島の血戦(二)」


謙信殿は西上野石倉城を攻め落とし、我が子晴信と利根川を挟んで対陣致したのでございます。

最期の別れ

「最期の別れに参った」



「京へ上るか」

「都は遠いぞ」



「長き旅になること承知しておる」

「最早、我らに川中島はない」

「都へ向かって吹きすさぶ荒き風あるのみ」



「剣に神宿る姿、都人に今一度見せよ」



「其方との出会いはそれなりに楽しき日々であった」

「礼を申す・・・」

「さらばじゃ」



信長の焦り

「信玄が西上野に出陣しておる!」



信長殿は岐阜城で柴田勝家殿、そして晴信とは縁浅からぬ梁田政綱殿など重臣達と晴信の動きを警戒しております。



「信玄が病というのは偽りか!」

「影武者という可能性もありますが・・・」



梁田政綱殿は自分の手の者からの知らせでは確かに晴信の出陣があり、利根川を挟んで上杉殿と睨み合っていると報告します。



「・・・甲斐からは書状も来ておる・・・!」



晴信は信長殿には北条殿との盟約が復活したこと、一方で、信長殿に対してはなんら他意があるものではないと書状を送っております。そして、徳川家康殿のいう事を信じてはならぬと。



「家康の言葉を信じるなら武田勢は甲斐を発しておる」

「いずれにしても浅井朝倉を早く滅ぼさねば・・・」

「その前に信玄動けば・・・苦しき戦になる」



信長殿は梁田政綱殿には甲斐へ手の者を差し向けそ甲斐の軍勢の動きを逐一監視すること、そして、柴田勝家殿には浅井殿の居城小谷城攻略の準備を命じます。



「浅井め‥・我が妹お市を嫁がせたのに裏切るとはがまんならん」

「小谷城を丸焼きにしてくれる・・・!」

武田信玄第46話下巻~最後の出陣~

元亀3年(1572年)夏。我が信廉を筆頭に武田の重臣達が躑躅ヶ崎に集まっております。



「8月中の出陣は無理じゃ・・・」

「お館様のお身体、悪いのでございますか?」

「兄上は大丈夫と言うが、三宿が今少しと止めている」



信長殿は浅井殿の居城小谷城を包囲して城下に火を放っております。信廉は浅井朝倉殿が甲斐の軍勢が動くまで持ちこたえてくれるか不安を感じます。



「出陣の日取りをきめよう」



勝頼はまず、出陣の日取りを決めれば浅井朝倉の気力も上がるであろうと提案します。また、山縣殿は日取りが決まればそれを動かさず、自分が先発隊として出陣し晴信にはギリギリまで養生をしてもらえば良いのではと発言。阿部殿も賛意を示します。



「兄上の病、これ以上重くならねば良いが」

晴信は未だ川浦の湯にて養生をしております。そこには真田幸隆殿が見舞いに参っておりました。二人は久しぶりに碁を囲んでおります。






「真田、少々気短になったの」

「歳を取ったと仰せでございますか?」

「暫く手合わせぬ間に少々忙しい碁になってはおらぬか?」

「・・・落ち着きませぬ・・・」



真田殿は此度の戦では留守居役を任されております。留守居では吉報を待つ以外に仕事がない。今からでも、上洛軍に加えて欲しいとも言います。



「留守居は高坂殿に任せて‥・!」



しかし、晴信は首を縦には振りません。



「留守居はその方にしか出来ぬ」

「仮に儂が死んでも家臣領民は残る、敵も残る」

「その時、そなたの英知が頼りじゃ」

「今少し、その方と碁を囲めば良かった」

「教えられる事多々あったであろうに・・・」



真田殿は何か言いたげでしたが、そこへ里美殿と恵理殿がやって来ます。



「お館様・・・碁など囲むはお身体に障ります」

「さあ、ご寝所へ・・・」



晴信は苛立ちます。



「今は勝負の最中じゃ!控えよ・・・」

「真田には大事な話もあるのじゃ」



「ではお床の中でお話しください」



「喧しい!!!」



里美殿は病が快方へと向かわなければ出陣も出来ないと説得をします。重苦しい沈黙・・・。



「真田・・・続きはまた今度に致そう・・・」

「はは!必ずや・・・!またの機会に・・・!」

出陣

夏が終わり秋が深まる頃我が子晴信は躑躅ヶ崎へと戻りましてございます。もはや出陣の日取りを遅らせる事は出来なかったのでございます。




裏方では浅黄・若狭と最期の別れをします。二人は三条殿の事などを都人にお伝えするためいよいよ都へと戻ります。




そして、里美殿・恵理殿とも別れの盃を交わします。



「吉報を待て」



「天下はお館様の掌中にございます」

「お戻りになる日を心よりお待ち申し上げております」



そして、出陣の日が参りました。竜宝も晴信の元へと参っておりました。



「竜宝!」

「父上・・・!竜宝力の限り祈ります」

「うむ・・・!」



そして。
御旗楯無を前に晴信は宣言します。



「新羅三郎義光公より今日に至るまで」

「我が武田の軍勢始めて京の都を目指す!」

「この上洛は正義のため将軍家にお力を貸すものでござる」

「我が軍勢、天に誓って正義の力示す」




「御旗楯無御照覧あれ!」




元亀3年10月3日。
我が子晴信は2万5千の軍勢を率いて京の都を目指したのでございます。




その晴信を三河の徳川家康殿が待ち受けておりました。




その徳川殿の後ろには織田信長殿が控えていたのでございます。




どうか、我が子晴信をお守り下さいませ。




では、今宵は此処までに致しとうございます。

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