武田信玄第45話のあらすじです。武田信玄を企業の経営者に例えてみよう。信玄が残したと言われる言葉は不思議な程現代的である。「諸侍を思ふ事、人の只喉の乾くに、飲み物を好む如くに存ずる事肝要なり」曰く、経営者たるもの、喉の渇きをひたすら癒すかのように広く人材を求めなければならない。「我が人を使うは人をば使わず、その業(わざ)を使うなり」これは正に経営者たる者、従業員の能力、適性を正しく見極めなければならないという教えである。

上駻の中の駻こそ、大将の乗る駻と知れや武士(もののふ)」上駻とは荒馬、それを乗りこなすのが真の武将。つまり、癖のある人材を活かしてこそ本当の経営者なのだ。「およそ士たる者百人の内九十九人に誉めらるは善き者にあらず。軽薄者か才覚者盗人かか矮人か」100人のうち99人に褒められるような人物は偽者だとこの言葉の中で言いきっている。そして今、いわば「武田株式会社」の社運を賭けた一大プロジェクトが始まろうとしている。

武田信玄第45話上巻~軍議~

「軍議を始める!信廉、進めよ」

「はは!」



信廉は此度の上洛が将軍足利義昭公の命に基づくものであり、私利私欲からのものではないこと、そして、上洛の暁には我が武田家にとってこの上ない栄誉である旨を宣言します。




元亀2年(1571年)10月。
晴信は主だった重臣を全て集め、いよいよ上洛の準備へと動いたのでございます。

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見積

「まずは、陣馬奉行!」

「はは」



陣馬奉行原晶俊殿は甲斐の軍勢の見積を報告します。甲斐信濃衆併せておよそ2万、西上野衆2千、飛騨衆1千、駿河衆2千、合計2万5千が上洛軍の総力。ただ、3万の軍勢は準備をしたく、各城代になんとか都合をつけるように頼んでいるところであると言います。




続いて、勘定奉行。




兵3万、馬6千の準備で都までの工程を半年としての見積を報告します。




まず、兵の兵糧。最初の一月分の兵糧は兵が準備するので残り5ヶ月分とすると2万6千石の兵糧が必要となる。馬の分の食糧が2千石と併せ合計2万8千石の兵糧が必要である。




さらに、これらの兵糧を運ぶだけでも荷駄が4千程必要。勿論、兵糧以外にも運ぶものは多々ある訳で諸々5千の荷駄が必要と見積もる。荷駄が5千なら、馬が追加で5千頭必要であり、荷駄1台に人賦が2人とするとさらに1万人が加わる。



「人数は兵と人賦併せ4万人」

「馬は騎馬6千に荷駄5千の1万1千頭」



加えて、太刀・弓等の武具の予備・新たに鉄砲を3百丁の購入。



「以上、全て我が邦で準備するとすると・・・」

「上洛の費用は10万貫~12万貫必要」



また、勘定奉行は以上の見積は一番安く見積もった金額であり、実際はは15万貫程度は覚悟をしなければならないと報告。



「15万貫・・・」

「はは!恐れ入ったものじゃ‥・」



途方もない見積に幸隆殿が嘆息します。信廉は現在の金の蓄えは如何程なのかを問います。



「金の蓄えはどれ程あるのじゃ?」



勘定奉行はこの場で金の蓄えを詳らかにする事は出来ないと断った上で、昨年から今年にかけて戦が度重なった結果蓄えはあまり多くはないと報告。
さらに。



「もし、その蓄えまで使い果たせば我が国滅びます」



重苦しい沈黙。



「勘定奉行!こちら準備出来るのは如何程なのじゃ?」

「合計7万貫」



税1万貫、勘定方から3万貫、その他から3万貫と答えます。勘定奉行が見積もった上洛に必要な費用は最低でも12万貫。それにまったく足りない見積に信廉はいったいどういう事か詰め寄ります。



「其の方の必要と申す額に足りぬではないか!」

「はは、恐れ入りましてございます」



対して恐れ入ってもいない雰囲気の勘定奉行は答えます。そもそも、自分に与えられた役目は見積を出す事で上洛手段を考える役目は与えられていない。この言葉に馬場殿は激怒。



「何を申すか!!」

「勘定奉行である前に武田家臣である事を忘れたか!」



「某、武田家臣である事を忘れて事はございません」

「なので、ご用意できる額を正直に申し上げている」



「そちの見積では駿河までも行けぬではないか!」

「都に立ちたくはないのか!!」



「某も如何なる手段用いても都へは立ちとうございます!」

「が、ない袖は振れませぬ!」



二人の激論に真田殿が割って入ります。



「もうよい。後は我らで考える」

「真田!戯言言っている場合ではないぞ!」

「誰が戯言を申しておる!」

「7万貫でどうやって上洛するのじゃ!」

「馬場殿、そういきり立たれぬな・・・」



真田殿は7万貫で準備出来るだけ準備を行った後は、兵糧も人賦も馬も現地で調達すれば良いと説きます。これには高坂殿も賛意を示します。




山縣殿は、荷駄を引くために新たに1万人も動員するのは返って戦の邪魔になるので、自分達で引いて行けばよいと提案。さらに、駿河海賊衆に荷駄運搬を任せても良いのではと話す。



「その手はあるな・・・」



信廉はさっそく陣馬奉行の原殿に海賊衆で運搬可能な荷駄を調査するように命じまた、勘定奉行には見積の再検討を命じる。



「しかし‥・せめて見積の七分程度は必要では?」



議論を踏まえて勝頼が意見するが・・・



「ゴホ、コホ・・・」



晴信が軽く咳き込む。



「続けよ」

「・・・はあ・・・」



勝頼は続けます。自分は信濃の産まれでありもう少し集められぬか領内を回ってみると言います。



「誠に有難き事なれど税の事はこの勘定奉行にお任せを」

「しかし、上洛に日もなく少しでも集められた方が良いではないか?」

「それでは私の勘定奉行と面目が立ちませぬ」



真田殿が呆れたように一言。



「集められぬのであれあば面目も何もないではないか」

「それは違うぞ真田、勘定奉行には勘定奉行の責務がある」



それはたとえ勝頼でも変える事は出来ないと言います。これには勝頼傅役の阿部勝宝殿が反論。馬場殿と激論になります。



「今は家臣1人の面目潰れても偲ばねばなりますまい」



「面目の話ではない、武田家の秩序を申しておる」



「勝頼様動けば秩序が乱れると申しますか!?」



「言葉を慎まれよ!」

「我が馬場家は代々武田家に仕え儂は40年仕えておる!」

「1年前に武田家家臣となった其方に武田家の秩序を問われるいわれはない!」



「日浅くとも忠義の心は誰にも負けませぬぞ!」



「日浅ければ分からぬ事もまた多い!!」



「水古く成れば澱み生ずるとも申します!」



晴信が割って入ります。


「勝頼・・・その事は後程勘定奉行と相談致せ」

「馬場、上洛の最難関は織田信長じゃ・・・」

「今は千貫でも2千貫でも欲しい・・・勝頼に任せよう」



「はは!」



そこへ、その信長殿の使者が献上品を以て参ったと報告があがります。

布石

軍議は見積の話から対織田殿の話となります。晴信は今迄打ってきた布石を話します。


「今や、織田信長の力侮り難いものがある」

「その力は6万とも7万とも言われる一方、わが軍は3万じゃ」

「そこで、今迄多くの手を打ってきた」



まず、越前朝倉、近江浅井に武田勢上洛の折には共に出陣する事を約束。そして、本願寺顕如殿とも約し、一向宗門徒とも時を同じくして動く手筈を整えてある。


「さすれば、兵力は7万を超える」

「この戦、気力のある方が勝ちじゃ」



そこへ、今度は北条殿の使者がやって来ます。使者としてやって来たのは松田康郷殿でございました。


「北条氏康様、昨日逝去されました」

「そうであったか・・・」






「お館様の御言葉を氏康様へおつたしたところ殊の外お喜びでございます」

「また、氏政様の事良しなにとの事でございます・・・」



「うむ・・・和睦について氏政殿はなんと?」

「はは、亡き氏康様の命に従うと仰せでございます」

「和睦致すという事じゃな」



「某、本日まかり越しましたのは氏康様逝去をお伝えし・・・」

「和睦の義、整える事でございます」



ここに、正式に甲相同盟が復活し、そして相越同盟は氏康殿の死を以て終わる事に相成りました。




上杉殿の元へも氏康殿の死、そして盟約が手切れとなった事が伝えられます。上杉殿の元には北条氏康殿の七男が「上杉景虎」殿として養子となっておりました。






「景虎、其の方の父氏康殿が亡くなられた」

「今宵はこの謙信自ら経文を唱え氏康殿の御霊をお慰めしたいと思う」



「有難き事におございます」



「この不幸に加え、もう一つ言わねばならぬ事ある」



謙信殿は相越の盟約が切れた事を伝えます。自分は如何なる事になりのかを尋ねる景虎殿に対し、謙信殿は盟約が終わっても景虎殿は上杉の者であると言います。ただ、もし望むのであれば相模へ帰っても構わないと言いいます。




しかし、景虎殿は・・・。




「相模へは戻りたくはございません!」

「越後に生き、越後に死にます!」



「よう申した・・・」

「これからは其の方を誠の嫡男と思うぞ」

「血繋がりて憎み合う親子もあるが」

「血繋がらずとも心繋がりて共に生きる親子であればこれこそ誠の親子」



謙信殿は景虎殿を「実の息子」としたことで、迷いが消えていくことを感じておりました。毘沙門堂に籠りその旨を毘沙門天に申し上げるのでございまいます。

武田信玄第45話中巻~信長の懸念~

信長殿は浅井・朝倉殿との戦いで敵対した比叡山を焼き討ちと致しました。信長殿としては「生臭坊主」を始末した位のつもりかもしれませぬが、この事はお味方内にも波紋を広げていたようでございます。

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濃姫姫の怯え

信長殿は嫡男奇妙丸殿の元服式の後、濃姫殿のお部屋と入ってきます。



「奇妙丸様の元服の御式、無事終わられましたか・・・?」



信長殿は濃姫殿に膝枕を頼むとねっころがります。



「どうした?膝が動いていておるぞ」

「申し訳ございません」

「どうした?震えておるのは?何を恐れている??」

「別に・・・何も・・・」



信長殿は起き上がると濃姫殿殿を見据えて尋ねます。



「いったいどうしたのじゃ?儂を恐れているようじゃな?」

「いいえ・・・」

「比叡山に戻ってからそちの様子がおかいしいと思っていた。正直に申せ」

「怖ろしき事にございます」

「比叡山を焼き討ちにしたことか?」

「仏に仕えるお坊様殺めれば罰があたります」

「あの者達は酒色に溺れる夜盗、儂が天に代わり成敗した」

「地獄に落ちます」

「ふふ!地獄などあろうものか」



信長殿は地獄などは絵空事であり来世などはないと喝破します。あるのは人の生き死にだけであると。



「其の方との約束果たしたぞ、さあ機嫌を直せ」

「僧の首等何全何万殺めようとも大した事はない」

「後は浅井朝倉滅ぼし一向宗を滅ぼせば天下は儂のもの」

「・・・その前に、武田信玄動かねば良いが・・・」

迫る暗雲

岐阜城に戻った信長殿は側近の梁田政綱殿から報告を受けます。


「何!?信玄に動く気配ありだと?」

「北条氏政、越後と手を切り甲斐と結んだよし」

「では、徳川と北条の盟約は?」

「北条武田盟約となれば徳川との盟約切れます」

「・・・上杉と家康の盟約がある。上杉に信濃を攻めさせる」

「それは難しいかもしれませぬ・・・」

「一向宗か・・・」

「はい、越中一向宗にかかりきで上杉動けませぬ」

「顕如・・・伊勢長島といい我慢ならぬ・・・!」

「その顕如、信玄の動きと関りがありそうでございます」



信長殿は浅井朝倉、さらには将軍家にも手を回されていれば、囲まれる可能性がある事に珍しく焦りの色を見せるのでございます。

武田信玄第45話下巻~京への道~

晴信は見積の議論に続き、実際に上洛をする行程についての議論を始めます。甲斐から都への道はいくつか可能性が考えられますが、どの道を使うのか。軍議は途中、松田殿との面会を挟み、夜となっております。

東の壁

「道筋の話から始める。意見ある者申せ!」



晴信の号令にまず勝頼が発言します。




勝頼は正々堂々正面からの攻撃を具申。木曽川を下り、掛川城を攻めて一気に徳川を叩く。それに対して馬場殿は異を唱えます。




掛川の次は難攻不落と言われる高天神城、さらには浜松城もある。上洛まで時間は半年しかない以上、松本から木曽谷を通り美濃へと攻め込み信長本拠を襲う事を具申。




勝頼は美濃へ攻め込んだら背後を徳川に突かれると懸念しますが、真田殿が軍勢を二手に分ける事を提案。二手に別ければ武田の軍勢の恐ろしさが半減するが、ただ信長は慌てる・・・。




高坂殿はまず徳川を潰す事が上洛成功への近道と具申。信廉も同調し天竜川沿いを下り一気に浜松城を落し、掛川・高天神は無視すると。




勝頼は後方に残った掛川・高天神の城兵に背後を突かれる懸念があると言いますが、3万の軍勢を見れば、掛川・高天神の城兵が打って出る事はないと言います。




ここでまた、馬場殿と阿部殿が激論を戦わせます。



「それは敵を侮り過ぎでは?」

「そのような細かい事気にしていては戦は出来ぬ!」

「老婆心にございます」

「老婆心とはなんじゃ!その方この馬場に指図するか!?」

「これは異なこと!軍議とは意見を戦わす場でございます!」

「武田家の軍議に弱音を吐く者などおらぬわ!」

「誰が弱音を吐いた!!!」



晴信が二人を制します。



「二人ともやめよ・・・どうしたのじゃ?」

「二人とも良い年をして何をいきり立っておる?」



真田殿が場を和ませるためか一言。



「歳を取る程いきり立つのが人の世の常」

「二人とももう歳でございます」



議論が続きます。




陣馬奉行の原晶俊は我が軍勢の狙いを秘すためにも、まず北の諏訪へと向かい、杖突峠を越えて高遠に入り天竜川を下って三河に攻め入る。もし、二手に軍勢を分けるとしても高遠で分かれれば敵の目に映り難い。




ここで山縣殿が続きます。軍勢を分ければ敵は狙いが分からなくなる。時を同じくして、美濃・三河・遠江に攻め込むのはどうかと。



「東に軍勢の壁を作り押し出せば、越前・近江の西の壁に信長を挟める」

「東の壁とは良い!じゃが、西の壁弱く無ければ良いが・・・」



真田殿は西の壁の状況に懸念を漏らしますが、東の壁を押し出すのは良い案と賛意をしめします。




その時。



「ゴホ!!ゴホ!!ゴホゴホ!!」

「お館様!!!!」



晴信が発作を起こします。



「お館様をご寝所へお連れ申すのじゃ!!」

「馬場!!大声を出すな!!!」

「はは・・・申し訳ございませぬ・・・」



晴信は発作が収まると、軍議を続けるように命じます。



「病に負けて。戦に勝てるか!」

「悪しき血、我が体内より出でれば、病も消えたも同然じゃ」

「山縣申す如く、我が軍勢は東の壁じゃ!必ず都に立てる!」

悪夢

晴信は軍議が終わると寝所へと戻ります。枕元には医師の御宿監物、そして恵理殿と里美殿が・・・。恵理殿は既に泣いております。



「恵理・・・泣くのは早い!儂はまだ死なんぞ」

「はい!」



里美殿は恵理に慎むように言いますが、恵理殿は泣きながら、里美殿は女武者であり普通の女子の自分の気持ちは分からぬと言います。里美殿は医師の三宿殿を難詰します。



「三宿!其方は医者であろう?何故お館様を川浦の湯へお連れしない?」

「申し訳ございませぬ」

「里美・・・三宿に落ち度はなない」



晴信は自分の病は天から授かったもので大事にせねばならないとあると静かに語ります。




その夜、晴信は悪夢に魘されます。そして、かつて父である晴信の夢を見た事のない竜宝が初めて晴信の助けを求める声を聞いたように感じます。



「父上!西へ向かってはなりませぬ・・・!」



私の想いが竜宝を通じ我が子晴信に届いたのでしょうか。されど、晴信の決心を変える事は出来なかったのでございます。




では今宵は此処までに致しとうございます。

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