武田信玄第43話のあらすじです。山梨県韮崎市。甲府盆地の甲府盆地に位置するこの町は武田家と深く結びついて来た。甲斐源氏の祖、新羅三郎義光から数えて四代目信義が始めて武田の姓を名乗り、この地に館を構えたのである。以来時が流れ、武田家の中心は甲府に移るが、信玄の子勝頼が再びこの地に城(新府城)を築く事になったのである。

武田信玄と諏訪家の娘湖衣姫との間に生まれた勝頼。諏訪の姓を名乗り、信濃国に本拠を置いていた勝頼が、信玄にとって最も頼れる武将に成長したのである。嫡男(義信)、三男(信之)を亡くし次男(竜芳)は僧となった武田家。四男勝頼が武田家跡取りとして大きな光を放つようになったのである。

武田信玄第43話上巻~囲み囲まれる~

我が子晴信は三条の方を野辺の淵へ送りて後も休む間もなく駿河平定を急ぎましたが、ふと、我が身の病を身近に感じるようになりましてございます。果たして、京の都へ立つこと出来るものやら。その遠さを思うのでございました。

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浅黄と若狭

「浅黄、若狭。二人とも長きに渡りご苦労であったな」



三条殿に仕えて、京よりこの甲斐へやってきて三十有余年。今や、三条の方も、そして八重もおりません。二人は、この三十有余年は日が昇り、沈む間のように一瞬であったと言います。
そして。



「ただ、お方様のお姿がこのお館にないのが淋しゅうございます」



晴信は今後の身の振り方について尋ねます。



「恐れながら・・・二人で京の都へ戻ろうと思います」

「其の方達の望叶える・・・ゴホ、ゴホ・・・」



こうして、三条殿にゆかりのあったお方は皆裏方から去っていかれたのでございます。

囲碁

「北条と徳川の間に盟約が結ばれたらしい・・・」

「徳川は上杉輝虎にも使者を送っている」

「三方を囲まれた事になるのか・・・」



山県政景殿と信廉は三国同盟崩壊と駿河攻め以降、周辺諸国の動きに不安を覚えます。主殿には信廉と山県殿、原殿、そして晴信が集まっております。



「信廉様、我が武田と織田には盟約ございます」

「信長は将軍家を掌中に収め、天下を狙っているのだぞ?」



原殿は今回の件は徳川殿の独断の可能性もあると発言しますが、信廉は徳川の動きの背後に織田がいるのではと懸念しています。武田を三方から囲んでおけば織田殿は後顧の憂いが無くなる。



「そこじゃ」



三人の話を聞いていた晴信は、信長殿がこちらを囲もうとしていると考えています。織田殿は現在、越前朝倉義景殿、近江浅井長政殿などを敵としています。



「その上、本願寺顕如殿も一向宗に織田を討てと檄を飛ばしている」



晴信は、浅井朝倉、本願寺などと協力し、信長殿を逆に囲む策を立てます。そのために、まず徳川を攻める。



「戦は囲碁に似たり」

「囲んでいる方は囲まれる事に疎いものじゃ・・・」

二条城にて

織田信長殿の後ろ盾を得て将軍職に就いた足利義昭公ではございましたが、信長殿の思うがままに操られるのは少々お若かったかもしれませぬ。



「信長の命奪うのじゃ!」

「さもなくば、あの者は余の命狙うじゃろう」



側近の細川藤孝殿は考えすぎであると嗜めますが、諸国への下知は全て信長殿に相談するように釘を刺されるなど、我慢ならないようでございます。そこへ、織田信長殿がやって来たという知らせが入ります。



「御簾を降ろせ!」



信長殿と顔を会わせたくない義昭公は御簾を降ろさせると謁見の間の上座に座ります。時を置かず、織田信長殿がやって来ます。



「織田信長、只今参上いたしましてございます」

「上様の御機嫌をお伺いしたく、是非とも拝顔の栄を賜りとうございます」

「・・・御簾等無意味にござる。上げられよ」

「細川殿・・・上げるのじゃ」



細川殿は小姓に御簾を上げさせます。



「上様におかれましては御機嫌麗しく祝着至極にございます」



明かに不機嫌な義昭公の様子など素知らぬ風です。そして、浅井朝倉、伊勢長島一向一揆などを「上様のため」成敗すると言います。



「世は経文を唱える者と戦うのは好まぬ」

「・・・その経文唱える者が上様のお命狙われたら許されますか?」

「その者達と手を結んだ方がよいと申しておる!」

「上様・・・これらの戦は全て上様をお守りするための戦」



信長殿は意に介しませぬ。
そして。



「もし、お気に召さぬのであれば今すぐ二条城を退去頂いて構いませぬ」

「上様・・・どうぞ御機嫌をお直し下され」

「この織田信長、悪いようには致しませぬ」



信長殿は近いうちに日本全国全ての大名を義昭公の元へ跪かせると申すのでした。

武田信玄第43話中巻~信玄と輝虎~

「急な話ではあるが、近いうちに勝頼をこの館へ迎えようと思う」

「某にはなんの異存もございません」



晴信は信廉に勝頼を高遠城から躑躅ヶ崎へ移ってもらう事について、重臣達とも相談するように命じます。信廉は最近咳が目立つ晴信を心配そうに見つめるのでした。



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政治

「お館様もお淋しいのであろう。勝頼様をお招きすればお館様の気も晴れましょう」



真田殿はそう言いますが・・・。




馬場殿は、高遠城の勝頼がいきなり躑躅ヶ崎へと異動となれば晴信の健康不安や隠居説などが囁かれるのではと危惧します。



「我が甲斐の軍勢も大きくなりました!」

「信濃、西上野、そして駿河衆も我が軍勢」

「あらぬ噂など気にせずともよいと思います!」



高坂殿は自信ありげに言います。



「今、最も大事なのはお館様の御気持ち」

「病は気からとも申しますし、ここは勝頼様を気持ち良くお迎えしましょう」



と、山県殿。



「しかし、勝頼様は四男にて、筋から言えばお子の信勝様が跡取り」



原殿は世継ぎは信勝、そして後見として勝頼が躑躅ヶ崎へと入るべきと言います。真田殿はそれは建前であり、幼子の信勝が後を継ぐなどは現実的ではないと言いますが・・・



「勝頼様は諏訪人じゃ・・・」

「甲斐源氏を継ぐに相応しくないと考える者もおるという事じゃ」



信廉が原殿の懸念を補足します。



「面倒な事にございますな・・・」

「私は信濃人なのでこの件からは手を引き申す」

「どうぞよしなに・・・!」



話がまとまったところに、本願寺顕如殿からの使者が来たとの知らせが入ります。

本願寺からの使者

「皆元気そうじゃな!」



晴信は本願寺顕如殿の書状を携え集まっていた重臣達の元へやって来ます。そして、海津城に暮らす高坂殿に声をかけます。



「高坂!海津城の暮らしはどうじゃ?」

「はは!もはや我が故郷にございます!」



そこへ、真田殿がチャチャを入れます。



「お館様!高坂殿へのお気遣い無用にございます」

「高坂殿は見目麗しい美女を集め、海津城はもはや竜宮城にございます」

「なんの苦労もありませぬ」

「まあ、苦労と言えば、美男に生まれた苦労にございます」



真面目な高坂殿は晴信が本気にすると猛抗議をします。晴信、そして一同はその様子を見て笑います。



「今し方、本願寺より使者が参ったが将軍家より内証を携えていた」

「どうやら信長の振舞い目に余るようじゃ」

「早急な上洛を求めている」



一同は将軍家からの上洛要請に湧きたちます。そして、重臣達に次々とその準備を命じます。




原殿には越後国境と北条との国境に十分な兵を残した上で上洛軍を3万と仮定し、織田徳川との戦、そして半年間の行軍におおよそどれくらいの費用がかかるか考えるように命じます。




山県殿には今、信長殿と戦っている浅井朝倉両家と談合し、信長殿を包囲する手立てを打合せるように命じます。




馬場殿には徳川殿とどう戦うかを考えるように命じます。




高坂殿には自分の近くにいて、手足となって働くよう命じます。高坂殿は晴信の近くで働ける事を喜びます。




そして最後。




真田殿には留守中に国を守る役目を与えると言います。



「留守を託せるのは其方だけじゃ」



我が甲斐はいよいよ、上洛に向けて動き出しましてございます。

己の力、神の力

晴信はその夜、あの永禄四年の川中島血戦の夢を見ております。



「信繁!!・・・信繁・・・!!!」



そして、同じ頃。
上杉輝虎殿は酒を飲んでおりましたが何やら不思議な感覚を感じます。




気が付くと、晴信と輝虎殿は対話をしておりました。



「其方は天を信じ、毘沙門天に身を委ねておる」

「天の力頼めば、心安らかな日々であろう」



「天に身を委ねるは己を無にする厳しい戦いにて」

「其方の如く、自力信じられるは幸いじゃ」



「この乱世、己の力頼むしか生きる術なし」



「天に導かれてはじめて己あり」



「其方は天の声を聞きすぎておる」

「自力願わねば、他力また現れず」



「其方は己の声に惑わされておる」

「自力とは己の無力を知る事なり」



気が付くと、またお互いの姿は見えなくなっておりました。



「自力願わねば、他力現れず・・・か」



「自力とは己の無力知る事なり・・・か」



輝虎殿と晴信。




二人はお互いに相手が放った言葉を反芻し、噛み締めているようでございます。

武田信玄第43話下巻~八千年の春~

「お松様、お館様はその三弦の音色聞かれれば大いに喜ばれます」

「はい!」



織田信長殿の嫡男奇妙丸様と縁談が決まっているお松。まだ、幼子ではありますがこの日、晴信に三弦を披露します。

信長の行末

お松が披露した三弦は織田信長殿からの贈り物にてお松は殊の外大切にしています。



「私は早く奇妙丸様の元へ行きとうございます!」

「そうか・・・!それ程奇妙丸が恋しいか?」

「はい!」

「さすが、恵理の子じゃ!はっきりしているの!」



恵理殿としては、生来嫁に行く奇妙丸の父、織田信長殿の行末が気になります。



「織田信長殿の先行きは如何ですか?」

「儂には分からぬ」

「織田信長殿に光明ないとおっしゃいますか?」



里見殿が恵理殿を嗜めますが、恵理殿も反論します。



「殿方は自ら光明を創り出すものにて、最初から光明ある方等おりませぬ」

「されば、お館様の行く手に光明ないとおっしゃいますか?」

「お館様は別じゃ、既に光明をおつくりになられています」



二人のやり取りを聞いていた晴信は言います。



「そうとも言えぬ」

「何故にございますか?」

「人の命は明日おもしれぬと言うではないか?」

「・・・そのような事はございませぬ!」



晴信は穏やかな表情で三弦を奏でるお松を見つめております。

荘子

その夜。



「ゴホ!ゴホ!!」

「お館様!大丈夫でございますか!?」

「心配ない、煎じ薬を持って参れ・・・」



寝所で咳が止まらなかった晴信は近習に煎じ薬を持ってこさせます。一息つくと、目が覚めてしまった晴信は部屋を出ます。すると、先程の若い近習、真十郎が書物を前に居眠りをしております。




その書物は「荘子」でございました。
晴信は読みます。



上古に大椿なるものあり
以て八千歳を春と為し
八千歳を秋と為す



「八千歳を春と為し、八千歳を秋と為す」

「一春八千年、一秋八千年・・・」



真十郎が目を覚まします。



「お館様!申し訳ございません!!!」

「気にするな・・・学問が好きか?」

「はい・・・」

「表へ出よう。月が見たい・・・」



真十郎は外はかなり冷えると止めますが、
晴信は構わず、真十郎と外へ出ます。



「冬の月は冴える。荘子の何処が好きじゃ?」



「はい。よくは分かりませぬが何やら悠久なものございます」

「人の力及ばぬものある事を教えてくれます」

「己の小ささ、天の雄大を教えてくれます」



晴信は月を見ながら呟きます。



「八千年の春・・・八千年の秋」



それから暫らく後、勝頼が躑躅ヶ崎へと入ったのでございます。私も思いもよらぬ武田家の運命にございますれば、今は亡き義信が哀れにございます。さて、今宵は此処までに致します。

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