西郷どんの感想第20話「正助の黒い石」でございます。時を遡る事1年前!若手藩士は皆、血気に逸る!特に有馬新七!突然存在感を出し始めました・・・!そして、変わり者の祖父と息子に振り回された1人の薩摩藩主がいよいよ最期の時を迎える。大河ドラマ西郷どんの感想第20話始めます!

西郷どんの感想第20話~斉興様、おやっとさんでした~

大河ドラマ西郷どんは役者の好演が光っております。そして、前半戦で最も光っていたのはこの男ではないでしょうか。薩摩藩第10代藩主島津斉興。何度か触れていますが、歴史的にもこの斉興が西郷の命を救っています。

→西郷どんの感想まとめレビュー

狭間

島津斉興は「蘭癖放蕩爺さん重豪」と「蘭癖放蕩息子斉彬」に挟まれた藩主です。


※重豪以降の歴代薩摩藩主(大河姫作成)



その間には「普通の親父」島津斉宣がいたのですが、彼は父重豪との権力闘争に破れ、失脚の憂き目に合っております。




勿論、重豪には重豪の想いがあったとは思うのですが・・・。人間は「時代」から自由にはなれないという事だと思います。その辺りは、是非下記を参照頂ければと思います。




何故、重豪の幕府への想い、そして薩摩の苛烈な風土がお由羅騒動の100年前に既にみられた事が分かります。



※関連記事:→薩摩の苛烈な風土は重豪時代の近思録崩れにあり


斉興からすれば、祖父が創った負債を必死に返済しようとしている父斉宣が失脚の憂き目となり、自分が後継に立てられた時の心中は察するに余りあります。



「重豪が生きている間は我慢の藩政」



重豪はクソ長命ですからね・・・!




そして、ようやく斉興の時代が来たと思ったら・・・。息子、斉彬は祖父に似てとんでもない変人蘭癖だった・・・。




斉興と斉彬の確執は間違いのない所でだと思います。ただ、「憎しみしかなかったのか?」と言われるとそれはまた異なる気がするんですよね。




大河ドラマ西郷どんでは斉彬が家督を継承した後、何度か毒を盛られています。西郷は毒を盛ったのが斉興だと判断して単身斉興の元へ乗り込んでいますが、



「証拠などない!何故なら毒など盛っていなから!」



と、お由羅に一喝されています。人間痛くもない腹を探られるのが一番腹が立ちますからね。




実際斉彬は斉興などにカナリ気を遣って藩政をスタートしています。さらに、その後は篤姫輿入れや一橋派の事実上の頭目としての政治活動。この辺りになるともはや斉興の想像を超え過ぎていた気がします。



「あいつは変人なのでもう放っておこう」
(もしかしたらひょっとするかもしれない)



斉興の胸中は複雑ではありましたが、斉彬を認める部分もあったのではと思います。




因みに、「特番」で斉彬を演じる渡辺謙の言葉。



「親父に銃口を向けさせるとは俺はなんて親不孝なんだ・・・」



印象的なロシアンルーレットの場面を演じている時に、新たにそういう感情になったと言っていました。




この二人の関係の一筋縄ではいかないところ、単なる憎しみや憎悪ではない部分が「言葉の裏」にあったのはとても良かったと思います、

久光を守った斉興

斉興は斉彬の「器」を図る事は出来ませんでした。斉彬は「規格外」の人間だからです。




一方で久光。
この息子の事は斉興はその能力も性格もよく見抜いていたと思います。



「古き良き薩摩を守ってくれ」



斉興の遺言とも言える言葉。



「嫌です」



久光は当初そう答えますね。しかし、一方で久光は斉興を敬愛しているのです。。



「父上・・・死なんでくりやえ・・・(泣)」



久光可愛い・・・!勿論、結果的には後に上洛をする事になりますが、この時期の冷却期間は久光にとっても、いやもっと言えば西郷や大久保にとっても良かったと思います。




斉興が、そして後に西郷が言った通り、



「無位無官藩主でも前藩主でもないただのジゴロ(田舎者)」



です。
さらに、井伊大老が統制を効かせている幕府は後の「ヘタレ幕府」よりも求心力も高い。対立が先鋭化すれば、井伊大老率いる江戸幕府の勝利であったと思います。




因みに、西郷どんでは大久保の意を汲んで斉興が西郷の命を助けていますが、実際は斉興自身の判断で助命されています。



「反動的な薩摩藩主」



という部分がクローズアップされがちですが、この島津斉興とその腹心であった調所広郷こそ、後の薩摩藩躍進の準備をしたと言っては言い過ぎでしょうか。




鹿賀丈史の「言外の言」語る演技をも相まってそんな事を感じた次第でございます。



※関連記事:→調所広郷の改革と二人の蘭癖


大河ドラマ西郷どんの感想第20話「正助の黒い石」はまだまだ続きもす。郷中の仲間達がいきなり険悪に・・・!?

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西郷どんの感想第20話~対立の芽~

郷中の仲間達、いきなり雰囲気変わりましたね・・・。存在感をイキナリ増してきたのが有馬新七!そして、仲間達の「まとめ役」はやっぱりこの人。大山格之助ですね。




しかし、正助の満寿さんにあのような振る舞いは行けませんねぇ。まあ、最後は反省していましたけど・・・!因みに、正助は囲碁、当初は弱かった!?

突然きな臭い郷中

やや唐突感もありましたが・・・。




突然有馬新七と大山格之助の存在感が増していました。




有馬新七は後に「寺田屋事件」で突出組の頭目のような存在となり、大山格之助とは白刃を交える事になりますが・・・。




新七は正助が斉興・久光に近づく事を、それが例え吉之助を島から呼び戻す為と分かっても快く思っていません。




その表情が既に「ヤバい人」という雰囲気でした・・・。




一方で大山格之助。




大山格之助は郷中の仲間達の間でも年かさと言う事もあり吉之助のいない郷中の代理頭目のようでしたね。この大山格之助と有馬新七は後にぶつかる寺田屋事件た楽しみです。因みに、有村俊斎は相変わらず軽薄です・・・。

正助と久光

正助と久光の関係。完全に「正助の手の内で踊る」久光という感じでしょうか。




翔ぶが如くでも勿論、主役は西郷・大久保であり久光は当然「脇役」なんですけど・・・。




少なくとも前半は此処まで正助の「操り人形」ではないんですよね。




正助は「桜田門外の変」を受けて出兵を主張しますが、
久光に厳しく断られています。



「江戸は静がじゃぞ!」



正助は「桜田門外の変」を受けて江戸は既に革命前夜の空気・・・と考えていましたがそんな事は全くない。この時点では情勢判断に関しても正助はまだまだ甘かった。




久光は決して愚かな藩主ではないんですけどねぇ。

正助、良い奥さんもらったな

正助と囲碁を楽しんでいたお爺さんが吉祥院住職の乗願。



※関連記事:→大久保と吉祥院住職乗願と囲碁


詳細は上記記事にも記載しましたが大久保は最初から囲碁が強かったわけではりません。ただ、久光に近づく為に「石」を以て修練を積みます。




最初の師匠は妻の満寿ですね。満寿初登場時は吉祥院で囲碁をしている場面だったので、その場面も期待したのですが、既に囲碁を学んだ後のようでしたね・・・!




因みに、翔ぶが如くでは囲碁を学ぶ場面が描かれていました。



※関連記事:→翔ぶが如くのあらすじと感想第13話「正助の布石」


賀来千香子(28歳)が可愛い・・・。まあ、賀来さん今も綺麗ですけどね。




正助は当初、満寿に、



「お前に話しても仕方ない!」



みたいな感じでしたけど、



「誰のお陰で斉興の囲碁の相手が出来ると思っている!」



って、思いました。まあ、最後は反省してましたけど。吉之助になりたいと言う正助に、



「私はなって欲しくはありません」

「私は大久保正助に惚れ込んで一緒になったんですよ」



西郷は後に「人間磁石」と言われる程に多くの人間を惹きつけてしまいます。ただ、西郷は特別。




真似をするものでも、ましや目指すものでもないと思います。




・・・あの正助の態度を見ているととても目指しているようには見えませんでしたけど・・・!




大河ドラマ西郷どんの感想第20話「正助の黒い石」いよいよ最後の段。ついに来た「桜田門外の変」。

西郷どんの感想第20話~桜田門外の変~

そしてついに来た。



「桜田門外の変」



此処で亡くなる井伊直弼ですが‥・。覚悟をお決めになられた表情がまた透き通っておりました。

井伊家のその後

安政の大獄で多くの犠牲を出した薩長を始めとする後の討幕派。しかし、井伊直弼横死の後、石高は減らされるものの、戊辰戦争では「官軍」にいち早く衣替えするなど、後の会津などの関東以東の諸藩とは明暗を分けます。



※関連記事:→長野主膳が無ければ「大老井伊直弼」はなかった


井伊直弼が横死した後も暫くは「京の大老」こと井伊直弼の家臣であり盟友であり師でもある長野主膳は一定程度は権力を保持し続けます。




しかし、井伊直弼の後を継いだ直憲は疎まれたことや、直弼時代の「特別扱い」を譜代の重臣に敵視されたこともあり、後の「文久の政変」をきっかけに「処断」されてしまいます。




長野主膳は井伊直弼の「一本釣り」の助っ人であり彦根藩内に「仲間」が少なかった事も大きな影響もあったと思います。ただ、そのお陰で長野主膳以外に「連座」する家臣はいなかった。




安政の大獄の責任は「井伊直弼と長野主膳」この師弟コンビが全て持っていったのはある種彦根藩に取っては幸いでした。




因みに、翔ぶが如くでは長野主膳のその後は何もありません。




西郷どんでは・・・。




多分ないでしょうねぇ。




大河ドラマ西郷どんの感想第20話「正助の黒い石」でございます。

大河姫

今宵は此処までに致します。

→西郷どんの感想まとめレビュー

→長野主膳と井伊直弼

→翔ぶが如く第13話「正助の布石」

→翔ぶが如く14話「桜田門外の変」

→西郷どんのキャスト表(随時更新)