女城主直虎第9話のネタバレとあらすじです。直虎第9話はいよいよ桶狭間。永禄3年5月12日今川義元は25,000と号する大軍で駿府を出立。織田方の砦を次々と落としながら西上を続けていた。

直虎第9話上巻~青天霹靂~

同、永禄3年5月12日。緊張感はそれほどある訳はではない。井伊にとっては遺恨もある今川家ではあるが、味方にいる時はこれほど頼もしい存在はないというのもまた事実。はずだった。

桶狭間の戦い

戦に向かった父直盛達の無事を祈り、龍潭寺の枯れ井戸で手を合わせる次郎。




ふと。




顔を上げる。




雨粒が頬に当たった。




しかし。




空は雲一つなく澄みわたっていた。




「なんだ気のせい・・・か・・・?」




直後。真に、天地をひっくり返すような知らせが井伊谷をにもたらされる。




「尾張、桶狭間にて織田勢に奇襲をかけられた今川勢が大敗!」




「義元公も討たれた由にございます!」




あの今川が大敗。今川に付き従っていた井伊家中の者も次々と傷を負って落ち延びてくる。さながら井伊谷は野戦病院と化していた。




井伊谷に残り戦に出なかった者や、寺に残っていて者総出で負傷した兵達を手当する。その中には奥山朝利の姿もあった。直親の奥方であるしのと、政次の弟小野玄蕃の奥方なつの父である。



「面目次第もない。このような事になってしまって・・・」



なつは父、朝利を見つけると駆け寄り、夫である小野玄蕃の無事を尋ねるが・・・



「あの・・・玄蕃様は・・・?」



朝利は目を伏せて一言。



「立派な戦いぶりであった」



その一言で全てを悟ったなつはその場で泣き崩れた。そして、次郎は拳を握りしめ震えている政次の姿を観止めた。政次もまた弟玄蕃の突然の死を受け止めきれずにいた。同じ父親を持ち、同じような環境で育ったにも関わず、何故か、常に朗らかな弟玄蕃の存在は政次にとってかけがえのないものだった。次郎は政次にかける言葉が見つからない。



「大変な戦だったのですね。」



次郎は恐る恐る朝利に声をかける。
心臓が高鳴るのを感じる。



「まさに地獄であった。豪雨の中奇襲をかけられもはや敵味方も分からず・・・」



次郎は本当に尋ねたかった父、直盛の事を様子を尋ねた。




朝利は乱戦の最中、直盛を見失ってしまったという。次郎は不安に駆られるがもはや無事を祈る事しか出来ないのであった。

直盛の最期

その日の夕刻。次郎の父でもある井伊家の当主井伊直盛は井伊谷へ帰還する。しかし、その姿は首一つであった。




今回の戦に共に出陣をしていた奥山朝利の息子孫一郎が連れて帰ってきたのだ。孫一郎は直盛の最期を看取っていた。




直盛は乱戦の最中、もはやこれまでと悟ると孫一郎に、自分は腹を切るので自分の首を討ち掲げ、織田の武将の振りをして、井伊谷まで落ち延びるように命じたという。




このまま、戦場にいればいずれは討ち死にの上、自分の首は織田方の手柄をとされる。しかし、今孫一郎が首を持って落ち延びれば井伊の兵が1人助かり、自分は井伊谷へ帰る事が出来ると。



「殿らしい最期で・・・」



嗚咽が漏れる中誰かがささやいた声は次郎の元へは届いていなかった。父上が亡くなった。もう会う事も話す事も出来ない。幼い頃、馬に乗って共に野山を駆け巡ったこと、出家するといって父を困らせたこと、様々な思い出で走馬灯のように次郎の脳裏を駆け巡った。

直虎第9話中巻~其々の思い~

今回の戦で命を落とした者は当主直盛、小野玄蕃等主、15名にのぼった。小さな国衆である井伊家にとっては大きすぎる人的損失だった。

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新体制へ

次郎は父を失った悲しみに嘆いてばかりいる訳にはいかなかった。僧籍にある者にとっては亡くなった人々を弔うのが大切な仕事。葬儀は南渓のもと、龍潭寺で行われた。勿論、次郎も父を失った悲しみに耐えながらお経をあげるのであった。




当主を失った井伊家は早急に新体制を構築しなければならない。当主は直親、そしてその補佐には家老の小野政次。誰もがそう考えていたが、直盛の最期を看取って首を持ち帰った孫一郎は遺言を預かっているという。その内容は井伊家の評定に激震をもたらす。



「息をお引き取りになる直前、直盛様は、井伊谷を、中野殿に任せると言い残されました」



「!?」



当の、中野直由が最も驚く。
直由はそのような話、直盛から何も聞いていないという。



「私、何も存じませんぬ・・・!」



評定がざわつく中で1人冷静な政次が発言する。



「ここは、戦にお詳しい中野殿に任せるのが得策」



政次は、今回の戦で、ある意味では今川一強で安定していた、三河・遠江一帯が大いに荒れる可能性が高いと話す。また、当主をむざむざと殺されてしまった今川家がこのまま黙っている訳がない。そうすれば、また戦である。井伊家嫡流である直親をこの混乱の矢面に立たせたくないという直盛の配慮ではと。



「確かに、これから太守様の弔い合戦があるやもしれぬ」



直平もそういうと政次の話に納得する。政次の解釈に直親含め一同は納得をしたが、1人、奥山朝利には不安あった。政次は本当に納得をしているのだろうか・・・?

手紙

次郎は師の南渓に父を亡くし気を落している母、千賀の近くにいてあげたいと申し出る。南渓もそれを快諾すると義元公の葬儀を手伝うために駿府へ立とうとしていた。



「しかし、世の中何が起こるか分からないもんだ。あの虎の今川が猫の織田に敗れるなんて」



南渓は次郎に話す。次郎は井伊はこれからどうなるのか。次郎は南渓に尋ねるがそれには直接は答えず、



「なんでも起こるという事を目の当たりしたばかりじゃしのう」



そう、答えると駿府へと旅立っていった。




井伊の館に戻った次郎は母、千賀が手紙をしたためている姿を見る。千賀は桶狭間の戦いで討死した家臣の家族に向けて手紙を書いているのだという。次郎は、幼い時に龍潭寺へ出家してしまったので知らなかったのだ。



「いつもこのような事をされていたのですか・・・?」



そう問いかける次郎に千賀は寂しそうに答える。



「こんなに多いのは初めてですけどね」



千賀はいつも、戦等で命を落とした家臣があると、必ず手紙を書いていたという。自分からの手紙など大した慰めにはならない事は分かっているが、今迄井伊のために尽くしてくれたお礼や亡くなった事へのお悔やを言えるのは自分しかいないからと話す。今回母上だって慰めが欲しいでであろうにと、気丈に振る舞う母の小さな背中を思いやるのであった。




次郎が部屋へ戻ると机の上に手紙が置かれていた。



「このたびはお父上を亡くされ、悲しみの深さお察しいたします」



母、千賀からの手紙はそのような書き出しで始まっていた。



「あなたのお父上は大変優しく、人の心を大切になさる方でした。私利私欲はなく、井伊のためならば命を差し出す覚悟のある、そういう立派な方でした。井伊のために出家し、井伊のために還俗も諦めた。あなたはお父上に似ています」




また、次郎が知らなかった父直盛と千賀のやりとりも書かれていた。龍潭寺の仕事をしているところをたまたま見かけると、次郎がまた美しくなったと喜んでいたことや、もし、世が穏やかになり還俗しまた一緒に暮らせる日がくれば、真っ先に次郎に花柄の着物を着せてやりたいと語っていたこと。




次郎は父、直盛の自分への愛情の深さを知る。そして。




「気丈なあなたは、自分を押し殺し、無理をしているように見えます。この手紙が、ほんの少しの間、あなたをただの娘に戻してくれることを願いながら・・・」




次郎は声を押し殺して独り泣くのでった。

直虎第9話下巻~悲劇の連鎖~

直親の後見として中野直由が決まったが、1人、奥山朝利は小野政次の動向に不安を感じていた。

不信の連鎖

奥山朝利は小野政次の弟、玄蕃に嫁がせたなつと、その忘れ形見である、亥之助を実家である自分の元へ取り戻そうと考えていた。順当に行けば井伊家の差配を任されるはずだった政次が不満を募らせて井伊家をやがて牛耳る畏れがある。面と向かっては言えないがなつと亥之助は小野の人質も同然ではないか・・・?




ただ、一度この話は政次に提案をするも流れている。いや、正確に言えば玄蕃に嫁いだなつが小野に留まりたいと言っているのだ。桶狭間で討死した小野玄蕃となつは仲が良かった。なつは小野と井伊の架け橋になりたいと考えているようだ。




そんな蒸し暑い夏の盛り。井伊にも一つの光明が差した。しのに懐妊の兆しが現れたのである。しのの父でもある朝利は喜んだ。



「まるで殿の生まれ変わりではないか!」



朝利は決意を新たに、しの懐妊の知らせを小野の家へ届けさせると政次を屋敷へ呼び出した。今度こそはなつとその息子、亥之助を取り戻す。



「何度もお伝えしておりますように、なつ殿自身が小野にとどまりたいと申しておりまして」



朝利の申し出に対して丁重に断る政次。確かに、なつが小野に留まりたいと言っているのは本当である。それは朝利も知っていたが今回はそれで引き下げるつもりはなかった。



「あなたが戻れと言えば済む話であろう。なつと亥之助を戻したくない理由でもあるのか?」



そう。小野家の当主は政次である。政次が命じればなつは帰らざる得ない。しかし、政次は、



「今は亡き殿が結んでくれた縁にございますれば・・・」



朝利はもっともらしく言ってのける政次に苛立つとつい本音を言ってしまう。



「亥之助がこちらに来てしまったら、お前が人質を取られた格好になるからか? どうだ、図星だろ!」



政次は全く取り乱すことなく、



「そのようなことは全く考えたことはありませんでしたが、逆に、そちらに戻せば、奥山殿は亥之助を人質とお考えになるということですか?亥之助は、小野から取った人質である、と?」



言葉に詰まる朝利。流石、おの政直の嫡男である。朝利は狼狽するが、政次は諭すように続ける。



「こんな大切な時に奥山殿は自分の家のことばかり考えておられると、新野様も中野様も失望されるでしょう」



これは、皮肉でも嫌味でもない偽らざる本心だった。良くも悪くも、今川家一党支配だった遠江はこれから不安定化は避けられない。直盛を失った井伊家にはとてもではないが内輪で揉めている余裕はもはやないのだ。



朝利もようやく納得したのか、そこまでなつが言うならととうとう折れる事になる。政次は退出し家路につこうとするが・・・



「!?」



白刃が閃き、一瞬前まで政次がいた場所には朝利が刀を振り下ろしていた。気が付くと、政次は腕を切られていた。



「殿が亡くなった今が好機と思っておろう!そうはいかぬ!」

新たな悲劇

次郎は龍潭寺でしの懐妊の話しを聞いた。嬉しい。が、寂しい気持ちがないと言えば嘘になる。また、しのの懐妊は井伊家、そして直親にとっても、喜ばしい事なのにざわついた気持ちになってしまう自分にも戸惑う。




しかし。




本堂でご本尊に手を合わせると次郎の胸のざわつきはゆっくりと治まっていく。



「井伊の家に、新しい命をお与えくださったこと、心より感謝いたします」



今度は御仏に心からの感謝を伝える事が出来た。本堂から母屋へ戻ろうとすると人影がある事に気付く。



「政次!どうした!?何があったのじゃ!?」



そこには血まみれの政次がいた。



「・・・奥山殿を・・・斬ってしまった・・・」

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